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答弁本文情報

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平成九年十二月二日受領
答弁第六号

  内閣衆質一四一第六号
    平成九年十二月二日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関する質問に対する答弁書



一について

 厚生省においては、御指摘の平成二年三月七日付けの厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長及び社団法人日本血液製剤協会理事長名で取り交わされた基本合意事項(以下「基本合意」という。)は、献血を原料とする良質な血漿分画製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標とし関係者が協力してその対策を推進していくため基本となる対策につき合意したものであり、その後同三者間で取り交わされた平成三年十二月二日付けの合意事項(以下「平成三年合意」という。)及び覚書(以下「平成三年覚書」という。)により、その内容の一部が変更されており、当該変更後の合意が基本的には現在も継続しているものと認識している。また、厚生省において日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会に照会したところ、同様の回答があったところである。

二の@からBまで並びにCの(一)及び(二)について

 御指摘の財団法人血漿分画製剤管理機構については、基本合意の締結時に想定されていたその役割を実現する条件が整う見込みがなかったため、具体的な設立準備には至らなかったものと承知している。厚生省において日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会に照会したところ、同様の回答があったところである。
 財団法人血液製剤調査機構(以下「調査機構」という。)については、基本合意以降、前記の事情を踏まえ、血液製剤の国内自給を推進する上で必要な法人の在り方について厚生省、日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会との間で検討を行った結果、国内献血による血液製剤の適正な製造及び供給に資するため、内外の情報収集及び分析並びに必要な調査研究を行う法人として設立に至ったものである。

二のCの(三)について

 平成二年七月三十日に厚生省に提出された調査機構の設立許可申請書に添付された設立趣意書の内容は、別紙のとおりである。
 調査機構の基本財産の額は二億円であり、その募集方法は日本赤十字社、株式会社ミドリ十字、財団法人化学及血清療法研究所及び株式会社日本製薬からの寄附である。また、設立時の役員の氏名及び当時の役職は、次のとおりである。

  理 事 長 熊崎 正夫 社団法人全国土木建築国民健康保険組合理事長
  専務理事 吉崎 正義  
  理   事 上村 一 医薬品副作用被害救済・研究振興基金理事長
    國行 昌頼 社団法人日本血液製剤協会会長
    小池 欣一 日本赤十字社副社長
    敷島 宏和 日本赤十字社血液事業部長
    須山 忠和 社団法人日本血液製剤協会常任理事
    関口 定美 日本赤十字社血漿分画センター所長
    田中 明 財団法人献血供給事業団理事長
    坪井 栄孝 社団法人日本医師会常任理事
    徳永 栄一 日本赤十字社中央血液センター所長
    野中 實男 社団法人日本血液製剤協会常任理事
    宮島 剛 社団法人日本血液製剤協会理事長
    村瀬 敏郎 社団法人日本医師会副会長
    中井 一士 調査機構調査業務部長就任予定
  監   事 江間 時彦 日本製薬団体連合会理事長

三について

 御指摘の基本合意第Iの(8)にいう供給専門公益法人については、設立されていない。
 基本合意においては、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤について製造及び供給を基本合意に示された製造事業者が行うこと、また、供給については、供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて供給を公益法人に担当させることを検討していくこととされていた。現在、厚生省としては、基本合意以降の状況の推移も踏まえ、血漿分画製剤の国内自給に向けた具体的な取組の在り方について、平成八年十月に当時の薬務局に設置した血液行政の在り方に関する懇談会において検討を進めているところであり、その検討結果等を踏まえ適切に対応していく考えである。

四について

 御指摘の基本合意第IIの(2)の内容については、平成三年合意において、平成三年度以降、血液凝固因子製剤について、国内に製造プラントを有する製造事業者が献血を原料として製造及び供給を行うこととされ、また、平成三年覚書において、血液凝固因子製剤の供給について、当面、日本赤十字社及び各製造事業者が行うこととされたことにより、変更されたものと認識している。
 厚生省において日本赤十字社に照会したところ、現在までの経緯については同様の認識である旨の回答があり、また、基本合意、平成三年合意及び平成三年覚書については、日本赤十字社の血液事業担当部署が中心となって検討した上、社内決裁手続に従って決裁権限を有する役員が決裁したものであり、常任理事会又は理事会に報告するものではなかった旨の回答があったところである。

五及び六について

 御指摘の基本合意第IIの(2)については四についてで述べたとおり、平成三年合意及び平成三年覚書により変更されたことから、御指摘のブランドの一元化等について別に定めたものはない。また、御指摘の製造依頼料の調整は行われていない。

七について

 血液凝固因子製剤の供給体制については、厚生省においては、基本合意当時は、基本合意が原則として
すべての血液凝固因子製剤を日本赤十字社が製造するものとしたことから、供給の主体も日本赤十字社に一元化すると考えていたが、日本赤十字社及び各製造事業者の製造供給能力等を踏まえ、四についてで述べたとおり、平成三年合意及び平成三年覚書において基本合意の内容が変更され、血液凝固因子製剤の供給について、その一元化は行わず、当面日本赤十字社及び各製造事業者が行うとされ、現在に至っているものと認識している。また、厚生省において日本赤十字社に照会したところ、同様の認識である旨の回答があったところである。


別紙

財団法人血液製剤調査機構設立趣意書

 我が国の血液事業については、血漿分画製剤の外国の売血への依存体質、一部製剤の不適正使用、血液製剤の需給上の不均衡等の問題点が指摘されている。
 これを解決するためには「新血液事業推進検討委員会第一次報告」にあるように、血液事業の運営において適正な需給管理を行うことにより、効率性、透明性を確保していくことが必要である。
 特に、血漿分画製剤の献血による完全自給は、昭和六十三年の国会決議で要請されているほか、国際的にも一九七五年の「WHO勧告」、一九八三年の「国際輸血学会メモランダム」等で血液製剤の国内自給への取り組みが求められ、近時、ヨーロッパ各国等においても国内自給対策が進められているなど、国際的趨勢となっている。
 このような状況にあって、今後、血漿分画製剤を含め全ての血液製剤を献血によって国内自給するという目的に向けて推進するためには、
 @適切な需要把握とこれに合致した計画的な採血、製造、供給体制の検討
 A適正使用の徹底と不当な利益の排除
 B患者に最善な製剤が供給されるような技術開発面での方向付け
 C輸入製剤との競合がある分野における献血製剤の供給促進
が必要である。
 そして、その前提条件として国内に止まらず諸外国を含めた詳細かつ正確な技術的側面及び経済的側面の情報の収集・分析を実施し評価する必要がある。
 こうした業務は、継続性と客観性をもって行われる必要があり、この観点から専門の機関が担当することが必要である。
 本構想は、上記の趣旨を踏まえ、献血による血液製剤供給者の出資及び拠出により財団法人血液製剤調査機構を設立し、各血液製剤の使用傾向及び需要動向、使用適正化の推進状況、血漿分画製剤の内外の生産流通状況、血液製剤に関する学術情報収集及び分析と今後の製剤の開発方向、効果的な献血推進等の調査研究業務を行い、国内献血による血液製剤の適正な製造及び供給に資することを目的とする。
 財団法人血液製剤調査機構設立発起人(五十音順)
  上村 一
  熊崎 正夫
  小池 欣一
  宮島 剛
  村瀬 敏郎





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