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答弁本文情報

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平成九年十二月十六日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一四一第一三号
    平成九年十二月十六日
内閣総理大臣臨時代理
 国務大臣 三(注) 博

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員高市早苗君提出「慰安婦」問題の教科書掲載に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員高市早苗君提出「慰安婦」問題の教科書掲載に関する再質問に対する答弁書



一の1について

 御指摘の教科書の検定の時点は、平成七年四月に検定の申請の受理を行った時から、平成八年二月に検定の決定を行うまでの期間である。

一の2及び3について

 御指摘の教科書の記述に係る検定については、教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」という。)において、検定当時に発表されていた調査研究をも参考としつつ、平成五年八月の政府調査結果(「いわゆる従軍慰安婦問題について」)(以下「政府調査結果」という。)に照らして審議されたところである。

一の4について

 教科書の検定に関しては、検定審査終了後、申請図書、検定合格した見本本、検定意見箇所の一覧、主な検定意見の概要及び不合格となった図書についての不合格理由書を公開しているところである。
 検定審議会教科用図書検定調査分科会の審議内容については、この分科会が検定の決定又は検定審査不合格の決定という行政処分に係る審議を行っており、委員の自由な議論を確保し審査の公正を担保する等の観点から、従来より非公開としているところである。

二の1について

 検定当時においては、「慰安婦」の問題に関する数多くの出版物等が存在していたと認識している。

二の2について

 いわゆる従軍慰安婦問題に関する政府調査においては、発見された公文書等には、軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接的に示すような記述は見られなかった。他方、調査に当たっては、各種の証言集における記述、大韓民国における元慰安婦に対する証言聴取の結果等も参考としており、これらを総合的に判断した結果、政府調査結果の内容となったものである。
 政府調査結果は、政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を全体的に取りまとめたものであり、政府としては、これまでのところ、政府調査結果の内容を変更すべき事由はないものと考えている。

二の3について

 中学校教科書に係る次回の検定審議においては、著作者又は発行者によって文部大臣に検定申請された図書について、検定審議会において当該検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして審議されるものと考える。

二の4について

 「慰安婦」の問題については、御指摘のような見解があることは承知している。このため、「慰安婦」に関する記述についても、著作者又は発行者によって文部大臣に検定申請された図書について、検定審議会において検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして審議が行われ、その結果、この記述が認められたところである。

三の1及び3並びに四の1及び2について

 「従軍慰安婦」という用語については、検定審議会における審議を踏まえ、複数の辞書等にもその用語が収録されていることを始め、広く社会一般に用いられている状況にあることから、教科書においてもその用語を許容しているところである。

三の2について

 「従軍慰安婦」という用語については、検定審議会における審議を踏まえ、複数の辞書等にもその用語が収録されていることを始め、広く社会一般に用いられている状況にあることから、教科書においてもその用語を許容しているところであり、このことは、辞書の記述が正確であることに責任を持つことを意味するものではない。

三の4及び5について

 歴史教科書の検定は、特定の用語がいつから広く社会一般に用いられていたのかを審議するものではなく、著作者又は発行者によって文部大臣に検定申請された図書について、検定審議会において検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして審議された結果に基づいて行われるものである。
 平成九年度から使用されている中学校社会科(歴史的分野)の教科書の検定の時点においては、「従軍慰安婦」という用語は、辞書等にも収録されるなど、広く社会一般に用いられているものと認識していた。

四の3について

 平成九年度から使用されている中学校社会科(歴史的分野)の教科書の中で、第二次世界大戦中のこととして、再質問主意書に例示されているもの以外に「従軍」を付した用語を使用しているものはない。
 なお、辞書等の中には、例えば「従軍作家」という用語を収録しているものもあるところである。

五の1について

 検定審議会においては、「慰安婦」の問題は先の大戦の悲惨な状況を学習する際の歴史的事象の一つと判断されたところである。

五の2について

 「慰安婦」の問題は、性の問題とも関連を有すると考えるが、歴史教科書においては、歴史的事象の一つとして扱われているものである。

五の3から5までについて

 中学校の段階においては、一般的に、心身の発達が著しく、性的にも成熟し、また、知的な面でも抽象的、論理的思考が発達するとともに、社会性なども発達してくると言われており、検定審議会において、「慰安婦」の問題を先の大戦の悲惨な状況を学習する際の歴史的事象の一つとして理解することが可能な発達段階と判断されたものである。
 なお、小学校における、基本的人権の尊重、男女の体のつくりや年齢による体の変化などの学習の上に立って、中学校においては、例えば、男女の人間関係の在り方や、心身の機能の発達を学習する中で身体各器官の機能や身体の発達に伴う二次性徴の出現などについて学習することとされている。
 「慰安婦」の問題については、先の大戦の悲惨な状況を学習する中で扱われることとなるが、生徒から質問があった場合、教員は質問の趣旨などを踏まえ、それぞれに応じて対応すべきものと考える。

五の6について

 前回の教科書検定の時期と平成九年度から使用されている教科書の検定の時期とを比較して、中学生の心身の発達段階に大きな変化があったとは考えていない。

五の7について

 平成九年度から使用されている中学校社会科(歴史的分野)の教科書については、著作者又は発行者によって文部大臣に検定申請された図書について、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成元年文部省告示第四十三号)の定めるところを検定の基準として、検定審議会において検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして審議された結果に基づいて検定が行われたものであり、中学校学習指導要領(平成元年文部省告示第二十五号)に定める社会科及び歴史的分野の目標に照らして適切なものであると考える。
 歴史教育においては、教科書を主たる教材として使用しつつ、客観的、学問的な研究成果を踏まえて、事実は事実として正しく教えるとともに、生徒が歴史の教訓を未来に生かし、我が国の歴史や文化を大切にし、日本人としての自覚を持って、国際社会の中で生きていくことができるよう、指導の充実を図ることが重要であると考える。





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