衆議院

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平成十年十月六日受領
答弁第七号

  内閣衆質一四三第七号
    平成十年十月六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員金田誠一君提出行刑施設職員の労働条件等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出行刑施設職員の労働条件等に関する質問に対する答弁書



一の1について

 刑務官固有の職務を規定している法令には、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)、囚人及刑事被告人押送規則(明治三十年勅令第四百十五号)、囚人及刑事被告人押送細則(明治三十年内務省令第三十七号)、監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)、未決拘禁者二対スル自弁物品取扱規則(昭和三年司法省令第一号)、行刑累進処遇令(昭和八年司法省令第三十五号)、刑務所、少年刑務所及び拘置所組織規程(平成五年法務省令第十三号)、被収容者の領置物の管理に関する規則(平成九年法務省令第三十八号)等がある。

一の2について

 御質問の「国際準則」の意義が必ずしも明らかでないが、例えば、被拘禁者処遇最低基準規則(千九百五十七年(昭和三十二年)国際連合経済社会理事会承認)は、刑務官の任務等についての規定を有している。しかし、この規則は、法的拘束力を有するものではなく、各国の行刑立法及び実務運営に当たり、それぞれの法律的、経済的、社会的条件等を考慮に入れながら指導理念として尊重し、可能な限り充足に努力すべき国際的な基準としての意味を持つものである。

二の1について

 刑務官に対しては、公安職俸給表(一)が適用されている。

二の2について

 刑務官に適用される諸手当の種類及び平成九年度における支給実績は、次の表のとおりである。なお、勤務時間を基礎に支給される手当の平成九年度における適用時間数は、超過勤務手当四百五十九万二千二百九時間、休日給五十六万四千三百十三時間及び夜勤手当百六十四万二百六時間である。


 (注)単位当たりの金額の趣旨が必ずしも明らかでないので、一人平均支給額を記載した。

二の3について

 平成九年度における刑務官に対する超過勤務手当の一時間当たりの平均支給額は約二千三百四十五円、適用時間数は四百五十九万二千二百九時間(刑務官一人当たりの一か月の平均超過勤務時間数は約二十五・四時間)、支給総額は百七億六千八百二十万三千六百五十七円、適用人数は一万五千九十一人である。

三の1について

 平成九年度における刑務官一人当たりの一週間の平均勤務時間数は約四十四・一時間であり、一年間の平均勤務時間数は約二千三百一・七時間である。

三の2について

 平成九年度における刑務官一人当たりの一週間の平均超過勤務時間数は約五・八時間であり、一年間の平均超過勤務時間数は約三百四・三時間である。

三の3について

 平成九年度における刑務官の休暇の取得状況は、次の表のとおりである。



 特別休暇の内訳は、次の表のとおりである。


 (注)特別休暇の種類中、「結婚に関するもの」とは人事院規則一五 ― 一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)第二十二条第五号に係るものを、「出産に関するもの」とは同条第六号、第七号及び第九号に係るものを、「親族死亡等に関するもの」とは同条第十号及び第十一号に係るものを、「夏季休暇」とは同条第十二号に係るものを、「その他」とはこれら以外の特別休暇を、それぞれ示している。

 また、平成九年度における刑務官一人当たりの年次休暇の消化率は、一年間の年次休暇日数を二十日とした場合において、約三十六・〇パーセントである。

四の1について

 御質問に係る職員の異動の運用については、御指摘のとおりである。

四の2について

 四の1についてでお答えしたとおり、御質問に係る職員については、原則として、いわゆる管区外への異動は行わない扱いとしている。ただし、施設の新設又は廃止の場合、業務遂行に有用な専門的知識等の有効な活用を図るべき事情がある場合、特段の考慮をすべき個人的事情がある場合等において、任命権者が個別に検討した結果、例外的に管区外への異動を実施することは、従前から行ってきており、現在も行っているところである。
 なお、平成八年度以降、組織の活性化を図るなどの観点から、従前は、所属する施設の本所と支所との間の異動を除き、原則として施設を異にする異動の対象外とされていた職員(初等科研修のみを卒業した者)についても、異動があり得る扱いとしたが、採用施設を所管する矯正管区地域内を異動の範囲とする原則は、変更していない。

四の3について

 現在把握できる限りにおいて、矯正管区内での異動の実績は、次の表のとおりである。



 また、現在把握できる限りにおいて、例外的な管区外への異動の実績は、次の表のとおりである。

四の4について

 四の2についてでお答えしたとおり、管区外への異動の取扱いは変更していない。なお、従前からの例外的取扱いとして、管区外へ異動となった者の性別、平均年齢及び異動の結果単身赴任となった者の数は、現在把握できる限りにおいて、次の表のとおりである。


五の1について

 初等科研修は、新たに刑務官に任用された者全員を対象とし、刑務官として必要な学術及び技能を修得させるための基礎的教育訓練を行うものであり、全国八か所に設けられた矯正研修支所における集合研修を約二か月間実施し、その後採用施設における実務研修を約六か月間実施している。研修内容としては、憲法、行刑法等の基本法令、心理学、教育学等の関連行動科学等についての講義、演習のほか、行動訓練、護身術の実技訓練等を実施している。

五の2について

 刑務官の昇任は、五の1についてでお答えした初等科研修、初級幹部職員として必要な学術及び技能を修得させるための教育訓練を行う中等科研修並びに上級幹部職員として必要な学術及び技能を修得させるための教育訓練を行う高等科研修について、それぞれの卒業の有無により区分されたグループごとに管理する制度としている。
 すなわち、初等科研修のみを卒業した者については、主任矯正処遇官(公安職俸給表(一)四級)までの任用を行っている。また、国家公務員採用II種試験に合格したことにより採用された者又は中等科研修入所試験に合格した者で、同研修を卒業した者については、高等科研修を卒業した者を除き、係長等(公安職俸給表(一)五級)までの任用を行っている。ただし、中級管理科研修入所試験に合格し、同研修を卒業した者については、課長相当職への昇任の道も開いている。さらに、国家公務員採用I種試験に合格したことにより採用された者又は中等科研修卒業後に高等科研修入所試験に合格した者で、同研修を卒業した者については、課長相当職以上の役職への任用を行っているところである。

六について

 刑務官の福利厚生制度としては、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十三条第一項及びこれに基づく国家公務員福利厚生基本計画(平成三年内閣総理大臣決定)並びに関係人事院規則に基づき、健康の保持増進、安全管理、レクリエーション活動の推進等ほかの国家公務員と同様の福利厚生施策を実施するとともに、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)に基づく共済組合において、長期給付、短期給付及び福祉事業を実施している。

七の1について

 「人権教育のための国連十年」(千九百九十四年(平成六年)第四十九回国際連合総会決議)に関する国内行動計画において、刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所等の矯正施設における被収容者の人権の尊重を図る観点から、矯正施設の職員の各種研修における人権教育を充実させるとともに、施設の監督職員に対する指導を行うこととされている。

七の2について

 「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画に基づく人権教育の推進のため、刑務官に対する各種の研修において、被収容者の権利保障及び権利制限に係る研修、被収容者の人権に関する条約等に係る研修及び主な人権問題に係る研修を実施している。

八の1について

 刑務官の年齢構成の推移は、現在把握できる限りにおいて、次の表のとおりである。


 (注)昭和五十九年度及び平成六年度以降については七月一日現在、その他の年度については四月一日現在における刑務官の年齢構成の百分率である。なお、昭和六十一年度については、資料がない。

八の2について

 刑務官の採用数の推移は、現在把握できる限りにおいて、次の表のとおりである。


 (注)中途採用者数は、採用前に職歴を有していた者の数である。

八の3について

 刑務官の退職者数の推移は、現在把握できる限りにおいて、次の表のとおりである。


 (注)( )内は、定年退職者数(定年制は昭和五十九年度施行)であり、内数である。

八の4について

 刑務官の自殺者数は、現在把握できる限りにおいて、次の表のとおりである。


九の1について

 御指摘の「被収容者の動作要領について」は、施設の規律及び秩序の維持、被収容者の安全や健康の確保等のため、一般社会の通念を踏まえつつ、作業中の動作、居房内の動作、連行時等の動作等の被収容者の日常生活又は処遇場面における一定の行動や動作につき、必要な制限を課するなどすることが相当である又は許されると思料される範囲を示したものである。

九の2について

 御指摘の文書は、平成九年九月二十九日に法務省において開催された被収容者処遇対策協議会における被収容者の動作要領に関する協議経過等について取りまとめたものである。同文書は、同年十一月十日、矯正局保安課から矯正管区及び矯正研修所へ参考送付され、施設運営に当たり活用すべきものとして取り扱われている。

十の1について

 御質問に係る各事案に関する報告書の表題は、「職員事故報告」及び「自殺事故報告」であり、平成九年六月から平成十年五月までの間、主な「職員事故報告」は五件あり、「自殺事故報告」は十一件あった。
 その具体的内容は、右の「職員事故報告」については、@姫路少年刑務所の看守が、平成九年十一月ころ、自己所有の携帯電話を計六名の受刑者に貸与し、多数回にわたり家族等と通話させたもの、A神戸刑務所の看守が、平成七年五月ころ、出所者二名から、神戸刑務所に収容されていた間の生活管理等に関し、有利便宜な取り計らいを受けたことの謝礼として、現金五十万円の賄賂を受け取ったもの、B松山刑務所の看守部長が、平成五年六月ころから平成九年十二月ころまでの間に、職員食堂の原材料費等の中から約九百万円の金員を横領したもの、C奈良少年刑務所の看守部長が、昭和六十年春ころから平成十年三月までの間、常習的に自動車の無免許運転をしたもの、D平成十年一月、大分刑務所において、受刑者の身分帳簿一冊が紛失したものに関してであった。また、「自殺事故報告」については、いずれも被収容者が縊首により自殺した事案に関するものであった。

十の2について

 御質問に係る対策としては、「職員事故報告」に関しては、職務の適正な執行及び公務員倫理に関する研修等の充実、職員の身上関係等の的確な把握及び身上相談の一層の充実並びに職務に不要な物の所内への持込みの禁止及びチェック体制の強化を、「自殺事故報告」に関しては、施設の設備、構造等の物的な状況の点検並びに個々の被収容者の心情及び動静の把握の徹底を当該施設に指示するなどした。



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