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平成十年十月十三日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質一四三第一〇号
    平成十年十月十三日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員河野太郎君提出「特定家庭用機器再商品化法」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員河野太郎君提出「特定家庭用機器再商品化法」に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号。以下「法」という。)第二条第四項の政令で定める特定家庭用機器(以下「特定家庭用機器」という。)については、同項各号の要件に該当する機械器具を指定することとされており、法の施行当初は、これらの要件を満たすものとして、現段階では、テレビ、冷蔵庫、エアコン及び洗濯機を想定しているが、これらの四種の機械器具中具体的にどのような製品を指定すべきか、また、政令においてどのようにこれらを規定すべきかについて、現在、通商産業省及び厚生省において、関係する有識者の意見を聴取しつつ、政令案の作成を行っているところである。

一の(2)について

 法の施行が予定される平成十三年におけるコンピュータ用のブラウン管ディスプレイ及び液晶を用いたディスプレイのそれぞれの廃棄台数及び廃棄重量の予測は行っていない。
 なお、社団法人日本電子工業振興協会が平成十年三月にまとめた予測によれば、コンピュータ用のブラウン管ディスプレイについては、平成十三年において、廃棄台数は約二百三十七万台、廃棄重量は約四万トンと見積もられている。

一の(3)について

 液晶ディスプレイを使用したテレビについては、予想される廃棄量、再商品化等の技術的可能性の程度等がブラウン管を使用したテレビとは異なると見込まれることから、法の施行当初から特定家庭用機器に指定する必要性の有無について、更なる検討を行っていきたいと考えている。
 コンピュータ用のディスプレイについては、業務用が多くを占めること、ブラウン管を使用したテレビに比べ廃棄量が少量であることから、法の施行当初から特定家庭用機器に指定する必要性は低いと考えている。
 いずれにせよ、両品目については、その廃棄の動向を見つつ、必要に応じ適切な対応をとっていきたいと考えている。

二の(1)について

 特定家庭用機器に指定することを想定している冷蔵庫及びエアコンに使用されている冷媒用のフロンの回収及び処理は、法第十八条第二項に規定する「生活環境の保全に資する事項」及び「当該再商品化等の実施と一体的に行うことが特に必要かつ適切であるものとして政令で定める事項」に当てはまり得るものと考えている。
 いずれにせよ、同項の「政令で定める事項」にどのような事項を規定すべきかについては、政令策定の段階で検討を行っていきたいと考えている。

二の(2)について

 特定家庭用機器に指定することを想定している冷蔵庫に使用されている断熱材用のフロンの回収及び処理は、法第十八条第二項に規定する「生活環境の保全に資する事項」及び「当該再商品化等の実施と一体的に行うことが特に必要かつ適切であるものとして政令で定める事項」に当てはまり得るものと考えている。
 しかしながら、同項の「政令で定める事項」にどのような事項を規定すべきかについては、冷蔵庫に使用されている断熱材からのフロンの回収及び処理につき、その方法、効率等に関し技術的な問題が存在することから、断熱材の処理のための技術開発の成果も踏まえ、政令策定の段階で検討を行っていきたいと考えている。

二の(3)について

 冷蔵庫に使用されている冷媒用のフロンの量は、一台当たりおおむね百四十グラムから百八十グラムであり、断熱材用のフロンの量は、一台当たりおおむね二百グラムから千グラムである。また、エアコンに使用されている冷媒用のフロンの量は、一台当たりおおむね六百グラムから千グラムである。
 平成七年末まで冷蔵庫に主に使用されてきた冷媒用のフロンであるクロロフルオロカーボン(以下「CFC」という。)については、冷蔵庫が廃棄物として収集、処理される過程の中で、自治体等によりCFCが回収され、これを破壊する設備を有する事業者により破壊が進められている。また、現在、約九割の都道府県及び政令指定都市において、地域の関係事業者、市町村の担当者、消費者等からなるフロン回収等推進協議会が設置され、その地域におけるフロンの回収・破壊システムの構築が進められている。さらに、社団法人日本電機工業会及び財団法人家電製品協会は、平成九年九月に策定した「家庭用冷蔵庫特定フロン回収促進プログラム」に従って、自治体等によるこうした取組への支援及び協力を行っている。環境庁及び通商産業省が行った調査によれば、廃棄された冷蔵庫について、平成九年度において回収実施者別に取扱台数中冷媒用のCFCを回収した台数の割合は、市町村においては七十八パーセント、家庭用機械器具小売業者においては八パーセント、産業廃棄物処理業者においては三十五パーセントであり、回収された冷媒用のCFCはおおむね破壊されているものと見込まれる。
 これまでエアコンに主に使用されてきた冷媒用のフロンであるハイドロクロロフルオロカーボン(以下「HCFC」という。)については、HCFCのオゾン破壊係数がCFCに比べて小さく、その回収、破壊の緊急性がCFCに比べて低いことから、一部の市町村等において回収、破壊が行われている事実はあるものの、回収、破壊の実態は正確には把握していない。
 CFC及びHCFCに替わるものとして冷蔵庫及びエアコンに使用されている冷媒用のフロンであるハイドロフルオロカーボン(以下「HFC」という。)については、これらの製品にHFCが使用されることとなったのが数年前からであるため、廃棄量は極めて少ないものと見込まれ、現時点では、回収、破壊はほとんど行われていないものと考えられる。なお、政府の地球温暖化対策推進本部が平成十年六月に決定した「地球温暖化対策推進大綱」において、「関係事業者団体において策定された(中略)廃エアコン等の廃棄機器からの冷媒の回収・再利用・破壊(中略)等を含む行動計画について、関係審議会等においてその実施状況の定期的な点検を行い、行動計画の実効性を確保する。」とされており、具体的には、社団法人日本電機工業会が平成十年四月に策定した「家庭用冷蔵庫におけるHFC排出抑制自主行動計画」及び社団法人日本冷凍空調工業会が平成十年四月に策定した「家庭用エアコンのHFC対策に係わる業界自主計画」に従って、今後、これらのHFCについては回収、破壊されることとなる。
 冷蔵庫に使用されている断熱材用のフロンについては、必ずしも回収及び処理の技術が確立されていないため、現状では回収及び処理が行われておらず、現在、国等により断熱材の処理のための技術開発を行っているところである。

二の(4)について

 冷蔵庫に使用されている冷媒用及び断熱材用のフロン並びにエアコンに使用されている冷媒用のフロンが、当該製品の使用中に大気中に放出されることは、事故等の特別な場合を除き、おおむねないものと見込まれる。

二の(5)について

 環境庁においては、平成十年度から断熱材用のフロンの破壊試験を実施しており、その特性に応じた破壊技術の確立を図ることとしている。また、HFCについては、同年度に既存のCFC破壊技術をHFCに適用することの可能性について検証するとともに、回収及び再利用時の課題を整理し、その解決策の検討を行うこととしている。
 通商産業省においては、平成八年度から平成十年度まで、有害物質を発生させずに既存の焼却炉を活用してCFCを効率的に処理する技術の開発を行っており、既にパイロット・プラントでのCFCの分解の実証試験において九十九・九九パーセントの分解率を達成している。これを踏まえ、既存の焼却炉を用いて運転試験を行っており、実用化が可能な技術となることを見込んでいる。また、HFCについては、化学的特性の似ているCFCの破壊処理技術を活用した破壊処理技術の開発のための調査を行う予算を平成十一年度概算要求に盛り込んだところである。
 このような政府の取組に加え、一部民間事業者等においても、現在、断熱材用のフロンの回収及び処理のための技術開発の取組が進められていると承知している。

二の(6)について

 オゾン層を人工的に再生する技術については、これまで実施可能性のあるものは提案されていない。
 大気中のオゾンは、自然状態において、化学反応による生成と消滅のバランスによって一定の濃度が保たれてきたが、現在のオゾン層の破壊は、オゾン層破壊物質が成層圏において分解して放出する塩素や臭素が触媒の働きをしてオゾン分子を連鎖的に分解していることに起因しており、その結果、オゾンの生成と消滅のバランスを消滅反応側に偏らせている状態にある。したがって、オゾン層破壊物質の大気中への放出量を抑制すれば、オゾン層は徐々に回復すると考えられている。
 世界気象機関及び国際連合環境計画が本年六月に公表したオゾン層破壊の科学的評価に関する報告によれば、オゾン層破壊物質に対する国際的な生産規制の結果、下層大気中のオゾン層破壊物質の合計濃度は千九百九十四年(平成六年)に極大を迎え、現在は緩やかに減少してきていることから、オゾン層は来たる五十年間で緩やかに回復すると予測されている。

二の(7)について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第七条第九項の規定により、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、廃棄物処理法第六条の二第二項に規定する一般廃棄物処理基準(以下「一般廃棄物処理基準」という。)に従い、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならず、また、廃棄物処理法第十四条第八項の規定により、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は、廃棄物処理法第十二条第一項に規定する産業廃棄物処理基準(以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならないこととなっている。
 これらの者によるフロンを含有する法第二条第五項に規定する特定家庭用機器廃棄物(以下「特定家庭用機器廃棄物」という。)の処理に関しては、法の施行に合わせ、法に基づく製造業者等による再商品化等と同程度の処理を確保するため、一般廃棄物処理基準及び産業廃棄物処理基準の改正を行うこととしているが、その具体的内容については、厚生省において、生活環境審議会に専門家による委員会を設置し、検討しているところである。

二の(8)について

 法第十八条第二項の「政令で定める事項」として冷媒用のフロンの回収及び処理を定めた場合、製造業者等に冷媒用のフロンの回収及び処理を義務付けることとなり、販売業者や収集運搬業者にこれを義務付けるものではないが、法の目的を達成する上では、製造業者等に義務付ければ十分であると考えている。しかしながら、製造業者等が冷媒用のフロンの回収及び処理を確実に実施することができるよう、必要な環境の整備に努めていきたいと考えている。

三について

 法第五十四条においては、市町村は、その収集した特定家庭用機器廃棄物を製造業者等に引き渡すことができる旨を規定しており、製造業者等による再商品化等の実施という法の趣旨を踏まえ、市町村が収集した特定家庭用機器廃棄物の製造業者等への引渡しについて、適切に指導等を行っていきたいと考えている。
 また、法の施行後の市町村における特定家庭用機器廃棄物の処理の状況については、必要に応じて実態を把握するための調査やその結果の公表を行っていきたいと考えている。

四について

 製造業者等が法第十七条に規定する指定引取場所を共同で設置することは、通常の場合であれば、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)その他の法令に直ちに違反するものではないと考えられる。ただし、例外的な場合であると考えられるが、例えば、指定引取場所の共同設置又はその利用に当たって、特定の者を不当に差別的に取り扱う場合等には、独占禁止法の規定に違反するおそれがある。

五の(1)について

 指定法人としての指定は、主務大臣が申請を受けて行うものであり、申請がない場合に指定法人としての指定を行うことはない。
 また、指定法人の指定がなされない場合の対応については、必要に応じ適切な対応を検討していきたいと考えている。

五の(2)について

 指定法人の法第三十三条に規定する業務の経営が赤字となった場合にどのように指定法人に支援を行うべきかについては、当該指定法人の当該業務の経営の状況を踏まえて、適切な対応を検討していきたいと考えている。何らかの支援を行う可能性も含めた適切な対応については、財政的な支援の可能性の検討も含め、必要な検討を行っていきたいと考えている。

六の(1)について

 法に基づく政令及び省令については、通商産業省の産業構造審議会及び厚生省の生活環境審議会における審議等を踏まえ、法制面の検討も含め、政府部内で検討を行った上で制定することとしている。
 法の施行については、法附則第一条本文の規定により、法が公布された日(平成十年六月五日)から起算して六月を超えない期間内に行われることとなっており、この期間内での施行のために、法の施行期日を定める政令を策定することとしている。また、法の施行期日を定める政令の制定と同時期に制定することを予定している法の施行のための政令において、特定家庭用機器の指定を行う予定である。
 法附則第一条ただし書に規定する規定(法第三章、第四章等)については、法が公布された日から起算して三年を超えない期間内に施行されることとなっていることから、これらの規定の円滑な施行を図る上で適切な時期までに、関係する政令及び省令を策定していくこととしている。

六の(2)について

 法に基づく政令及び省令の策定に当たっては、特定家庭用機器として具体的にどのような製品を指定すべきか、法第二十二条第一項に規定する「再商品化等を実施すべき量に関する基準」を具体的にどのように定めるべきかなどの特定家庭用機器再商品化法に関する質問に対する答弁書(平成十年七月十四日内閣衆質一四二第四四号)及びこの答弁書において政令策定の段階で検討を行うと答弁した事項に加え、法第四十九条第三項に規定する指定法人が特定家庭用機器廃棄物の収集、運搬等を他人に委託する場合に従わなければならない基準をどのように定めるべきか、法第五十二条に規定する報告の徴収及び法第五十三条第一項の規定による立入検査を主務大臣がどのように行うべきか等の事項についても、調査及び検討を行う必要があると考えている。

七について

 中央省庁等改革基本法(平成十年法律第百三号。以下「基本法」という。)において、環境省の編成方針として、廃棄物(廃棄物処理法に規定する廃棄物をいう。)に係る対策については環境省に一元化すること(基本法第二十四条第三号)及び資源の循環的再利用の促進については環境省が環境の保全の観点から、基準、指針、方針、計画等の策定、規制等の機能を有し、これを発揮することにより、関係府省と共同で所管すること(基本法第二十四条第四号)を定めている。法の所管は、当該編成方針その他の基本法の規定に基づき、今後決定されるものと考える。





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