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平成十年十月十六日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一四三第一六号
    平成十年十月十六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員坂上富男君提出新潟県国立療養所犀潟病院精神科患者窒息死事件等精神保健福祉法違反事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂上富男君提出新潟県国立療養所犀潟病院精神科患者窒息死事件等精神保健福祉法違反事件に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の国立療養所犀潟病院(以下「犀潟病院」という。)に入院中の患者が本年五月十五日に身体拘束時におう吐し、死亡した事案(以下「本件死亡事案」という。)の発生を踏まえ、新潟県が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「精神保健福祉法」という。)第三十八条の六第一項の規定に基づいて、犀潟病院に対し同年七月二日及び八月十日の二度にわたり実施した立入検査の詳細は、新潟県から厚生省に対してなされた報告等によれば、次のとおりである。

1 七月二日の立入検査について

 当該立入検査は、本件死亡事案について実施し、次の事項が確認された。
 (一) 精神病院に入院中の者に対する身体的拘束(以下「身体的拘束」という。)は、精神保健福祉法第三十六条第三項の規定により、精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができないこととされているにもかかわらず、本件死亡事案において死亡した患者(以下「本件死亡患者」という。)については、身体的拘束の必要性の具体的な判断を看護者にゆだねていたこと
 (二) 隔離、身体的拘束を行った際には、精神保健指定医は精神保健福祉法第三十六条第三項、第三十七条第二項等の規定により、当該身体的拘束の開始時刻、理由等(以下「必要記載事項」という。)を診療録に記載しなければならないこととされているにもかかわらず、本件死亡患者について本年三月四日から同月十三日までの間及び同年五月一日から同月十五日までの間に指示された身体的拘束に関し、同年三月四日の身体的拘束についてはその開始時刻、同月五日以降の身体的拘束についてはそれらの開始時刻及び理由の記載が診療録になかったこと

2 八月十日の立入検査について

 当該立入検査は、本年七月三十一日現在において犀潟病院精神科の閉鎖病棟に入院中の全患者及び老人痴呆病棟に入院中の患者であって過去一年間に隔離又は身体的拘束がなされたものの過去一年間の処遇等について実施し、次の事項が確認された。
 (一) 過去一年間に身体的拘束がなされた患者四十六人の診療録のうち九人の診療録について、必要記載事項の一部が記載されていないものがあったこと
 (二) 過去一年間に隔離がなされた患者三十四人の診療録のうち六人の診療録について、必要記載事項の一部が記載されていないものがあったこと
 (三) 精神保健福祉法第三十三条第二項の規定による措置を採った患者十六人中三人について、同項に規定する四週間を超えて入院させていたこと
 (四) 平成九年十二月から本年七月末までに犀潟病院から新潟県知事に対して提出された医療保護入院届(精神保健福祉法第三十三条第四項の規定により提出しなければならない届出をいう。以下同じ。)及び退院届(精神保健福祉法第三十三条の二の規定により提出しなければならない届出をいう。)四十五件のうち二十三件が、提出期限後に提出されていたこと
 (五) 本年七月末現在で新潟県が把握した範囲では、十六件の医療保護入院届及び十七件の定期病状報告(精神保健福祉法第三十八条の二の規定により提出しなければならない報告をいう。)が未提出であったこと
 (六) 医療保護入院者であって精神保健福祉法第三十三条の三ただし書の規定により入院時に同条前段に規定する告知を行わなかったものの診療録に、同条ただし書後段に規定する事項の全部又は一部が記載されていないものがあったこと
 (七) 精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づいて厚生大臣が定める処遇の基準においては、電話又は面会の制限を行った場合にはその事実及び理由を当該患者の診療録に記載することとしているにもかかわらず、これらの措置を採った患者の診療録にその記載がなかったこと

二について

 一についてで述べたとおり、犀潟病院に対する立入検査の結果には精神保健福祉法の関係規定(同法第三十三条第二項及び第四項、第三十三条の二、第三十三条の三、第三十六条第三項、第三十七条第二項並びに第三十八条の二第二項をいう。以下同じ。)に違反すると考えられる事例が含まれており、厚生省に置かれた医療機関でこのような事態が生じたことは、極めて遺憾であると考えている。厚生省においては、当該立入検査の結果を厳粛に受け止め、犀潟病院を含めた国立病院及び国立療養所において徹底した再発防止策を講ずるとともに、すべての精神病院において精神保健福祉法に基づいて適正な医療が実施されることを確保するよう、直接立入検査を行う回数を増加する等の監視指導の強化を図ってまいりたい。
 なお、本件死亡事案に関して、損害賠償の請求があった場合には、誠意をもって対応してまいりたい。

三について

 一についてで述べた立入検査の結果については、厚生省においても国立病院及び国立療養所を運営する立場からそのような事実があったことを確認しているところであり、これらの事実については、二についてで述べたとおり、精神保健福祉法の関係規定に違反するものと考えている。精神保健福祉法においては、これらの関係規定の違反について刑事罰が規定されていないことから、これらの事実に関して精神保健福祉法の関係規定の違反による刑事罰処分は行われないものと考える。

四について

 本件死亡事案については、警察としては、現在具体的な事実関係の把握に努めているところである。



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