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平成十一年七月六日受領
答弁第三三号

  内閣衆質一四五第三三号
    平成十一年七月六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員金田誠一君提出「薬価差」等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出「薬価差」等に関する質問に対する答弁書



一について

 薬価差について法令上の定義はないが、薬価差とは、通常、保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)が、療養の給付に使用した薬剤の対価として、保険者等から、当該薬剤について健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十三条ノ九の規定に基づき厚生大臣が定めた価格(以下「薬価」という。)に基づき支払いを受けた場合に、当該薬価と当該保険医療機関等における薬剤の実際の購入価格(以下「実購入価格」という。)との間に生ずる差額をいう。

二について

 過去に厚生省が実施した医薬品価格調査(以下「薬価調査」という。)等の資料に基づき推計することができる各年度の薬価差の金額、医療費に占ある割合及び薬剤費に占める割合は別表のとおりである。
 なお、薬価差の金額は、薬価調査の全品目の薬価と実購入価格の一年間の乖離の程度を七についてで述べる方法により算出した値(以下「推定乖離率」という。)を基に算出することになるが、この推定乖離率を算出するようになったのは平成八年度に実施した薬価調査以降である。また、直近の平成十年四月の薬価改定の基となった平成九年九月の薬価調査以降は、薬価調査は実施していない。
 次に、平成二年度以降は、同一品目の実購入価格を取引数量に応じて加重平均した値に一定の率の価格幅(以下「価格幅」という。)を上乗せする方式により薬価の改定を行っていることから、薬価改定の前年度である平成三年度、平成五年度及び平成七年度については、全品目の薬価の改定率の幅を平均した値(以下「薬価改定率」という。)と価格幅の和を推定乖離率として薬価差の金額等を推計することができるが、平成元年度以前については、このような方法によっても推定乖離率が定められないことから、これらを推計することは困難である。

三について

 直近の薬価調査に基づいて推計した平成九年度の薬価差の金額等は、別表に示すとおりであるが、お尋ねの入院.外来別等の金額及び薬剤費に占める割合については、当該調査結果からは推計できないことから、把握していない。

四について

 薬剤の実購入価格は、厚生省が行う薬価調査により把握している。薬価調査の実施時期について特段定めてはいないが、従来、通常、薬価改定の前年度に行ってきている。直近の調査は、平成九年九月を調査対象月として、平成九年十月から十一月までを調査期間として行ったところである。
 薬価調査の調査対象は、病院及び診療所に医薬品を販売する薬局、一般販売業者及び卸売販売業者(以下「販売業者」という。)並びに病院、診療所及び一月当たりの処方せんの枚数が一定枚数以上の保険薬局(以下「保険薬局」という。)である。なお、販売業者については全数調査であるが、病院、診療所及び保険薬局については無作為抽出されたものを調査対象としている。
 また、調査事項は、調査時点において厚生大臣が告示している「使用薬剤の購入価格(薬価基準)」に収載されている医薬品全品目についてその規格、包装単位ごとの、調査対象月の一月間における実購入価格及び取引数量であり、調査対象に調査票等を送付して調査事項が記入された調査票等を回収する方法により行っている。

五について

 薬価調査の調査票等については、販売業者等の取引の内容が明らかになるものであり、公開することはできない。また、薬価調査は、統計報告調整法(昭和二十七年法律第百四十八号)第四条第一項の規定に基づき総務庁長官の承認を受けて統計報告の徴集をするものであり、統計法(昭和二十二年法律第十八号)第十四条及び第十五条の二においてその徴集結果についての秘密の保護及び統計報告の統計上の目的以外の使用の原則的禁止が規定されているところである。

六について

 厚生省においては、薬価調査の前後の月に、厚生省又は都道府県の職員により、一定の品目について無作為に抽出した販売業者に対し、その協力を得て実地に薬価の調査を行う等の措置により薬価調査の信頼性を確保しているところである。

七について

 実購入価格は、薬価調査において調査した販売業者の実際の医薬品販売価格並びに病院、診療所及び保険薬局の実際の医薬品購入価格により把握している。
 また、別表に示した薬価差の金額は、薬剤費の金額に推定乖離率を乗じて推計したものである。この場合において、推定乖離率は、薬価調査により得られた各品目ごとの取引数量に現行の薬価を乗じて得た金額の総和(以下「薬価ベース金額」という。)に対する当該薬価ベース金額と薬価調査により得られた病院、診療所及び保険薬局の実際の医薬品の購入金額の総和との差の比率として算出した数値であり、薬剤費の金額は別表の(注)二に示す方法で推計したものである。

八について

 薬価調査を行うに当たっては、御指摘のいわゆる「トンネル卸」と考えられる販売業者は、調査対象から除外しているところであり、また、調査票等には、調査時点で納入価格が決定している医薬品の取引のみについて記入することとしていることから、「仮納入、仮払い」のような流通形態を採る取引については、調査票等には記入されないものである。
 また、御指摘の「バック・マージン」を含め、医薬品の販売の際に医療機関等に対し物品、金銭その他の経済上の利益を提供することについては、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第三条の規定に基づき、景品類の提供が制限されているとともに、同法第十条第一項の規定に基づき、公正取引委員会の認定を受けた医療用医薬品製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(平成九年公正取引委員会告示第六十六号)及び医療用医薬品卸売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(平成九年公正取引委員会告示第六十七号)が設定されているところである。

九及び十について

 御指摘の薬剤管理経費の実態については、現在、中央社会保険医療協議会が行っている医療経済実態調査において調査しているところである。

十一について

 御指摘の医薬情報担当者の数については、厚生省が行った医薬品産業実態調査(製造業・輸入販売業)によると、平成七年度において調査対象の製造業及び輸入販売業の六百社で五万千八百七十八人であり、平成六年末現在の医師数をこの数で除して得た医薬情報担当者一人当たり医師数は、四・四四人である。

十二について

 お尋ねのアメリカにおける医薬情報担当者の数については、把握していない。



別表 薬価差の金額及び医療費に占める割合等(推計)

別表 薬価差の金額及び医療費に占める割合等(推計)
(注)
一 国民医療費は、厚生省大臣官房統計情報部調べである。
二 薬剤費は、医療費に社会医療診療行為別調査(厚生省大臣官房統計情報部調べ)の全薬剤比率を乗じて推計したものである。なお、この場合の医療費は、薬剤の支給に要した費用を特定することのできない包括分医療費、老人保健施設療養費及び訪問看護療養費(以下「包括分医療費等」という。)を除いて算出する必要があるため、医療保険医療費(厚生省保険局調べ)から包括分医療費等を除いた額に、医療保険医療費と国民医療費との比率を乗じて推計したものである。
三 薬価差は、薬剤費に推定乖離率を乗じて算出している。なお、平成三年度、平成五年度及び平成七年度の推定乖離率は、次年度に行われた薬価改定における全品目の価格幅と薬価改定率との差の平均から推計したものである。




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