衆議院

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第一四三回

閣第一号

   不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 不動産関連権利等調整委員会(第三条―第十一条)

 第三章 調停及び仲裁

  第一節 調停(第十二条―第二十条)

  第二節 仲裁(第二十一条―第二十七条)

  第三節 補則(第二十八条―第三十五条)

 第四章 罰則(第三十六条・第三十七条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、金融機関が不動産を担保とする貸付債権その他の貸付債権の一部に弁済の遅滞が生じているもの等を有し、これにより我が国における金融の機能に対する内外の信頼の低下が懸念されている事態にあることにかんがみ、臨時の措置として、金融機関及び債務者並びに利害関係のある者の間の合意に基づき、不動産の効果的な処分を通じた債務者の事業の再建を図ること等によりその債務の弁済可能性を高めつつ当該債務者に対する金融機関の債権の処理が行われることを促進するため、不動産に関連する権利等の調整に関し調停及び仲裁を行う制度を設けることにより、金融の機能の健全化とこれに対する信頼の回復を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 金融機関 銀行その他預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者で政令で定めるものをいう。

 二 特定債務者 金融機関からその事業に要する相当額の資金の貸付けを受けている者で、その事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるものをいう。

 三 第一種特定債務者 特定債務者で、その事業の再建のためにはその保有する不動産に関連する債務の内容の変更、担保関係の変更その他の利害関係の調整が必要となっているものをいう。

 四 第二種特定債務者 第一種特定債務者以外の特定債務者をいう。

 五 不動産関連権利等の調整 第一種特定債務者及び金融機関その他の利害関係人の間における当該第一種特定債務者の保有する不動産に関連する債務の内容の変更、担保関係の変更その他の利害関係の調整及びこれと併せて必要となる調整であって、当該第一種特定債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるためのものをいう。

 六 特定権利等の調整 第二種特定債務者及び金融機関その他の利害関係人の間における債務の内容の変更その他の利害関係の調整であって、当該第二種特定債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるためのものをいう。

 七 関係権利者 特定債務者に対して財産上の請求権を有する者及び特定債務者の財産の上に担保権を有する者をいう。

 八 利害関係人 不動産関連権利等の調整又は特定権利等の調整の結果について利害関係を有する者で、特定債務者以外のものをいう。

   第二章 不動産関連権利等調整委員会

 (設置)

第三条 総理府に、不動産関連権利等調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。

 (所掌事務)

第四条 委員会は、この法律の定めるところにより、不動産関連権利等の調整に係る事項について、第一種特定債務者及び利害関係人の間において公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を図るため、調停及び仲裁を行う。

2 委員会は、前項の規定により行う事務のほか、当該事務の処理に支障のない範囲内で、この法律の定めるところにより、特定権利等の調整に係る事項について、第二種特定債務者及び利害関係人の間において公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を図るため、調停又は仲裁を行うことができる。

 (組織)

第五条 委員会は、委員長及び五人以上十人以内の委員をもって組織する。

2 委員は、非常勤とする。ただし、三人以内は、常勤とすることができる。

3 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

4 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (委員長及び委員)

第六条 委員長及び委員は、人格が高潔で高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

2 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員長又は委員を罷免しなければならない。

4 次の各号のいずれかに該当する者は、委員長又は委員となることができない。

 一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ないもの

 二 禁錮以上の刑に処せられた者

5 委員長及び委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員長及び委員は、再任されることができる。

7 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

8 委員長又は委員は、第四項各号のいずれかに該当するに至った場合においては、その職を失うものとする。

9 内閣総理大臣は、委員長若しくは委員が心身の故障のため職務を執行できないと認めるとき、又は委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他の委員長若しくは委員たるに適しない行為があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員長又は委員を罷免することができる。

 (委員長及び委員の服務等)

第七条 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

3 委員長及び常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

4 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

 (会議)

第八条 委員会は、委員長が招集する。

2 委員会は、委員長及び半数以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 委員長に事故がある場合の第二項の規定の適用については、第五条第四項に規定する委員は、委員長とみなす。

 (特別委員)

第九条 委員会に、その行う調停に参与させるため、特別委員を置くことができる。

2 特別委員は、法律、金融、企業の財務又は不動産の評価に関する学識経験を有する者のうちから、委員会の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

3 特別委員は、非常勤とし、その任期は、二年とする。

4 第六条第四項、第六項、第八項及び第九項の規定は、特別委員について準用する。この場合において、同項中「両議院」とあるのは、「委員会」と読み替えるものとする。

 (事務局)

第十条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長及び所要の職員を置く。

3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 (政令への委任)

第十一条 この章に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章 調停及び仲裁

    第一節 調停

 (申請)

第十二条 次に掲げる者は、総理府令で定めるところにより、書面により、委員会に対し、不動産関連権利等の調整に係る事項について調停の申請をすることができる。

 一 第一種特定債務者

 二 第一種特定債務者に対してその事業に要する資金を貸し付けている金融機関(以下「貸付金融機関」という。)

 三 第一種特定債務者に対して政令で定める額以上の債権を有する者(前号に掲げる者を除く。)

 四 第一種特定債務者の保有する不動産を目的とする担保権を有する者(前二号に掲げる者を除く。)

 五 前各号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者

2 委員会は、前項の調停の申請がされた場合において、当該申請に係る事件が次の各号のいずれにも該当しないときは、調停を行う。

 一 第一種特定債務者が当該申請に係る調停に応じないことが明らかであるとき。

 二 貸付金融機関のすべてが当該申請に係る調停に応じないことが明らかであるとき。

 三 申請をした者が不当な目的でみだりに調停の申請をしたと認められるとき。

 (調停委員会)

第十三条 委員会による調停は、三人の調停委員からなる調停委員会を設けて行う。

2 前項の調停委員は、委員長、委員及び特別委員のうちから、事件ごとに、委員長が指名する。

 (参加)

第十四条 不動産関連権利等の調整に係る事項について調停の手続が係属している場合において、利害関係人は、調停委員会の許可を受けて、当該手続に当事者として参加することができる。ただし、利害関係人が第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者である場合にあっては、調停委員会の許可を要しない。

2 調停委員会は、相当であると認めるときは、調停の手続に参加していない利害関係人に対し、当該調停の手続に当事者として参加するよう勧告することができる。

3 調停委員会は、第一項の許可又は前項の勧告をするときは、あらかじめ、第一種特定債務者扱び関係権利者である当事者の意見を聴かなければならない。

 (子会社等に係る調停)

第十五条 調停委員会は、第一種特定債務者が、子会社等でその事業の継続に支障を来すことなくその弁済期にある債務を弁済することが困難なものの債務を保証している場合において、当該第一種特定債務者に係る不動産関連権利等の調整を円滑に進めるために必要があると認めるときは、当該第一種特定債務者及びその子会社等の申立てにより、当該第一種特定債務者に係る不動産関連権利等の調整に係る事項と併せて、当該第一種特定債務者及び当該子会社等の債務の弁済可能性を全体として高めるための当該子会社等に係る債務の内容の変更その他の利害関係の調整(以下「子会社等に係る調整」という。)に係る事項について調停を行うことができる。この場合の調停に対する前条及び次条から第十九条までの規定の適用については、前条第一項及び第十八条第一項中「不動産関連権利等の調整」とあるのは「不動産関連権利等の調整及び子会社等に係る調整」と、前条第一項及び第二項中「利害関係人」とあるのは「利害関係人及び子会社等に係る調整の結果について利害関係を有する者」と、同条第一項中「第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者」とあるのは「第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者又は当該子会社等に対してその事業に要する資金を貸し付けている金融機関、当該子会社等に対して政令で定める額以上の債権を有する者、当該子会社等の保有する不動産を目的とする担保権を有する者若しくはこれらの者に準ずる者として政令で定める者」と、同条第三項中「関係権利者である当事者」とあるのは「関係権利者である当事者並びに子会社等並びに当該子会社等に対して財産上の請求権を有する者及び当該子会社等の財産の上に担保権を有する者であって当事者である者」と、第十八条第一項中「第一種特定債務者の事業の」とあるのは「第一種特定債務者及び子会社等の事業の一体とした」とする。

2 前項において「子会社等」とは、次に掲げる会社その他第一種特定債務者と総理府令で定める特殊の関係のある会社をいう。

 一 第一種特定債務者がその発行済株式(議決権のあるものに限る。次号において同じ。)の総数又は出資の総額(次号において「発行済株式の総数等」という。)の百分の五十を超える数又は額の株式(議決権のあるものに限る。次号において同じ。)又は持分を所有する会社(次号において「子会社」という。)

 二 第一種特定債務者及びその一若しくは二以上の子会社又は第一種特定債務者の一若しくは二以上の子会社がその発行済株式の総数等の百分の五十を超える数又は額の株式又は持分を所有する会社

 (調停の手続)

第十六条 調停委員会は、調停のため必要があると認めるときは、当事者に出頭を求め、質間し、意見を聴くことができる。

2 調停委員会は、調停案を作成し、当事者に対しその受諾を勧告することができる。

3 前項の調停案は、調停委員の過半数の意見で作成しなければならない。

 (手続の非公開)

第十七条 調停委員会の行う調停の手続は、公開しない。

 (調停の打切り等)

第十八条 委員会は、不動産関連権利等の調整について、第一種特定債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停委員会の決定により、調停を打ち切るものとする。

2 委員会は、前項の場合のほか、当事者の一部が調停の結果について合意をしないことが明らかであると認めるときは、調停委員会の決定により、当該当事者の一部を除く当事者間において調停を行うことができる。

 (書面の作成)

第十九条 調停委員会は、調停において当事者間に合意が成立したときは、合意の内容を記載した書面を作成することとし、当該書面を作成したときに調停が成立したものとする。

 (特定権利等の調整についての準用)

第二十条 第四条第二項の規定により委員会が行う特定権利等の調整に係る事項についての調停については、不動産関連権利等の調整に関する第十二条から前条までの規定を準用する。この場合において、第十二条第一項中「次に掲げる者」とあるのは「第一号から第三号まで又は第五号に掲げる者」と、同項第一号から第三号までの規定、同条第二項第一号、第十四条第三項、第十五条及び第十八条第一項中「第一種特定債務者」とあるのは「第二種特定債務者」と、第十二条第二項中「場合において」とあるのは「場合において、不動産関連権利等の調整に係る事項についての調停及び仲裁の事務の処理に支障がなく、かつ」と、同項第二号中「貸付金融機関」とあるのは「第二種特定債務者に対してその事業に要する資金を貸し付けている金融機関」と、第十四条第一項中「第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者」とあるのは「第二十条の規定により読み替えられた第十二条第一項第二号、第三号又は第五号に掲げる者」と、第十五条第一項中「第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者」」とあるのは「第二十条の規定により読み替えられた第十二条第一項第二号、第三号又は第五号に掲げる者」」と、「第十二条第一項第二号から第五号までに掲げる者又は」とあるのは「第二十条の規定により読み替えられた第十二条第一項第二号、第三号若しくは第五号に掲げる者又は」と読み替えるものとする。

    第二節 仲裁

 (申請)

第二十一条 第一種特定債務者及び貸付金融機関の全部又は一部を含む利害関係人の間において不動産関連権利等の調整に係る事項についてこの法律による仲裁に付する旨の合意をした場合においては、これらの者は、総理府令で定めるところにより、書面により、委員会に対し、不動産関連権利等の調整に係る事項について、仲裁の申請をすることができる。この場合において、仲裁の申請をする者は、その間でされた不動産関連権利等の調整の経緯及び現状を記載した書面を委員会に提出するものとする。(仲裁委員会)

第二十二条 委員会による仲裁は、三人の仲裁委員からなる仲裁委員会を設けて行う。

2 前項の仲裁委員は、委員長及び委員のうちから、当事者が合意によって選定した者につき、事件ごとに、委員長が指名する。ただし、当事者の合意による選定がなされなかったときは、委員長及び委員のうちから委員長が指名する。

3 第一項の仲裁委員のうち少なくとも一人は、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第二章の規定により、弁護士となる資格を有する者でなければならない。

 (参加)

第二十三条 不動産関連権利等の調整に係る事項について仲裁の手続が係属している場合において、当該仲裁の手続の当事者のすべてと利害関係人がこの法律による仲裁に付する旨の合意をしたときは、当該利害関係人は、仲裁委員会の許可を受けて、当該手続に当事者として参加することができる。

 (仲裁)

第二十四条 仲裁委員会は、仲裁を行うに当たっては、第二十一条の不動産関連権利等の調整の経緯及び現状を勘案するものとする。

2 仲裁委員会は、申請に係る不動産関連権利等の調整に係る事項について、第一種特定債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な仲裁判断を行うことができないと認めるときは、仲裁をしないものとする。

 (文書の提出等)

第二十五条 仲裁委員会は、仲裁のため必要があると認めるときは、第一種特定債務者又は関係権利者である当事者に対し、当該仲裁に係る事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができる。

2 仲裁委員会は、仲裁のため必要があると認めるときは、第一種特定債務者又は関係権利者である当事者の占有する不動産、事業場その他事件に関係のある場所に立ち入って、事件に関係のある文書又は物件を検査することができる。

3 仲裁委員会は、前項の規定により検査をする場合においては、仲裁委員の一人又は委員長の指定する事務局の職員をして当該検査を行わせることができる。

 (特定権利等の調整についての準用)

第二十六条 第四条第二項の規定により委員会が行う特定権利等の調整に係る事項についての仲裁については、不動産関連権利等の調整に関する第二十一条から前条までの規定を準用する。この場合において、第二十一条、第二十四条第二項並びに前条第一項及び第二項中「第一種特定債務者」とあるのは「第二種特定債務者」と、第二十一条中「貸付金融機関」とあるのは「第二種特定債務者に対してその事業に要する資金を貸し付けている金融機関」と、「合意をした場合において」とあるのは「合意をした場合において、不動産関連権利等の調整に係る事項についての委員会による調停及び仲裁の事務の処理に支障がないとき」と読み替えるものとする。

 (公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律等の準用)

第二十七条 この節の規定により仲裁委員会の行う仲裁については、この法律に別段の定めがある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして、公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律(明治二十三年法律第二十九号)第八編の規定を準用する。

2 第十七条の規定は、仲裁委員会の行う仲裁について準用する。

    第三節 補則

 (代理人)

第二十八条 当事者は、弁護士又は調停委員会若しくは仲裁委員会の承認を得た者をその代理人とすることができる。

2 前項の承認は、いつでも取り消すことができる。

3 代理人の権限は、書面により証明しなければならない。

4 代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。

 一 調停若しくは仲裁の申請の取下げ又は第十五条第一項(第二十条において準用する場合を含む。)の調停の申立て(以下「調停の申立て」という。)の取下げ

 二 調停案の受諾

 三 代理人の選任

 (調停の手続等の実施の委任)

第二十九条 調停委員会又は仲裁委員会は、それぞれ、調停委員又は仲裁委員をして手続の一部を行わせることができる。

 (資料提出の要求等)

第三十条 委員会は、調停又は仲裁のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、当該調停若しくは仲裁に係る特定債務者又は当該調停に係る第十五条第一項(第二十条において準用する場合を含む。)の子会社等に関する資料の提出、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。

 (手続に要する費用)

第三十一条 調停又は仲裁の手続に要する費用は、政令で定めるものを除き、各当事者が負担する。

 (申請手数料等)

第三十二条 調停若しくは仲裁の申請をする者又は調停の申立てをする者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。

 (調停及び仲裁の状況の報告)

第三十三条 委員会は、内閣総理大臣に対し、総理府令で定めるところにより、調停及び仲裁の状況について報告しなければならない。

 (政令への委任)

第三十四条 この法律に規定するもののほか、調停及び仲裁の手続及びこれに要する費用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (課税の特例)

第三十五条 次の各号に掲げる場合において、当該各号に定める額についての法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第三十七条の規定の適用については、当該各号に定める額は、同条第六項に規定する寄附金の額に含まれないものとする。

 一 法人が、調停における合意等(第十九条(第二十条において準用する場合を含む。)に規定する合意又は第二十七条第一項において準用する公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律第七百九十九条第一項に規定する仲裁判断をいう。以下同じ。)に基づき、経済的な利益を無償で供与し、又は金銭その他の資産を贈与した場合 当該無償の供与又は贈与をした経済的な利益の価額又は金銭の額若しくは金銭以外の資産の価額

 二 前号に掲げる場合のほか、法人が調停における合意等に基づき経済的な利益の供与又は資産の譲渡をした場合において、その供与又は譲渡の対価の額が当該経済的な利益のその供与の時における価額又は当該資産のその譲渡の時における価額に比して低いとき 当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に無償の供与又は贈与をしたと認められる金額

2 法人である特定債務者又は第十五条第一項(第二十条において準用する場合を含む。)の子会社等(以下この項において「特定債務者等」という。)について調停における合意等がされた場合において、当該調停における合意等に基づき、その特定債務者等が、その法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは同条第十四号に規定する株主等である者若しくはこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を受け、又は当該特定債務者等に対し債権を有する者から当該債権につき債務の免除を受けるときは、その受ける日の属する事業年度前の事業年度において生じた同条第二十号に規定する欠損金額で政令で定めるものに相当する金額のうち、その贈与を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びにその債務の免除を受けた金額の合計額(当該合計額がこの項の規定を適用しないものとして計算した場合における同日の属する事業年度の所得の金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

3 法人税法第五十九条第二項及び第三項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

4 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二編第二章第二節第一款に規定する不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む個人が、調停における合意等に基づき、当該事業の遂行上生じた債務の免除を受けた場合における当該債務の免除による経済的利益の価額に相当する金額は、当該個人の同法第二条第一項第二十二号に規定する各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。ただし、当該個人が、当該債務の免除を受けた日の属する年において次の各号に掲げる金額を有する場合には、当該経済的利益の価額に相当する金額のうち、当該各号に掲げる金額(当該各号に掲げる金額のいずれをも有する場合には、これらの金額の合計額)に達するまでの金額については、この限りでない。

 一 当該経済的利益がなかったものとして計算したその年において生ずる純損失の金額(所得税法第二条第一項第二十五号に規定する純損失の金額をいう。次号において同じ。)

 二 その年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額のうち、当該経済的利益がなかったものとして計算した所得税法第七十条第一項若しくは第二項(これらの規定を租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十八条の四第五項第二号、第三十一条第五項第二号(同法第三十二条第四項において準用する場合を含む。)又は第四十一条の五第六項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定若しくは所得税法第百六十五条において適用する同法第七十条第一項若しくは第二項の規定又は租税特別措置法第四十一条の五第一項の規定によりその年又はその年の翌年以後において控除することができる純損失の金額又は同項に規定する控除適用譲渡損失金額(当該純損失の金額及び当該控除適用譲渡損失金額のいずれをも有する場合には、これらの金額の合計額)

5 第二項の規定の適用を受けた法人の同項の規定により損金の額に算入された金額は、法人税法第二条第十八号の規定の適用については同号イ@に規定する所得の金額に、同法第六十七条第二項及び第三項の規定の適用についてはこれらの規定に規定する所得等の金額にそれぞれ含まれるものとする。

6 前項に定めるもののほか、第一項、第二項又は第四項の規定の適用がある場合における法人税又は所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 罰則

第三十六条 第七条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第三十七条 次の各号の一に掲げる違反があった場合においては、その行為をした当事者を十万円以下の過料に処する。

 一 正当な理由がなくて第十六条第一項(第二十条において準用する場合を含む。)の規定による出頭の要求に応じなかったとき。

 二 正当な理由がなくて第二十五条第一項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による文書又は物件の提出の要求に応じなかったとき。

 三 正当な理由がなくて第二十五条第二項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第六条第一項中両議院の同意を得ることに係る部分は、公布の日から施行する。

 (委員会の最初の委員長及び委員の任命)

第二条 この法律の施行後最初に任命される委員会の委員長及び委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第六条第二項及び第三項の規定を準用する。

 (この法律の失効等)

第三条 この法律は、附則第一条の政令で定める日から起算して五年を経過した日にその効力を失う。

2 調停及び仲裁の申請並びに調停の申立ては、附則第一条の政令で定める日から起算して四年を経過した日以後の政令で定める日までの間に限り、行うことができる。

 (委員長及び委員の秘密保持義務に関する経過措置)

第四条 この法律の失効後においても、委員会の委員長又は委員であった者のその職務上知ることのできた秘密については、第七条第一項の規定は、前条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日以後も、なおその効力を有する。

 (仲裁判断に関する経過措置)

第五条 この法律の規定により仲裁委員会が行った仲裁判断については、第二十七条第一項において準用する公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律第七百九十九条第二項及び第八百条から第八百五条までの規定は、附則第三条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日以後も、なおその効力を有する。

 (課税の特例に関する経過措置)

第六条 この法律の規定によりされた調停における合意等に基づく第三十五条第一項第一号に規定する経済的な利益の無償の供与若しくは資産の贈与、同項第二号に規定する経済的な利益の供与若しくは資産の譲渡、同条第二項に規定する資産の贈与若しくは債務の免除又は同条第四項に規定する債務の免除については、同条の規定は、附則第三条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日以後も、なおその効力を有する。

 (罰則に関する経過措置)

第七条 この法律の失効前にした行為及び附則第四条の規定によりなお効力を有することとされる第七条第一項の規定に係るこの法律の失効後にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、附則第三条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日以後も、なおその効力を有する。

 (特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)

第八条 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第十三号の五の三の次に次の一号を加える。

  十三の五の四 不動産関連権利等調整委員会の委員長及び常勤の委員

  第一条第十九号の十の次に次の一号を加える。

  十九の十一 不動産関連権利等調整委員会の非常勤の委員

  別表第一官職名の欄中「証券取引等監視委員会委員長」を

証券取引等監視委員会委員長

 
 

不動産関連権利等調整委員会委員長

 に、「証券取引等監視委員会委員」を

証券取引等監視委員会委員

 
 

不動産関連権利等調整委員会の常勤の委員

 に改める。

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