衆議院

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第一五三回

衆第一五号

   入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、入札談合等関与行為を排除し、及び防止するため、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するための改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査等について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。

2 この法律において「特定法人」とは、国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人をいう。

3 この法律において「各省各庁の長等」とは、各省各庁の長、地方公共団体の長及び特定法人の代表者をいう。

4 この法律において「入札談合等」とは、国、地方公共団体又は特定法人(以下「国等」という。)が入札、競り売りその他競争により相手方を選定する方法により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し、又は事業者団体が当該入札に参加しようとする事業者に当該行為を行わせること等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為をいう。

5 この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等を行わせ、助長し、又は容易にすること及び職員が入札談合等が行われるおそれがあることを知りながら入札談合等を防止するための措置を講じないことをいう。

 (各省各庁の長等に対する改善措置の要求等)

第三条 公正取引委員会は、入札談合等関与行為があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するための改善措置を講ずべきことを求めることができる。

2 公正取引委員会は、入札談合等関与行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するための改善措置を講ずべきことを求めることができる。

3 公正取引委員会は、前二項の規定による求めをする場合には、当該求めの趣旨及び内容を記載した書面を交付しなければならない。

4 各省各庁の長等は、第一項又は第二項の規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、その結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除するために必要と認める改善措置又は当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要と認める改善措置を講じなければならない。

5 各省各庁の長等は、前項の調査の結果及び同項の規定により講じた改善措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知しなければならない。

6 公正取引委員会は、前項の通知を受けた場合において、必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができる。

 (職員に対する損害賠償の請求等)

第四条 各省各庁の長等は、前条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。

2 各省各庁の長等は、前項の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。

3 各省各庁の長等は、前項の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。

4 入札談合等関与行為を行った職員が予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)第三条第二項(同法第九条第二項(同法第九条の二第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)において準用する場合を含む。)の規定により弁償の責めに任ずべき場合については、前項の規定は適用せず、同法第四条第三項中「弁償を命ずることができる」とあるのは、「、速やかに弁償を命じなければならない」と読み替えて、同項(同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定を適用する。

5 入札談合等関与行為を行った職員が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の二第一項(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三十四条において準用する場合を含む。)の規定により賠償の責めに任ずべき場合については、第二項及び第三項の規定は適用せず、地方自治法第二百四十三条の二第三項中「決定することを求め」とあるのは、「決定することを速やかに求め」と読み替えて、同項(地方公営企業法第三十四条において準用する場合を含む。)の規定を適用する。

 (損害額についての公正取引委員会の意見)

第五条 入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該職員の入札談合等関与行為によって生じた損害の額について、意見を求めなければならない。

 (職員に係る懲戒事由の調査)

第六条 各省各庁の長等は、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分(特定法人(特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)を除く。)にあっては、免職、停職、減給又は戒告の処分その他の制裁)をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。ただし、当該求めを受けた各省各庁の長、地方公共団体の長又は特定独立行政法人の長が、当該職員の任命権を有しない場合(当該職員の任命権を委任した場合を含む。)は、当該職員の任命権を有する者(当該職員の任命権の委任を受けた者を含む。次項において「任命権者」という。)に対し、第三条第一項又は第二項の規定による求めがあった旨を通知すれば足りる。

2 前項ただし書の規定による通知を受けた任命権者は、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。

 (公正取引委員会による会計検査院への通知)

第七条 公正取引委員会は、入札談合等関与行為があり、又はあったと認めるときは、その旨を会計検査院に通知しなければならない。ただし、当該入札談合等関与行為に係る契約に関する会計経理について会計検査院が検査をすることができない場合は、この限りでない。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

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