衆議院

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第一五四回

衆第二号

   金融再生委員会設置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 金融再生委員会

  第一節 通則(第二条―第十五条)

  第二節 金融庁(第十六条―第二十二条)

  第三節 株価算定委員会(第二十三条―第二十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、金融再生委員会の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。

   第二章 金融再生委員会

    第一節 通則

 (設置)

第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、金融再生委員会を設置する。

 (任務)

第三条 金融再生委員会は、金融破 綻処理制度及び金融危機管理に関する調査、企画及び立案をするほか、金融機関の破綻に対し必要な施策を講ずるとともに、証券取引委員会の任務に係るものを除き、我が国の金融の機能の安全を確保し、預金者、保険契約者その他これらに準ずる者の保護を図り、もって金融の円滑を図ることを任務とする。

 (所掌事務)

第四条 金融再生委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する調査、企画及び立案をすること。

 二 金融整理管財人による管理、特別公的管理その他の金融機関の破綻の処理等に関すること。

 三 国内金融に関する制度の企画及び立案に関すること(証券取引委員会の所掌に属するものを除く。)。

 四 第十四号イからタまでに掲げる者の行う国際業務に関する制度の企画及び立案に関すること。

 五 銀行業、信託業(担保付社債に関する信託事業を含む。以下同じ。)及び無尽業の免許に関すること。

 六 銀行持株会社の認可に関すること。

 七 信用金庫及び労働金庫の事業の免許に関すること。

 八 生命保険業及び損害保険業の免許に関すること。

 九 保険持株会社の認可に関すること。

 十 貸金業を営む者の登録に関すること。

 十一 抵当証券業を営む者の登録に関すること。

 十二 抵当証券保管機構の指定に関すること。

 十三 商品投資販売業、特定債権等譲受業、小口債権販売業及び不動産特定共同事業を営む者の許可に関すること。

 十四 次に掲げる者の検査その他の監督に関すること。

  イ 銀行業、信託業又は無尽業を営む者

  ロ 銀行持株会社

  ハ 信用金庫、労働金庫、信用協同組合、農業協同組合、水産業協同組合、農林中央金庫その他の預金又は貯金の受入れを業とする民間事業者

  ニ 信用保証協会、農業信用基金協会及び漁業信用基金協会

  ホ 生命保険業又は損害保険業を営む者

  ヘ 保険持株会社

  ト 船主相互保険組合

  チ 火災共済協同組合及び中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第三号の事業を行う協同組合連合会

  リ 貸金業を営む者

  ヌ 特定金融会社等(金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律(平成十一年法律第三十二号)第二条第三項に規定する特定金融会社等をいう。)

  ル 抵当証券業を営む者

  ヲ 抵当証券保管機構

  ワ 商品投資販売業を営む者

  カ 特定債権等譲受業又は小口債権販売業を営む者

  ヨ 不動産特定共同事業を営む者

  タ 確定拠出年金運営管理業を営む者

 十五 預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。

 十六 預金保険機構による資金援助に係る金融機関の合併等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第五十九条第二項に規定する合併等をいう。)の適格性の認定及びあっせんを行うこと。

 十七 農水産業協同組合貯金保険機構による資金援助に係る農水産業協同組合の合併等(農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第六十一条第二項に規定する合併等をいう。)の適格性の認定及びあっせんを行うこと。

 十八 保険契約者保護機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。

 十九 保険契約者保護機構による資金援助に係る保険契約の移転等(保険業法(平成七年法律第百五号)第二百六十条第一項に規定する保険契約の移転等をいう。)の適格性の認定及び保険契約の引受けの適格性の認定を行うこと。

 二十 日本銀行の国内金融業務の適正な運営の確保に関すること。

 二十一 準備預金制度に関すること。

 二十二 金融機関の金利の調整に関すること。

 二十三 損害保険料率算出団体の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。

 二十四 自動車損害賠償責任共済に関すること。

 二十五 前払式証票の規制に関すること。

 二十六 金融に係る知識の普及に関すること(証券取引委員会の所掌に属するものを除く。)。

 二十七 勤労者の貯蓄に係る勤労者財産形成政策基本方針の策定に関すること。

 二十八 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第五章の規定に基づいて、届出及び通知を受けた事項並びに提供を受けた情報の整理及び分析並びに疑わしい取引に関する情報の提供を行うこと。

 二十九 所掌事務に係る国際協力に関すること。

 三十 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。

 三十一 金融の円滑化を図るための環境の整備に関する基本的な政策に関する企画及び立案並びに推進に関すること(証券取引委員会の所掌に属するものを除く。)。

 三十二 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき金融再生委員会に属させられた事務

 (組織)

第五条 金融再生委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。

 (委員長)

第六条 委員長は、国務大臣をもって充てる。

2 委員長は、会務を総理し、金融再生委員会を代表する。

3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (委員の任命)

第七条 委員は、経済、金融又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

2 委員に欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

 (任期)

第八条 委員の任期は、別に法律で定める金融再生委員会の廃止の日までとする。

 (身分保障)

第九条 委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。

 一 破産の宣告を受けたとき。

 二 禁 錮以上の刑に処せられたとき。

 三 金融再生委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められたとき。

 (委員の罷免)

第十条 内閣総理大臣は、委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員を罷免しなければならない。

 (委員の服務等)

第十一条 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

2 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

3 委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

4 委員の給与は、別に法律で定める。

 (会議)

第十二条 金融再生委員会は、委員長が招集する。

2 金融再生委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3 金融再生委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 金融再生委員会が第九条第三号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。

 (規則の制定)

第十三条 金融再生委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、金融再生委員会規則を制定することができる。

 (事務局)

第十四条 金融再生委員会の事務を処理させるため、金融再生委員会に事務局を置く。

 (関係行政機関との協力等)

第十五条 金融再生委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、日本銀行、預金保険機構その他の者に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができる。

2 金融再生委員会及び財務大臣は、それぞれその所掌事務を適切に遂行するため、相互に緊密な連絡をとるものとする。

3 金融再生委員会は、必要に応じ、日本銀行又は預金保険機構の役員又は職員の出席を求めて、説明又は意見を聴くことができる。

    第二節 金融庁

 (設置)

第十六条 内閣府設置法第四十九条第三項の規定に基づいて、金融再生委員会に金融庁を置く。

 (任務及び長)

第十七条 金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする。

2 金融庁の長は、金融庁長官とする。

 (所掌事務)

第十八条 金融庁は、前条第一項の任務を達成するため、第四条第三号、第四号及び第十四号から第三十二号までに掲げる事務をつかさどる。

 (関係行政機関との協力)

第十九条 金融庁長官は、金融庁の所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、金融再生委員会を通じて、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができる。

2 金融庁長官及び金融関連業者(金融庁の所掌に係る金融業に類似し、又は密接に関連する事業を営む者をいう。)に対する検査を所掌する行政機関の長は、効率的な検査の実施のため、意見の交換を図るとともに、それぞれの求めに応じ、それぞれの職員に協力させることができる。

 (審議会等の設置)

第二十条 金融庁に、金融審議会を置く。

2 前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより金融庁に置かれる審議会等は、自動車損害賠償責任保険審議会とする。

 (金融審議会)

第二十一条 金融審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 内閣総理大臣、金融庁長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議すること。

 二 前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣、金融庁長官又は財務大臣に意見を述べること。

 三 内閣総理大臣又は金融庁長官の諮問に応じて責任保険(自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第五条に規定する責任保険をいう。)に関する重要事項を調査審議すること。

 四 前号に規定する重要事項に関し、関係各大臣又は金融庁長官に意見を述べること。

 五 金融機関の金利に関し、内閣総理大臣、金融庁長官、財務大臣又は日本銀行の政策委員会(日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第十四条に規定する政策委員会をいう。)に意見を述べること。

 六 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)第二条第三項及び第六条の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

2 金融審議会の委員その他の職員で政令で定めるものは、内閣総理大臣が任命する。

3 前二項に定めるもののほか、金融審議会の組織及び委員その他の職員その他金融審議会に関し必要な事項については、政令で定める。

 (自動車損害賠償責任保険審議会)

第二十二条 自動車損害賠償責任保険審議会については、自動車損害賠償補償法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。

    第三節 株価算定委員会

 (設置及び所掌事務)

第二十三条 金融再生委員会に、株価算定委員会を置く。

2 株価算定委員会は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第四十条の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

 (組織)

第二十四条 株価算定委員会は、委員五人をもって組織する。

2 委員は、法務、金融、会計等に関し優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

3 委員は、非常勤とする。

 (委員長)

第二十五条 株価算定委員会に、委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。

2 委員長は、会務を総理し、株価算定委員会を代表する。

3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (準用規定)

第二十六条 第七条第二項及び第三項、第八条から第十条まで並びに第十一条第一項及び第二項の規定は、株価算定委員会の委員について準用する。この場合において、第九条第三号中「金融再生委員会」とあるのは、「株価算定委員会」と読み替えるものとする。

2 第十二条及び第十九条第一項の規定は、株価算定委員会について準用する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条第一項の規定は、公布の日から施行する。

 (この法律の廃止)

第二条 この法律は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の規定に基づく金融再生委員会の事務が終了した後、速やかに、廃止するものとする。

 (委員の任命のために必要な行為に関する経過措置)

第三条 第七条第一項の規定による金融再生委員会の委員の任命のために必要な行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

2 この法律の施行の日以後最初に任命される金融再生委員会の委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第七条第二項及び第三項の規定を準用する。

 (政令への委任)

第四条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (関係法律の整理)

第五条 この法律の施行に伴う関係法律の整理については、別に法律で定める。

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