衆議院

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第一五四回

衆第二七号

国家公務員の政治的中立に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、国家公務員の政治的中立に関し、基本原則を定め、及び国務大臣等の責務を明らかにするとともに、国家公務員の政治的行為及び公の発言等の制限について定めることにより、国家公務員の政治的中立を確立し、もって行政の公正な運営を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「職員」とは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第二項に規定する一般職に属する国家公務員(委員、顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で常勤を要しないものを除く。)をいう。

2 この法律において「国務大臣等」とは、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、副大臣(法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている各庁の副長官を含む。)及び大臣政務官(長官政務官を含む。)をいう。

 (基本原則)

第三条 職員は、党派的勢力の影響を排し、政府のために忠実に職務を遂行することにより、国民全体に奉仕することを本分とする。

2 職員は、国務大臣を補佐する立場にあることを自覚し、国務大臣の意思決定に従い誠実に職務を遂行しなければならない。

3 職員は、国務大臣等に対して、専門的知識及び経験に基づき誠実かつ公平な助言を行うとともに、その職務の遂行に必要なすべての情報を提供しなければならない。

4 職員は、行政の運営に対する政党、国会議員等の不当な介入を招くような行為をしてはならない。

 (国務大臣等の責務)

第四条 国務大臣等は、その影響力を行使して、職員に前条に定める基本原則に反する行為をさせてはならない。

 (政治的行為の制限)

第五条 職員は、選挙権の行使を除くほか、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 政治的目的(公選による公職の選挙における特定の候補者若しくは候補者となろうとする者を支持し、又はこれらに反対すること、特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対することその他の人事院規則で定める目的をいう。以下同じ。)のために職名、職権その他の公私の影響力を利用すること。

 二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し、又は提供せず、その他政治的目的をもつ何らかの行為をし、又はしないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関して何らかの利益を得、若しくは得ようと企て、若しくは得させようとし、又は不利益を与え、与えようと企て、若しくは与えようと脅かすこと。

 三 政治的目的のために、賦課金、寄附金、会費その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。

 四 政治的目的をもって、前号の利益を国家公務員に与えること。

 五 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し、若しくはこれらの行為を援助し、又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。

 六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。

 七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し、又はこれらの行為を援助すること。

 八 政治的目的をもって、公選による公職の選挙、最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査の投票又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に基づく地方公共団体の議会の解散若しくは法律に基づく公務員の解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。

 九 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し、又は指導し、その他これに積極的に参与すること。

 十 政治的目的をもって、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し、若しくは指導し、又はこれらの行為を援助すること。

 十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、放送設備その他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。

 十二 政治的目的を有する文書又は図画を国又は特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。以下同じ。)の庁舎(特定独立行政法人にあっては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他政治的目的のために国又は特定独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。

 十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、若しくは多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、又はこれらの用に供するために著作し、又は編集すること。

 十四 前各号に掲げるもののほか、人事院規則で定める政治的行為

2 前項の規定は、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止し、又は制限するものではない。

3 職員は、公選による公職の候補者となることができない。

 (公の発言等の制限)

第六条 職員は、その政治的中立及びこれに対する国民の信頼を損なうことがないようにするため、政治的な意見が対立している問題については、職務を遂行するため当然行う必要がある場合及び当該問題に関する事実関係、法令等を説明する場合を除き、公に発言等をすることを慎まなければならない。

2 職員は、衆議院議員又は参議院議員の選挙の期日が近接している時期において職務に関連する事項について公に発言等をする場合においては、当該発言等の内容が特定の政党に有利又は不利となることがないようにしなければならない。

 (罰則)

第七条 第五条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (国家公務員法の一部改正)

第二条 国家公務員法の一部を次のように改正する。

  第八十二条第一項第一号中「若しくは国家公務員倫理法」を「、国家公務員倫理法若しくは国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)」に改める。

  第九十六条第二項中「又は国家公務員倫理法」を「、国家公務員倫理法又は国家公務員の政治的中立に関する法律」に改める。

  第百二条を次のように改める。

 第百二条 削除

  第百十条第一項第十九号を次のように改める。

  十九 削除

 (教育公務員特例法の一部改正)

第三条 教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)の一部を次のように改正する。

  第十一条第一項中「又は国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)」を「、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)又は国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)」に改める。

  第二十一条の四第二項中「国家公務員法第百十条第一項」を「国家公務員の政治的中立に関する法律第七条」に改める。

 (電波法の一部改正)

第四条 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第九十九条の四中「第百二条」を「第百一条」に改め、「第百五条」の下に「並びに国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)第五条」を加える。

 (農業委員会等に関する法律の一部改正)

第五条 農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第十一条の表第六十八条第一項第二号の項中「国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百二条第二項(政治的行為の制限)」を「国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)第五条第三項」に改め、同表第九十条の項及び第九十一条第二項の項中「国家公務員法第百二条第二項」を「国家公務員の政治的中立に関する法律第五条第三項」に改める。

 (裁判所職員臨時措置法の一部改正)

第六条 裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の一部を次のように改正する。

  本則に次の一号を加える。

  十 国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)(第一条から第四条まで及び第六条の規定を除く。)

 (外務公務員法の一部改正)

第七条 外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条中「国家公務員法」の下に「及び国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)」を加え、「及び」を「並びに」に改める。

 (独立行政法人通則法の一部改正)

第八条 独立行政法人通則法の一部を次のように改正する。

  第五十九条第一項に次の一号を加える。

  九 国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)第一条から第四条まで及び第六条の規定

 (国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部改正)

第九条 国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第四項及び第二十三条第一項中「国家公務員倫理法」を「国家公務員の政治的中立に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)」に改める。

 (経過措置)

第十条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

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