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第一六二回

衆第三一号

   行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案

 (行政機関の保有する情報の公開に関する法律の一部改正)

第一条 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三章 不服申立て等(第十八条―第二十一条)」を

第三章 不服申立て等

 

 

 第一節 諮問等(第十八条―第二十条)

 

 

 第二節 訴訟(第二十一条―第二十一条の三)

 に改める。

  第一条中「もって」の下に「国民の知る権利を保障し、」を加える。

  第五条第一号ハ中「職及び」の下に「氏名並びに」を加え、同条第二号中「次に掲げるもの」を「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に改め、同号イ及びロを削り、同条第三号及び第四号中「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」を「おそれがある」に改め、同条第五号中「、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」を削る。

  第六条第一項中「場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分」を「ときは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の情報が記録されている部分とを区分することが困難である場合を除き、開示請求者に対し、当該不開示情報が記録されている部分」に改め、同項ただし書を削る。

  第八条中「不開示情報」を「第五条第一号、第三号又は第四号の情報」に改める。

  第九条に次の一項を加える。

 3 行政機関の長は、前二項の決定(開示請求に係る行政文書の全部を開示する旨の決定を除く。)をするときは、開示請求者に対し、同時に、当該決定の根拠となるこの法律の条項及び当該条項に該当すると判断した理由を書面により示さなければならない。

  第十条第一項中「前条各項」を「前条第一項及び第二項」に、「三十日」を「十四日」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 開示請求者は、行政機関の長が第一項に規定する期間(その期間が前項の規定により延長された場合にあっては、当該延長された期間)内に開示決定等をしないときは、次条第一項の通知を受けた場合を除き、行政機関の長が当該開示請求に係る行政文書について前条第二項の決定をしたものとみなすことができる。

  第十一条中「六十日」を「四十四日」に、「前条」を「前条第一項及び第二項」に、「相当の期間内」を「当該相当の部分につき開示決定等をした日から六十日以内」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前条第三項の規定は、行政機関の長が残りの行政文書について前項第二号の期限までに開示決定等をしない場合について準用する。

  第十二条の二第二項中「「第四条第二項」とあるのは」を「「第四条第二項」とあるのは、」に改め、「と、独立行政法人等情報公開法第十七条第一項中「開示請求をする者又は法人文書」とあるのは「法人文書」と、「により、それぞれ」とあるのは「により」と、「開示請求に係る手数料又は開示」とあるのは「開示」」を削る。

  第十六条第一項中「開示請求をする者又は」、「、それぞれ」及び「開示請求に係る手数料又は」を削り、同条第二項中「当たっては」の下に「、行政機関の保有する情報の公開が国民の知る権利を保障し、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うするために必要不可欠なものであることに十分留意し」を加える。

  第三章中第十八条の前に次の節名を付する。

     第一節 諮問等

  第十八条中「除き、」の下に「当該不服申立てのあった日から十四日以内に」を加える。

  第二十条の次に次の節名を付する。

     第二節 訴訟

  第二十一条の見出しを「(訴訟の管轄及び移送の特例)」に改め、同条第二項を削り、同条第一項中「行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)」を「前項の規定により特定地方裁判所に情報公開訴訟が提起された場合又は行政事件訴訟法」に、「開示決定等の取消しを求める訴訟又は開示決定等に係る不服申立てに対する裁決若しくは決定の取消しを求める訴訟(次項及び附則第二項において「情報公開訴訟」という。)」及び「開示決定等又はこれに係る不服申立てに対する裁決若しくは決定に係る抗告訴訟(同法第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。次項において同じ。)」を「情報公開訴訟」に、「当該特定管轄裁判所」を「当該特定地方裁判所又は特定管轄裁判所」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

   開示決定等又は開示決定等に係る不服申立てに対する裁決若しくは決定に係る抗告訴訟(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。)(以下「情報公開訴訟」という。)については、同法第十二条に定める裁判所のほか、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定地方裁判所」という。)にも提起することができる。

  第三章第二節中第二十一条の次に次の二条を加える。

  (不開示決定に係る行政文書の標目等を記載した書面の提出)

 第二十一条の二 情報公開訴訟(不開示決定(行政文書の一部を開示する旨の決定及びその全部を開示しない旨の決定をいう。)又はこれに係る不服申立てに対する裁決若しくは決定に係る抗告訴訟に限る。次条において同じ。)においては、裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、当該不開示決定に係る行政文書の標目、その開示しない部分についてこれを特定するに足りる事項、その内容の要旨及びこれを開示しない理由その他必要な事項を、その裁判所の定める方式により分類又は整理して記載した書面の提出を命ずることができる。

  (審理の特例)

 第二十一条の三 情報公開訴訟においては、裁判所は、前条に規定する書面の提出を受けて審理を行った場合において、第五条又は第六条に該当する事由の有無について当該行政文書の提出を受けずに判断をすることが適正な裁判の実現という観点から相当でなく、かつ、審理の状況及び当事者の訴訟遂行の状況その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、決定で、当該行政文書を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書の提出を命ずることができる。この場合においては、何人も、裁判所に対し、提出された行政文書の開示を求めることができない。

 2 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者の意見を聴かなければならない。

 3 第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

  第二十三条第二項並びに第二十四条第一項及び第二項中「総務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。

 (独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の一部改正)

第二条 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三章 異議申立て等(第十八条―第二十一条)」を

第三章 異議申立て等

 

 

 第一節 諮問等(第十八条―第二十条)

 

 

 第二節 訴訟(第二十一条―第二十一条の三)

 に改める。

  第一条中「もって」の下に「国民の知る権利を保障するとともに、」を加える。

  第五条第一号ハ中「職及び」の下に「氏名並びに」を加え、同条第二号中「次に掲げるもの」を「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に改め、同号イ及びロを削り、同条第三号中「、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」を削る。

  第六条第一項中「場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分」を「ときは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の情報が記録されている部分とを区分することが困難である場合を除き、開示請求者に対し、当該不開示情報が記録されている部分」に改め、同項ただし書を削る。

  第八条中「不開示情報」を「第五条第一号又は第四号イ若しくはロの情報」に改める。

  第九条に次の一項を加える。

 3 独立行政法人等は、前二項の決定(開示請求に係る法人文書の全部を開示する旨の決定を除く。)をするときは、開示請求者に対し、同時に、当該決定の根拠となるこの法律の条項及び当該条項に該当すると判断した理由を書面により示さなければならない。

  第十条第一項中「前条各項」を「前条第一項及び第二項」に、「三十日」を「十四日」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 開示請求者は、独立行政法人等が第一項に規定する期間(その期間が前項の規定により延長された場合にあっては、当該延長された期間)内に開示決定等をしないときは、次条第一項の通知を受けた場合を除き、独立行政法人等が当該開示請求に係る法人文書について前条第二項の決定をしたものとみなすことができる。

  第十一条中「六十日」を「四十四日」に、「前条」を「前条第一項及び第二項」に、「相当の期間内」を「当該相当の部分につき開示決定等をした日から六十日以内」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前条第三項の規定は、独立行政法人等が残りの法人文書について前項第二号の期限までに開示決定等をしない場合について準用する。

  第十三条第二項中「「第四条第二項」とあるのは」を「「第四条第二項」とあるのは、」に改め、「と、行政機関情報公開法第十六条第一項中「開示請求をする者又は行政文書」とあるのは「行政文書」と、「により、それぞれ」とあるのは「により」と、「開示請求に係る手数料又は開示」とあるのは「開示」」を削る。

  第十七条第一項中「開示請求をする者又は」及び「それぞれ、開示請求に係る手数料又は」を削り、同条第二項に後段として次のように加える。

   この場合において、独立行政法人等は、独立行政法人等の保有する情報の公開が国民の知る権利を保障し、独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うするために必要不可欠なものであることに十分留意しなければならない。

  第三章中第十八条の前に次の節名を付する。

     第一節 諮問等

  第十八条第二項中「除き、」の下に「当該異議申立てのあった日から十四日以内に」を加える。

  第二十条の次に次の節名を付する。

     第二節 訴訟

  第二十一条の見出しを「(訴訟の管轄及び移送の特例)」に改め、同条第二項を削り、同条第一項中「行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)」を「前項の規定により特定地方裁判所に情報公開訴訟が提起された場合又は行政事件訴訟法」に、「開示決定等の取消しを求める訴訟又は開示決定等に係る異議申立てに対する決定の取消しを求める訴訟(次項及び附則第二条において「情報公開訴訟」という。)」及び「開示決定等又はこれに係る異議申立てに対する決定に係る抗告訴訟(同法第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。次項において同じ。)」を「情報公開訴訟」に、「当該特定管轄裁判所」を「当該特定地方裁判所又は特定管轄裁判所」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

   開示決定等又は開示決定等に係る異議申立てに対する決定に係る抗告訴訟(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。)(以下「情報公開訴訟」という。)については、同法第十二条に定める裁判所のほか、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定地方裁判所」という。)にも提起することができる。

  第三章第二節中第二十一条の次に次の二条を加える。

  (不開示決定に係る法人文書の標目等を記載した書面の提出)

 第二十一条の二 情報公開訴訟(不開示決定(法人文書の一部を開示する旨の決定及びその全部を開示しない旨の決定をいう。)又はこれに係る異議申立てに対する決定に係る抗告訴訟に限る。次条において同じ。)においては、裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、独立行政法人等に対し、当該不開示決定に係る法人文書の標目、その開示しない部分についてこれを特定するに足りる事項、その内容の要旨及びこれを開示しない理由その他必要な事項を、その裁判所の定める方式により分類又は整理して記載した書面の提出を命ずることができる。

  (審理の特例)

 第二十一条の三 情報公開訴訟においては、裁判所は、前条に規定する書面の提出を受けて審理を行った場合において、第五条又は第六条に該当する事由の有無について当該法人文書の提出を受けずに判断をすることが適正な裁判の実現という観点から相当でなく、かつ、審理の状況及び当事者の訴訟遂行の状況その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、決定で、当該法人文書を保有する独立行政法人等に対し、当該法人文書の提出を命ずることができる。この場合においては、何人も、裁判所に対し、提出された法人文書の開示を求めることができない。

 2 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者の意見を聴かなければならない。

 3 第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

  第二十四条第二項並びに第二十五条第一項及び第二項中「総務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。

 (内閣府設置法の一部改正)

第三条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項中第三十八号の二を第三十八号の三とし、第三十八号の次に次の一号を加える。

  三十八の二 行政機関(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第二項第一項に規定するものをいう。)及び独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二条第一項に規定するものをいう。)の保有する情報の公開に関すること。

 (総務省設置法の一部改正)

第四条 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第九号、第十号及び第十三号中「関すること」の下に「(内閣府の所掌に属するものを除く。)」を加える。

  第二十五条第二項中第一号及び第二号を削り、第三号を第一号とし、第四号を第二号とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十八年四月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行前に第一条の規定による改正前の行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「旧行政機関情報公開法」という。)の規定に基づきされた開示請求に係る開示決定等(旧行政機関情報公開法第十条第一項の開示決定等をいう。)、不服申立て及び情報公開訴訟(旧行政機関情報公開法第二十一条第一項の情報公開訴訟をいう。)については、なお従前の例による。

第三条 この法律の施行前に第二条の規定による改正前の独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「旧独立行政法人等情報公開法」という。)の規定に基づきされた開示請求に係る開示決定等(旧独立行政法人等情報公開法第十条第一項の開示決定等をいう。)、異議申立て及び情報公開訴訟(旧独立行政法人等情報公開法第二十一条第一項の情報公開訴訟をいう。)については、なお従前の例による。

 (行政文書及び法人文書の管理法制についての検討)

第四条 行政文書及び法人文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他の行政文書及び法人文書の管理に関する事項については、この法律の施行後速やかに、独立行政法人国立公文書館における文書の取扱いの在り方、国の安全、公共の安全等に係る情報が記録されている行政文書及び法人文書の一定期間経過後の保存及び公開の在り方等と併せて速やかに検討が行われ、別に法律で定めるところにより、必要な措置が講じられるものとする。

 (国会及び裁判所の情報公開についての検討)

第五条 国会及び裁判所の保有する情報の公開の在り方については、この法律の施行後速やかに、第一条の規定による改正後の行政機関の保有する情報の公開に関する法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえ、検討が行われるものとする。

 (日本放送協会の情報公開についての検討)

第六条 日本放送協会の保有する情報の公開の在り方については、この法律の施行後速やかに、第二条の規定による改正後の独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律及び放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)の趣旨を踏まえ、検討が行われるものとする。


     理 由

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の施行の状況等にかんがみ、その運用の適正を図るため、これらの法律について、その目的に国民の知る権利の保障の観点を明示し、不開示情報の範囲を適正化し、開示決定等に係る手続等の不当な遅延を防止し、情報公開制度の趣旨を踏まえた訴訟手続の特例を設けるとともに、その所管を総務省から内閣府に移管する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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