衆議院

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第一六四回

衆第四〇号

   公職選挙法等の一部を改正する法律案

 (公職選挙法の一部改正)

第一条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第百四十二条の二の次に次の五条を加える。

  (インターネット等を用いる方法による文書図画の頒布)

 第百四十二条の三 第百四十二条の規定にかかわらず、選挙運動のために使用する文書図画は、インターネット等を用いる方法(当該文書図画を頒布しようとする者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、当該文書図画を当該受信者の使用に係る電子計算機の映像面に表示させる方法をいう。以下同じ。)により、頒布することができる。

 2 選挙運動のために使用する文書図画であつてインターネット等を用いる方法のうち自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置であつて公衆の用に供されている電気通信回線に接続しているものをいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体(同号イに規定する公衆送信用記録媒体をいう。)に記録する方法により頒布されるものは、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても頒布することができる。

  (ホームページによる情報の提供を行う者によるインターネット等を用いた文書図画の頒布)

 第百四十二条の四 ホームページによる情報の提供(自動公衆送信装置を用いる方法により不特定又は多数の者に情報を伝達する役務の提供をいう。以下同じ。)を行う者は、インターネット等を用いる方法のうち当該ホームページによる情報の提供に係る自動公衆送信装置を用いる方法によりその選挙運動のために使用する文書図画を頒布しようとするときは、当該文書図画にその者の氏名又は名称及び電子メールアドレス(電子メール(特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)であつて、総務省令で定める通信方式を用いるものをいう。以下同じ。)の利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下同じ。)を記載しなければならない。

  (電子メールを利用した文書図画の頒布)

 第百四十二条の五 インターネット等を用いる方法のうち電子メールを用いる方法により選挙運動のために使用する文書図画を頒布しようとする者(以下「選挙運動用電子メール送信者」という。)は、当該文書図画に次に掲げる事項が正しく表示されるようにしなければならない。

  一 選挙運動に用いられる電子メール(以下「選挙運動用電子メール」という。)である旨

  二 当該選挙運動用電子メール送信者の氏名又は名称

  三 次項の通知を受けるための当該選挙運動用電子メール送信者の電子メールアドレス

  四 電子メールその他の適宜の方法により次項の通知を前号の電子メールアドレスあてに行うことができる旨

 2 選挙運動用電子メール送信者は、その送信をした選挙運動用電子メールの受信をした者であつて、総務省令で定めるところにより選挙運動用電子メールの送信をしないように求める旨を当該選挙運動用電子メール送信者に対して通知したものに対し、これに反して、選挙運動用電子メールの送信をしてはならない。

  (インターネット等を用いる方法による有料による候補者の氏名等の掲載の禁止)

 第百四十二条の六 公職の候補者、候補者届出政党、衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等でない者は、選挙運動のために、候補者の氏名又はその氏名が類推されるような事項を、有料で、インターネット等を用いる方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

  (ホームページによる情報の提供)

 第百四十二条の七 衆議院議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、都道府県の選挙管理委員会は、次の各号に定める事項を表示するため、ホームページによる情報の提供を行わなければならない。

  一 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙にあつては、公職の候補者の氏名及び公職の候補者の申出に係る一のホームページのアドレス(その者の使用に係る自動公衆送信装置のうちその用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合であつて、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによつて当該情報の内容を閲覧することができるものをいう。以下同じ。)

  二 衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、衆議院名簿届出政党等及び衆議院名簿登載者の名称又は氏名及びこれらの者の申出に係る一のホームページのアドレス(当該選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における公職の候補者であるものに係るホームページのアドレスについては、前号の申出に係るホームページのアドレスと同一のものに限る。)

  三 参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、参議院名簿届出政党等及び参議院名簿登載者の名称又は氏名及びこれらの者の申出に係る一のホームページのアドレス

 2 都道府県の議会の議員、市町村の議会の議員又は市町村長の選挙においては、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、それぞれ、前項の規定に準じて、条例で定めるところにより、当該選挙の公職の候補者に係る事項を表示するため、ホームページによる情報の提供を行うことができる。

  第百四十七条の見出しを「(文書図画の撤去等)」に改め、同条に次の二項を加える。

 2 第百四十二条の四の規定に違反して、同条に規定する者が自動公衆送信装置を用いる方法により頒布する文書図画にその氏名又は名称及び電子メールアドレスを記載していないと認めるときは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会。以下この項において同じ。)は、その者に対し、当該文書図画に氏名若しくは名称及び電子メールアドレスを記載し、又は当該文書図画の頒布を中止するよう命ずることができる。この場合において、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、あらかじめ、その旨を当該警察署長に通報するものとする。

 3 中央選挙管理会又は都道府県若しくは市町村の選挙管理委員会は、前項の処分を命じようとする場合において、当該処分を命ずべき者を確知することができないときは、当該処分を命ずべき者の使用に係る自動公衆送信装置に係る電気通信の役務を提供する者に対し、当該頒布する者の氏名若しくは名称及び電子メールアドレスの記載又は当該文書図画の頒布の中止に関し、必要な協力を依頼することができる。

  第百五十二条中「パンフレット」の下に「、インターネット等を用いる方法により頒布される文書図画」を加える。

  第百七十条第一項中「第百七十二条の二」を「第百七十二条の二第一項」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 前二項のほか、衆議院議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、都道府県の選挙管理委員会は、自動公衆送信装置を用いる方法によつて、第一項に定める期日までに選挙公報を頒布するものとする。

  第百七十二条の二に次の一項を加える。

 2 前項のほか、同項の規定により選挙公報を発行する選挙管理委員会は、条例で定めるところにより、自動公衆送信装置を用いる方法によつて、選挙公報を頒布することができる。

  第百七十八条第二号中「信書を」を「信書並びにインターネット等を用いる方法により頒布される文書図画を」に改める。

  第百七十八条の二中「告示の日」の下に「。次項において同じ。」を加え、同条に次の一項を加える。

 2 ホームページによる情報の提供を行う者であつてインターネット等を用いる方法のうち当該ホームページによる情報の提供に係る自動公衆送信装置を用いる方法により選挙運動のために使用する文書図画を頒布するものは、選挙の期日後速やかに、当該文書図画の頒布が当該選挙の後に行われる選挙について第百二十九条の規定に違反することとならないようにするため、当該文書図画の頒布に関し必要な措置を講じなければならない。

  第百八十九条の次に次の一条を加える。

  (電子情報処理組織による報告書の提出)

 第百八十九条の二 前条の規定による報告書(衆議院小選挙区選出議員及び参議院議員の選挙に係るものに限る。)の提出については、別に法律で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。

  第百九十条第二項中「前条」を「第百八十九条」に改める。

  第百九十一条第一項中「第百八十九条の規定による報告書提出の日から三年間、」を「次条第一項の規定によりこれらに係る報告書の要旨が公表された日から五年を経過する日まで」に改める。

  第百九十二条の見出しを「(報告書の公表、保存、閲覧等)」に改め、同条第三項中「受理した日から三年間、」を「第一項の規定により当該報告書の要旨を公表した日から五年を経過する日まで」に改め、同条第四項中「前項の期間内においては」を「第一項の規定により報告書の要旨が公表された日から五年を経過する日まで」に、「報告書」を「当該報告書」に改め、同条に次の一項を加える。

 5 第百八十九条の規定による報告書(衆議院小選挙区選出議員及び参議院議員の選挙に係るものに限る。)を受理したときは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)は、第一項の規定により当該報告書の要旨を公表した日から五年間、総務省令の定めるところにより、当該報告書に係るデータベース(当該報告書に記載された事項に関する情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)を、インターネットを通じて一般の利用に供さなければならない。

  第二百一条の四第九項及び第二百一条の十一第七項中「第百七十八条の二」を「第百七十八条の二第一項」に改める。

  第二百一条の十三第一項第二号中「雑誌」の下に「並びにインターネット等を用いる方法により頒布するもの」を加える。

  第二百三十五条の五中「又は電話」を「、電話又はインターネット等を用いる方法」に改める。

  第二百四十三条第一項第三号の次に次の三号を加える。

  三の二 第百四十二条の四又は第百四十二条の五第一項の規定に違反して文書図画を頒布した者

  三の三 第百四十二条の五第二項の規定に違反して選挙運動用電子メールの送信をした者

  三の四 第百四十二条の六の規定に違反して同条に規定する事項を文書図画に掲載させた者

  第二百四十三条第一項第五号の二中「第百四十七条」を「第百四十七条第一項」に、「同条第一号」を「同項第一号」に改め、「限る。)」の下に「又は同条第二項の規定による文書図画への氏名若しくは名称及び電子メールアドレスの記載若しくは文書図画の頒布の中止の命令」を加える。

  第二百六十二条第五号中「第百九十二条」を「第百九十二条第一項、第三項及び第四項」に改め、同条に次の一号を加える。

  六 第百九十二条第五項の規定によるデータベースの整備のために要する費用

  第二百六十三条第六号の二の次に次の一号を加える。

  六の三 第百四十二条の七の規定によるホームページによる情報の提供に要する費用

 (政治資金規正法の一部改正)

第二条 政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を次のように改正する。

  第十六条及び第十九条の三第二項中「三年」を「五年」に改める。

  第二十条の二の見出しを「(収支報告書等の保存、閲覧等)」に改め、同条第一項中「三年」を「五年」に改め、同条第二項中「三年間」を「五年間」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、前条第一項の規定により報告書の要旨を公表した日から五年間、総務省令の定めるところにより、当該報告書及び書面に係るデータベース(当該報告書及び書面に記載された事項に関する情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)を、インターネットを通じて一般の利用に供しなければならない。

  第三十条を次のように改める。

  (電子情報処理組織による報告書の提出)

 第三十条 第十二条第一項及び第十七条第一項の規定による報告書の提出については、別に法律で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。

  第三十二条に次の一号を加える。

  四 第二十条の二第三項の規定によるデータベースの整備のために要する費用

 (政党助成法の一部改正)

第三条 政党助成法(平成六年法律第五号)の一部を次のように改正する。

  第三十二条の見出しを「(報告書等の保存、閲覧等)」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。

 5 総務大臣は、第二項に規定する要旨の公表をした日から五年間、総務省令で定めるところにより、同項に規定する報告書、支部報告書、総括文書、監査意見書及び監査報告書に係るデータベース(当該報告書、支部報告書、総括文書、監査意見書及び監査報告書に記載された事項に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)を、インターネットを通じて一般の利用に供しなければならない。

  第三十二条に次の一項を加える。

 7 都道府県の選挙管理委員会は、第二項に規定する要旨の公表をした日から五年間、総務省令で定めるところにより、第三項に規定する支部報告書、支部総括文書及び監査意見書に係るデータベース(当該支部報告書、支部総括文書及び監査意見書に記載された事項に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)を、インターネットを通じて一般の利用に供しなければならない。

  第三十六条を次のように改める。

  (電子情報処理組織による報告書等の提出)

 第三十六条 第十七条第一項及び第二十八条第一項の報告書並びに第十八条第三項(第二十九条第三項において準用する場合を含む。)の支部報告書の提出については、別に法律で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。

  第三十八条中「第五項」を「第六項」に改め、「経費」の下に「並びに同条第七項の規定によるデータベースの整備のための経費」を加える。

  第四十二条の二中「及び第五項」を「、第六項及び第七項」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条中公職選挙法第百七十八条第二号の改正規定、同法第百九十一条第一項の改正規定並びに同法第百九十二条第三項及び第四項の改正規定、第二条中政治資金規正法第十六条及び第十九条の三第二項の改正規定並びに同法第二十条の二第一項及び第二項の改正規定並びに附則第三条及び附則第五条の規定は、公布の日から施行する。

 (公職選挙法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 第一条の規定による改正後の公職選挙法(以下「新公職選挙法」という。)の規定(新公職選挙法第百五十二条、第百七十八条、第百八十九条の二から第百九十二条まで及び第二百六十二条第六号の規定を除く。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後その期日を公示され又は告示される選挙について適用し、施行日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。

第三条 新公職選挙法第百九十一条第一項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに第一条の規定による改正前の公職選挙法(以下「旧公職選挙法」という。)第百九十一条第一項の規定により保存すべき期間が満了していない会計帳簿、明細書及び領収書その他の支出を証すべき書面についても適用する。

2 新公職選挙法第百九十二条第三項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに旧公職選挙法第百九十二条第三項の規定により保存すべき期間が満了していない報告書についても適用する。

3 新公職選挙法第百九十二条第四項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに旧公職選挙法第百九十二条第四項の規定により閲覧を請求することができる期間が満了していない報告書についても適用する。

第四条 新公職選挙法第百九十二条第五項の規定は、施行日以後その期日を公示され又は告示される衆議院(小選挙区選出)議員及び参議院議員の選挙に係る報告書について適用する。

 (政治資金規正法の一部改正に伴う経過措置)

第五条 第二条の規定による改正後の政治資金規正法(以下「新政治資金規正法」という。)第十六条の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに第二条の規定による改正前の政治資金規正法(以下「旧政治資金規正法」という。)第十六条の規定により保存すべき期間が満了していない会計帳簿、明細書及び領収書等についても適用する。

2 新政治資金規正法第十九条の三第二項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに旧政治資金規正法第十九条の三第二項の規定により保存すべき期間が満了していない通知に係る文書についても適用する。

3 新政治資金規正法第二十条の二第一項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに旧政治資金規正法第二十条の二第一項の規定により保存すべき期間が満了していない報告書及び書面についても適用する。

4 新政治資金規正法第二十条の二第二項の規定は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日の前日までに旧政治資金規正法第二十条の二第二項の規定により閲覧を請求することができる期間が満了していない報告書及び書面についても適用する。

第六条 新政治資金規正法第二十条の二第三項の規定は、施行日の属する年以後の年に係る報告書及び書面について適用する。

 (政党助成法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 第三条の規定による改正後の政党助成法(以下「新政党助成法」という。)第三十二条第五項の規定は、施行日の属する年以後の年に係る報告書、支部報告書、総括文書、監査意見書及び監査報告書について適用する。

2 新政党助成法第三十二条第七項の規定は、施行日の属する年以後の年に係る支部報告書、支部総括文書及び監査意見書について適用する。

 (検討)

第八条 インターネット等を用いる方法による選挙運動の在り方については、少なくとも三年ごとに、その間に行われた選挙における選挙運動の実情について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第九条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  別表第一政党助成法(平成六年法律第五号)の項中「及び第五項」を「、第六項及び第七項」に改める。


     理 由

 近時における情報化社会の進展の状況にかんがみ、選挙運動期間における候補者と有権者との対話を促進し、有権者の選挙に対する関心を高めるとともに政策本位の選挙の実現に資するため、インターネット等を用いた選挙運動を解禁する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約一億二千万円の見込みである。

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