衆議院

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第一六四回

参第四号

   公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案

 (目的)

第一条 この法律は、公立の小中学校等の校舎等について地震防災上緊急にその安全性を確保する必要性が生じていることにかんがみ、地方公共団体に対してその設置する小中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果等の公表等を義務付けるとともに、当該校舎等の改築又は補強の速やかな実施及びこれに要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等の措置等について定めることにより、当該校舎等に関する地震防災上必要な整備の促進を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「小中学校等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程並びに盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部をいう。

2 この法律において「校舎等」とは、校舎及び屋内運動場をいう。

3 この法律において「地震防災上改築又は補強を要する校舎等」とは、地震防災上改築又は補強を要するものとして文部科学大臣の定める基準に該当する校舎等をいう。

4 この法律において「耐震診断」とは、文部科学大臣の定める方法により地震に対する安全性を評価することをいう。

 (耐震診断の実施及びその結果等の公表等)

第三条 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等であって地震防災対策特別措置法(平成七年法律第百十一号)第二条第一項に規定する地震により著しい被害が生ずるおそれがあると認められる地区に存するもののうち、この法律の施行の際現に適用されている地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しない校舎等で同法第三条第二項の規定の適用を受けているものについて、耐震診断を実施しなければならない。ただし、耐震診断の実施を義務付ける必要がないものとして文部科学大臣の定めるものについては、この限りでない。

2 地方公共団体は、前項の耐震診断の結果及び同項ただし書に該当するものの状況を取りまとめ、これを公表しなければならない。

3 地方公共団体は、第一項の耐震診断を実施した校舎等ごとに、当該校舎等の耐震診断の結果を当該校舎等又はその周辺の見やすい場所に掲示しなければならない。

 (校舎等の改築又は補強の速やかな実施)

第四条 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等のうち、前条第一項の耐震診断の結果に基づき地震防災上改築又は補強を要する校舎等であると認められるもの(同項ただし書に該当するもののうち地震防災上改築又は補強を要する校舎等であると認められるものとして文部科学大臣の定めるものを含む。以下「要整備校舎等」という。)について、速やかにその改築又は補強を実施するよう努めなければならない。

 (国の負担又は補助の割合の特例等)

第五条 国は、地方公共団体に対して、第三条第一項の耐震診断の実施に要する経費の全部を補助するものとする。

2 地方公共団体が実施する要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、当該改築又は補強に関する法令の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める割合とする。

 一 要整備校舎等の改築に要する経費 二分の一

 二 要整備校舎等の補強(次号に規定するものを除き、文部科学大臣の定める基準に適合するものに限る。)に要する経費 二分の一(政令で定める基準に該当する地方公共団体が実施するものにあっては、三分の二)

 三 要整備校舎等の補強のうち、小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎又は屋内運動場の補強(文部科学大臣の定める基準に適合するものに限る。)に要する経費 三分の二

3 前項に規定する要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に対する他の法令による国の負担割合が、同項の規定による国の負担割合を超えるときは、当該改築又は補強に要する経費に対する国の負担割合については、同項の規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。

 (元利償還金の基準財政需要額への算入)

第六条 地方公共団体が実施する要整備校舎等の改築又は補強で前条第二項及び第三項の規定の適用を受けるものにつき当該地方公共団体が必要とする経費の財源に充てるため起こした地方債で、総務大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、当該地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。

 (私立の小中学校等の校舎等についての配慮)

第七条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨を参酌し、私立の小中学校等の校舎等について、地震に対する安全性の向上が図られるよう配慮するものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十八年四月一日から施行する。

 (国の負担等に関する規定の適用)

第二条 第五条の規定は、平成十八年度の予算に係る国の負担又は補助(平成十七年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき平成十八年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助を除く。)から適用する。

 (この法律の失効)

第三条 この法律は、平成二十三年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、要整備校舎等の改築又は補強に係る国の負担金又は補助金のうち平成二十三年度以降に繰り越されるものについては、第五条の規定は、この法律の失効後も、なおその効力を有する。

 (地方交付税法の一部改正)

第四条 地方交付税法の一部を次のように改正する。

  附則第五条第一項の表に次の一号を加える。

九 地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備のための地方債償還費

地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備のための事業費の財源に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債に係る元利償還金

千円につき

七〇〇

  附則第五条第二項の表に次の一号を加える。

九 地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備のための事業費の財源に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債に係る元利償還金

地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備のための事業費の財源に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債で公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法(平成十八年法律第 号)第六条の規定により総務大臣が指定したものに係る当該年度における元利償還金

千円

第五条 前条の規定による改正後の地方交付税法附則第五条の規定は、平成十八年度分の地方交付税から適用する。


     理 由

 公立の小中学校等の校舎等について地震防災上緊急にその安全性を確保する必要性が生じていることにかんがみ、地方公共団体に対してその設置する小中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果等の公表等を義務付けるとともに、当該校舎等の改築又は補強の速やかな実施及びこれに要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等の措置等について定めることにより、当該校舎等に関する地震防災上必要な整備の促進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、平成十八年度において約千二百八十億円の見込みである。

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