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第一六四回

参第二〇号

   害虫等防除業の業務の適正化に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 登録等(第三条─第十一条)

 第三章 業務(第十二条─第十七条)

 第四章 監督(第十八条─第二十一条)

 第五章 雑則(第二十二条─第二十五条)

 第六章 罰則(第二十六条─第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、害虫等防除業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営を確保し、もって環境の汚染の防止及び人の健康の保護を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「害虫等防除業」とは、他人の依頼を受けて、宅地、農地、森林、草地、道路その他の土地又は建物その他の施設の害虫等防除(害虫、ねずみその他の動物であって政令で定めるものの防除又は除草であって、薬剤を使用して行うものをいう。以下同じ。)をする役務を提供する営業をいう。

2 この法律において「害虫等防除業者」とは、次条第一項の登録を受けて害虫等防除業を営む者をいう。

   第二章 登録等

 (登録)

第三条 害虫等防除業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に営業所を設置してその事業を営もうとするときは環境大臣の、一の都道府県の区域内のみに営業所を設置してその事業を営もうとするときは当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この条において「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

 (登録の申請)

第四条 前条第一項の登録(同条第二項の登録の更新を含む。以下「害虫等防除業の登録」という。)を受けようとする者は、次の事項を記載した登録申請書を環境大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 営業所の名称及び所在地

 三 害虫等防除の種類

 四 法人にあっては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)の氏名

 五 第十三条第一項の害虫等防除業務主任者の氏名

 六 その他環境省令で定める事項

2 前項の登録申請書には、害虫等防除業の登録を受けようとする者が第六条第一項各号に該当しない者であることを誓約する書面その他の環境省令で定める書類を添付しなければならない。

 (登録の実施)

第五条 環境大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定による登録申請書の提出があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録の年月日及び登録番号を害虫等防除業者登録簿に登録しなければならない。

2 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。

3 環境大臣又は都道府県知事は、害虫等防除業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。

 (登録の拒否)

第六条 環境大臣又は都道府県知事は、害虫等防除業の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する者であるとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

 一 第二十一条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者

 二 害虫等防除業者で法人であるものが第二十一条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内にその害虫等防除業者の役員であった者でその処分のあった日から二年を経過しないもの

 三 第二十一条第一項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 四 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

 五 この法律、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第十一条若しくは第十二条第三項若しくは同法第十二条の二第二項の規定により定められた規則若しくは殺虫剤等の規制等に関する法律(平成十八年法律第▼▼▼号)第二章第二節の規定又はこれらに基づく処分に違反したことにより罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

 六 法人でその役員のうちに第一号から前号までのいずれかに該当する者があるもの

 七 営業所について第十三条の要件を欠く者

2 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。

 (登録行政庁の変更の場合における届出等)

第七条 害虫等防除業者は、害虫等防除業の登録を受けた後次の各号のいずれかに該当して引き続き害虫等防除業を営もうとする場合において第三条第一項の規定により環境大臣又は都道府県知事の登録を受けたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を従前の登録をした環境大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

 一 環境大臣の登録を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき。

 二 都道府県知事の登録を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき。

 三 都道府県知事の登録を受けた者が二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき。

2 害虫等防除業者が前項に規定する場合において第三条第一項の規定により環境大臣又は都道府県知事の登録を受けたときは、その者に係る従前の環境大臣又は都道府県知事の害虫等防除業の登録は、その効力を失う。

 (変更の届出)

第八条 害虫等防除業者は、第四条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨をその登録をした環境大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

2 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による届出を受理したときは、当該届出に係る事項が第六条第一項第六号又は第七号に該当する場合を除き、届出があった事項を害虫等防除業者登録簿に登録しなければならない。

3 第四条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。

 (廃業等の届出)

第九条 害虫等防除業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨をその登録をした環境大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

 一 死亡したとき。 その相続人

 二 法人が合併により消滅したとき。 その法人を代表する役員であった者

 三 法人が破産手続開始の決定により解散したとき。 その破産管財人

 四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき。 その清算人

 五 害虫等防除業を廃止したとき。 害虫等防除業者であった個人又は害虫等防除業者であった法人を代表する役員

2 害虫等防除業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、その者に係る害虫等防除業の登録は、その効力を失う。

 (登録の抹消)

第十条 環境大臣又は都道府県知事は、第三条第二項、第七条第二項若しくは前条第二項の規定により登録がその効力を失ったとき、又は第二十一条第一項の規定により登録を取り消したときは、当該害虫等防除業の登録を抹消しなければならない。

 (名義の利用等の禁止)

第十一条 害虫等防除業者は、その名義を他人に害虫等防除業のため利用させてはならない。

2 害虫等防除業者は、事業の貸渡しその他いかなる方法をもってするかを問わず、害虫等防除業を他人にその名において経営させてはならない。

   第三章 業務

 (業務規程)

第十二条 害虫等防除業者は、害虫等防除業の業務による環境の汚染及び人の健康に係る被害の発生を防止するため、害虫等防除業の実施に関する規程(次項において「業務規程」という。)を定め、第三条第一項の登録を受けた後、遅滞なく、その登録をした環境大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。

2 業務規程には、害虫等防除に使用する薬剤による環境の汚染及び人の健康に係る被害の防止に関する事項、害虫等防除を行う場所及びその周辺の地域内の居住者、滞在者その他の者(第十六条第二号において「居住者等」という。)の健康の保護に関する事項その他環境省令で定める事項を定めなければならない。

 (害虫等防除業務主任者)

第十三条 害虫等防除業者は、営業所ごとに、環境省令で定めるところにより、第六条第一項第一号から第五号までのいずれにも該当しない者であって都道府県知事が行う害虫等防除業務主任者の業務に必要な知識及び能力に関する講習を修了したもののうちから害虫等防除業務主任者を選任して、害虫等防除に使用する薬剤による環境の汚染及び人の健康に係る被害の防止その他の環境省令で定める害虫等防除に関する業務を行わせなければならない。

2 害虫等防除業者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該営業所につき、当該各号に該当することを知った日から二週間以内に、害虫等防除業務主任者の選任をしなければならない。

 一 害虫等防除業務主任者が第六条第一項第一号から第五号までのいずれかに該当することとなったとき。

 二 害虫等防除業務主任者が欠けるに至ったとき。

 (証明書の携帯)

第十四条 害虫等防除業者は、環境省令で定めるところにより、害虫等防除業の業務に従事する従業者(以下「害虫等防除業務従業者」という。)に、害虫等防除業務従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。

2 害虫等防除業務従業者は、利用者その他の関係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければならない。

 (害虫等防除業務従業者に対する講習)

第十五条 害虫等防除業者は、環境省令で定めるところにより、その害虫等防除業務従業者に対し、都道府県知事が行う害虫等防除業の業務に関する知識の習得及び能力の向上を図るための講習を受けさせなければならない。

 (説明義務)

第十六条 害虫等防除業者は、害虫等防除をする役務であって害虫等防除業として提供されるものに係る契約を締結しようとするときは、当該契約の相手方に対し、環境省令で定めるところにより、次の事項を説明しなければならない。

 一 当該役務において使用する薬剤の種類及び名称並びに当該薬剤が環境及び人の健康に及ぼす影響

 二 環境の汚染及び人の健康に係る被害の防止のため、当該害虫等防除業者が講ずる措置並びに当該契約の相手方及び居住者等が講ずべき措置

 (標識の掲示)

第十七条 害虫等防除業者は、環境省令で定めるところにより、その営業所及び害虫等防除を行う現場ごとに、公衆の見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号その他環境省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

   第四章 監督

 (帳簿の備付け等)

第十八条 害虫等防除業者は、環境省令で定めるところにより、営業所ごとに帳簿を備え、その業務に関し環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (報告及び立入検査)

第十九条 環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、環境大臣にあっては害虫等防除業を営むすべての者について、都道府県知事にあっては当該都道府県の区域内で害虫等防除業を営む者について、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に営業所、害虫等防除を行った場所その他業務に関係のある場所に立ち入り、営業の施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (改善命令)

第二十条 環境大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた害虫等防除業者の業務の運営に関し、環境の汚染又は人の健康に係る被害の発生を防止するために改善が必要であると認めるときは、必要な限度において、当該害虫等防除業者に対し、当該業務の改善のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、環境大臣又は他の都道府県知事の登録を受けた害虫等防除業者で当該都道府県の区域内において業務を行うものの業務の運営に関し、環境の汚染又は人の健康に係る被害の発生を防止するために改善が必要であると認めるときは、必要な限度において、当該害虫等防除業者に対し、当該業務の改善のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

3 都道府県知事は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該害虫等防除業者が環境大臣の登録を受けたものであるときは環境大臣に報告し、当該害虫等防除業者が他の都道府県知事の登録を受けたものであるときは当該他の都道府県知事に通知しなければならない。

 (登録の取消し等)

第二十一条 環境大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた害虫等防除業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。

 二 不正の手段により害虫等防除業者の登録を受けたとき。

 三 第六条第一項第四号から第七号までのいずれかに該当することとなったとき。

2 第六条第二項の規定は、前項の処分があった場合について準用する。

   第五章 雑則

 (手数料)

第二十二条 次に掲げる者(環境大臣に対して手続を行おうとする者に限る。)は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 一 害虫等防除業の登録を受けようとする者

 二 害虫等防除業者登録簿の閲覧を請求する者

 (権限の委任)

第二十三条 この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

 (経過措置)

第二十四条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要とされる範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (命令への委任)

第二十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の規定に基づく登録の申請、届出の手続その他この法律を実施するために必要な事項は、環境省令で定める。

   第六章 罰則

第二十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第三条第一項の規定に違反して登録を受けないで害虫等防除業を営んだ者

 二 不正の手段によって害虫等防除業の登録を受けた者

 三 第十一条第一項の規定に違反してその名義を他人に害虫等防除業のため利用させた者

 四 第十一条第二項の規定に違反して害虫等防除業を他人にその名において経営させた者

 五 第二十一条第一項の規定による命令に違反した者

第二十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十三条第二項の規定に違反して害虫等防除業務主任者を選任しなかった者

 二 第十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

 三 第二十条第一項又は第二項の規定による命令に違反した者

第二十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第一項又は第十二条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第十四条第一項又は第二項の規定に違反した者

 三 第十八条の帳簿を備え付けず、これに同条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は保存しなかった者

第二十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

第三十条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。

 一 第七条第一項又は第九条第一項の規定による届出を怠った者

 二 第十七条の規定に違反して標識を掲げない者

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に害虫等防除業を営んでいる者は、この法律の施行の日から一年を経過する日(その者がその日以前に第四条第一項の規定による登録申請書を提出した場合にあっては、第五条第二項又は第六条第二項の通知がある日)までの間は、第三条第一項の登録を受けないで、引き続き害虫等防除業を営むことができる。

 (環境省設置法の一部改正)

第三条 環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十一号の次に次の一号を加える。

  十一の二 害虫等防除業(害虫等防除業の業務の適正化に関する法律(平成十八年法律第▼▼▼号)第二条第一項に規定する害虫等防除業をいう。)の監督に関すること。


     理 由

 害虫等防除業の業務の適正な運営を確保し、環境の汚染の防止及び人の健康の保護を図るため、害虫等防除業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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