衆議院

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第一六五回

参第五号

   地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 教育機関

  第一節 教育機関の設置等(第三条―第六条)

  第二節 学校理事会(第七条)

 第三章 教育監査委員会(第八条―第二十六条)

 第四章 雑則(第二十七条―第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、地方公共団体による教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関する機関(以下「教育機関」という。)の設置並びに学校理事会、教育監査委員会等に関し必要な事項を定め、もって地方公共団体における教育行政の適正な運営の確保を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。

2 この法律において「教員」とは、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第二項に規定する教員をいう。

   第二章 教育機関

    第一節 教育機関の設置等

 (教育機関の設置)

第三条 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる。

 (教育機関の職員)

第四条 前条に規定する学校に、法律で定めるところにより、学長、校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。

2 前条に規定する学校以外の教育機関に、法律又は条例で定めるところにより、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。

3 前二項に規定する職員の定数は、当該地方公共団体の条例で定めなければならない。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。

4 地方公共団体は、その設置する学校の職員の任用に当たっては、相互に連携協力するよう努めるものとする。

 (所属職員の進退に関する意見の申出)

第五条 第三条に規定する学校その他の教育機関の長は、教育公務員特例法に特別の定めがある場合を除き、その所属の職員の任免その他の進退に関する意見を任命権者に対して申し出ることができる。この場合において、大学附置の学校の校長にあっては、学長を経由するものとする。

 (学校等の管理)

第六条 地方公共団体の長は、法令又は条例に違反しない限度において、その設置する第三条に規定する学校その他の教育機関(大学を除く。以下この項において同じ。)の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱いその他同条に規定する学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な規則を定めるものとする。

2 前項の場合において、地方公共団体の長は、学校(大学を除く。第二十七条第三項及び第四項において同じ。)における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、地方公共団体の長に届け出させ、又は地方公共団体の長の承認を受けさせることとする定めを設けるものとする。

    第二節 学校理事会

第七条 地方公共団体が設置する学校(大学及び高等専門学校を除く。以下この条において同じ。)には、当該学校の運営に関する重要事項を協議する機関として、学校理事会を置かなければならない。

2 学校理事会の構成員は、次に掲げる者(政令で定める規模以下の学校で地方公共団体の長が指定するものに置かれる学校理事会にあっては、第五号に掲げる者を除く。)について、地方公共団体の長が任命する。ただし、その過半数は、第一号及び第二号に掲げる者について任命しなければならない。

 一 当該学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう。第十二条第五項及び第六項において同じ。)

 二 当該学校の所在する地域の住民

 三 当該学校の校長

 四 当該学校の教員

 五 教育に関し専門的な知識又は経験を有する者

 六 その他地方公共団体の長が必要と認める者

3 地方公共団体の長は、前項第一号、第二号及び第四号に掲げる者について、学校理事会の構成員を任命するに当たっては、これらの号に掲げる者に係る団体その他の関係者の意向を考慮するものとする。

4 校長は、当該学校の運営に関し当該地方公共団体の規則で定める事項について基本的な方針を作成し、学校理事会の承認を得なければならない。

5 前項に定めるもののほか、校長は、次に掲げる事項について、学校理事会の承認を得なければならない。

 一 当該学校の教育課程

 二 当該学校の職員の任用に関し第五条の規定により校長が申し出る意見

 三 その他当該地方公共団体の規則で定める事項

6 学校理事会は、当該学校の運営に関する事項について、校長に対して、報告を求めることができる。

7 学校理事会は、当該学校の運営に関する事項について、地方公共団体の長又は校長に対して、意見を述べることができる。

8 地方公共団体の長又は校長は、前項の規定により述べられた意見を尊重するものとする。

9 学校理事会の構成員の任免の手続及び任期、学校理事会の議事の手続その他学校理事会の運営に関し必要な事項については、当該地方公共団体の規則で定める。

   第三章 教育監査委員会

 (設置)

第八条 都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村及び教育に関する事務(大学及び私立学校に関する事務並びに宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第八十七条の二に規定する第一号法定受託事務を除く。以下同じ。)の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に教育監査委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。

 (権限)

第九条 委員会は、次に掲げる事務を処理する。

 一 当該地方公共団体の長が処理する教育に関する事務の実施状況に関し必要な評価及び監視を行うこと。

 二 前号の規定による評価又は監視(次条において「評価又は監視」という。)の結果に基づき、当該地方公共団体の長に対し、教育に関する事務の改善のために必要な勧告をすること。

 三 当該地方公共団体の長が処理する教育に関する事務に係る苦情の申出について必要なあっせんを行うこと。

 四 前三号に掲げるもののほか、法令に基づき委員会に属させられた事務

2 委員会は、前項第二号の規定による勧告をしたときは、遅滞なく、その勧告の内容を公表しなければならない。

3 当該地方公共団体の長は、第一項第二号の規定による勧告に基づいてとった措置について委員会に報告しなければならない。この場合においては、委員会は、当該報告に係る事項を公表しなければならない。

4 委員会は、毎年、その事務の処理状況を公表しなければならない。

 (資料の提出の要求等)

第十条 委員会は、評価又は監視を行うため必要な範囲において、当該地方公共団体の長に対し資料の提出及び説明を求め、又はその業務について実地に調査することができる。

2 委員会は、評価又は監視の実施上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。

 (組織)

第十一条 委員会は、五人以上(町村又は地方公共団体の組合のうち町村のみが加入するものの委員会にあっては、三人以上)で条例で定める人数の委員をもって組織する。

 (委員及び補充員の選挙等)

第十二条 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の議会においてこれを選挙する。

2 議会は、前項の規定による選挙を行う場合においては、同時に、同項に規定する者のうちから委員と同数の補充員を選挙しなければならない。補充員がすべてなくなったときも、同様とする。

3 委員中に欠員があるときは、委員長は、補充員のうちからこれを補欠する。その順序は、選挙の時が異なるときは選挙の前後により、選挙の時が同時であるときは得票数により、得票数が同じであるときはくじにより、これを定める。

4 次のいずれかに該当する者は、委員又は補充員となることができない。

 一 破産者で復権を得ない者

 二 禁錮以上の刑に処せられた者

5 委員又は補充員は、それぞれ、そのうちの半数以上が同時に同一の政党その他の政治団体に属する者となることとなってはならず、かつ、そのうちに保護者である者が含まれなければならない。

6 第一項若しくは第二項の規定による選挙が行われた場合、委員若しくは補充員の政党その他の政治団体の所属関係に異動があった場合又は委員のいずれか若しくは補充員のいずれかが保護者でなくなった場合において前項の要件を満たさないこととなったとき、及び第三項の規定により委員の補欠を行い、又は第二十一条第六項の規定により臨時に補充員を委員に充てたならば前項の要件を満たさないこととなる場合に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

7 委員又は補充員の選挙を行うべき事由が生じたときは、委員長は、直ちにその旨を当該地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。

 (任期)

第十三条 委員の任期は、四年とする。ただし、後任者が就任する時まで在任する。

2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 補充員の任期は、委員の任期による。

4 委員及び補充員は、その選挙に関し地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百十八条第五項の規定による裁決又は判決が確定するまでは、その職を失わない。

 (兼職禁止)

第十四条 委員は、地方公共団体の議会の議員若しくは長、地方公共団体に執行機関として置かれる委員会の委員若しくは委員又は地方公共団体の常勤の職員若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない。

 (罷免)

第十五条 地方公共団体の議会は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、議決によりこれを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。

2 委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。

 (解職請求)

第十六条 地方公共団体の長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超える場合にあっては、その超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもって、その代表者から、当該地方公共団体の長に対し、委員の解職を請求することができる。

2 地方自治法第八十六条第二項から第四項まで、第八十七条及び第八十八条第二項の規定は、前項の規定による委員の解職の請求について準用する。この場合において、同法第八十七条第一項中「前条第一項に掲げる職に在る者」とあるのは「教育監査委員会の委員」と、同法第八十八条第二項中「第八十六条第一項の規定による選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求」とあるのは「地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律(平成十八年法律第▼▼▼号)第十六条第一項の規定による教育監査委員会の委員の解職の請求」と読み替えるものとする。

 (失職)

第十七条 委員は、次のいずれかに該当する場合においては、その職を失う。

 一 第十二条第四項各号のいずれかに該当するに至った場合

 二 前号に掲げる場合のほか、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者でなくなった場合

2 地方自治法第百四十三条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、前項第二号に掲げる場合における地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟について準用する。

3 委員に対する地方自治法第百八十条の五第七項の規定の適用については、同項中「その選任権者」とあるのは、「教育監査委員会」とする。

 (退職)

第十八条 委員長が退職しようとするときは、委員会の承認を得なければならない。

2 委員が退職しようとするときは、委員長の承認を得なければならない。

 (服務)

第十九条 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

2 委員又は委員であった者が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、委員会の許可を受けなければならない。

3 前項の許可は、法律に特別の定めがある場合を除き、これを拒むことができない。

4 委員は、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

 (委員長等)

第二十条 委員会に委員長を置き、委員のうちから互選する。

2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。

3 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指定する委員がその職務を代理する。

4 委員会は、委員の互選をもって、一人以上で条例で定める人数の常勤の委員を定めなければならない。

 (会議)

第二十一条 委員会の会議は、委員長が招集する。委員から委員会の会議の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。

2 委員会は、委員長及び委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3 委員会の議事は、第七項ただし書の発議に係るものを除き、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 前二項の規定による会議若しくは議事又は第七項ただし書の発議に係る議事の定足数については、委員長は、委員として計算するものとする。

5 委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。ただし、委員会の同意があるときは、会議に出席し、発言することができる。

6 前項の規定により委員の数が減少してその過半数に達しないときは、委員長は、補充員でその事件に関係のないものをもって第十二条第三項の順序により、臨時にこれに充てなければならない。委員の事故により委員の数が過半数に達しないときも、同様とする。

7 委員会の会議は、公開する。ただし、委員長又は委員の発議により、出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。

8 前項ただし書の委員長又は委員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。

 (教育監査委員会規則の制定等)

第二十二条 委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育監査委員会規則を制定することができる。

2 教育監査委員会規則その他委員会の定める規程で公表を要するものの公布に関し必要な事項は、教育監査委員会規則で定める。

 (委員会の議事運営)

第二十三条 この法律に定めるもののほか、委員会の会議その他委員会の議事の運営に関し必要な事項は、教育監査委員会規則で定める。

 (事務局)

第二十四条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に事務局長その他の職員を置く。

3 事務局長は、委員会の指揮監督を受け、事務局の局務を掌理する。

4 第二項に規定する職員は、委員会が任免する。

5 第二項に規定する職員の定数は、当該地方公共団体の条例で定める。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。

 (事務局職員の身分取扱い)

第二十五条 前条第二項に規定する職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱いに関する事項は、この法律に定めるもののほか、地方公務員法の定めるところによる。

 (抗告訴訟の取扱い)

第二十六条 委員会は、その処分(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第三項に規定する裁決をいう。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による地方公共団体を被告とする訴訟について、当該地方公共団体を代表する。

   第四章 雑則

 (指導主事等)

第二十七条 都道府県に、指導主事を置く。

2 市町村に、指導主事を置くことができる。

3 指導主事は、上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。

4 指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。指導主事は、地方公共団体が設置する学校の教員をもって充てることができる。

5 前各項に定めるもののほか、指導主事に関し必要な事項は、政令で定める。

6 地方公共団体の長は、その教育行政に関する相談に関する事務を行う職員を指定し、これを公表するものとする。

 (保健所との関係)

第二十八条 地方公共団体の長(その設置する学校の所在地その他当該学校の教育が行われる場所をその所管区域に含む保健所を設置しない地方公共団体の長に限る。)は、健康診断その他当該学校における保健に関し、政令で定めるところにより、当該保健所を設置する地方公共団体の長に対し、保健所の協力を求めるものとする。

2 保健所は、学校の環境衛生の維持、保健衛生に関する資料の提供その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、その所管区域内にある学校を設置する地方公共団体の長(当該保健所を設置する地方公共団体の長を除く。)に対し、助言と援助を与えるものとする。

 (組合に関する特例)

第二十九条 総務大臣は、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置について、地方自治法第二百八十四条第二項の許可の処分をする前に、文部科学大臣の意見を聴かなければならない。

2 地方公共団体が教育に関する事務の全部を処理する組合を設ける場合においては、当該組合を組織する地方公共団体には教育監査委員会を置かず、当該組合に教育監査委員会を置くものとする。

3 地方公共団体が教育に関する事務の全部又は一部を処理する組合を設けようとする場合において、当該地方公共団体に教育監査委員会が置かれているときは、当該地方公共団体の議会は、地方自治法第二百九十条、第二百九十一条の十一、第二百九十一条の十四第五項又は第二百九十一条の十五第三項の議決をする前に、当該教育監査委員会の意見を聴かなければならない。

4 教育に関する事務の一部を処理する地方公共団体の組合に置かれる教育監査委員会の委員は、第十四条の規定にかかわらず、その組合を組織する地方公共団体の教育監査委員会の委員と兼ねることができる。

5 前各項に定めるもののほか、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置、解散その他の事項については、地方自治法第三編第三章の規定によるほか、政令で特別の定めをすることができる。

 (政令への委任)

第三十条 この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合があった場合におけるこの法律の規定の適用の特例その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成二十年四月一日から施行する。

 (地方教育行政の組織及び運営に関する法律の廃止)

2 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)は、廃止する。

 (経過措置等)

3 前項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置、関係法律の整備その他の事項については、別に法律で定める。


     理 由

 地方公共団体における教育行政の適正な運営の確保を図るため、地方公共団体による教育機関の設置及び学校理事会、教育監査委員会等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
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