衆議院

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第一六六回

衆第二八号

   特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、特殊法人等の役員及び職員について、その離職後、特殊法人等と密接な関係にある特定の私企業の地位に就くことの制限に関する措置及び再就職者による依頼等の規制に関する措置を定めることにより、特殊法人等の業務の適正な運営の確保等に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「特殊法人等」とは、法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けない法人並びにその役員及び職員が国家公務員とされている法人を除く。)、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人であって同条第二項に規定する特定独立行政法人以外のものその他これらに準ずるものとして政令で定める法人のうち、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

 一 資本金の二分の一以上が国からの出資によるもの

 二 前号に掲げるもののほか、国から出資を受け、かつ、その設立の根拠となる法律又は法人格を付与する法律において、役員、職員その他の当該法人の業務に従事する者を法令により公務に従事する者とみなすこととされているもの

 (関係営利企業への就職の制限)

第三条 特殊法人等の役員及び職員は、離職後二年間は、物品の製造又は販売、工事の請負、役務の提供、金銭、物品又は不動産の貸付けその他政令で定める取引を業として行う営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)の地位で、その離職前五年間に在職していた特殊法人等と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。

2 前項の規定は、特殊法人等の役員又は職員の任命権を有する者の申出により、人事院規則で定める基準に従い行う当該特殊法人等に係る主務大臣の承認を得た場合には、当該特殊法人等の役員又は職員については、適用しない。

3 前項の主務大臣は、同項の承認を行おうとするときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、人事院の意見を聴かなければならない。

4 前二項に定めるもののほか、第二項の承認に関し必要な事項は、政令で定める。

 (非常勤の役職員等に関する特例)

第四条 前条第一項の規定の適用については、特殊法人等の非常勤の役員及び職員その他特殊法人等の業務の公正性の確保に支障がないものとして政令で定める役員及び職員(次項の規定により離職したものとみなされた者を除く。)は、同条第一項の役員及び職員に含まれないものとし、政令で定めるそれらの者に相当する者としての在職は、同項に規定する在職に含まれないものとする。

2 特殊法人等の役員又は職員が当該特殊法人等の非常勤の役員若しくは職員又は前項の政令で定める役員若しくは職員となった場合には、前条第一項の規定の適用については、当該特殊法人等の役員又は職員は、その時において離職したものとみなす。

 (国会への報告)

第五条 内閣は、毎年、遅滞なく、国会に対し、前年において第三条第二項の主務大臣が行った同項の承認の処分に関し、各承認の処分ごとに、承認に係る者が離職前五年間に在職していた特殊法人等における職、承認に係る営利企業の地位、承認をした理由その他必要な事項を報告しなければならない。

 (再就職者による依頼等の規制)

第六条 特殊法人等の役員又は職員であった者であって離職後に営利企業の地位に就いている者(以下「再就職者」という。)は、離職前五年間に在職していた部等組織(特殊法人等の業務を遂行するために置かれる部その他の組織として政令で定めるものをいう。以下同じ。)に属する役員若しくは職員に対し、特殊法人等と当該営利企業若しくはその子法人(当該営利企業に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下同じ。)との間で締結される売買、貸借、請負その他の契約又は当該営利企業若しくはその子法人に対して行われる行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第二号に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であって離職前五年間の職務に属するものに関し、離職後七年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

2 前項の規定によるもののほか、再就職者は、在職していた特殊法人等の役員若しくは職員に対し、特殊法人等と営利企業(当該再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であって当該特殊法人等においてその締結について自らが決定したもの又は当該特殊法人等による当該営利企業若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であって自らが決定したものに関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

3 前二項の規定は、特殊法人等との間で締結された契約に基づき、権利を行使し、若しくは義務を履行する場合その他再就職者が特殊法人等の役員又は職員に対し、契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼することにより特殊法人等の業務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合には、適用しない。

4 特殊法人等の役員又は職員は、前項の場合を除き、再就職者から第一項及び第二項の規定により禁止される要求又は依頼を受けたときは、政令で定めるところにより、任命権者にその旨を届け出なければならない。

 (調査等)

第七条 任命権者は、前条第四項の届出があったときは、同条第一項又は第二項の規定に違反する行為に関し、調査を行うものとする。

2 任命権者は、前項の調査の結果に基づき、告発その他必要な措置を講ずるものとする。

 (罰則)

第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 第三条第一項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者

 二 離職後七年を経過するまでの間に、離職前五年間に在職していた部等組織に属する役員又は職員に対し、契約等事務であって離職前五年間の職務に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

 三 在職していた特殊法人等の役員又は職員に対し、特殊法人等と営利企業(再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であって当該特殊法人等においてその締結について自らが決定したもの又は当該特殊法人等による当該営利企業若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であって自らが決定したものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

 四 前二号に掲げる再就職者から要求又は依頼を受けた特殊法人等の役員又は職員であって、当該要求又は依頼を受けたことを理由として、職務上不正な行為をし、又は相当の行為をしなかった者

第九条 第六条第一項又は第二項の規定に違反して、特殊法人等の役員又は職員に対し、契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼した者(不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した者を除く。)は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

2 特殊法人等の役員又は職員であった者がこの法律の施行の際その離職後二年を経過していない者である場合には、第三条第一項の規定は、適用がないものとする。


     理 由

 特殊法人等の業務の適正な運営の確保等に資するため、特殊法人等の役員及び職員について、その離職後、特殊法人等と密接な関係にある特定の私企業の地位に就くことの制限に関する措置及び再就職者による依頼等の規制に関する措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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