衆議院

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第一六九回

閣第七六号

   行政不服審査法案

 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の全部を改正する。

目次

 第一章 総則(第一条−第七条)

 第二章 審査請求

  第一節 審査庁及び審理関係人(第八条−第十六条)

  第二節 審査請求の手続(第十七条−第二十六条)

  第三節 審理員による審理手続(第二十七条−第四十一条)

  第四節 行政不服審査会等への諮問等(第四十二条)

  第五節 裁決(第四十三条−第五十二条)

 第三章 再調査の請求(第五十三条−第五十九条)

 第四章 行政不服審査会等

  第一節 行政不服審査会

   第一款 設置及び組織(第六十条−第六十五条)

   第二款 審査会の調査審議の手続(第六十六条−第七十一条)

   第三款 雑則(第七十二条)

  第二節 地方公共団体に置かれる機関(第七十三条)

 第五章 補則(第七十四条−第七十七条)

 附則

   第一章 総則

 (目的等)

第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てを行うことができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

 (処分についての審査請求)

第二条 行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条の定めるところにより、審査請求をすることができる。

 (不作為についての審査請求)

第三条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。

 (審査請求)

第四条 審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。

 一 処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する庁の長である場合 当該処分庁等

 二 主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該主任の大臣

 三 宮内庁長官又は内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合 宮内庁長官又は当該庁の長

 四 前三号に掲げる場合以外の場合 当該処分庁等の最上級行政庁

 (再調査の請求の前置)

第五条 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に処分庁に対する再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

 一 処分庁が、当該処分につき再調査の請求をすることができる旨を教示しなかった場合

 二 当該処分につき再調査の請求をした日(第五十九条において読み替えて準用する第二十二条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)から二月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合

 三 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

 (適用除外)

第六条 次に掲げる処分及びその不作為については、第二条及び第三条の規定は、適用しない。

 一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分

 二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分

 三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分

 四 検査官会議で決すべきものとされている処分

 五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの

 六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分

 七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分

 八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分

 九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分

 十 外国人の出入国又は帰化に関する処分

 十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分

 十二 この法律に基づく処分(第四章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)

 (特別の不服申立ての制度)

第七条 前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。

   第二章 審査請求

    第一節 審査庁及び審理関係人

 (審理員)

第八条 第四条又は他の法律の規定により審査請求がされた行政庁(第十三条の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。以下「審査庁」という。)は、審査庁に所属する職員(第十六条に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから第三節に規定する審理手続(この節に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる機関が審査庁である場合若しくは条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合又は第二十三条の規定により当該審査請求を却下する場合は、この限りでない。

 一 内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項又は国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会

 二 内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条又は国家行政組織法第八条に規定する機関

 三 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百三十八条の四第一項に規定する委員会若しくは委員又は同条第三項に規定する機関

2 審査庁が前項の規定により指名する者は、次に掲げる者以外の者でなければならない。

 一 審査請求に係る処分若しくは当該処分に係る再調査の請求についての決定に関与した者又は審査請求に係る不作為に係る処分に関与し、若しくは関与することとなる者

 二 審査請求人

 三 審査請求人の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族

 四 前号に掲げる者であった者

 五 審査請求人の代理人又は後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人若しくは補助監督人

 六 第十二条第一項に規定する利害関係人

3 審査庁が第一項各号に掲げる機関である場合又は条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合においては、別表第一の上欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとし、第十六条、第三十九条、第四十一条及び第四十九条第二項の規定は、適用しない。

 (法人でない社団又は財団の審査請求)

第九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。

 (総代)

第十条 多数人が共同して審査請求をしようとするときは、三人を超えない総代を互選することができる。

2 共同審査請求人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、第八条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)は、総代の互選を命ずることができる。

3 総代は、各自、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを除き、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。

4 総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。

5 共同審査請求人に対する行政庁の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。

6 共同審査請求人は、必要があると認める場合には、総代を解任することができる。

 (代理人による審査請求)

第十一条 審査請求は、代理人によってすることができる。

2 前項の代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

 (参加人)

第十二条 利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。

2 審理員は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。

3 審査請求への参加は、代理人によってすることができる。

4 前項の代理人は、各自、第一項又は第二項の規定により当該審査請求に参加する者(以下「参加人」という。)のために、当該審査請求への参加に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求への参加の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

 (行政庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置)

第十三条 行政庁が審査請求がされた後法令の改廃により当該審査請求につき裁決をする権限を有しなくなったときは、当該行政庁は、第十八条に規定する審査請求書又は第二十条第二項に規定する審査請求録取書及び関係書類その他の物件を新たに当該審査請求につき裁決をする権限を有することとなった行政庁に引き継がなければならない。この場合において、その引継ぎを受けた行政庁は、速やかに、その旨を審査請求人及び参加人に通知しなければならない。

 (審理手続の承継)

第十四条 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

2 審査請求人について合併又は分割(審査請求の目的である処分に係る権利を承継させるものに限る。)があったときは、合併後存続する法人その他の社団若しくは財団若しくは合併により設立された法人その他の社団若しくは財団又は分割により当該権利を承継した法人は、審査請求人の地位を承継する。

3 前二項の場合には、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は法人その他の社団若しくは財団は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。この場合には、届出書には、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添付しなければならない。

4 第一項又は第二項の場合において、前項の規定による届出がされるまでの間において、死亡者又は合併前の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割をした法人にあててされた通知が審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は合併後の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割により審査請求人の地位を承継した法人に到達したときは、当該通知は、これらの者に対する通知としての効力を有する。

5 第一項の場合において、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者が二人以上あるときは、その一人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなす。

6 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。

 (標準審理期間)

第十五条 第四条又は他の法律の規定により審査庁となるべき行政庁(以下「審査庁となるべき行政庁」という。)は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁(当該審査請求の対象となるべき処分の権限を有する行政庁であって当該審査庁となるべき行政庁以外のものをいう。次条において同じ。)の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

 (審理員となるべき者の名簿)

第十六条 審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めるとともに、これを作成したときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

    第二節 審査請求の手続

 (審査請求期間)

第十七条 審査請求は、処分があったことを知った日から三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日から一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)の日から一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3 次条に規定する審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便で提出した場合における前二項に規定する期間(以下「審査請求期間」という。)の計算については、送付に要した日数は、算入しない。

 (審査請求書の提出)

第十八条 審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。

2 処分についての審査請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 審査請求人の氏名又は名称及び住所

 二 審査請求に係る処分の内容

 三 審査請求に係る処分があったことを知った年月日

 四 審査請求の趣旨及び理由

 五 処分庁の教示の有無及びその内容

 六 審査請求の年月日

3 不作為についての審査請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 審査請求人の氏名又は名称及び住所

 二 当該不作為に係る処分についての申請の内容及び年月日

 三 審査請求の年月日

4 審査請求人が、法人その他の社団若しくは財団である場合、総代を互選した場合又は代理人によって審査請求をする場合には、審査請求書には、第二項各号又は前項各号に掲げる事項のほか、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所を記載しなければならない。

5 処分についての審査請求書には、第二項及び前項に規定する事項のほか、次の各号に掲げる場合においては、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

 一 第五条第二号の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 再調査の請求をした年月日

 二 第五条第三号の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 その決定を経ないことについての正当な理由

 三 審査請求期間の経過後において審査請求をする場合 前条第一項ただし書又は第二項ただし書に規定する正当な理由

 (口頭による審査請求)

第十九条 口頭で審査請求をする場合には、前条第二項から第五項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において陳述を受けた審査庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければならない。

 (処分庁等を経由する審査請求)

第二十条 審査庁となるべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができる。この場合において審査請求人は、処分庁等に審査請求書を提出し、又は処分庁等に対し第十八条第二項から第五項までに規定する事項を陳述するものとする。

2 前項の場合には、処分庁等は、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書(前条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。第二十八条第一項において同じ。)を審査庁に送付しなければならない。

3 第一項の場合における審査請求期間の計算については、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、処分についての審査請求があったものとみなす。

 (誤った教示をした場合の救済)

第二十一条 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

2 前項の規定により処分庁に審査請求書が送付されたときは、処分庁は、速やかに、これを審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

3 第一項の処分のうち、再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書(第五十九条において読み替えて準用する第十八条に規定する再調査の請求書をいう。次項において同じ。)又は再調査の請求録取書(第五十九条において準用する第十九条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。次項において同じ。)を審査庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければならない。

4 前三項の規定により審査請求書又は再調査の請求書若しくは再調査の請求録取書が審査庁に送付されたときは、初めから審査庁に審査請求がされたものとみなす。

 (審査請求書の補正)

第二十二条 審査請求書が第十八条の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。

 (審理員による審理手続を経ないでする却下裁決)

第二十三条 前条の場合において、審査請求人が同条の期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、次節に規定する審理員による審理手続を経ないで、第四十四条第一項又は第四十八条第一項の規定に基づき、裁決で、当該審査請求を却下することができる。

2 審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、前項と同様とする。

 (執行停止)

第二十四条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。

3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。

4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。

5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。

7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第三十九条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

 (執行停止の取消し)

第二十五条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

 (審査請求の取下げ)

第二十六条 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。

2 審査請求の取下げは、書面でしなければならない。

    第三節 審理員による審理手続

 (審理手続の計画的進行)

第二十七条 審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。

 (弁明書の提出)

第二十八条 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。

2 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとする。

3 処分庁等は、前項の弁明書に、次の各号の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

 一 処分についての審査請求に対する弁明書 処分の内容及び理由

 二 不作為についての審査請求に対する弁明書 処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由

4 処分庁が次に掲げる書面を所持する場合には、前項第一号に掲げる弁明書にこれを添付するものとする。

 一 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十四条第一項の調書及び同条第三項の報告書

 二 行政手続法第二十九条第一項に規定する弁明書

5 審理員は、処分庁等から弁明書の提出があったときは、これを審査請求人及び参加人に送付しなければならない。

 (反論書等の提出)

第二十九条 審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

2 参加人は、審査請求に係る事件に関する意見を記載した書面(第三十九条を除き、以下「意見書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

3 審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。

 (口頭意見陳述)

第三十条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事由により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

2 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、すべての審理関係人を招集して行わせるものとする。

3 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

4 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

5 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

 (証拠書類等の提出)

第三十一条 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。

2 処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。

3 前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

 (物件の提出要求)

第三十二条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。

 (参考人の陳述及び鑑定の要求)

第三十三条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実の陳述を求め、又は鑑定を求めることができる。

 (検証)

第三十四条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。

2 審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。

 (審理関係人への質問)

第三十五条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。

 (審理手続の計画的遂行)

第三十六条 審理員は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第三十条から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。

2 審理員は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、第三十条から前条までに定める審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。

3 審理員は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第三十条から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第四十条第一項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

 (審査請求人等による物件の閲覧)

第三十七条 審査請求人又は参加人は、第四十条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、第二十八条第四項各号に掲げる書面又は第三十一条第一項若しくは第二項若しくは第三十二条の規定により提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

2 審理員は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

 (手続の併合又は分離)

第三十八条 審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求を併合し、又は併合された数個の審査請求を分離することができる。

 (審理員による執行停止の意見書の提出)

第三十九条 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。

 (審理手続の終結)

第四十条 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。

2 前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。

 一 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。

  イ 第二十八条第二項 弁明書

  ロ 第二十九条第一項後段 反論書

  ハ 第二十九条第二項後段 意見書

  ニ 第三十一条第三項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件

  ホ 第三十二条前段 書類その他の物件

 二 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。

3 審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。次条第二項及び第四十二条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

 (審理員意見書)

第四十一条 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない。

2 審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。

    第四節 行政不服審査会等への諮問等

第四十二条 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区並びに地方公共団体の組合に限る。以下この条及び第七十三条において同じ。)の長である場合にあっては第七十三条第一項に規定する機関に、それぞれ諮問しなければならない。

 一 審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律(条例に基づく処分については、条例)に第八条第一項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)の議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て当該処分が行われた場合

 二 裁決をしようとするときに他の法律(条例に基づく処分については、条例)に第八条第一項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるものの議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決をしようとする場合

 三 第四項の規定により審議会等の議を経て裁決をしようとする場合

 四 審査請求が、行政不服審査会又は第七十三条第一項に規定する機関(以下「行政不服審査会等」という。)によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合

 五 審査請求が不適法であり、却下する場合

 六 第四十五条第一項の規定により審査請求に係る処分(法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分及び事実行為を除く。)の全部を取り消し、又は第四十六条第一号若しくは第二号の規定により審査請求に係る事実行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することとする場合(当該処分の全部を取り消すこと若しくは当該事実行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することについて反対する旨の意見書が提出されている場合又は口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)

 七 第四十五条第二項各号又は第四十八条第三項各号に定める措置(法令に基づく申請の全部を認容すべき旨を命じ、又は認容するものに限る。)をとることとする場合(当該申請の全部を認容することについて反対する旨の意見書が提出されている場合又は口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)

2 前項の規定による諮問は、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければならない。

3 第一項の規定により諮問をした審査庁は、審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人)に対し、当該諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければならない。

4 審査請求に係る不作為に係る処分に関し、第一項第一号に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が第四十八条第三項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。

5 前項に規定する定めがある場合のほか、審査請求に係る不作為に係る処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が第四十八条第三項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。

    第五節 裁決

 (裁決の時期)

第四十三条 審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)は、遅滞なく、裁決をしなければならない。

 (処分についての審査請求の却下又は棄却)

第四十四条 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

 (処分についての審査請求の認容)

第四十五条 審査請求に係る処分(事実行為を除く。以下この条及び第四十七条において同じ。)が違法又は不当である場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。

2 前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。

 一 処分庁の上級行政庁である審査庁 当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。

 二 処分庁である審査庁 当該処分をすること。

第四十六条 審査請求に係る事実行為が違法又は不当である場合(第四十四条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、その旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実行為を変更すべき旨を命ずることはできない。

 一 処分庁以外の審査庁 当該処分庁に対し、当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。

 二 処分庁である審査庁 当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すること。

 (不利益変更の禁止)

第四十七条 第四十五条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。

 (不作為についての審査請求の裁決)

第四十八条 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 前項に規定する場合を除き、審査請求に係る不作為が違法又は不当のいずれでもない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 審査請求に係る不作為が違法又は不当である場合には、審査庁は、裁決で、その旨を宣言するとともに、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。

 一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。

 二 不作為庁である審査庁 当該処分をすること。

 (裁決の方式)

第四十九条 裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書により行わなければならない。

 一 主文

 二 事案の概要

 三 審理関係人の主張の要旨

 四 理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)

2 第四十二条第一項の規定による行政不服審査会等への諮問を要しない場合には、前項の裁決書には、審理員意見書を添付しなければならない。

 (裁決の効力発生)

第五十条 裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第四十五条第一項及び第四十六条の規定による裁決にあっては、審査請求人及び処分の相手方)に送達された時に、その効力を生ずる。

2 裁決の送達は、送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによって行う。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れない場合その他裁決書の謄本を送付することができない場合には、公示の方法によってすることができる。

3 公示の方法による送達は、審査庁が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を当該審査庁の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報又は新聞紙に少なくとも一回掲載してするものとする。この場合において、その掲示を始めた日から二週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があったものとみなす。

4 審査庁は、裁決書の謄本を参加人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に送付しなければならない。

 (裁決の拘束力)

第五十一条 裁決は、関係行政庁を拘束する。

2 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。

3 法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。

4 法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。

 (証拠書類等の返還)

第五十二条 審査庁は、裁決をしたときは、速やかに、第三十一条第一項又は第二項の規定により提出された証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件及び第三十二条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。

   第三章 再調査の請求

 (再調査の請求期間)

第五十三条 再調査の請求は、処分があったことを知った日から三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 再調査の請求は、処分の日から一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

 (再調査の請求についての決定を経ずに審査請求がされた場合)

第五十四条 第五条第二号に該当する場合において、同条ただし書の規定により審査請求がされたときは、同号の再調査の請求は、取り下げられたものとみなす。ただし、処分庁において当該審査請求がされた日以前に再調査の請求に係る処分(事実行為を除く。)を取り消す旨の第五十八条第一項の決定書の謄本を発している場合又は再調査の請求に係る事実行為を撤廃している場合は、当該審査請求(処分(事実行為を除く。)の一部を取り消す旨の第五十七条第一項の決定がされている場合又は事実行為の一部が撤廃されている場合にあっては、その部分に限る。)が取り下げられたものとみなす。

 (二月後の教示)

第五十五条 処分庁は、再調査の請求がされた日(第五十九条において読み替えて準用する第二十二条の規定により不備を補正すべきことを命じた場合にあっては、当該不備が補正された日)から二月を経過しても当該再調査の請求が係属しているときは、遅滞なく、当該処分について直ちに審査請求をすることができる旨を書面でその再調査の請求人に教示しなければならない。

 (再調査の請求の却下又は棄却の決定)

第五十六条 再調査の請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を却下する。

2 再調査の請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもない場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を棄却する。

 (再調査の請求の認容の決定)

第五十七条 再調査の請求に係る処分(事実行為を除く。)が違法又は不当である場合には、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。

2 再調査の請求に係る事実行為が違法又は不当である場合には、処分庁は、決定で、その旨を宣言するとともに、当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する。

3 処分庁は、前二項の場合において、再調査の請求人の不利益に当該処分又は当該事実行為を変更することはできない。

 (決定の方式)

第五十八条 前二条の決定は、主文及び理由を記載し、処分庁が記名押印した決定書により行わなければならない。

2 処分庁は、前項の決定書に、再調査の請求に係る処分につき審査請求をすることができる旨(却下の決定である場合にあっては、当該却下の決定が違法な場合に限り審査請求をすることができる旨)並びに審査庁及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければならない。

 (審査請求に関する規定の準用)

第五十九条 第九条から第十五条まで、第十七条第三項、第十八条(第三項並びに第五項第一号及び第二号を除く。)、第十九条、第二十二条、第二十三条、第二十四条(第三項を除く。)、第二十五条、第二十六条、第三十条(第五項を除く。)、第三十一条(第二項を除く。)、第三十八条、第五十条及び第五十二条の規定は、再調査の請求について準用する。この場合において、別表第二の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

   第四章 行政不服審査会等

    第一節 行政不服審査会

     第一款 設置及び組織

 (設置)

第六十条 総務省に、行政不服審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

3 審査会は、前項に規定するもののほか、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

 (組織)

第六十一条 審査会は、会長及び委員二十三人をもって組織する。

2 委員は、非常勤とする。ただし、そのうち七人以内は、常勤とすることができる。

3 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

4 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (会長及び委員)

第六十二条 会長及び委員は、審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。

2 会長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、総務大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、会長又は委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、総務大臣は、直ちにその会長又は委員を罷免しなければならない。

4 会長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の会長及び委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 会長及び委員は、再任されることができる。

6 会長及び委員の任期が満了したときは、当該会長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

7 総務大臣は、会長若しくは委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は会長若しくは委員に職務上の義務違反その他会長若しくは委員たるに適しない非行があると認める場合には、両議院の同意を得て、その会長又は委員を罷免することができる。

8 会長及び委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

9 会長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

10 会長及び常勤の委員は、在任中、総務大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

11 会長及び委員の給与は、別に法律で定める。

 (専門委員)

第六十三条 審査会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。

2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、総務大臣が任命する。

3 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

4 専門委員は、非常勤とする。

 (合議体)

第六十四条 審査会は、会長及び委員のうちから、審査会が指名する者三人をもって構成する合議体で、審査請求に係る事件について調査審議する。

2 前項の規定にかかわらず、審査会が定める場合においては、会長及び委員の全員をもって構成する合議体で、審査請求に係る事件について調査審議する。

 (事務局)

第六十五条 審査会の事務を処理させるため、審査会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。

3 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。

     第二款 審査会の調査審議の手続

 (審査会の調査権限)

第六十六条 審査会は、必要があると認める場合には、審査請求に係る事件に関し、審査請求人、参加人又は第四十二条第一項の規定により審査会に諮問をした審査庁(以下この款において「審査関係人」という。)にその主張を記載した書面(以下この款において「主張書面」という。)又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実の陳述又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。

 (意見の陳述)

第六十七条 審査会は、審査関係人から申立てがあった場合には、当該審査関係人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認める場合には、この限りでない。

2 前項本文の場合において、審査請求人又は参加人は、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

 (主張書面等の提出)

第六十八条 審査関係人は、審査会に対し、主張書面又は資料を提出することができる。この場合において、審査会が、主張書面又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

 (委員による調査手続)

第六十九条 審査会は、必要があると認める場合には、その指名する会長又は委員に、第六十六条の規定による調査をさせ、又は第六十七条第一項本文の規定による審査関係人の意見の陳述を聴かせることができる。

 (提出資料の閲覧)

第七十条 審査関係人は、審査会に対し、審査会に提出された主張書面又は資料の閲覧を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

2 審査会は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

 (答申書の送付等)

第七十一条 審査会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。

     第三款 雑則

 (政令への委任)

第七十二条 この法律に定めるもののほか、審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

    第二節 地方公共団体に置かれる機関

第七十三条 地方公共団体に、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関を置く。

2 第六十六条から第七十一条までの規定は、前項の機関について準用する。

3 前二項に定めるもののほか、第一項の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、当該機関を置く地方公共団体の条例で定める。

   第五章 補則

 (審査庁等の教示)

第七十四条 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。

2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。

3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。

4 前三項の規定は、地方公共団体その他の公共団体に対する処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、適用しない。

 (教示をしなかった場合の不服申立て)

第七十五条 行政庁が前条の規定による教示をしなかった場合には、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。

2 第十八条(第五項第一号及び第二号を除く。)の規定は、前項の不服申立書について準用する。

3 第一項の規定により不服申立書の提出があった場合において、当該処分が処分庁以外の行政庁に対し審査請求をすることができる処分であるときは、処分庁は、速やかに、当該不服申立書を審査庁に送付しなければならない。当該処分が他の法令に基づき、処分庁以外の行政庁に不服申立てをすることができる処分であるときも、同様とする。

4 前項の規定により不服申立書が送付されたときは、初めから当該審査庁又は行政庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。

5 第三項の場合を除くほか、第一項の規定により不服申立書が提出されたときは、初めから当該処分庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。

 (政令への委任)

第七十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第七十七条 第六十二条第八項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

第二条 この法律による改正後の行政不服審査法第六十二条第一項の規定による審査会の会長及び委員の任命に関し必要な行為は、この法律の施行の日前においても、同項の規定の例により行うことができる。

 (経過措置)

第三条 行政庁の処分又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行後にされる行政庁の処分であって次の各号に掲げるもの又はこの法律の施行後にされる申請に係る行政庁の不作為であって次の各号に掲げるものに係るものについての不服申立てについては、当分の間、この法律の規定は適用せず、この法律による改正前の行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の規定はなおその効力を有する。

 一 地方自治法第二条第九項に規定する法定受託事務に係る処分

 二 地方自治法第百四十三条第一項の規定により普通地方公共団体の選挙管理委員会がする決定、同法第百八十条の五第七項の規定により普通地方公共団体の委員会の委員の選任権者若しくは委員の選任権者がする決定、同法第百八十四条第一項の規定により普通地方公共団体の選挙管理委員会がする決定、同法第二百三条、第二百四条若しくは第二百五条の規定により普通地方公共団体の機関がする給与その他の給付に関する処分、同法第二百三十八条の四の規定により普通地方公共団体の機関がする行政財産を使用する権利に関する処分、同法第二百四十三条の二第三項(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三十四条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定により普通地方公共団体の長(地方公営企業法第七条に規定する管理者を含む。)がする処分、普通地方公共団体の機関(指定管理者を含む。)がする公の施設を利用する権利に関する処分(次号から第三十二号までに掲げるものを除く。)又は普通地方公共団体の機関がする過料の処分(次号から第三十二号までに掲げるものを除く。)

 三 学校施設の確保に関する政令(昭和二十四年政令第三十四号)の規定により地方公共団体の長又は教育委員会がする処分(同令第二十二条第五項の補償金額の決定を除く。)

 四 漁港漁場整備法(昭和二十五年法律第百三十七号)若しくはこれに基づく命令の規定又は同法第二十六条の規定により定められた漁港管理規程により漁港管理者がする処分

 五 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定により特定行政庁、建築主事、建築監視員又は指定確認検査機関がする処分

 六 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の規定により収用委員会がする裁決(第一号に掲げるものを除く。)

 七 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)の規定により都道府県若しくは市町村である道路管理者がする処分(第一号に掲げるものを除く。)又は同法の規定により他の工作物の管理者が道路管理者に代わってする処分

 八 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)の規定により土地区画整理組合、区画整理会社、市町村、都道府県、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社がする処分(同法第百二十七条に規定するものを除く。)

 九 都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)の規定により地方公共団体である公園管理者がする同法第三十四条第一項各号に掲げる処分又は同法の規定により他の工作物の管理者が公園管理者に代わってする同項各号に掲げる処分若しくは同法第十二条第一項の規定による許可を与え、若しくは与えない処分

 十 高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)の規定により他の工作物の管理者が国土交通大臣に代わってする処分

 十一 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)第二十四条第一項の規定により施行者であった者がする承認又は不承認の処分(独立行政法人都市再生機構法(平成十五年法律第百号)附則第三十五条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第三十四条の規定による改正前の首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律第二十四条第一項の規定により独立行政法人都市再生機構がする承認又は不承認の処分を含む。)

 十二 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定により市町村、特別区又は国民健康保険組合がする保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他同法の規定による徴収金に関する処分

 十三 住宅地区改良法(昭和三十五年法律第八十四号)第十一条第二項又は第十三条第二項の規定により施行者がする処分

 十四 共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)の規定により都道府県又は市町村である道路管理者がする処分(第一号に掲げるものを除く。)

 十五 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)第三十三条第一項の規定により施行者であった者がする承認又は不承認の処分(独立行政法人都市再生機構法附則第四十二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第四十一条の規定による改正前の近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律第三十三条第一項の規定により独立行政法人都市再生機構がする承認又は不承認の処分を含む。)

 十六 河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)の規定により他の工作物の管理者が河川管理者に代わってする処分(第一号に掲げるものを除く。)

 十七 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の規定により市町村長がする処分

 十八 都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)の規定により市街地再開発組合、再開発会社、市町村、都道府県、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社がする処分(同法第百二十七条に規定するものを除く。)

 十九 新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)第二章第三節の規定により施行者がその施行する土地整理に関してする処分(同法第六十四条第一項に規定するものを除く。)

 二十 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十四条第一項の規定により都道府県知事がする処分

 二十一 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号。第四章を除く。)又はこれに基づく命令の規定により住宅街区整備組合、市町村、都府県、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社がする処分(同法第九十七条に規定するものを除く。)

 二十二 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定により市町村又は後期高齢者医療広域連合がする後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他同法第四章の規定による徴収金に関する処分

 二十三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三条又は第四条の規定により都道府県公安委員会がする指定

 二十四 電線共同溝の整備等に関する特別措置法(平成七年法律第三十九号)の規定により都道府県又は市町村である道路管理者がする処分(第一号に掲げるものを除く。)

 二十五 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成九年法律第四十九号)第十五条第一項、第十八条第一項若しくは第二十八条第一項の規定により市町村長がする処分又は同法第六章の規定により防災街区整備事業組合、事業会社、市町村、都道府県、独立行政法人都市再生機構若しくは地方住宅供給公社がする処分(同法第三百五条に規定するものを除く。)

 二十六 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により市町村又は特別区がする保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他同法の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び同法第百五十七条第一項に規定する延滞金を除く。)に関する処分

 二十七 大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成十二年法律第八十七号)の規定により都道府県知事がする使用の認可に関する処分

 二十八 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第五十八条第四項の規定により市町村が道路管理者に代わってする処分(第一号に掲げるものを除く。)

 二十九 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(平成十四年法律第七十八号)第百四条第一項、第百七条第一項、第百十一条第一項(同法第百十六条において準用する場合を含む。)、第百十二条第一項又は第百十五条第一項の規定により市町村長がする処分

 三十 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)の規定により市町村がする介護給付費等に係る処分

 三十一 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)第三十二条第五項の規定により市町村が道路管理者に代わってする処分(第一号に掲げるものを除く。)

 三十二 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成二十年法律第▼▼▼号)第二十五条第三項の規定により認定市町村が公園管理者に代わってする都市公園法第三十四条第一項各号に掲げる処分

 (その他の経過措置の政令への委任)

第五条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

別表第一(第八条関係)

第十条第二項

第八条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)

審査庁

第十二条第一項及び第二項

審理員

審査庁

第二十三条の見出し及び同条第一項

審理員による審理手続

審理手続

第二十四条第七項

執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第三十九条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき

執行停止の申立てがあったとき

第三節の節名

審理員による審理手続

審理手続

第二十七条

審理員

審査庁

第二十八条第一項

審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに

審査庁は、審査請求がされたときは、第二十三条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、速やかに

第二十八条第二項

審理員は

審査庁は、審査庁が処分庁等以外である場合にあっては

 

提出を求めるもの

提出を求め、審査庁が処分庁等である場合にあっては、相当の期間内に、弁明書を作成するもの

第二十八条第五項

審理員は

審査庁は、第二項の規定により

 

提出があったとき

提出があったとき、又は弁明書を作成したとき

第二十九条第一項及び第二項

審理員

審査庁

第二十九条第三項

審理員

審査庁

 

参加人及び処分庁等

参加人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、参加人)

 

審査請求人及び処分庁等

審査請求人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人)

第三十条第一項

審理員

審査庁

第三十条第二項

審理員

審査庁

 

審理関係人

審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人。以下この節及び第四十九条第一項第三号において同じ。)

第三十条第三項から第五項まで、第三十一条第三項、第三十二条から第三十八条まで並びに第四十条第一項及び第二項

審理員

審査庁

第四十条第三項

審理員が

審査庁が

 

終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。次条第二項及び第四十二条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする

終結した旨を通知するものとする

第四十三条

行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)

審理手続を終結したとき

第四十九条第一項第四号

理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)

理由

別表第二(第五十九条関係)

第十条第二項

第八条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)

処分庁

第十二条第一項及び第二項

審理員

処分庁

第十三条

第十八条に規定する審査請求書

第五十九条において読み替えて準用する第十八条に規定する再調査の請求書

 

第二十条第二項に規定する審査請求録取書

第二十一条第三項に規定する再調査の請求録取書

第十五条

第四条又は他の法律の規定により審査庁となるべき行政庁(以下「審査庁となるべき行政庁」という。)

再調査の請求の対象となるべき処分の権限を有する行政庁

 

当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁(当該審査請求の対象となるべき処分の権限を有する行政庁であって当該審査庁となるべき行政庁以外のものをいう。次条において同じ。)

当該行政庁

第十七条第三項

次条に規定する審査請求書

第五十九条において読み替えて準用する次条に規定する再調査の請求書

 

前二項に規定する期間(以下「審査請求期間」という。)

第五十三条に規定する期間

第十八条の見出し及び同条第一項

審査請求書

再調査の請求書

第十八条第二項

処分についての審査請求書

再調査の請求書

第十八条第四項

審査請求書

再調査の請求書

第十八条第五項

処分についての審査請求書

再調査の請求書

 

審査請求期間

第五十三条に規定する期間

 

前条第一項ただし書又は第二項ただし書

同条第一項ただし書又は第二項ただし書

第二十二条(見出しを含む。)

審査請求書

再調査の請求書

第二十三条の見出し

審理員による審理手続

審理手続

第二十三条第一項

次節に規定する審理員による審理手続を経ないで、第四十四条第一項又は第四十八条第一項

審理手続を経ないで、第五十六条第一項

第二十四条第二項

処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁

処分庁

第二十四条第七項

執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第三十九条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき

執行停止の申立てがあったとき

第三十条第一項

審理員

処分庁

第三十条第二項

審理員

処分庁

 

すべての審理関係人

再調査の請求人及び参加人

第三十条第三項及び第四項、第三十一条第三項並びに第三十八条

審理員

処分庁

第五十条第一項

第四十五条第一項及び第四十六条

第五十七条第一項及び第二項

第五十条第四項

参加人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)

参加人

第五十二条

第三十一条第一項又は第二項の規定により提出された証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件及び第三十二条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件

第三十一条第一項の規定により提出された証拠書類又は証拠物


     理 由

 行政庁の処分又は不作為に対する不服申立ての制度について、より簡易迅速かつ公正な手続による国民の権利利益の救済を図るため、不服申立ての種類の一元化及び審理の一段階化、審理員による審理手続、行政不服審査会への諮問手続の導入等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
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