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第一七〇回

閣第一号

   消費者庁設置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 消費者庁の設置並びに任務及び所掌事務等

  第一節 消費者庁の設置(第二条)

  第二節 消費者庁の任務及び所掌事務等(第三条−第五条)

 第三章 審議会等(第六条−第十二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、消費者庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。

   第二章 消費者庁の設置並びに任務及び所掌事務等

    第一節 消費者庁の設置

 (設置)

第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、消費者庁を設置する。

2 消費者庁の長は、消費者庁長官(以下「長官」という。)とする。

    第二節 消費者庁の任務及び所掌事務等

 (任務)

第三条 消費者庁は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を行うことを任務とする。

 (所掌事務)

第四条 消費者庁は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。

 二 消費者の利益の擁護及び増進に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。

 三 消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。

 四 消費者安全法(平成二十年法律第▼▼▼号)の規定による消費者安全の確保に関すること。

 五 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の規定による宅地建物取引業者の相手方等(同法第三十五条第一項第十四号イに規定するものに限る。)の利益の保護に関すること。

 六 旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)の規定による旅行者の利益の保護に関すること。

 七 割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)の規定による購入者等(同法第一条第一項に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。

 八 消費生活用製品安全法(昭和四十八年法律第三十一号)第三章第二節の規定による重大製品事故に関する措置に関すること。

 九 特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)の規定による購入者等(同法第一条に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。

 十 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)の規定による個人である資金需要者等(同法第二十四条の六の三第三項に規定するものをいう。)の利益の保護に関すること。

 十一 特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)の規定による預託者の利益の保護に関すること。

 十二 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)の規定による特定電子メールの受信をする者の利益の保護に関すること。

 十三 食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第二十一条第一項に規定する基本的事項の策定並びに食品の安全性の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。

 十四 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第二条第三項又は第四項に規定する景品類又は表示(第六条第二項第一号ハにおいて「景品類等」という。)の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関すること。

 十五 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十九条第一項(同法第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する表示についての基準に関すること。

 十六 食品衛生法第二十条(同法第六十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する虚偽の又は誇大な表示又は広告のされた同法第四条第一項、第二項、第四項若しくは第五項に規定する食品、添加物、器具若しくは容器包装又は同法第六十二条第一項に規定するおもちゃの取締りに関すること。

 十七 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第十九条の十三第一項から第三項までに規定する基準に関すること。

 十八 家庭用品品質表示法(昭和三十七年法律第百四号)第三条第一項に規定する表示の標準となるべき事項に関すること。

 十九 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第二条第三項に規定する日本住宅性能表示基準に関すること(個人である住宅購入者等(同条第四項に規定するものをいう。)の利益の保護に係るものに限る。)。

 二十 健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十六条第一項に規定する特別用途表示、同法第三十一条第一項に規定する栄養表示基準及び同法第三十二条の二第一項に規定する表示に関すること。

 二十一 物価に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。

 二十二 公益通報者(公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)第二条第二項に規定するものをいう。第六条第二項第一号ホにおいて同じ。)の保護に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。

 二十三 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第七条第一項に規定する個人情報の保護に関する基本方針の策定及び推進に関すること。

 二十四 消費生活の動向に関する総合的な調査に関すること。

 二十五 所掌事務に係る国際協力に関すること。

 二十六 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。

 二十七 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき消費者庁に属させられた事務

 (関係行政機関との協力)

第五条 長官は、消費者庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができる。

   第三章 審議会等

 (設置)

第六条 消費者庁に、消費者政策委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 内閣総理大臣、関係各大臣又は長官の諮問に応じ、次に掲げる重要事項を調査審議すること。

  イ 消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項

  ロ 消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要事項

  ハ 景品類等の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関する重要事項

  ニ 物価に関する基本的な政策に関する重要事項

  ホ 公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項

  ヘ 個人情報の適正な取扱いの確保に関する重要事項

  ト 消費生活の動向に関する総合的な調査に関する重要事項

 二 前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に意見を述べること。

 三 消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)、消費者安全法、割賦販売法、特定商取引に関する法律、特定商品等の預託等取引契約に関する法律、食品安全基本法、不当景品類及び不当表示防止法、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、家庭用品品質表示法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)及び個人情報の保護に関する法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

 (組織)

第七条 委員会は、委員十五人以内で組織する。

2 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。

3 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

 (委員等の任命)

第八条 委員及び臨時委員は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

2 専門委員は、当該専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

 (委員の任期等)

第九条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。

4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

5 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

 (委員長)

第十条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。

2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (事務局)

第十一条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。

3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 (政令への委任)

第十二条 第六条から前条までに定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


     理 由

 消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を一体的に行わせるため、内閣府の外局として消費者庁を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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