衆議院

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第一七一回

衆第三七号

   債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案

 債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。

 目次を次のように改める。

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 債権回収会社

  第一節 許可等(第三条−第十条)

  第二節 業務(第十一条−第十九条の二)

  第三節 監督(第二十条−第二十五条の二)

 第三章 債権管理回収業協会

  第一節 設立及び業務(第二十五条の三−第二十五条の十三)

  第二節 協会員(第二十五条の十四・第二十五条の十五)

  第三節 管理(第二十五条の十六−第二十五条の十九)

  第四節 監督(第二十五条の二十−第二十五条の二十三)

  第五節 雑則(第二十五条の二十四−第二十五条の二十八)

 第四章 雑則(第二十六条−第三十二条)

 第五章 罰則(第三十三条−第三十八条)

 附則

 第一条中「行うことによりその」を「行い、あわせて債権回収会社の組織する団体を認可する制度を設けその適正な活動を促進することにより、債権回収会社の」に改め、「確保」の下に「及び債務者等の利益の保護」を加える。

 「第二章 許可等」を「第二章 債権回収会社」に改める。

 第二章中第三条の前に次の節名を付する。

    第一節 許可等

 第四条第一項第三号中「以下」を「次号、第二十五条の二第二項及び第二十九条において」に改める。

 第五条第八号中「足りる」の下に「経理的基礎又は」を加える。

 第三章の章名を削り、第十条の次に次の節名を付する。

    第二節 業務

 第十七条第一項中「又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させては」を「、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしては」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として法務省令で定める時間帯に、特定金銭債権の債務者若しくは保証人(以下「債務者等」という。)に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

 二 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する法務省令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

 三 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。

 四 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。

 五 特定金銭債権に係る債務の弁済を要求するに際し、はり紙、立看板その他何らの方法をもってするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。

 六 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により特定金銭債権に係る債務の弁済資金を調達することを要求すること。

 七 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること。

 八 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。

 九 債務者等が、特定金銭債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

 十 債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。

 第十八条第三項中「債権管理回収業に係る債権の債務者又は保証人(以下この条において「債務者等」という。)」を「債務者等」に改め、同条第四項中「偽りその他不正の手段を用いては」を「次に掲げる行為をしては」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 債務者等に対し、虚偽のことを告げ、又は特定金銭債権に係る契約の内容のうち重要な事項を告げない行為

 二 債務者等に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為(次号に掲げる行為を除く。)

 三 保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為

 四 前三号に掲げるもののほか、偽りその他不正又は著しく不当な行為

 第十八条第六項から第八項までを削り、同条第九項を同条第六項とし、同条の次に次の二条を加える。

 (弁済に係る事項を記載した書面の交付を受ける義務)

第十八条の二 債権回収会社は、前条第五項に定める債務に係る特定金銭債権の管理若しくは回収の委託を受け、又はこれを譲り受けるに当たっては、当該特定金銭債権の管理若しくは回収の委託又は譲渡をした者から、当該委託又は譲渡前の弁済に係る受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額、受領年月日その他の法務省令で定める事項を記載した書面の交付を受けなければならない。

 (債務者等の事業の継続等への配慮等)

第十八条の三 債権回収会社は、特定金銭債権の管理又は回収の業務を行うに当たっては、当該特定金銭債権に関する従前の経過を踏まえ、当該特定金銭債権の債務者等(物上保証人を含む。)の事業の継続若しくは再建又は生活の維持に配慮しなければならない。

2 前項の場合において、債権回収会社は、保証人の保証がある特定金銭債権(物上保証人により担保が付されている債権を含む。)の管理又は回収の業務を行うに当たっては、当該保証人が、当該特定金銭債権の債務者との関係、当該特定金銭債権の回収時における当該保証人の資力等に照らして過大な責任を負っているおそれがあることに特に留意しなければならない。

 第十九条第二項第三号中「前条」を「第十八条」に改め、第四章の章名を削り、同条の次に次の一条及び節名を加える。

 (保証人に対する債権譲渡等の通知等)

第十九条の二 債権回収会社に対し保証人の保証がある特定金銭債権の管理若しくは回収の委託又は譲渡をした者は、当該保証人に対し、当該委託又は譲渡をした旨、当該保証に係る債務の額その他法務省令で定める事項を通知するものとする。

2 債権回収会社は、前項の通知がないときは、同項の保証人に対し、同項の保証に係る債務の弁済を要求してはならない。

3 第一項の通知がないときは、同項の保証人は、自己の債務の履行を拒むことができる。

    第三節 監督

 第二十二条第一項中「確保する」を「確保し、債務者等の利益の保護を図る」に改める。

 第二十五条の次に次の一条及び一章を加える。

 (債権管理回収業協会の協会員でない債権回収会社に対する監督)

第二十五条の二 法務大臣は、債権管理回収業協会に加入していない債権回収会社の業務について、その業務の適正な運営を確保するとともに、債務者等の利益の保護に欠けることのないよう、債権管理回収業協会の定款、業務規程その他の規則を考慮し、適切な監督を行わなければならない。

2 前項に規定する監督を行うため、法務大臣は、債権管理回収業協会に加入していない債権回収会社に対して、債権管理回収業協会の定款、業務規程その他の規則を考慮し、当該債権回収会社又はその役員若しくは使用人が遵守すべき規則(以下「社内規則」という。)の作成又は変更を命ずることができる。

3 前項の規定により社内規則の作成又は変更を命ぜられた債権回収会社は、三十日以内に、当該社内規則の作成又は変更をし、法務大臣の承認を受けなければならない。

4 前項の承認を受けた債権回収会社は、当該承認を受けた社内規則を変更し、又は廃止しようとする場合においては、法務大臣の承認を受けなければならない。

   第三章 債権管理回収業協会

    第一節 設立及び業務

 (協会の目的等)

第二十五条の三 債権管理回収業協会(以下この章において「協会」という。)は、債務者等の利益の保護を図り、債権回収会社の業務の適正な運営の確保に資することを目的とする。

2 協会は、法人とする。

3 協会は、全国を地区とするものでなければならない。

4 協会は、その名称中に債権管理回収業協会という文字を用いなければならない。

5 協会でない者は、その名称又は商号中に、債権管理回収業協会であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

 (設立の認可)

第二十五条の四 協会は、債権回収会社でなければ、これを設立することができない。

2 債権回収会社は、協会を設立しようとするときは、法務大臣の認可を受けなければならない。

 (認可申請書の提出)

第二十五条の五 前条第二項の認可を受けようとする者は、その認可を受けようとする協会について、次に掲げる事項を記載した認可申請書を法務大臣に提出しなければならない。

 一 名称

 二 事務所の所在の場所

 三 役員の氏名及び協会員の商号

2 前項の認可申請書には、その認可を受けようとする協会の定款、業務規程その他の規則(以下「定款等」という。)その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。

 (認可申請書の審査)

第二十五条の六 法務大臣は、前条第一項の規定による認可の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。

 一 定款等の規定が法令に適合し、かつ、債務者等の利益の保護を図り、債権回収会社の業務の適正な運営の確保に資するために十分であること。

 二 当該申請に係る協会がこの法律の規定に適合するように組織されるものであること。

2 法務大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、設立の認可をしなければならない。

 一 認可申請者がこの法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わった後又は執行を受けることがないこととなった日から五年を経過するまでの者であるとき。

 二 認可を受けようとする協会の役員のうちに第五条第七号イからトまでのいずれかに該当する者があるとき。

 三 認可申請書又はその添付書類のうちに虚偽の記載があるとき。

3 法務大臣は、第二十五条の四第二項の認可をしようとするときは、前項第二号に該当する事由(第五条第七号ヘに係るものに限る。)の有無について、警察庁長官の意見を聴くものとする。

 (認可の取消し)

第二十五条の七 法務大臣は、協会がその設立の認可を受けた時点において前条第二項各号のいずれかに該当していたことが判明したときは、その認可を取り消すことができる。

 (営利追求の禁止)

第二十五条の八 協会は、営利の目的をもって業務を行ってはならない。

 (定款)

第二十五条の九 協会の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 主たる事務所その他の事務所の所在地

 四 協会員に関する事項

 五 総会に関する事項

 六 役員に関する事項

 七 理事会その他の会議に関する事項

 八 協会員の役員(取締役及び監査役(委員会設置会社にあっては、取締役及び執行役)をいう。第二十五条の十四第三項において同じ。)及び使用人の資質の向上に関する事項

 九 業務規程その他の規則の作成及び変更に関する事項

 十 協会員の法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款等の遵守の状況の調査に関する事項

 十一 会費に関する事項

 十二 会計及び資産に関する事項

 (業務規程の記載事項)

第二十五条の十 協会は、その業務規程において、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 協会員が債権を譲り受け、又はその管理若しくは回収の委託を受けるに当たり、当該債権が特定金銭債権に該当することを確認する態勢の整備その他協会員が行うことができる業務の範囲に関する法令の規定の遵守に関する事項

 二 協会員の業務に従事する者が人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をすることの防止に関する事項

 三 協会員が、暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用することの防止に関する事項

 四 協会員がその業務に関して行う広告に関する法令の遵守に関する事項

 五 特定金銭債権の管理又は回収を行うに当たって、当該特定金銭債権に関する従前の経過を踏まえ、第十八条の三第一項の債務者等の事業の継続若しくは再建又は生活の維持に配慮すべき事項(同条第二項の保証人の保証がある特定金銭債権の管理又は回収の業務を行うに当たって、債務者との関係、当該特定金銭債権の回収時における保証人の資力等に照らして特に留意すべき事項を含む。)

 六 協会員が債権管理回収業に係る債権の譲渡をしようとする場合において、その相手方が第十九条第二項の譲受け制限者でないこと等の調査に関する事項

 七 債権回収会社に対し保証人の保証がある特定金銭債権の管理若しくは回収の委託又は譲渡をした者による当該保証人に対する通知の実施の確保に関する事項

 八 協会員がその業務に関して取り扱う個人情報の保護に関する事項

 九 協会員に対する監査に関する事項

 十 協会員の行う業務に対する苦情の解決に関する事項

 十一 協会員の行う業務に争いがある場合のあっせんに関する事項

 十二 債務者等に対する返済又は過払金の返還の請求に関する相談又は助言その他の支援に関する事項

 十三 債権回収会社の業務に従事する者に対する研修に関する事項

 十四 前各号に掲げるもののほか、協会の目的を達成するために必要な事項

 (定款等の変更の認可等)

第二十五条の十一 協会は、定款又は業務規程を変更しようとするときは、法務大臣の認可を受けなければならない。

2 協会は、第二十五条の五第一項第二号又は第三号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく、その旨を法務大臣に届け出なければならない。協会の規則(定款及び業務規程を除く。)の作成、変更又は廃止があったときも、同様とする。

 (会長又は理事の行為についての損害賠償責任)

第二十五条の十二 協会は、会長又は理事がその職務を行うことについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。

 (協会の住所)

第二十五条の十三 協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

    第二節 協会員

 (協会員の資格及び協会への加入の制限)

第二十五条の十四 協会の協会員は、債権回収会社に限る。

2 協会は、その定款において、第四項の場合を除くほか、債権回収会社は何人も協会員として加入することができる旨を定めなければならない。

3 協会は、その定款において、協会員に、法令及び協会の定款等を遵守するための当該協会員又はその役員若しくは使用人が遵守すべき規則及び管理体制を整備させることにより、法令又は協会の定款等に違反する行為を防止して、当該協会員に対する信頼を確保することに努める旨を定めなければならない。

4 協会は、その定款において、法令若しくは法令に基づく法務大臣の処分に違反する行為をして、債権回収会社の業務の停止を命ぜられ、又は法令、法令に基づく行政官庁の処分若しくは当該協会の定款等に違反する行為をして、協会から除名の処分を受けたことがある者については、その者が協会員として加入することを拒否することができる旨を定めることができる。

5 協会は、協会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

6 協会に加入していない者は、その名称又は商号中に、協会員であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

 (協会員に対する処分等)

第二十五条の十五 協会は、その定款において、協会員が、法令、法令に基づく行政官庁の処分又は当該協会の定款等に違反する行為をした場合に、当該協会員に対し、過怠金を課し、定款の定める協会員の権利の停止若しくは制限を命じ、又は除名する旨を定めなければならない。

    第三節 管理

 (役員の選任及びその職務権限)

第二十五条の十六 協会に、役員として、会長一人、理事二人以上及び監事二人以上を置く。

2 会長は、協会を代表し、その事務を総理する。

3 理事は、定款の定めるところにより、協会を代表し、会長を補佐して協会の事務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。

4 監事は、協会の事務を監査する。

5 役員が第五条第七号イからトまでのいずれかに該当することとなったときは、その職を失う。

 (役員の解任命令)

第二十五条の十七 法務大臣は、不正の手段により役員となった者のあることを発見したとき又は役員が法令、法令に基づく行政官庁の処分若しくは定款若しくは業務規程に違反したときは、協会に対し、当該役員の解任を命ずることができる。

 (仮理事又は仮監事)

第二十五条の十八 法務大臣は、理事又は監事の職務を行う者のない場合において、必要があると認めるときは、仮理事又は仮監事を選任することができる。

 (秘密保持義務)

第二十五条の十九 協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

    第四節 監督

 (法務大臣への提出書類)

第二十五条の二十 協会は、事業年度ごとに、次に掲げる書類を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、法務大臣に提出しなければならない。

 一 前事業年度の事業概況報告書及び当該事業年度の事業計画書

 二 前事業年度末における財産目録

 三 前事業年度の収支決算書及び当該事業年度の収支予算書

 (報告徴収及び立入検査)

第二十五条の二十一 法務大臣は、債権回収会社の業務の適正な運営を確保し、債務者等の利益の保護を図るため必要があると認めるときは、協会に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、協会の事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (定款等の変更命令)

第二十五条の二十二 法務大臣は、協会の定款等又は業務の運営若しくは財産の状況に関し、債権回収会社の業務の適正な運営を確保し、債務者等の利益の保護を図るため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該協会に対し、定款等の変更その他監督上必要な措置をとることを命ずることができる。

 (法令違反等による認可の取消し、業務の停止、役員の解任等)

第二十五条の二十三 法務大臣は、協会が法令、法令に基づく行政官庁の処分若しくは当該協会の定款等(以下この条において「法令等」という。)に違反した場合又は協会員が法令等に違反する行為をしたにもかかわらず、当該協会員に対し法令等を遵守させるために協会がこの法律、この法律に基づく命令若しくは定款等により認められた権能を行使せずその他必要な措置をとることを怠った場合において、債権回収会社の業務の適正な運営を確保し、債務者等の利益の保護を図るため必要かつ適当であると認めるときは、その設立の認可を取り消し、一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、その業務の方法の変更若しくはその業務の一部の禁止を命じ、その役員の解任を命じ、又は定款等に定める必要な措置をとることを命ずることができる。

    第五節 雑則

 (苦情への対応)

第二十五条の二十四 協会は、債務者等(債務者等であった者を含む。)その他の者から協会員の行う業務に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該協会員に対し、その苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。

2 協会は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該協会員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。

3 協会員は、協会から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。

4 協会は、第一項の申出、当該苦情に係る事情及びその解決の結果について協会員に周知させなければならない。

 (協会によるあっせん)

第二十五条の二十五 協会員の行う業務につき争いがある場合においては、当事者は、その争いの解決を図るため、協会に申し立て、あっせんを求めることができる。

2 協会は、前項の規定による申立てを受けたときは、学識経験を有する者であってその申立てに係る争い(以下この条において「事件」という。)の当事者と特別の利害関係のない者をあっせん委員として選任し、当該あっせん委員によるあっせんに付するものとする。ただし、あっせん委員は、事件がその性質上あっせんを行うのに適当でないと認めるとき又は当事者が不当な目的でみだりにあっせんの申立てをしたと認めるときは、あっせんを行わないものとする。

3 あっせん委員は、当事者若しくは参考人から意見を聴取し、若しくは報告書の提出を求め、又は当事者から参考となるべき帳簿書類その他の物件の提出を求め、適当と認めたときは、事件の解決に必要なあっせん案を作成し、その受諾を勧告することができる。

4 協会員は、前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。

5 協会は、あっせんに関し要した費用の全部又は一部を、当事者から徴収することができる。

6 あっせん委員又はその職にあった者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

7 あっせん委員又はその職にあった者は、その職務に関して知り得た情報を、協会の業務の用に供する目的以外に利用してはならない。

 (協会の登記)

第二十五条の二十六 協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 協会は、その主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることによって成立する。

3 第一項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

 (協会の解散)

第二十五条の二十七 協会は、次の事由により解散する。

 一 定款に定める事由の発生

 二 総会の決議

 三 破産手続開始の決定

 四 協会の設立の認可の取消し

2 協会の解散に関する総会の決議は、法務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 協会が第一項第一号の規定により解散したときは、その代表者であった者は、遅滞なく、その旨を法務大臣に届け出なければならない。

4 協会について破産手続開始若しくは破産手続終結の決定があった場合又は破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定した場合には、裁判所書記官は、その旨を法務大臣に通知しなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、協会の解散に関し必要な事項は、政令で定める。

 (認可等の公示)

第二十五条の二十八 法務大臣は、次に掲げる場合には、その旨(第一号に掲げる場合にあってはその旨及び認可を受けた協会の定款等、第三号に掲げる場合にあってはその旨及び変更後の定款又は業務規程、第四号に掲げる場合にあってはその旨及び届出があった事項)を官報で公示しなければならない。

 一 第二十五条の四第二項の認可をしたとき。

 二 第二十五条の七の規定により認可を取り消したとき。

 三 第二十五条の十一第一項の認可をしたとき。

 四 第二十五条の十一第二項の届出があったとき。

 五 第二十五条の二十二の規定により定款等の変更その他監督上必要な措置をとることを命じたとき。

 六 第二十五条の二十三の規定により認可を取り消し、業務の停止を命じ、その業務の方法の変更若しくはその業務の禁止を命じ、その役員の解任を命じ、又は定款等に定める必要な措置をとることを命じたとき。

 七 前条第二項の認可をしたとき。

 八 前条第三項の届出があったとき。

 九 前条第四項の通知を受けたとき。

 第二十七条中「債権回収会社」の下に「又は債権管理回収業協会」を、「第七号ヘ」の下に「若しくは第二十五条の六第二項第二号」を、「事由」の下に「(同号に該当する事由にあっては、第五条第七号ヘに係るものに限る。)」を加える。

 第二十八条第一項中「債権回収会社」の下に「及び債権管理回収業協会」を加え、同条第二項中「債権回収会社」の下に「又は債権管理回収業協会」を加える。

 第五章を第四章とする。

 第三十三条中「三年」を「五年」に、「三百万円」を「千万円」に改め、同条の次に次の一条を加える。

第三十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第四条第一項の許可申請書又は同条第二項の書類に虚偽の記載をして提出した者

 二 第十七条第一項の規定に違反した者

 三 第二十五条の二十三の規定による命令(役員の解任の命令を除く。)に違反した者

 第三十四条第一号を削り、同条第七号を同条第九号とし、同条第四号から第六号までを二号ずつ繰り下げ、同条第三号を削り、同条第二号を同条第一号とし、同号の次に次の四号を加える。

 二 第十五条第一項の規定に違反して書面を交付せず、又は同項に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載をした書面を交付した者

 三 第十八条第一項の規定に違反した者

 四 第十八条第四項(第一号に係る部分に限る。)の規定に違反して虚偽のことを告げた者

 五 第十九条第二項の規定に違反して、同項第一号又は第二号に該当する者であることを知りながら、これを相手方として、債権管理回収業に係る債権の譲渡をした者

 第三十四条に次の五号を加える。

 十 第二十三条の規定による命令に違反した者

 十一 第二十五条の二第三項又は第四項の規定に違反して、三十日以内に、社内規則の作成若しくは変更をせず、若しくは法務大臣の承認を受けず、又は承認を受けた社内規則を法務大臣の承認を受けずに変更し、若しくは廃止した者

 十二 第二十五条の五第一項の認可申請書又は同条第二項の書類に虚偽の記載をして提出した者

 十三 第二十五条の二十一第一項の規定による命令に違反して、報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をした者

 十四 第二十五条の二十一第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

 第三十四条の次に次の三条を加える。

第三十四条の二 第二十五条の八の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第三十四条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第二十五条の十九の規定に違反して、職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者

 二 第二十五条の二十五第六項又は第七項の規定に違反して、職務に関して知り得た秘密を漏らし、若しくは盗用し、又は職務に関して知り得た情報を協会の業務の用に供する目的以外に利用した者

第三十四条の四 第十八条第二項の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をした者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第三十五条第三号を削り、同条第四号を同条第三号とし、同条第五号を同条第四号とし、同条第六号及び第七号を削り、同条第八号を同条第五号とし、同条第九号を削り、同条に次の一号を加える。

 六 第二十五条の十四第六項の規定に違反した者

 第三十五条の次に次の四条を加える。

第三十五条の二 第十条第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

第三十五条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十五条の十一第一項の規定に違反した者

 二 第二十五条の十一第二項前段の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

第三十五条の四 債権管理回収業協会の役員(仮理事及び仮監事を含む。)又は職員が、その職務に関して、賄()2 前項の場合において、収受した賄賂は、これを没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

3 第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

第三十五条の五 前条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

2 前条第三項の罪は、刑法第二条の例に従う。

 第三十六条第二号中「第三十四条第二号又は第四号から第七号」を「第三十四条第一号又は第六号から第九号」に改め、同条第三号中「第三十四条第一号若しくは第三号又は前条」を「第三十三条の二第一号若しくは第二号、第三十四条第二号から第五号まで、第十号若しくは第十一号、第三十四条の二又は第三十四条の四から第三十五条の三まで」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。

 三 第三十二条の二第三号又は第三十四条第十二号から第十四号まで 一億円以下の罰金刑

 第三十七条を次のように改める。

第三十七条 第二十五条の二十二の規定による命令に違反した場合においては、その行為をした債権管理回収業協会の役員(仮理事及び仮監事を含む。)は、百万円以下の過料に処する。

 本則に次の一条を加える。

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、その行為をした債権管理回収業協会の役員(仮理事を含む。)又は代表者であった者は、三十万円以下の過料に処する。

 一 第二十五条の十一第二項後段又は第二十五条の二十七第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第二十五条の十四第五項の規定に違反したとき。

 三 第二十五条の二十六第一項の規定に違反したとき。

2 第二十五条の三第五項の規定に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。

 第六章を第五章とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (弁済に係る事項を記載した書面の交付を受ける義務に関する経過措置)

第二条 この法律による改正後の債権管理回収業に関する特別措置法(以下「新法」という。)第十八条の二の規定は、債権回収会社(新法第二条第三項に規定する債権回収会社をいう。以下同じ。)がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に新法第十八条第五項に定める債務に係る特定金銭債権(新法第二条第一項に規定する特定金銭債権をいう。以下同じ。)の管理若しくは回収の委託を受け、又は譲り受ける場合について適用し、施行日前に債権回収会社が新法第十八条第五項に定める債務に係る特定金銭債権の管理若しくは回収の委託を受け、又は譲り受けた場合については、なお従前の例による。

 (保証人に対する債権譲渡等の通知等に関する経過措置)

第三条 新法第十九条の二の規定は、施行日以後に債権回収会社に対し管理若しくは回収の委託又は譲渡をされた保証人の保証がある特定金銭債権について適用し、施行日前に債権回収会社に対し管理若しくは回収の委託又は譲渡をされた保証人の保証がある特定金銭債権については、なお従前の例による。

 (債権管理回収業協会に関する経過措置)

第四条 新法第二十五条の四第二項の認可を受けようとする者は、施行日前においても、新法第二十五条の五第一項の規定の例により、その申請を行うことができる。

2 前項の申請に係る認可申請書には、定款、業務規程その他の規則その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。この場合において、当該書類は新法第二十五条の五第二項の規定により添付されたものとみなす。

3 前項の認可申請書又は同項の書類に虚偽の記載をして提出した者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4 法人の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して一億円以下の罰金刑を、その人に対して同項の罰金刑を科する。

5 前二項の規定により刑に処せられた者は、新法の規定に違反し、刑に処せられた者とみなす。

第五条 新法第二十五条の四第二項の認可を受けた債権管理回収業協会の最初の事業年度の事業計画書、財産目録及び収支予算書については、新法第二十五条の二十中「毎事業年度経過」とあるのは「協会の設立」と、同条第一号中「前事業年度の事業概況報告書及び当該」とあるのは「協会の設立の日を含む」と、同条第二号中「前事業年度末」とあるのは「協会の設立の日」と、同条第三号中「前事業年度の収支決算書及び当該」とあるのは「協会の設立の日を含む」とする。

第六条 この法律の施行の際現にその名称又は商号中に、債権管理回収業協会又は債権管理回収業協会の協会員であると誤認されるおそれのある文字を用いている者については、新法第二十五条の三第五項及び第二十五条の十四第六項の規定は、施行日以後六月間は、適用しない。

 (罰則の適用に関する経過措置)

第七条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (地方税法の一部改正)

第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第七号中「貸金業協会」の次に「、債権管理回収業協会」を加える。

 (所得税法の一部改正)

第九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一国立大学法人の項の次に次のように加える。

債権管理回収業協会

債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)

 (法人税法の一部改正)

第十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二国民年金基金及び国民年金基金連合会の項の次に次のように加える。

債権管理回収業協会

債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)

 (消費税法の一部改正)

第十一条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  別表第三第一号の表国立大学法人の項の次に次のように加える。

債権管理回収業協会

債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)

 (暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部改正)

第十二条 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。

  別表第四十四号中「第六章」を「第五章」に改める。

 (貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)

第十三条 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第五十一条に次のように加える。

   第十八条の二中「前条第五項に定める」を「前条第五項各号に掲げる」に改める。

  附則第五十二条第一項中「債権管理回収業に関する特別措置法第二条第一項に規定する特定金銭債権」を「特定金銭債権(債権管理回収業に関する特別措置法第二条第一項に規定する特定金銭債権をいう。第四項において同じ。)」に改め、「次項」の下に「及び第四項」を加え、同条第二項中「次項」の下に「及び第四項」を加え、同条に次の一項を加える。

 4 債権回収会社が第二項の規定によりその支払の要求についてなお従前の例によることとされる債務又は前項の規定によりその支払の要求について新債権管理回収業法第十八条第五項の規定を適用しないこととされる債務に係る特定金銭債権については、新債権管理回収業法第十八条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (法務省設置法の一部改正)

第十四条 法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)の一部を次のように改める。

  第四条第二十五号中「債権管理回収業」の下に「及び債権管理回収業協会」を加える。

 (検討)

第十五条 政府は、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律における保証に関する規定について、債権回収会社による保証人に対する取立てに関する状況の推移を勘案しつつ、民法中債権に関する規定の見直しについての近時の検討状況を踏まえ、必要な見直しを行うものとする。

2 政府は、この法律の施行後三年を目途として、債権管理回収業協会における新法第二十五条の二十四及び第二十五条の二十五に規定する苦情への対応及びあっせんの業務の遂行状況、金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第▼▼▼号)による改正後のそれぞれの法律(以下「改正後の各法律」という。)に規定する指定紛争解決機関の指定状況及び改正後の各法律に規定する紛争解決等業務の遂行状況その他経済社会情勢等を勘案し、債権管理回収業を含めた金融分野における業態横断的かつ包括的な紛争解決体制の在り方その他の債権回収会社の行う業務に関する紛争を解決するための裁判外紛争解決手続に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。


     理 由

 債権管理回収業の業務の状況にかんがみ、債権回収会社の業務に関する規制の強化並びに特定金銭債権の債務者及び保証人の保護に関する規定を整備するとともに、自主規制団体としての債権管理回収業協会を創設し、あわせて罰則を引き上げることとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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