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第一七三回

閣第八号

   独立行政法人地域医療機能推進機構法案

目次

 第一章 総則(第一条−第五条)

 第二章 役員及び職員(第六条−第十二条)

 第三章 業務等(第十三条−第十七条)

 第四章 雑則(第十八条−第二十三条)

 第五章 罰則(第二十四条・第二十五条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、独立行政法人地域医療機能推進機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。

 (名称)

第二条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人地域医療機能推進機構とする。

 (機構の目的)

第三条 独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「機構」という。)は、附則第三条第一項の規定により独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から承継した病院(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院をいう。第十三条第一項第一号において同じ。)、介護老人保健施設(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十五項に規定する介護老人保健施設をいう。第十三条第一項第二号において同じ。)等の施設の運営等の業務を行うことにより、医療法第三十条の四第二項第五号イからホまでに掲げる医療、リハビリテーションその他地域において必要とされる医療及び介護を提供する機能の確保を図り、もって公衆衛生の向上及び増進並びに住民の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (事務所)

第四条 機構は、主たる事務所を東京都に置く。

 (資本金)

第五条 機構の資本金は、附則第三条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。

2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。

3 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。

   第二章 役員及び職員

 (役員)

第六条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。

2 機構に、役員として、理事五人以内を置くことができる。

3 機構に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事五人以内を置くことができる。

 (理事の職務及び権限等)

第七条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。

2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。

3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。

 (役員の任期)

第八条 理事長の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。

 (役員の欠格条項の特例)

第九条 通則法第二十二条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。

 一 物品の製造若しくは販売、工事の請負若しくは役務の提供を業とする者であって機構と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 二 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

第十条 機構の役員の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成二十一年法律第▼▼▼号)第九条」とする。

 (役員及び職員の秘密保持義務)

第十一条 機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

 (役員及び職員の地位)

第十二条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 業務等

 (業務の範囲)

第十三条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 病院の設置及び運営を行うこと。

 二 介護老人保健施設の設置及び運営を行うこと。

 三 看護師養成施設(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十一条第二号に規定する学校及び同条第三号に規定する看護師養成所をいう。)の設置及び運営を行うこと。

 四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

2 機構は、前項に規定する業務のほか、同項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、介護保険法第百十五条の四十六第一項の規定により市町村の委託を受けて行う同法第百十五条の四十五第一項に規定する包括的支援事業に係る業務その他同法に規定する事業であって厚生労働省令で定めるものに係る業務を行うことができる。

 (施設別財務書類)

第十四条 機構は、毎事業年度、前条第一項第一号から第三号までに掲げる業務を行うために設置する施設(以下「施設」という。)ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、その財務に関する書類(以下この条において「施設別財務書類」という。)を作成し、通則法第三十八条第一項の規定により機構の財務諸表を厚生労働大臣に提出するときに、当該施設別財務書類を添付しなければならない。

2 厚生労働大臣は、通則法第三十八条第三項の規定により厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴くときは、施設別財務書類についても併せて意見を聴かなければならない。

3 機構は、通則法第三十八条第一項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、同項に規定する財務諸表その他の書面とともに、遅滞なく、施設別財務書類を厚生労働省令で定めるところにより各事務所及び各施設に備えて置き、同条第四項の主務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

 (積立金の処分)

第十五条 機構は、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち厚生労働大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十三条に規定する業務の財源に充てることができる。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。

3 機構は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

 (長期借入金及び独立行政法人地域医療機能推進機構債券)

第十六条 機構は、施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は独立行政法人地域医療機能推進機構債券(以下「債券」という。)を発行することができる。

2 前項に規定するもののほか、機構は、長期借入金又は債券で政令で定めるものの償還に充てるため、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。

3 厚生労働大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。

4 第一項又は第二項の規定による債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 機構は、厚生労働大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 (償還計画)

第十七条 機構は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。

   第四章 雑則

 (地域の実情に応じた運営)

第十八条 機構は、施設の運営に当たり、協議会の開催等により、広く当該施設の利用者その他の関係者の意見を聴いて参考とし、当該地域の実情に応じた運営に努めなければならない。

 (緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)

第十九条 厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十三条第一項第一号又は第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関し必要な措置をとることを求めることができる。

2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

 (財務大臣との協議)

第二十条 厚生労働大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。

 一 第十五条第一項の承認をしようとするとき。

 二 第十六条第一項、第二項若しくは第六項又は第十七条第一項の認可をしようとするとき。

 (主務大臣等)

第二十一条 機構に係る通則法における主務大臣、主務省及び主務省令は、それぞれ厚生労働大臣、厚生労働省及び厚生労働省令とする。

 (他の法令の準用)

第二十二条 医療法その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、機構を国とみなして、これらの法令を準用する。

 (国家公務員宿舎法の適用除外)

第二十三条 国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、機構の役員及び職員には適用しない。

   第五章 罰則

第二十四条 第十一条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。

 一 第十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。

 二 第十五条第一項の規定により厚生労働大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。

 三 第十六条第一項、第二項若しくは第六項又は第十七条第一項の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十三年四月一日から施行する。ただし、第二十一条並びに附則第三条、第七条、第八条及び第十四条の規定は、公布の日から施行する。

 (機構の成立)

第二条 機構は、通則法第十七条の規定にかかわらず、この法律の施行の時に成立する。

2 機構は、通則法第十六条の規定にかかわらず、機構の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。

 (権利義務の承継等)

第三条 機構の成立の日の前日において独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(次項及び次条において「施設整理機構」という。)が有する権利及び義務のうち、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)第三条に規定する年金福祉施設等、同法附則第三条の二第一項に規定する施設その他の資産であって機構が第十三条に規定する業務を確実に実施するために必要なものに係るものとして政令で定めるものは、機構の成立の時において機構が承継する。

2 前項の規定により機構が施設整理機構の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、機構が承継する資産の価額から負債の金額を差し引いた額は、政府から機構に対し出資されたものとする。

3 前項の資産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

 (業務の委託の特例)

第四条 機構は、施設の運営を第三者に委託する場合において、委託先が機構の成立の日の前日において施設整理機構の委託を受けて当該施設と同一のものの運営を行っている者であるときは、平成二十五年三月三十一日までの間に限り、その者に委託することができる。

 (不動産に関する登記)

第五条 機構が附則第三条第一項の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきなすべき登記の手続については、政令で特例を設けることができる。

 (機構の在り方の検討)

第六条 政府は、機構の成立の日から五年を目途として、機構の経営状況、地域における医療の提供体制の確保の状況等を勘案し、国民が安心して地域で医療を受けられる体制の確立に資するとともに機構の業務運営の効率化及び経営基盤の安定化を図る観点から、機構の役割及び在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部改正)

第七条 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を次のように改正する。

  第五条第二項中「附則第三条第二項」の下に「又は第三条の三第二項」を加える。

  第十九条中「五年間」を「五年六月間」に改める。

  第二十条第一項中「五年」を「五年六月」に改め、同条第二項中「債務」の下に「(独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成二十一年法律第▼▼▼号)附則第三条第一項の規定により独立行政法人地域医療機能推進機構が承継するものを除く。)」を加え、同条第三項中「は、通則法第三十六条第一項の規定にかかわらず、その解散の日の前日に終わるものとし、当該事業年度に係る機構」を削る。

  第二十二条中「第十三条」の下に「並びに附則第三条の二第一項及び第三項」を加える。

  附則第三条の次に次の二条を加える。

  (業務の特例)

 第三条の二 機構は、第十三条に規定する業務のほか、雇用保険法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第三十号)第四条の規定による改正前の船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第五十七条ノ二の事業の用に供していた施設であって厚生労働大臣が定めるものの運営又は管理を行うものとする。

 2 機構は、前項に規定する施設に係る業務を第十四条第三号に定める勘定で整理するものとする。

 3 機構は、厚生労働大臣が年金福祉施設等のうち独立行政法人地域医療機能推進機構法附則第三条第一項の規定により独立行政法人地域医療機能推進機構に承継させることが適当なものを定めたときは、当該年金福祉施設等については、第十三条の規定にかかわらず、同条第一号及び第二号に掲げる業務を行わないものとし、当該年金福祉施設等の運営又は管理を行うものとする。

 4 前項に規定する業務に係る経理の区分については、第十四条の規定を準用する。

  (国の権利義務の承継等の特例)

 第三条の三 厚生労働大臣が前条第一項の規定により施設を定めた場合には、その時において、当該施設に係る同項に規定する業務に関し国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構が承継する。

 2 前項の規定により機構が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政府から機構に対し追加して出資されたものとする。

 3 附則第三条第三項及び第四項の規定は、前項の場合について準用する。

 (独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部改正に伴う経過措置)

第八条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日から雇用保険法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第三十号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における前条の規定による改正後の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法附則第三条の二第一項の規定の適用については、同項中「雇用保険法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第三十号)第四条の規定による改正前の船員保険法」とあるのは「船員保険法」と、「供していた」とあるのは「供する」とする。

 (医療法の一部改正)

第九条 医療法の一部を次のように改正する。

  第七条の二第一項第八号を次のように改める。

  八 独立行政法人地域医療機能推進機構

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第十条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  第百十一条第三項第一号ルを同号ヲとし、同号ヌの次に次のように加える。

   ル 独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成二十一年法律第▼▼▼号)第十五条第三項の規定による納付金

  第百十一条第五項第一号ホを同号ヘとし、同号ニの次に次のように加える。

   ホ 独立行政法人地域医療機能推進機構法第十五条第三項の規定による納付金

  第百十一条第七項第一号ヘ中「第十六条第四項」の下に「及び独立行政法人地域医療機能推進機構法第十五条第三項」を加える。

 (健康保険法の一部改正)

第十一条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の一部を次のように改正する。

  附則第四条の二を次のように改める。

 第四条の二 削除

 (厚生年金保険法の一部改正)

第十二条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第二十九条の三を次のように改める。

 第二十九条の三 削除

 (国民年金法の一部改正)

第十三条 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  附則第九条の五を削り、附則第九条の四の二を附則第九条の五とする。

 (政令への委任)

第十四条 この附則に規定するもののほか、機構の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の存続期限後においても、引き続き社会保険病院、厚生年金病院及び船員保険病院の運営を行い、かつ、地域における医療等の重要な担い手としての役割を果たさせるため、独立行政法人地域医療機能推進機構を設立することとし、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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