衆議院

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第一八〇回

衆第九号

   地方自治法の一部を改正する法律案

 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

 第二百八十一条第一項を削り、同条第二項中「都」を「都道府県」に改め、同項を同条第一項とし、同条に次の一項を加える。

2 従来の都の区は、この章の定めるところにより設置された特別区とみなす。

 第二百八十一条の二の見出し中「都」を「都道府県」に改め、同条第一項中「都は」を「都道府県は」に、「都が」を「都道府県が」に改め、同条第二項及び第三項中「都」を「都道府県」に改める。

 第二百八十一条の三の前の見出しを削り、同条に見出しとして「(市町村の廃置分合又は境界変更に関する規定の適用除外)」を付し、同条の次に次の七条を加える。

 (特別区移行協議会の設置)

第二百八十一条の三の二 市町村を廃止し、その区域において特別区を設置しようとする市町村(以下この章において「特定市町村」という。)及びこれを包括する都道府県(以下この章において「特定都道府県」という。)は、第二百五十二条の二第一項の規定により、特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置に関する協定書(以下この章において「特別区移行協定書」という。)の作成その他特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置に関する協議を行うため、協議会(以下この章において「特別区移行協議会」という。)を置くものとする。

2 特定市町村は、一の指定都市であつて、その人口が百万以上で政令で定める数を超えるもの又は指定都市を含み、隣接する同一都道府県の区域内の二以上の市町村であつて、その総人口が百万以上で政令で定める数を超えるものでなければならない。ただし、既に特別区が設置されている都道府県の区域内において、その特別区に隣接して特別区を設置しようとするときは、この限りでない。

3 特別区移行協議会の会長は、第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、特定都道府県の知事をもつて充てる。

4 特別区移行協議会の委員は、第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、特定都道府県の議会の議員又は職員及び特定市町村の議会の議員又は長その他の職員をもつて充てる。

5 特別区移行協議会には、前項に定める者のほか、第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、学識経験を有する者を委員として加えることができる。

 (特別区移行協定書の作成)

第二百八十一条の三の三 特別区移行協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。

 一 特別区を設置する時期

 二 特別区の区域

 三 都道府県と特別区の事務の分担に関する事項

 四 都道府県と特別区の税源の配分及び財政調整に関する事項

 五 特別区の議会の議員の定数

 六 特定都道府県及び特定市町村の財産及び債務の承継に関する事項

 七 特定都道府県及び特定市町村の職員の引継ぎに関する事項

 八 前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関する重要事項

2 既に特別区が設置されている都道府県の区域内において、その特別区に隣接して特別区を設置しようとするときは、特別区移行協定書の作成に当たつては、既に設置されている特別区に係る前項第三号及び第四号に掲げる事項との均衡に配慮しなければならない。

3 特別区移行協議会は、特別区移行協定書を作成しようとするときは、特別区への円滑な移行に資するため、総務大臣に情報を提供し、説明するものとする。

4 特別区移行協定書については、特定都道府県及び全ての特定市町村の議会の議決を経なければならない。

5 特定都道府県の知事は特定市町村の長に対し、特定市町村の長は特定都道府県の知事及び他の特定市町村の長に対し、前項の規定による議決の結果を速やかに通知しなければならない。

6 特定都道府県の知事は、第四項の規定により特定都道府県の議会が特別区移行協定書について可決し、かつ、前項の規定により全ての特定市町村の長から通知(当該特定市町村の議会が特別区移行協定書について可決した旨の通知である場合に限る。)を受けたときは、速やかに、その旨を特定市町村の長に通知するとともに、特別区移行協定書を告示し、これを総務大臣に送付しなければならない。

7 特定市町村の長は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに特別区移行協定書を告示しなければならない。

 (特定市町村における住民投票)

第二百八十一条の三の四 特定市町村の長は、前条第六項の規定による通知を受けたときは、それぞれの選挙管理委員会に対し、次条の規定による申請をすることについて、住民(当該特定市町村の議会の議員及び長の選挙権を有する者に限る。以下第四項及び第六項において同じ。)の投票(以下この条、次条及び第二百八十一条の三の八において「住民投票」という。)に付するよう請求しなければならない。

2 前項の規定による請求があつたときは、特定市町村の選挙管理委員会は、次条の規定による申請をすることについて、住民投票に付さなければならない。

3 住民投票の期日は、少なくとも十四日前に告示しなければならない。

4 特定市町村の長は、特別区移行協定書の内容について、住民の理解を促進するよう、パンフレットを住民に配布し、分かりやすい十分な説明をしなければならない。

5 特定市町村の議会の会派は、住民投票に関して意見を表明しようとするときは、当該特定市町村の選挙管理委員会において意見表明団体の登録を受けることができる。

6 特定市町村の選挙管理委員会は、前項の意見表明団体の意見を公報に掲載し、住民に配布しなければならない。

7 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、住民投票に準用する。

8 住民投票は、普通地方公共団体の選挙、第七十六条第三項の規定による解散の投票若しくは第八十条第三項及び第八十一条第二項の規定による解職の投票又は第二百六十一条第三項の規定による一の普通地方公共団体のみに適用される特別法についての投票と同時に行うことができる。

 (特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置の申請)

第二百八十一条の三の五 前条第二項の規定による全ての特定市町村の住民投票において過半数の同意があつたときは、特定都道府県及び特定市町村は、共同して、総務大臣に対し、特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置を申請するものとする。

 (特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置)

第二百八十一条の三の六 総務大臣は、前条の規定による申請に基づき、特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置を定めるものとする。

2 総務大臣は、前項の規定による処分をしたときは、直ちに、その旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。

3 第一項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

4 政府は、第二百八十一条の三の三第六項の規定により総務大臣が送付を受けた特別区移行協定書の内容を尊重し、前条の規定による申請があつた日から六月を目途に特別区の設置のために必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならない。

 (特別区の設置の準備事務等)

第二百八十一条の三の七 特別区の設置に関する準備に必要な事務は、その区域において当該特別区が設置される特定市町村が、単独で又は共同して行うものとする。

2 特定都道府県は、特定市町村に対し、前項の事務に関する必要な支援を行わなければならない。

3 第二百八十一条の三の三第七項の規定により告示された特別区移行協定書に定める特別区の議会の議員の定数は、第二百八十三条第一項の規定により特別区に適用される第九十一条第一項の規定に基づく当該特別区の条例により定められたものとみなす。

4 特定市町村を廃止し、その区域において特別区を設置する場合において必要となる財産及び債務の承継は、特別区移行協定書の定めるところによる。

 (政令への委任)

第二百八十一条の三の八 この法律に規定するものを除くほか、住民投票の実施について必要な事項並びに特別区の長が選挙されるまでの間その職務を行う者の選任方法その他の特定市町村の廃止及びその区域における特別区の設置に伴う措置について必要な事項は、政令で定める。

 第二百八十一条の四の前に見出しとして「(市町村の廃置分合又は境界変更を伴わない特別区の廃置分合又は境界変更等)」を付し、同条第一項中「都知事」を「都道府県知事」に、「都の」を「その」に改め、「これを」を削り、同条第二項中「都知事」を「都道府県知事」に改め、同条第三項中「都と道府県との」を「都道府県の」に改め、「これを」を削り、同条第八項及び第九項を削り、同条第十項中「都内」を「都道府県内」に、「都知事」を「都道府県知事」に、「都の」を「その」に改め、「これを」を削り、同項を同条第八項とし、同条第十一項中「第十項」を「第八項」に、「第十一項」を「第九項」に改め、同項を同条第九項とし、同条第十二項中「、第八項」を削り、「第十項」を「第八項」に改め、「これを」を削り、同項を同条第十項とする。

 第二百八十一条の五中「同条第十項」を「同条第八項」に、「同条第十一項」を「同条第九項」に、「及び第十項」を「及び第八項」に、「、第八項又は第十項」を「又は第八項」に改め、「又は第八項」を削る。

 第二百八十一条の六の見出し中「都」を「都道府県」に改め、同条中「都知事」を「都道府県知事」に、「都と」を「都道府県と」に改める。

 第二百八十二条第一項中「都」を「都道府県」に改め、同条第二項中「都」を「都道府県」に、「ひとしく」を「等しく」に改め、同条第三項中「都」を「都道府県」に改め、同条に次の一項を加える。

5 国は、道府県の区域内において特別区が設置されたときは、別に法律で定めるところにより、前各項の規定の特例を定めることができる。

 第二百八十二条の二の見出しを「(都道府県・特別区協議会)」に改め、同条第一項中「都及び」を「都道府県及び」に、「都と」を「都道府県と」に、「都区協議会」を「都道府県・特別区協議会」に改め、同条第二項中「都知事」を「都道府県知事」に、「都区協議会」を「都道府県・特別区協議会」に改め、同条第三項中「都区協議会」を「都道府県・特別区協議会」に改める。

 第二百八十三条第二項中「第二百八十一条第二項」を「第二百八十一条第一項」に改め、「これを」を削り、同条第三項中「都」を「都道府県」に、「適用しがたい」を「適用し難い」に改める。

 第二百九十八条第一項中「第二百六十一条第二項から第四項までの規定により処理することとされている事務」の下に「、第二百八十一条の四第一項、第二項(同条第九項において準用する場合を含む。)及び第八項の規定により処理することとされている事務」を加え、同条中第二項を削り、第三項を第二項とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (公職選挙法の一部改正)

第二条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第二百六十六条第一項中「第七条第六項」を「第六条の二第四項又は第七条第七項」に、「第二百八十一条の四第六項(同条第九項において準用する場合を含む。)」を「第二百八十一条の三の六第二項又は第二百八十一条の四第六項」に改める。

 (関係法律の整備)

第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 都道府県の区域内において、市町村を廃止し、その区域において特別区を設置するための手続の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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