衆議院

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第一八〇回

閣第七六号

   総合こども園法案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 総合こども園の教育及び保育の目標等(第三条−第五条)

 第三章 総合こども園の設置等(第六条−第二十一条)

 第四章 雑則(第二十二条−第二十七条)

 第五章 罰則(第二十八条−第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で幼児期の教育及び保育が重要であることに鑑み、総合こども園の設置及び運営に関し必要な事項を定めることにより、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育ての支援の総合的な提供を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「総合こども園」とは、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満三歳以上の子どもに対する教育並びに保育を必要とする子どもに対する保育を一体的に行い、これらの子どもの健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて、その心身の発達を助長するとともに、保護者に対する子育ての支援を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設置される施設をいう。

2 この法律において「子ども」とは、小学校就学の始期に達するまでの者をいう。

3 この法律において「教育」とは、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第六条第一項に規定する法律に定める学校(次条及び第七条第四項第二号において単に「学校」という。)において行われる教育をいう。

4 この法律において「保育」とは、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第七項に規定する保育をいう。

5 この法律において「保育を必要とする子ども」とは、児童福祉法第六条の三第九項第一号に規定する保育を必要とする乳児・幼児をいう。

6 この法律において「保護者」とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。

7 この法律において「子育て支援事業」とは、地域の子どもの養育に関する各般の問題につき保護者からの相談に応じ必要な情報の提供及び助言を行う事業、保護者の疾病その他の理由により家庭において養育を受けることが一時的に困難となった地域の子どもに対する保育を行う事業、地域の子どもの養育に関する援助を受けることを希望する保護者と当該援助を行うことを希望する民間の団体若しくは個人との連絡及び調整を行う事業又は地域の子どもの養育に関する援助を行う民間の団体若しくは個人に対する必要な情報の提供及び助言を行う事業であって主務省令で定めるものをいう。

   第二章 総合こども園の教育及び保育の目標等

 (教育及び保育の目標)

第三条 総合こども園においては、前条第一項に規定する目的を実現するため、子どもに対する学校としての教育及び児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。次条第二項において同じ。)としての保育並びにその実施する保護者に対する子育て支援事業の相互の有機的な連携を図りつつ、次に掲げる目標を達成するよう当該教育及び当該保育を行うものとする。

 一 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること。

 二 集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。

 三 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。

 四 日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。

 五 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。

 六 快適な生活環境の実現及び子どもと保育教諭その他の職員との信頼関係の構築を通じて、心身の健康の確保及び増進を図ること。

 (教育及び保育の内容)

第四条 総合こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項は、第二条第一項に規定する目的及び前条に規定する目標に従い、主務大臣が定める。

2 主務大臣が前項の規定により総合こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項を定めるに当たっては、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十五条の規定に基づき幼稚園(同法第一条に規定する幼稚園をいう。以下同じ。)に関して文部科学大臣が定める事項及び児童福祉法第四十五条第二項の規定に基づき児童福祉施設に関して厚生労働省令で定める基準(同項第三号に規定する保育所における保育の内容に係る部分に限る。)との整合性の確保並びに小学校(学校教育法第一条に規定する小学校をいう。)における教育との円滑な接続に配慮しなければならない。

3 総合こども園の設置者は、第一項の教育及び保育の内容に関する事項を遵守しなければならない。

 (入園資格)

第五条 総合こども園に入園することのできる者は、満三歳以上の子ども及び満三歳未満の保育を必要とする子どもとする。

   第三章 総合こども園の設置等

 (設置者)

第六条 総合こども園は、国(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人を含む。第十二条第一項において同じ。)、地方公共団体、学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。第二十二条第一項において同じ。)及び社会福祉法人(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人をいう。第二十二条第一項において同じ。)のほか、次に掲げる要件の全てに適合する法人(次条第一項及び第二十二条第一項において「適合法人」という。)のみが設置することができる。

 一 第八条第一項の基準に適合する設備又はこれに要する資金及び当該総合こども園の経営に必要な財産を有すること。

 二 当該総合こども園の経営を担当する役員が総合こども園を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

 三 当該法人の経営を担当する役員が社会的信望を有すること。

 (区分経理等)

第七条 適合法人であって総合こども園を設置した者(以下この条及び第三十条において「適合設置法人」という。)は、その設置する総合こども園の経営に関する会計を他の会計から区分し、総合こども園ごとに特別の会計として経理しなければならない。

2 適合設置法人は、その設置する総合こども園の経営に関し、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし、第四項の規定により同項各号に掲げる使途に充てる場合は、この限りでない。

3 前項の積立金は、当該総合こども園の経営に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。

4 適合設置法人は、毎事業年度、第二項に規定する残余があるときは、その残余の額の全部又は一部を次に掲げる使途に充てることができる。ただし、第一号から第三号までに掲げる使途については当該適合設置法人の設置する施設又は当該適合設置法人が実施する事業の経営に充てる場合に限り、第四号に掲げる使途については第一項の特別の会計の当該事業年度における収入の額の総額に政令で定める割合を乗じて得た額を限度とする。

 一 総合こども園の経営

 二 学校又は社会福祉法第二条第一項に規定する社会福祉事業の経営(前号に掲げるものを除く。)

 三 子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第二十七条第一項に規定する指定こども園(同法第七条第四項に規定する届出保育施設に限る。)又は同法第四十七条第二項に規定する指定地域型保育事業(児童福祉法第六条の三第十項に規定する小規模保育事業を除く。)の経営

 四 剰余金の配当

5 前各項に定めるもののほか、適合設置法人の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。

6 適合設置法人は、主務省令で定めるところにより、当該適合設置法人の業務及び財産の状況を記載した書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項及び次項第二号において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。同項各号及び第三十条において「業務状況書類等」という。)を作成し、その設置する総合こども園に備えて置かなければならない。

7 適合設置法人の設置する総合こども園に入園を希望する者その他の関係人は、当該適合設置法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

 一 業務状況書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 二 業務状況書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を主務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 (設備及び運営の基準)

第八条 都道府県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内に所在する総合こども園(都道府県が設置するものを除く。)については、当該指定都市等。次項及び第十九条において同じ。)は、総合こども園の設備及び運営について、条例で基準を定めなければならない。この場合において、その基準は、子どもの身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な教育及び保育の水準を確保するものでなければならない。

2 都道府県が前項の条例を定めるに当たっては、次に掲げる事項については主務省令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については主務省令で定める基準を参酌するものとする。

 一 総合こども園における学級の編制並びに総合こども園に配置する園長、保育教諭その他の職員及びその員数

 二 総合こども園に係る保育室の床面積その他総合こども園の設備に関する事項であって、子どもの健全な発達に密接に関連するものとして主務省令で定めるもの

 三 総合こども園の運営に関する事項であって、子どもの適切な処遇の確保及び秘密の保持並びに子どもの健全な発達に密接に関連するものとして主務省令で定めるもの

3 主務大臣は、前項に規定する主務省令で定める基準を定め、又は変更しようとするとき、並びに同項第二号及び第三号の主務省令を定め、又は変更しようとするときは、子ども・子育て支援法第七十三条に規定する子ども・子育て会議の意見を聴かなければならない。

4 総合こども園の設置者は、第一項の基準を遵守しなければならない。

5 総合こども園の設置者は、総合こども園の設備及び運営についての水準の向上を図ることに努めるものとする。

 (職員)

第九条 総合こども園には、園長及び保育教諭を置かなければならない。

2 総合こども園には、前項に規定するもののほか、副園長、教頭、主幹保育教諭、指導保育教諭、主幹養護教諭、養護教諭、主幹栄養教諭、栄養教諭、事務職員、養護助教諭その他必要な職員を置くことができる。

3 園長は、園務をつかさどり、所属職員を監督する。

4 副園長は、園長を助け、命を受けて園務をつかさどる。

5 副園長は、園長に事故があるときはその職務を代理し、園長が欠けたときはその職務を行う。この場合において、副園長が二人以上あるときは、あらかじめ園長が定めた順序で、その職務を代理し、又は行う。

6 教頭は、園長(副園長を置く総合こども園にあっては、園長及び副園長)を助け、園務を整理し、並びに必要に応じ園児(総合こども園に在籍する子どもをいう。以下同じ。)の教育及び保育(満三歳未満の園児については、その保育。以下この条において同じ。)をつかさどる。

7 教頭は、園長(副園長を置く総合こども園にあっては、園長及び副園長)に事故があるときは園長の職務を代理し、園長(副園長を置く総合こども園にあっては、園長及び副園長)が欠けたときは園長の職務を行う。この場合において、教頭が二人以上あるときは、あらかじめ園長が定めた順序で、園長の職務を代理し、又は行う。

8 主幹保育教諭は、園長(副園長又は教頭を置く総合こども園にあっては、園長及び副園長又は教頭。第十一項及び第十三項において同じ。)を助け、命を受けて園務の一部を整理し、並びに園児の教育及び保育をつかさどる。

9 指導保育教諭は、園児の教育及び保育をつかさどり、並びに保育教諭その他の職員に対して、教育及び保育の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。

10 保育教諭は、園児の教育及び保育をつかさどる。

11 主幹養護教諭は、園長を助け、命を受けて園務の一部を整理し、及び園児(満三歳以上の園児に限る。以下この条において同じ。)の養護をつかさどる。

12 養護教諭は、園児の養護をつかさどる。

13 主幹栄養教諭は、園長を助け、命を受けて園務の一部を整理し、並びに園児の栄養の指導及び管理をつかさどる。

14 栄養教諭は、園児の栄養の指導及び管理をつかさどる。

15 事務職員は、事務に従事する。

16 助保育教諭は、保育教諭の職務を助ける。

17 講師は、保育教諭又は助保育教諭に準ずる職務に従事する。

18 養護助教諭は、養護教諭の職務を助ける。

19 特別の事情のあるときは、第一項の規定にかかわらず、保育教諭に代えて助保育教諭又は講師を置くことができる。

 (職員の資格)

第十条 主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭及び講師(保育教諭に準ずる職務に従事するものに限る。附則第五条第一項において同じ。)は、幼稚園の教諭の普通免許状(教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)第四条第二項に規定する普通免許状をいう。以下同じ。)を有し、かつ、児童福祉法第十八条の十八第一項の登録(以下単に「登録」という。)を受けた者でなければならない。

2 主幹養護教諭及び養護教諭は、養護教諭の普通免許状を有する者でなければならない。

3 主幹栄養教諭及び栄養教諭は、栄養教諭の普通免許状を有する者でなければならない。

4 助保育教諭及び講師(助保育教諭に準ずる職務に従事するものに限る。附則第五条第二項において同じ。)は、幼稚園の助教諭の臨時免許状(教育職員免許法第四条第四項に規定する臨時免許状をいう。次項及び附則第五条第二項において同じ。)を有し、かつ、登録を受けた者でなければならない。

5 養護助教諭は、養護助教諭の臨時免許状を有する者でなければならない。

6 前各項に定めるもののほか、職員の資格に関する事項は、主務省令で定める。

 (設置等の届出)

第十一条 市町村(特別区を含み、指定都市等を除く。)は、総合こども園を設置しようとするとき、又はその設置した総合こども園の廃止、休止若しくは設置者の変更その他政令で定める事項(次条第一項及び第二十二条第六項において「廃止等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない。

 (設置等の認可)

第十二条 国及び地方公共団体以外の者は、総合こども園を設置しようとするとき、又はその設置した総合こども園の廃止等を行おうとするときは、都道府県知事(指定都市等の区域内に所在する総合こども園については、当該指定都市等の長。次項において同じ。)の認可を受けなければならない。

2 都道府県知事は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、第十九条に規定する審議会その他の合議制の機関の意見を聴かなければならない。

3 指定都市等の長は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。

 (報告の徴収等)

第十三条 都道府県知事(指定都市等の区域内に所在する総合こども園(都道府県が設置するものを除く。)については、当該指定都市等の長。第二十二条第三項及び第九項を除き、以下同じ。)は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、総合こども園の設置者若しくは園長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (改善勧告及び改善命令)

第十四条 都道府県知事は、総合こども園の設置者が、この法律又はこの法律に基づく命令若しくは条例の規定に違反したときは、当該設置者に対し、必要な改善を勧告し、又は当該設置者がその勧告に従わず、かつ、園児の教育上又は保育上有害であると認められるときは、必要な改善を命ずることができる。

 (事業停止命令)

第十五条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、総合こども園の事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる。

 一 総合こども園の設置者が、この法律又はこの法律に基づく命令若しくは条例の規定に故意に違反し、かつ、園児の教育上又は保育上著しく有害であると認められるとき。

 二 総合こども園の設置者が前条の規定による命令に違反したとき。

 三 正当な理由がないのに、六月以上休止したとき。

2 都道府県知事は、前項の規定により事業の停止又は施設の閉鎖の命令をしようとするときは、あらかじめ、第十九条に規定する審議会その他の合議制の機関の意見を聴かなければならない。

 (認可の取消し)

第十六条 都道府県知事は、総合こども園の設置者が、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくは条例の規定又はこれらに基づいてする処分に違反したときは、第十二条第一項の認可を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による認可の取消しをしようとするときは、あらかじめ、第十九条に規定する審議会その他の合議制の機関の意見を聴かなければならない。

 (運営の状況に関する評価等)

第十七条 総合こども園の設置者は、主務省令で定めるところにより当該総合こども園における教育及び保育並びに子育て支援事業(以下「教育及び保育等」という。)の状況その他の運営の状況について評価を行い、その結果に基づき総合こども園の運営の改善を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (運営の状況に関する情報の提供)

第十八条 総合こども園の設置者は、当該総合こども園に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該総合こども園における教育及び保育等の状況その他の当該総合こども園の運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。

 (都道府県における合議制の機関)

第十九条 第十二条第二項、第十五条第二項及び第十六条第二項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、都道府県に、条例で総合こども園に関する審議会その他の合議制の機関を置くものとする。

 (学校教育法の準用)

第二十条 学校教育法第五条、第六条本文、第七条、第九条、第十条、第八十一条第一項及び第百三十七条の規定は、総合こども園について準用する。この場合において、同法第十条中「私立学校」とあるのは「国(国立大学法人法第二条第一項に規定する国立大学法人を含む。)及び地方公共団体以外の者の設置する総合こども園(総合こども園法第二条第一項に規定する総合こども園をいう。以下同じ。)」と、「大学及び高等専門学校にあつては文部科学大臣に、大学及び高等専門学校以外の学校にあつては都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(指定都市等(同法第八条第一項に規定する指定都市等をいう。以下この条において同じ。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長)」と、同法第八十一条第一項中「該当する幼児、児童及び生徒」とあるのは「該当する総合こども園法第九条第六項に規定する園児(以下この項において単に「園児」という。)」と、「必要とする幼児、児童及び生徒」とあるのは「必要とする園児」と、「文部科学大臣」とあるのは「同法第二十五条第一項に規定する主務大臣」と、「ものとする」とあるのは「ものとする。この場合において、特別支援学校においては、総合こども園の要請に応じて、園児の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとする」と、同法第百三十七条中「学校教育上」とあるのは「総合こども園の運営上」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 (学校保健安全法の準用)

第二十一条 学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第三条から第十条まで、第十三条から第二十一条まで、第二十三条及び第二十六条から第三十一条までの規定は、総合こども園について準用する。この場合において、これらの規定中「文部科学省令」とあるのは「総合こども園法第二十五条第二項に規定する主務省令」と読み替えるほか、同法第九条中「学校教育法第十六条」とあるのは「総合こども園法第二条第六項」と、「第二十四条及び第三十条」とあるのは「第三十条」と、同法第十七条第二項中「第十一条から」とあるのは「第十三条から」と、「第十一条の健康診断に関するものについては政令で、第十三条」とあるのは「第十三条」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

   第四章 雑則

 (公私連携型総合こども園に関する特例)

第二十二条 市町村長(特別区の区長を含む。以下この条において同じ。)は、当該市町村(特別区を含む。以下この項及び次項第三号において同じ。)における保育の実施に対する需要の状況等に照らし適当であると認めるときは、公私連携型総合こども園(同項に規定する協定に基づき、当該市町村から必要な設備の貸付け、譲渡その他の協力を得て、当該市町村との連携の下に教育及び保育等を行う総合こども園をいう。以下この条において同じ。)の運営を継続的かつ安定的に行うことができる能力を有するものであると認められるもの(学校法人、社会福祉法人又は適合法人に限る。)を、その申請により、公私連携型総合こども園の設置及び運営を目的とする法人(以下この条において「公私連携法人」という。)として指定することができる。

2 市町村長は、前項の規定による指定(第十一項及び第十四項において単に「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、当該指定をしようとする法人と、次に掲げる事項を定めた協定(以下この条において単に「協定」という。)を締結しなければならない。

 一 協定の目的となる公私連携型総合こども園の名称及び所在地

 二 公私連携型総合こども園における教育及び保育等に関する基本的事項

 三 市町村による必要な設備の貸付け、譲渡その他の協力に関する基本的事項

 四 協定の有効期間

 五 協定に違反した場合の措置

 六 その他公私連携型総合こども園の設置及び運営に関し必要な事項

3 公私連携法人は、第十二条第一項の規定にかかわらず、市町村長を経由し、都道府県知事に届け出ることにより、公私連携型総合こども園を設置することができる。

4 市町村長は、公私連携法人が前項の規定による届出をした際に、当該公私連携法人が協定に基づき公私連携型総合こども園における教育及び保育等を行うために設備の整備を必要とする場合には、当該協定に定めるところにより、当該公私連携法人に対し、当該設備を無償若しくは時価よりも低い対価で貸し付け、又は譲渡するものとする。

5 前項の規定は、地方自治法第九十六条及び第二百三十七条から第二百三十八条の五までの規定の適用を妨げない。

6 公私連携法人は、第十二条第一項の規定による廃止等の認可の申請を行おうとするときは、市町村長を経由して行わなければならない。この場合において、当該市町村長は、当該申請に係る事項に関し意見を付すことができる。

7 市町村長は、公私連携型総合こども園の運営を適切にさせるため必要があると認めるときは、公私連携法人若しくは園長に対して必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

8 第十三条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

9 第七項の規定により、公私連携法人若しくは園長に対し報告を求め、又は当該職員に関係者に対し質問させ、若しくは公私連携型総合こども園に立入検査をさせた市町村長(指定都市等の長を除く。)は、当該公私連携型総合こども園につき、第十四条又は第十五条第一項の規定による処分が行われる必要があると認めるときは、理由を付して、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

10 市町村長は、公私連携型総合こども園が正当な理由なく協定に従って教育及び保育等を行っていないと認めるときは、公私連携法人に対し、協定に従って教育及び保育等を行うことを勧告することができる。

11 市町村長は、前項の規定により勧告を受けた公私連携法人が当該勧告に従わないときは、指定を取り消すことができる。

12 公私連携法人は、前項の規定による指定の取消しの処分を受けたときは、当該処分に係る公私連携型総合こども園について、第十二条第一項の規定による廃止の認可を都道府県知事に申請しなければならない。

13 公私連携法人は、前項の規定による廃止の認可の申請をしたときは、当該申請の日前一月以内に教育及び保育等を受けていた者であって、当該廃止の日以後においても引き続き当該教育及び保育等に相当する教育及び保育等の提供を希望する者に対し、必要な教育及び保育等が継続的に提供されるよう、他の総合こども園その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない。

14 指定都市等の長が指定を行う公私連携法人に対する第三項の規定の適用については、同項中「市町村長を経由し、都道府県知事」とあるのは、「指定都市等の長」とし、第六項の規定は、適用しない。

 (名称の使用制限)

第二十三条 何人も、総合こども園でないものについて、総合こども園という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。

 (緊急時における主務大臣の事務執行)

第二十四条 第十三条第一項、第十四条及び第十五条第一項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、園児の利益を保護する緊急の必要があると主務大臣が認める場合にあっては、主務大臣又は都道府県知事が行うものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るもの(同条第二項を除く。)に限る。)は、主務大臣に関する規定として主務大臣に適用があるものとする。

2 前項の場合において、主務大臣又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。

 (主務大臣等)

第二十五条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣とする。

2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

 (政令等への委任)

第二十六条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行のため必要な事項で、地方公共団体の機関が処理しなければならないものについては政令で、その他のものについては主務省令で定める。

 (経過措置)

第二十七条 この法律の規定に基づき政令又は主務省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は主務省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第五章 罰則

第二十八条 第十五条第一項の規定による事業の停止又は施設の閉鎖の命令に違反した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十条第一項又は第四項の規定に違反して、相当の免許状を有しない者又は登録を受けていない者を主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭又は講師に任命し、又は雇用したとき。

 二 第十条第一項又は第四項の規定に違反して、相当の免許状を有せず、又は登録を受けていないにもかかわらず主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭又は講師となったとき。

 三 第十条第二項、第三項又は第五項の規定に違反して、相当の免許状を有しない者を主幹養護教諭、養護教諭、主幹栄養教諭、栄養教諭又は養護助教諭に任命し、又は雇用したとき。

 四 第十条第二項、第三項又は第五項の規定に違反して、相当の免許状を有しないにもかかわらず主幹養護教諭、養護教諭、主幹栄養教諭、栄養教諭又は養護助教諭となったとき。

 五 第二十三条の規定に違反して、総合こども園という名称又はこれと紛らわしい名称を用いたとき。

第三十条 第七条第六項の規定に違反して業務状況書類等を備えて置かず、業務状況書類等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第七項各号の規定による請求を拒んだ適合設置法人の役員は、二十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、子ども・子育て支援法の施行の日から施行する。ただし、附則第八条及び第九条の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (地方独立行政法人による総合こども園の設置の制限)

第三条 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人は、第六条の規定にかかわらず、当分の間、総合こども園を設置することができない。

 (総合こども園の設置に係る特例)

第四条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日において現に存する幼稚園又は子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)第七条の規定による改正前の児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所を設置している者であって、次に掲げる要件の全てに適合するもの(法人を除く。)は、当分の間、第六条の規定にかかわらず、当該幼稚園又は保育所を廃止して総合こども園(当該幼稚園又は保育所の所在した区域と同一の区域内にあることその他の主務省令で定める要件に該当するものに限る。)を設置することができる。この場合においては、第七条第一項から第五項までの規定を準用する。

 一 第八条第一項の基準に適合する設備又はこれに要する資金及び当該総合こども園の経営に必要な財産を有すること。

 二 当該総合こども園を設置する者が総合こども園を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

 三 当該総合こども園を設置する者が社会的信望を有すること。

 (保育教諭等の資格の特例)

第五条 施行日から起算して五年間は、第十条第一項の規定にかかわらず、幼稚園の教諭の普通免許状を有する者又は登録を受けた者は、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭又は講師となることができる。

2 施行日から起算して五年間は、第十条第四項の規定にかかわらず、幼稚園の助教諭の臨時免許状を有する者は、助保育教諭又は講師となることができる。

3 施行日から起算して五年間は、教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十八号)附則第二条第七項に規定する旧免許状所持者であって、同条第二項に規定する更新講習修了確認を受けずに同条第三項に規定する修了確認期限を経過し、その後に同項第三号に規定する免許管理者による確認を受けていないもの(登録を受けている者に限る。)については、同条第七項の規定は、適用しない。

 (名称の使用制限に関する経過措置)

第六条 この法律の施行の際現に総合こども園という名称又はこれと紛らわしい名称を使用している者については、第二十三条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 (幼稚園の名称の使用制限に関する経過措置)

第七条 施行日の前日において現に幼稚園を設置しており、かつ、当該幼稚園の名称中に幼稚園という文字を用いている者が、当該幼稚園を廃止して総合こども園(当該幼稚園の所在した区域と同一の区域内にあることその他の主務省令で定める要件に該当するものに限る。)を設置した場合には、学校教育法第百三十五条第一項の規定にかかわらず、当該総合こども園の名称の末尾に総合こども園という文字を用いるときに限り、当該総合こども園の名称中に引き続き幼稚園という文字を用いることができる。

 (準備行為)

第八条 この法律を施行するために必要な条例の制定又は改正、第十二条第一項の認可の手続その他の行為は、施行日前においても行うことができる。

 (政令への委任)

第九条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で幼児期の教育及び保育が重要であることに鑑み、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育ての支援の総合的な提供を図るため、満三歳以上の子どもに対する教育及び保育を必要とする子どもに対する保育を一体的に行い、これらの子どもの健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること等を目的とする総合こども園に関する制度を創設する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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