衆議院

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第一八三回

衆第三〇号

   行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第四条)

 第二章 行政改革の基本方針

  第一節 通則(第五条・第六条)

  第二節 政府の講ずべき措置に係る重点分野及び各重点分野における行政改革の基本方針

   第一款 国家公務員の総人件費に係る行政その他人事行政に関する分野(第七条−第十一条)

   第二款 予算の執行等に関する分野(第十二条−第二十一条)

   第三款 国有資産等に関する分野(第二十二条−第二十五条)

   第四款 公益法人に関する分野(第二十六条−第二十八条)

   第五款 規制改革に関する分野(第二十九条)

   第六款 行政の事務及び事業の実施主体に関する分野(第三十条・第三十一条)

  第三節 行政構造改革会議の調査審議及び提言に係る重点分野及び各重点分野における行政改革の基本方針

   第一款 国家公務員の総人件費に係る行政に関する分野(第三十二条)

   第二款 行政改革を恒常的かつ強力に推進するための組織に関する分野(第三十三条)

   第三款 行政機関の情報システム等に関する分野(第三十四条・第三十五条)

   第四款 国有資産に関する分野(第三十六条・第三十七条)

 第三章 集中改革期間における行政改革の工程表等(第三十八条−第四十条)

 第四章 集中改革期間における行政改革の実施体制等

  第一節 行政改革実行本部(第四十一条−第五十一条)

  第二節 行政構造改革会議(第五十二条−第五十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、真に国民のために必要な行政サービスを提供することができ、かつ、国民に信頼される行政構造を構築するとともに、現下の厳しい経済財政状況に的確に対処することが喫緊の課題であることに鑑み、平成二十七年度末までの期間(以下「集中改革期間」という。)における行政改革について、その基本理念、国及び地方公共団体の責務、基本方針、工程表その他の重要事項を定めるとともに、行政改革実行本部及び行政構造改革会議を設置することにより、集中改革期間以後においても行政構造が社会経済情勢の変化等に対応して自律的かつ持続的に改善され又は刷新されていく体制を構築することを目指して、総合的かつ集中的に実行し、もって国民が安心して生活することができる豊かな社会及び活力ある経済を実現することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 集中改革期間における行政改革は、次に掲げる事項を基本理念として、集中改革期間以後においても行政構造が社会経済情勢の変化等に対応して自律的かつ持続的に改善され又は刷新されていく体制を構築することを目指して、総合的かつ集中的に実行されるものとする。

 一 行政機関の保有する情報の公開を基本として、行政運営の透明性の一層の向上及び行政機関の違法又は不当な行為を是正する手段の改善等を図り、国民に分かりやすく、かつ、親しみやすい国民本位の行政を実現すること。

 二 行政の事務及び事業に係る経費がその便益と比較して過大となっていること等の行政の組織及び運営の無駄及び非効率の排除を徹底し、行政機関が担う分野を縮小するとともに、提供されるべき行政サービスの重点化及びその優先順位の明確化を図ることにより、行政に係る資源を最も適切に配分し、効果的かつ効率的な行政サービスを国民に提供できる体制を構築すること。

 三 公共に関する事務及び事業の分野のうち市民、非営利活動を行う団体、民間事業者その他民間の主体が担う分野を拡大するとともに、行政サービスその他の公共サービスの質を維持向上させつつ、公共サービスの担い手の多様化を図ること(第三十条第一項において「新しい公共の構築」という。)。

 (国の責務)

第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、集中改革期間における行政改革を総合的かつ集中的に実行する責務を有する。

 (地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、集中改革期間における行政改革を実行するよう努めなければならない。

   第二章 行政改革の基本方針

    第一節 通則

 (政府による講ずべき措置の実施)

第五条 政府は、集中改革期間において、次節に掲げる重点分野について、当該重点分野ごとに定める行政改革の基本方針に基づき、必要な措置を講ずるものとする。

 (行政構造改革会議による政府の講ずべき措置の調査審議及び提言)

第六条 行政構造改革会議は、第三節に掲げる重点分野について、当該重点分野ごとに定める行政改革の基本方針に基づき、政府の講ずべき措置を調査審議し、内閣総理大臣に提言するものとする。

2 前項の提言には、数値その他の定量的な目標及び達成すべき時期(以下この項において「数値目標等」という。)を定めることが客観的に困難であると認められる場合を除き、前項の措置に係る数値目標等を含めるものとする。

    第二節 政府の講ずべき措置に係る重点分野及び各重点分野における行政改革の基本方針

     第一款 国家公務員の総人件費に係る行政その他人事行政に関する分野

 (国家公務員の総人件費改革の推進)

第七条 国家公務員の総人件費改革については、行政改革実行本部が、その在り方を総合的に検討し、必要な措置を講ずるものとする。

 (国家公務員であった者の独立行政法人への再就職に係る適正化のための措置)

第八条 国家公務員であった者が独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員に再就職する場合においては、次に掲げる措置が講ぜられるよう、必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 一 公募の方法による選考を経ること。

 二 独立行政法人の理事長の任命に当たっては、当該独立行政法人を所管する大臣は、当該独立行政法人の役員の地位に就いていた国家公務員であった者の人数並びに所属していた府省及び役職等を考慮すること。

 三 独立行政法人の理事の任命に当たっては、当該独立行政法人を所管する大臣が、当該独立行政法人の理事長に対して、前号の措置に準じた措置を講ずるよう指示すること。

 (国家公務員であった者の独立行政法人への再就職に関する情報の公表等のための措置)

第九条 国家公務員であった者がその役員の地位に就いている独立行政法人は、次に掲げる事項をインターネットその他適切な方法により公表するとともに、当該独立行政法人を所管する大臣に報告するものとする。

 一 当該役員の氏名、年齢、経歴その他政令で定める事項

 二 当該役員が所属していた府省と当該独立行政法人との予算上又は法律上の結び付きを示すものとして政令で定める事項

 (独立行政法人の役員の定年制等に係る措置)

第十条 独立行政法人の役員については、定年制を設けるとともに、その報酬の額の上限を定めるものとする。

 (国家公務員であった者の特殊法人及び認可法人への再就職等に係る適正化並びにこれに関する情報の公表等のための措置)

第十一条 特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。第四十七条第一項において同じ。)及び認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人をいう。同項において同じ。)のうち、これらの法人を所管する大臣にその役員の任命権その他の人事に係る権限があるものについては、前三条の規定に準じた措置を講ずる等これらの法人の性質を踏まえた適切な措置を講ずるものとする。

     第二款 予算の執行等に関する分野

 (予算及び決算の透明性の一層の確保に係る措置)

第十二条 予算及び決算については、その透明性の一層の確保を図るため、予算及び決算に係る情報、両者の関係その他適切な情報を、国民に分かりやすい形で、かつ、国民が利用し又は活用しやすい方法により提供するための方策を検討し、必要な措置を講ずるものとする。

 (行政事業レビューによる各府省が所掌する事務及び事業の見直しに係る措置)

第十三条 各府省が所掌する事務及び事業については、次に掲げる取組(次項において「行政事業レビュー」という。)を実施し、定期的に、その事務及び事業の見直しを行うものとする。

 一 各府省が所掌する事務及び事業に係る予算の執行状況等について、個別の事務及び事業ごとに整理した上で、毎会計年度終了後速やかに必要性並びに経済性、効率性及び有効性の観点その他必要な観点から検証して当該事務及び事業の見直しを行い、その結果を予算の概算要求及び執行に反映させるとともに、それらの結果を公表すること。

 二 前号の検証を行うに当たっては、各府省が所掌する事務及び事業に係る予算の執行状況等を分かりやすい形で公表するとともに、予算の執行、業務の効率化その他行政運営に関して識見を有する者(以下この号において「学識経験者」という。)の意見を聴くこと。この場合において、一定以上の規模の事務及び事業その他の事務及び事業のうち適当と認められるものについては、学識経験者を参画させた公開の会合における評価を求めること。

2 行政事業レビューの実施に当たっては、前項第一号の公表、同項第二号の評価その他の関連する手続について、各府省に共通する手続を定め、これを統一的に実施するものとする。

 (人事評価における歳出の無駄の排除等に関する目標の設定等に係る措置)

第十四条 各府省が行う人事評価については、行政の事務及び事業に係る経費と便益との均衡に係る意識の向上及び歳出の無駄の排除を徹底するため、当該人事評価において、当該意識の向上及び無駄の排除に関する目標の設定を指示する取組を普及させることその他必要な措置を講ずるものとする。

 (共通事務の集約による効率化等に係る措置)

第十五条 物品及び役務の調達(以下単に「調達」という。)並びに旅費の管理に関する事務その他の各行政機関に共通する事務に関しては、当該事務の集約による効率化及び民間事業者への委託による減量の在り方について、平成二十五年度末までを目途に検討し、必要な措置を講ずるものとする。

 (政府全体としての調達の効率化の推進に係る措置)

第十六条 調達については、政府全体としてその効率化を推進するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。

 一 調達の効率化の推進に関する中期目標(物品及び役務の種類ごとのものを含む。)の設定について検討すること。

 二 個別の調達について、経済性、効率性及び有効性の観点その他必要な観点から検証するための事後評価(調達を実施した後に行うその調達に関する評価をいう。)の実施に関する基本的な事項を定めること。

 三 調達に関するデータベースについて検討し、必要な措置を講ずること。

 (各府省における調達に関する目標及び計画の作成等に係る措置)

第十七条 各府省は、調達に関し、その実施の結果を評価し、その評価を企画及び立案に反映させる手続を確立することを通じて、調達の効率化を図るため、前条第一号の中期目標その他の政府の調達の効率化の推進に関する方針を踏まえて具体的な目標を定めるとともに、当該目標を達成するために当該府省が取り組むべき事項について定める計画(以下この条において「調達改善計画」という。)を作成するものとする。

2 調達改善計画には、随意契約の見直し、各府省が共同して行う調達の推進、支払におけるクレジットカードの活用、競り下げの方法を用いる調達等におけるインターネットの積極的な活用その他調達の効率化に関する取組について記載するものとする。

3 調達改善計画の内容及び実施の状況については、定期的に検証し、その検証の結果を公開するとともに、当該結果に基づき、調達の改善のために必要な措置を講ずるものとする。

 (調達における競争性及び透明性の確保に係る措置)

第十八条 随意契約については、その実態を把握し、その結果を公表すること等により透明性の確保に努めるとともに、当該結果に基づき、一般競争入札への移行に努めるものとする。

2 随意契約による支出その他国の契約については、各行政機関共通のシステムの見直し等を通じて、その情報(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を開示し、検証が可能となる仕組みを検討し、その効率化を目指すものとする。

3 入札に参加した者の数が一であるものその他の実質的に競争性が確保されていないおそれがある入札については、その実態を検証した上で、入札への参加に係る条件及び仕様書の見直し等により、入札に参加する者が増加するような環境を整備し、入札における公正な競争の確保に努めるものとする。

4 価格及びその他の条件を総合的に評価して落札者を決定する方法による入札については、その透明性、中立性及び公正性を確保するため、その評価の在り方について検討し、各行政機関共通の指針を作成する等必要な措置を講ずるものとする。

5 入札に関する規制の在り方については、入札の一層の適正化を図るため、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年法律第百一号)第二条第五項に規定する職員その他の者に対する罰則に関して検討し、必要な措置を講ずるものとする。

 (競り下げの方法を活用した調達の実施に係る措置)

第十九条 競り下げの方法を活用した調達については、経費の削減が見込まれる品目等を対象として、その対象となる範囲を試験的に拡大するとともに、調達価格の適正を確保することに留意しつつ、調達に係る経費の削減の効果等につき十分な検証を行った上で、円滑かつ適正に実施するために必要な措置を講ずるものとする。

 (新たな契約者選定方式の導入に係る措置)

第二十条 調達における契約の相手方の選定の方法については、民間事業者の創意工夫を引き出すため、複数の事業者に提案を行わせ、個別の交渉を通じて契約者を選定する方式の導入について検討し、その実施のための指針を作成するものとする。

 (旅費に関する事務の効率化に係る措置)

第二十一条 旅費に関する事務については、その効率化を図るため、その管理に関する各行政機関共通のシステムの導入を踏まえ、旅費の支給に関する指針を見直すとともに、民間事業者への事務の委託の推進、仕様書の見直し等を検討し、必要な措置を講ずるものとする。

     第三款 国有資産等に関する分野

 (未利用又は利用の程度が低い国有地等の売却等及び国庫納付の活用に係る措置)

第二十二条 未利用又は利用の程度が低い国有地(国家公務員の宿舎の削減に伴うその跡地を含む。)その他の国の保有する資産(株式を除く。)及び独立行政法人の保有する資産については、平成二十八年度末までの間に、売却、運用その他の措置(以下「売却等」という。)による収入の合計額が五千億円以上となることを目安として、不動産市場の動向等を踏まえつつ、必要な措置を講ずるほか、独立行政法人通則法第四十六条の二第一項から第三項までの規定による国庫への納付を活用するものとする。

 (施設命名権の活用に係る措置)

第二十三条 国及び独立行政法人の保有する施設については、施設命名権(施設に名称、呼称その他の表現を付する権利をいう。)の活用に努めるものとする。

 (国の保有する株式の売却の促進に係る措置)

第二十四条 国の保有する株式については、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十七号)附則第十三条及び第十四条の規定に基づき、日本たばこ産業株式会社の株式、エネルギー対策特別会計に所属する株式及び日本郵政株式会社の株式の売却を検討し、必要な措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、国が法律によりその保有を義務付けられている株式以外の株式については、株式市場の動向及び当該株式に係る会社の事情等を踏まえつつ、できる限り、その売却に努めるものとする。

 (未利用又は利用の程度が低い国立大学法人の保有する資産の売却等の促進)

第二十五条 国立大学法人(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。第四十七条第一項において同じ。)の保有する未利用又は利用の程度が低い資産については、当該資産の売却等の促進について必要な措置を講ずるものとする。

     第四款 公益法人に関する分野

 (公益法人に対する予算の交付及び権限の付与の在り方の見直しに係る措置)

第二十六条 国又は独立行政法人と内閣総理大臣が定める一定の関係を有する公益法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二条第三号に規定する公益法人をいう。第二十八条において同じ。)については、国家公務員であった者又は当該独立行政法人の役員若しくは職員であった者が当該公益法人の役員に再就職する場合に関し、公募その他の方法による選考の実施及びその方法に関する適切な基準の設定をするとともに、不適切な会費の授受、内部留保の水準の設定、役員等の待遇、国からの委託事業に係る成果の公開等について検討し必要な措置を講ずるものとし、当該公益法人に対する予算の交付及び権限の付与(予算に基づく支出及び行政機関による指定その他の行為をいう。次条において「予算の交付等」という。)の在り方を見直すものとする。

 (一般社団法人又は一般財団法人への移行に当たっての厳格な審査の実施等に係る措置)

第二十七条 国と内閣総理大臣が定める一定の関係を有する特例民法法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)第四十二条第二項に規定する特例民法法人をいう。)については、一般社団法人又は一般財団法人への移行に当たり、内閣総理大臣が法令に基づき公益目的支出計画(同法第百十九条第一項に規定する公益目的支出計画をいう。)の適正性について厳格な審査を行うとともに、その移行後においても、これらの法人に対する予算の交付等に関する事務を所管する大臣は、国とこれらの法人との関係について必要な見直しを行うものとする。

 (検査事務等実施法人に関する適正化等に係る措置)

第二十八条 国から委託等又は推薦等を受けて検査、認定、資格の付与等の事務又は事業(以下この条において「検査事務等」という。)を行う公益法人その他の法人であって政令で定めるもの(以下この条において「検査事務等実施法人」という。)については、検査事務等に係る手数料の適正化及び透明化並びに適切な区分経理の徹底並びにこれらに係る情報の公表等検査事務等実施法人を利用する国民の利便性の向上、検査事務等を所管する大臣による監督の強化等について必要な措置を講ずるものとする。

     第五款 規制改革に関する分野

第二十九条 規制改革については、次に掲げる基本方針に基づき、あらゆる分野における規制の徹底した見直しを行い、必要な措置を講ずるものとする。

 一 一定の期間が経過した規制について、その見直しを行うことを義務付けること。

 二 前号の期間は、規制の目的等に照らしてできるだけ短い期間となるようにすること。

 三 規制の見直しを行うに当たっては、その見直しを行おうとするに至った経緯を公表すること。

 四 規制の見直しを行うに当たっては、専門家、利害関係人その他広く国民の意見を求め、これを反映させること。

 五 規制の特例措置(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第二条第三項に規定する規制の特例措置、総合特別区域法(平成二十三年法律第八十一号)第二条第四項に規定する規制の特例措置、東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百二十二号)第二条第四項に規定する規制の特例措置その他これらに準ずる規制の特例措置をいう。)については、その実施状況等を十分に検証し、その結果を踏まえ、必要に応じて全国に及ぼすようにすること。

 六 規制の見直しを行うに当たっては、法令の解釈、当該見直しの基礎となる統計その他の資料及び当該見直しによる経済的社会的な影響について、十分に検討すること。

     第六款 行政の事務及び事業の実施主体に関する分野

 (新しい公共の構築に係る措置)

第三十条 公共サービスの担い手の在り方については、行政機関と市民、非営利活動を行う団体、民間事業者その他民間における多様な主体との交流及び民間の主体相互の交流その他の連携を図ることにより、新しい公共の構築に資する取組を強化するものとする。

2 前項の取組を強化するに当たっては、認定特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第三項に規定する認定特定非営利活動法人をいう。)等に対する寄附に係る税制上の措置及び特定非営利活動法人(同条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。)の認定等に係る制度の普及及び実施状況の公表の促進等を図るとともに、当該税制上の措置の活用状況及び公共サービスの担い手の活動の広がりの状況を踏まえつつ、公共サービスその他の非営利活動を行う団体等に対する支援について、必要な見直しを行うものとする。

 (民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業の実施の促進に係る措置)

第三十一条 民間資金等の活用による公共施設等(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二条第一項に規定する公共施設等をいう。)の整備等に関する事業(同条第二項に規定する公共施設等の整備等に関する事業をいう。)については、当該事業により生ずる収益等をもってこれに要する費用を賄うことが可能であること等の理由により当該公共施設等の運営を民間事業者に委ねることが適当であるときは、その実施を積極的に促進するものとする。

    第三節 行政構造改革会議の調査審議及び提言に係る重点分野及び各重点分野における行政改革の基本方針

     第一款 国家公務員の総人件費に係る行政に関する分野

第三十二条 国家公務員の総人件費については、平成二十一年度の当初予算における額からその百分の二十に相当する額を減少させることを目標とするものとし、次に掲げる事項に留意して、その具体的な目標額、手法、期間等について、速やかに検討するものとする。

 一 労働組合その他の労働者の団体又は労働者と使用者の間の協議(以下この条において「労使協議」という。)及び被用者年金制度の一元化の動向を踏まえた上での被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十三号)第二条の規定による改正前の国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第七十四条第二項に規定する退職共済年金の職域加算額及び国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第九十六号)第五条の規定による改正後の国家公務員共済組合法第七十四条第一号に掲げる退職年金等の扱い並びに国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和三十三年法律第百二十九号)第五十四条第一項に規定する追加費用であって国の負担に係るものの一部の削減

 二 労使協議を踏まえた上での退職金の一部の分割払への変更その他の支払方法の変更、超過勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)第十三条第二項の規定による勤務その他これに準ずる勤務を命ぜられた時間をいう。)の短縮及び職員に対する各種の手当の削減

 三 労使協議を踏まえた上での国家公務員の総人件費の管理に関する計画の策定、職員の採用及び昇格の抑制並びに国家公務員の総人件費の管理に係る責任体制の確立

 四 実効性のある希望退職制度(退職を希望する職員の増加に資する制度をいう。)及び役職に応じ定年を定める制度の導入並びにその設置に係る財源を確保した上での専門スタッフ職(専門的な知識経験及び識見を活用して重要な政策の企画及び立案等を支援する職をいう。)の設置

     第二款 行政改革を恒常的かつ強力に推進するための組織に関する分野

第三十三条 行政構造が社会経済情勢の変化等に対応して自律的かつ持続的に改善され又は刷新されることを目指して、行政刷新及び行政監視に係る機能を一元的に担いつつ、行政改革を恒常的かつ強力に推進する組織の在り方については、次に掲げる基本方針により検討するものとする。

 一 行政刷新及び行政監視に係る機能を集約し、及び強化すること。

 二 政策評価(行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第三条第二項に規定する政策評価をいう。)その他の行政改革に資するための施策との整理を行うこと。

 三 政府の国家戦略に基づく府省横断的な一体的かつ効率的な事務及び事業の運営を確保する観点から監視する体制を構築すること。

 四 行政の事務及び事業に関し、その実施の結果を評価し、その評価を企画及び立案に反映させる手続を確立すること。この場合において、国会における決算の審査その他の行政監視の結果が予算に反映される等当該行政機関以外の国の機関その他の者の評価にも留意すること。

     第三款 行政機関の情報システム等に関する分野

 (行政機関の情報システムの改善又は刷新等に関する検討)

第三十四条 行政機関の情報システムに関しては、その現況並びに短期及び中長期の見通しを踏まえ、その統廃合等を含めた改善又は刷新について検討するとともに、国民の利便性の向上、行政手続の簡素化、行政の事務及び事業の効率化並びに情報システムに係る経費の削減等の観点(次条において「国民の利便性向上等の観点」という。)を踏まえて、当該改善又は刷新に係る効果の定量的な評価及び公表の在り方について検討するものとする。

 (行政の情報化の推進に関する検討)

第三十五条 行政の情報化の一層の推進に関しては、その効果を分かりやすい形で公表し、国民の理解に資するため、国民の利便性向上等の観点を踏まえて、当該効果の定量的な評価及び公表の在り方について検討するものとする。

     第四款 国有資産に関する分野

 (国の保有する株式の売却の可能性に関する検討)

第三十六条 第二十四条に定めるもののほか、国の保有する株式については、その売却の可能性に関し、必要な検討をするものとする。

 (公共用財産の売却等の可能性に関する検討)

第三十七条 治水施設、道路その他の公共用財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第三条第二項第二号に規定する公共用財産をいう。)のうち、未利用又は利用の程度が低いものについては、その売却等の可能性に関し、必要な検討をするものとする。

   第三章 集中改革期間における行政改革の工程表等

 (工程表の策定)

第三十八条 政府は、集中改革期間における行政改革のために必要な措置を確実に実施するため、集中改革期間における行政改革の工程表(以下「工程表」という。)を策定するものとする。

2 工程表の策定に当たっては、関係行政機関の長において、その所掌事務に係る行政改革について、前章第二節に規定する基本方針に基づいて検討した上で講ずべき必要な措置に係る草案を取りまとめ、これを行政改革実行本部に提出するものとし、行政改革実行本部においては、政府全体として行政改革の円滑かつ確実な実行を図る観点から、その草案について必要な調整を行った上で工程表の案を作成する等行政改革実行本部及び関係行政機関の長が相互に密接な連携を図りながら協力するものとする。

3 工程表の策定は、この法律の施行後三月以内を目途として行われるものとする。

 (工程表に定めるべき事項)

第三十九条 前章第二節に掲げる重点分野については、集中改革期間において、重点分野ごとに定める行政改革の基本方針に基づいて講ずべき具体的な措置の内容及びその講ずる時期その他必要な事項を工程表に定めるものとする。

2 前章第三節第一款に掲げる国家公務員の総人件費に係る行政に関する分野その他同節に掲げる重点分野については、行政構造改革会議の提言を踏まえ、前項に規定する事項に準じて必要な事項を、随時、工程表に追加するものとする。

 (国会報告)

第四十条 政府は、国会に対し、集中改革期間において、工程表に基づいて講じた措置の状況を報告しなければならない。

   第四章 集中改革期間における行政改革の実施体制等

    第一節 行政改革実行本部

 (設置)

第四十一条 集中改革期間における行政改革を総合的かつ集中的に実行するため、内閣に、行政改革実行本部(以下「本部」という。)を置く。

 (所掌事務)

第四十二条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 工程表に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務

 二 工程表に基づき関係行政機関が講ずる施策その他関係行政機関が講ずる集中改革期間における行政改革のための施策に関し、その推進に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務

 三 前二号に掲げるもののほか、法令の規定により本部に属させられた事務

 (組織)

第四十三条 本部は、行政改革実行本部長、行政改革実行副本部長及び行政改革実行本部員をもって組織する。

 (行政改革実行本部長)

第四十四条 本部の長は、行政改革実行本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を統括し、所部の職員を指揮監督する。

 (行政改革実行副本部長)

第四十五条 本部に、行政改革実行副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

 (行政改革実行本部員)

第四十六条 本部に、行政改革実行本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。

 (資料の提出その他の協力)

第四十七条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人等の長並びに特殊法人及び認可法人の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (事務局)

第四十八条 本部に、その事務を処理させるため、事務局を置く。

2 事務局に、事務局長その他の職員を置く。

3 事務局長は、関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。

4 事務局長は、本部長の命を受け、局務を掌理する。

 (設置期限)

第四十九条 本部は、平成二十八年三月三十一日まで置かれるものとする。

 (主任の大臣)

第五十条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

 (政令への委任)

第五十一条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

    第二節 行政構造改革会議

 (設置)

第五十二条 集中改革期間における行政改革が総合的かつ集中的に実行され行政構造が社会経済情勢の変化等に対応して自律的かつ持続的に改善され又は刷新されていく体制の構築に資するため、内閣府に、行政構造改革会議(以下「会議」という。)を置く。

 (所掌事務)

第五十三条 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議し、内閣総理大臣に提言すること。

 二 内閣総理大臣の諮問に応じて、第二章第二節に掲げる事項その他の行政改革に関する重要事項について調査審議し、内閣総理大臣に答申すること。

 三 前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣に提言すること。

 (提言及び答申を踏まえた政府の措置)

第五十四条 政府は、内閣総理大臣に対する会議の提言及び答申に盛り込まれた内容及びその趣旨を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。

 (組織)

第五十五条 会議は、議長及び委員六人以内をもって組織する。

2 議長及び委員は、優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

3 議長は、会務を総理し、会議を代表する。

4 議長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (準用)

第五十六条 第四十七条の規定は、会議について準用する。

 (事務局)

第五十七条 会議に、その事務を処理させるため、事務局を置く。

2 第四十八条第二項から第四項までの規定は、前項の事務局について準用する。この場合において、同条第四項中「本部長」とあるのは、「議長」と読み替えるものとする。

 (設置期限)

第五十八条 会議は、その設置の日から起算して二年を経過する日まで置かれるものとする。

 (政令への委任)

第五十九条 この法律に定めるもののほか、会議に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章、次項及び附則第三項の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (内閣府設置法の一部改正)

2 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  附則第二条第二項の表平成三十三年三月三十一日の項の前に次のように加える。

行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第五十二条の規定による行政構造改革会議の設置の日から起算して二年を経過する日

同法第五十三条に規定する事務及びこれに関連する事務の連絡調整に関すること。

  附則第四条に次の一項を加える。

 3 行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律第五十二条の規定による行政構造改革会議の設置の日から起算して二年を経過する日までの間、同法の定めるところにより内閣府に置かれる行政構造改革会議は、本府に置く。

 (消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の一部改正)

3 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成二十五年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

  附則第三条のうち内閣府設置法附則第二条第二項の表平成三十三年三月三十一日の項の前に次のように加える改正規定中「平成三十三年三月三十一日の項の前」を「行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第五十二条の規定による行政構造改革会議の設置の日から起算して二年を経過する日の項の次」に改める。


     理 由

 真に国民のために必要な行政サービスを提供することができ、かつ、国民に信頼される行政構造を構築するとともに、現下の厳しい経済財政状況に的確に対処することが喫緊の課題であることに鑑み、集中改革期間における行政改革について、集中改革期間以後においても行政構造が社会経済情勢の変化等に対応して自律的かつ持続的に改善され又は刷新されていく体制を構築することを目指して、総合的かつ集中的に実行するため、その基本理念、国及び地方公共団体の責務、基本方針、工程表その他の重要事項を定めるとともに、行政改革実行本部及び行政構造改革会議を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約二千二百万円の見込みである。

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