衆議院

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第一八六回

衆第八号

   環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、環境保全型農業が、農業の持続的な発展及び自然環境と調和のとれた農業生産の確保に有益であるとともに、消費者の安全かつ良質な農産物に対する需要に対応するものであることに鑑み、環境保全型農業を行う農業者に対する交付金の交付について定めることにより、環境保全型農業の促進を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「環境保全型農業」とは、有機農業の推進に関する法律(平成十八年法律第百十二号)第二条に規定する有機農業その他の自然環境の保全に資する農業の生産方式(以下「環境保全型農業生産方式」という。)を導入した農業生産活動であって農林水産省令で定めるものをいう。

2 この法律において「農業者」とは、次に掲げる者をいう。

 一 農産物の販売を目的として農業を営む者であって農林水産省令で定める要件に該当するもの

 二 委託を受けて農作業を行う組織であって農林水産省令で定める要件に該当するもの

3 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地をいう。

 (環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付)

第三条 政府は、環境保全型農業の促進を図るため、毎年度、予算の範囲内において、環境保全型農業を行う農業者に対し、環境保全型農業を行う農用地の面積に応じて交付金を交付するものとする。

2 前項の交付金の金額は、農業者ごとに、環境保全型農業生産方式の種類別の面積当たりの単価に、その者が当該年度において導入した環境保全型農業生産方式の種類別の当該導入に係る農用地の面積をそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額とする。

3 前項の単価は、第一項の交付金の交付により環境保全型農業生産方式の導入に要する経費の補填を図ることを旨とし、環境保全型農業生産方式の種類別の標準的な経費の額を考慮して、農林水産大臣が定めるものとする。

4 農林水産大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、第二項の単価を改定することができる。

5 農林水産大臣は、第二項の単価を定め、又は改定しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。

6 農林水産大臣は、第二項の単価を定め、又は改定したときは、遅滞なく、これを告示するものとする。

 (交付金の交付の申請等)

第四条 前条第一項の交付金(以下単に「交付金」という。)の交付を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農産物の生産又は農作業の受託に関する計画その他の農林水産省令で定める書類を添付して、農林水産大臣に交付の申請をしなければならない。

2 前項に定めるもののほか、交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

 (交付金の返還)

第五条 偽りその他不正の手段により交付金の交付を受けた者があるときは、農林水産大臣は、その者に対してその交付を受けた交付金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

2 前項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しない者があるときは、農林水産大臣は、期限を指定してこれを督促しなければならない。

3 前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに第一項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しないときは、農林水産大臣は、国税滞納処分の例によりこれを処分することができる。

4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (報告及び検査)

第六条 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、交付金の交付を受け、若しくは受けようとする者若しくはこれらの者からその生産した農産物の加工若しくは販売の委託を受け若しくは当該農産物の売渡しを受けた者に対し、必要な事項の報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (罰則)

第七条 偽りその他不正の手段により交付金の交付を受けた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。

第八条 第六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、公布の日から施行する。

 (単価に関する経過措置)

第二条 農林水産大臣は、この法律の施行の日(次項において「施行日」という。)前においても、第三条第三項、第五項及び第六項の規定の例により、同条第二項の単価(次項において単に「単価」という。)を定め、これを告示することができる。

2 前項の規定により定められた単価は、施行日において第三条第三項の規定により定められたものとみなす。

 (政令への委任)

第三条 前条に規定するもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (食料・農業・農村基本法の一部改正)

第四条 食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)の一部を次のように改正する。

  第四十条第三項中「及び農業者戸別所得補償法(平成二十六年法律第▼▼▼号)」を「、農業者戸別所得補償法(平成二十六年法律第▼▼▼号)及び環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律(平成二十六年法律第▼▼▼号)」に改める。


     理 由

 環境保全型農業が、農業の持続的な発展及び自然環境と調和のとれた農業生産の確保に有益であるとともに、消費者の安全かつ良質な農産物に対する需要に対応するものであることに鑑み、環境保全型農業を行う農業者に対する交付金の交付について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約五十億円の見込みである。

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