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第一八九回

衆第一五号

   中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、条件不利地域農業生産継続推進事業について、その事業計画の認定の制度を設けるとともに、これを推進するための措置等について定め、もって中山間地域その他の条件不利地域において農業生産活動の維持を図り、あわせて多面的機能(食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)第三条に規定する多面的機能をいう。以下同じ。)の維持に資することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、中山間地域その他の条件不利地域において営まれる農業が、我が国の農業において重要な地位を占めているとともに、これに係る多面的機能が国民に多くの恵沢をもたらしているにもかかわらず、中山間地域その他の条件不利地域においては農業生産活動を継続することが他の地域より困難であることに鑑み、農業の生産条件の不利を補正することを旨として実施されなければならない。

 (定義)

第三条 この法律において「中山間地域その他の条件不利地域」とは、次に掲げるものをいう。

 一 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成五年法律第七十二号)第二条第四項の規定に基づき公示された特定農山村地域

 二 山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)第七条第一項の規定に基づき指定された振興山村

 三 過疎地域自立促進特別措置法(平成十二年法律第十五号)第二条第二項の規定に基づき公示された過疎地域(同法第三十三条第一項又は第二項の規定により過疎地域とみなされる区域を含む。)

 四 半島振興法(昭和六十年法律第六十三号)第二条第一項の規定に基づき指定された半島振興対策実施地域

 五 離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第二条第一項の規定に基づき指定された離島振興対策実施地域

 六 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第三条第一号に規定する沖縄

 七 奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第一条に規定する奄美群島

 八 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和四十四年法律第七十九号)第四条第一項に規定する小笠原諸島

 九 その他農業の生産条件が不利な地域として農林水産大臣が定める地域

2 この法律において「条件不利地域農業生産継続推進事業」とは、中山間地域その他の条件不利地域において、農業生産活動の継続的な実施を推進し、あわせて多面的機能の維持に資するため、農業者その他の農林水産省令で定める者(以下「農業者等」という。)が実施する事業をいう。

3 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地をいう。

 (基本指針)

第四条 農林水産大臣は、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

2 基本指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項に規定する基本方針の指針となるべきものを定めるものとする。

 一 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進の意義及び目標に関する事項

 二 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進すべき区域の設定に関する基本的な事項

 三 条件不利地域農業生産継続推進事業に関する基本的な事項

 四 前三号に掲げるもののほか、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する重要事項

3 基本指針は、次に掲げる事項に配慮されたものでなければならない。

 一 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第八条第二項第一号に規定する農用地区域内の農用地に係るものだけでなく、これを必要とするあらゆる農用地に係るものについて行われなければならないこと。

 二 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、対象となる農用地についての勾配及び自然条件による規模若しくは形状の制約又は利用の集積に当たっての制約、離島等地域全体としての生産に要する費用の過重な負担その他農業の生産条件を不利にする多様な要因が考慮されなければならないこと。

 三 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、その成果が適切に評価され、その結果が中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する措置に適切に反映されるよう行われなければならないこと。

 四 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に当たっては、多額の経費を要する活動について必要に応じ複数年にわたり資金を積み立てた上で実施する等その効率的かつ効果的な実施が確保されなければならないこと。

4 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係行政機関の長及び都道府県知事に通知しなければならない。

6 前三項の規定は、基本指針の変更について準用する。

 (基本方針)

第五条 都道府県知事は、基本指針に即して、当該都道府県の区域内について、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることができる。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進の目標

 二 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進すべき区域の基準

 三 次条第一項に規定する促進計画の作成に関する事項

 四 前三号に掲げるもののほか、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する事項

3 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、農林水産大臣に協議しなければならない。

4 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係市町村に通知し、かつ、農林水産大臣に報告しなければならない。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

 (促進計画)

第六条 市町村は、基本方針に即して、当該市町村の区域内について、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する計画(以下「促進計画」という。)を作成することができる。

2 促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 促進計画の区域

 二 促進計画の目標

 三 第一号の区域内においてその実施を推進する条件不利地域農業生産継続推進事業に関する事項

 四 第一号の区域内において特に重点的に条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進する区域を定める場合にあっては、その区域

 五 前各号に掲げるもののほか、促進計画の実施に関し当該市町村が必要と認める事項

3 促進計画は、農業振興地域整備計画その他法律の規定による地域の農業の振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 市町村は、促進計画を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。

5 市町村は、促進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に当該促進計画の写しを送付しなければならない。

6 前三項の規定は、促進計画の変更について準用する。

 (事業計画の認定)

第七条 促進計画に基づいて当該促進計画に定められた前条第二項第一号の区域内において条件不利地域農業生産継続推進事業を実施しようとする農業者等は、その実施しようとする条件不利地域農業生産継続推進事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、当該促進計画を作成した市町村(以下「特定市町村」という。)の認定を申請することができる。

2 事業計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 条件不利地域農業生産継続推進事業の目標

 二 条件不利地域農業生産継続推進事業の内容に関する次に掲げる事項

  イ 条件不利地域農業生産継続推進事業の種類及び実施区域

  ロ 条件不利地域農業生産継続推進事業に係る農業生産活動の内容、当該農業生産活動の継続的な実施を推進するための活動の内容その他農林水産省令で定める事項

 三 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施期間

 四 その他農林水産省令で定める事項

3 特定市町村は、第一項の認定の申請があった場合において、その事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 当該事業計画が促進計画に照らし適切なものであること。

 二 当該事業計画に定める事項が当該事業計画に係る条件不利地域農業生産継続推進事業を確実に実施するために適切なものであること。

 三 当該事業計画に記載された条件不利地域農業生産継続推進事業の実施区域(当該事業計画に二以上の条件不利地域農業生産継続推進事業が記載されている場合にあっては、その全ての実施区域)内に、現に耕作又は養畜の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作又は養畜の目的に供されないと見込まれる農用地として農林水産省令で定めるものがないこと。

4 特定市町村は、第一項の認定をしたときは、遅滞なく、当該認定に係る事業計画の概要(当該認定に係る事業計画に、前条第二項第四号の規定により定められた区域内において実施される条件不利地域農業生産継続推進事業が記載されている場合にあっては、その旨を含む。)を公表しなければならない。

5 第一項の認定の手続については、申請する者の負担ができるだけ軽減されるよう配慮されるものとする。

 (事業計画の変更等)

第八条 前条第一項の認定を受けた農業者等(以下「認定農業者等」という。)は、当該認定に係る事業計画の変更をしようとするときは、特定市町村の認定を受けなければならない。ただし、その変更が農林水産省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。

2 特定市町村は、認定農業者等が前条第一項の認定に係る事業計画(前項の変更の認定又は同項ただし書の農林水産省令で定める軽微な変更があったときは、その変更後のもの。以下この条において「認定事業計画」という。)に従って当該認定事業計画に記載された条件不利地域農業生産継続推進事業(以下「認定事業」という。)を実施していないと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。

3 特定市町村は、認定事業計画が前条第三項各号のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定農業者等に対し、当該認定事業計画の変更を指示し、又は同条第一項の認定を取り消すことができる。

4 前条第三項から第五項までの規定は、認定事業計画の変更について準用する。この場合において、これらの規定中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

 (費用の補助)

第九条 特定市町村は、認定農業者等に対し、認定事業の実施に要する費用の一部を補助することができる。

2 国は、都道府県が、前項の規定による補助をする特定市町村に対し当該補助に要する費用の一部を補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該補助に要する費用の一部を補助することができる。

 (国等の援助等)

第十条 国及び関係地方公共団体は、認定農業者等に対し、認定事業の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、農林水産大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び認定農業者等は、認定事業の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 (報告の徴収)

第十一条 特定市町村の長は、この法律の施行に必要な限度において、認定農業者等に対し、認定事業の実施状況について報告を求めることができる。

 (罰則)

第十二条 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

2 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

3 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

2 基本指針の策定、基本方針の策定及び促進計画の作成のために必要な準備行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

 (検討)

3 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、条件不利地域農業生産継続推進事業について、その事業計画の認定の制度を設けるとともに、これを推進するための措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約三百四十億円の見込みである。

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