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第一八九回

衆第四四号

   発電用原子炉施設の使用の開始又は再開に係る特定都道府県の同意に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、発電用原子炉施設の使用の開始又は再開に係る特定都道府県の同意に関して必要な事項を定めることにより、特定都道府県が当該特定都道府県の地域並びに当該特定都道府県の住民の生命、身体及び財産を原子力災害から保護することに資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「発電用原子炉施設」とは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の五第二項第五号に規定する発電用原子炉施設をいう。

2 この法律において「特定都道府県」とは、原子力災害対策(原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第六条の二第一項に規定する原子力災害対策をいう。次条第三項において同じ。)を重点的に実施すべき都道府県として政令で定めるものをいう。

3 この法律において「原子力災害」とは、原子力災害対策特別措置法第二条第一号に規定する原子力災害をいう。

4 この法律において「実用発電用原子炉設置者」とは、原子炉等規制法第四十三条の四第一項に規定する実用発電用原子炉(次項において「実用発電用原子炉」という。)に係る原子炉等規制法第四十三条の三の八第一項に規定する発電用原子炉設置者をいう。

5 この法律において「研究開発段階発電用原子炉設置者」とは、原子炉等規制法第二条第五項に規定する発電用原子炉(実用発電用原子炉を除く。)であって研究開発段階にあるものとして政令で定めるものに係る原子炉等規制法第四十三条の三の八第一項に規定する発電用原子炉設置者をいう。

 (発電用原子炉施設の使用の開始に係る特定都道府県の同意)

第三条 実用発電用原子炉設置者は、原子炉等規制法第四十三条の三の五第一項の許可を受けた後初めて当該許可に係る発電用原子炉施設を使用しようとする場合であって、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二十九条の二第一項又は同条第二項において読み替えて準用する同法第二十九条第三項の認可を申請しようとするときは、あらかじめ、当該発電用原子炉施設の使用の開始について、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に協議し、その同意を得なければならない。

2 特定都道府県の知事は、前項の協議を受けた場合には、当該協議に係る発電用原子炉施設に係る原子力災害が発生する可能性、当該原子力災害が発生した場合に当該特定都道府県の地域及び住民に及ぼす影響、当該原子力災害に関する当該特定都道府県の地域に係る災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第十号イに掲げる都道府県地域防災計画又は同号ハに掲げる都道府県相互間地域防災計画の整備の状況等を勘案し、当該特定都道府県の地域並びに当該特定都道府県の住民の生命、身体及び財産の保護の観点から、当該協議に係る同項の同意をするかどうかを決定し、当該協議に係る実用発電用原子炉設置者に対し、政令で定めるところにより、その旨を書面により通知するものとする。

3 特定都道府県の知事は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、当該特定都道府県に包括される市町村であって、当該決定に係る発電用原子炉施設に係る原子力災害対策を重点的に実施すべき市町村として政令で定めるものの長(当該特定都道府県の加入する広域連合(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の広域連合をいう。以下この項において同じ。)であって、原子力災害対策に関する事務を処理するものがある場合にあっては、当該政令で定めるものの長及び当該広域連合の長(同法第二百九十一条の十三において準用する同法第二百八十七条の三第二項の規定により長に代えて理事会を置く広域連合にあっては、理事会))の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。

4 特定都道府県の知事は、第二項の規定による決定をするため必要があると認めるときは、当該決定に係る実用発電用原子炉設置者及び関係行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該行政機関)に対し、資料又は情報の提供その他必要な協力を求めることができる。

第四条 研究開発段階発電用原子炉設置者は、原子炉等規制法第四十三条の三の五第一項の許可を受けた後初めて当該許可に係る発電用原子炉施設を使用しようとするときは、あらかじめ、当該発電用原子炉施設の使用の開始について、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に協議し、その同意を得なければならない。

2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による協議について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 (発電用原子炉施設の使用の開始に係る通知)

第五条 実用発電用原子炉設置者及び研究開発段階発電用原子炉設置者は、第三条第一項又は前条第一項の同意が得られた場合において当該同意に係る発電用原子炉施設の使用を開始したときは、政令で定めるところにより、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に対し、その旨その他政令で定める事項を通知しなければならない。

 (発電用原子炉施設の使用の停止に係る通知)

第六条 実用発電用原子炉設置者及び研究開発段階発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設の使用を停止したときは、政令で定めるところにより、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に対し、その旨及びその理由その他政令で定める事項を通知しなければならない。

 (発電用原子炉施設の使用の再開に係る特定都道府県の同意)

第七条 実用発電用原子炉設置者は、前条の理由が原子炉等規制法第四十三条の三の九第一項又は第二項の認可に係る変更の工事、事故の発生その他の政令で定める理由に該当する場合において、当該理由により発電用原子炉施設の使用を停止した後初めて当該発電用原子炉施設を使用しようとするときであって、電気事業法第二十九条の二第一項又は同条第二項において読み替えて準用する同法第二十九条第三項の認可を申請しようとするときは、あらかじめ、当該発電用原子炉施設の使用の再開について、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に協議し、その同意を得なければならない。

2 第三条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による協議について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第八条 研究開発段階発電用原子炉設置者は、第六条の理由が前条第一項の政令で定める理由に該当する場合において、当該理由により発電用原子炉施設の使用を停止した後初めて当該発電用原子炉施設を使用しようとするときは、あらかじめ、当該発電用原子炉施設の使用の再開について、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に協議し、その同意を得なければならない。

2 第三条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による協議について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 (発電用原子炉施設の使用の再開に係る通知)

第九条 実用発電用原子炉設置者及び研究開発段階発電用原子炉設置者は、第七条第一項若しくは前条第一項の同意が得られた場合において当該同意に係る発電用原子炉施設の使用を再開したとき又は第七条第一項の政令で定める理由以外の理由により発電用原子炉施設の使用を停止した後初めて当該発電用原子炉施設の使用を再開したときは、政令で定めるところにより、当該発電用原子炉施設に係る特定都道府県の知事に対し、その旨その他政令で定める事項を通知しなければならない。

 (政令への委任)

第十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (過料)

第十一条 第五条、第六条又は第九条の規定に違反して通知をせず、又は虚偽の通知をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (電気事業法等の一部を改正する法律の一部改正)

2 電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の一条を加える。

  (発電用原子炉施設の使用の開始又は再開に係る特定都道府県の同意に関する法律の一部改正)

 第七十五条 発電用原子炉施設の使用の開始又は再開に係る特定都道府県の同意に関する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

   第三条第一項及び第七条第一項中「第二十九条の二第一項」を「第三十条第一項」に改める。


     理 由

 特定都道府県が当該特定都道府県の地域並びに当該特定都道府県の住民の生命、身体及び財産を原子力災害から保護することに資するため、発電用原子炉施設の使用の開始又は再開に係る特定都道府県の同意に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

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