衆議院

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第一八九回

参第一号

   高等教育に係る家計の負担を軽減するための税制上の措置その他の必要な施策の推進に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第四条)

 第二章 教育振興基本計画に定める事項(第五条)

 第三章 税制上の措置(第六条・第七条)

 第四章 学資金の返還免除制度の拡充(第八条)

 第五章 調査研究等及び制度の周知(第九条・第十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、高等教育に係る家計の負担能力の程度が高等教育を受ける機会の確保に影響を与えている状況に鑑み、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神にのっとり、家計の負担能力の程度にかかわらず、意欲及び能力のある者が高等教育を受ける機会を確保することができるようにするため、高等教育に係る家計の負担を軽減するための税制上の措置その他の必要な施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにするとともに、必要な事項を定めることにより、当該施策の推進を図り、もって国家及び社会の形成を担う有為な人材の育成に寄与するとともに、我が国の経済社会の発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「高等教育」とは、大学、高等専門学校及び専修学校の専門課程における教育をいう。

2 この法律において「大学等」とは、大学、高等専門学校及び専門課程を置く専修学校をいう。

 (基本理念)

第三条 高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策は、天然資源に乏しい我が国においては人材こそが最大の資源であり、国家及び社会の形成を担う有為な人材の育成が我が国の重要な課題であるとの認識の下、不断に推進されなければならない。

2 高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策は、その対象となる者の置かれている状況に違いがあることを踏まえ、税制上又は財政上の措置その他の措置が適切に組み合わされることにより効果的に実施されることを旨として講ぜられなければならない。

 (国の責務等)

第四条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 地方公共団体は、基本理念にのっとり、高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3 大学等は、基本理念にのっとり、高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策に協力するよう努めるものとする。

   第二章 教育振興基本計画に定める事項

第五条 教育基本法第十七条第一項に規定する計画においては、この法律の目的及び基本理念に配慮し、高等教育に係る家計の負担を軽減するための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、当該施策に関する基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項を定めるものとする。

   第三章 税制上の措置

 (高等教育に要する費用についての給付付き税額控除)

第六条 政府は、平成二十七年度中に、自己又は生計を一にする親族のために支払った大学等の授業料及び入学金、大学等において必要な教材の購入費その他の高等教育に要する費用のうち一定の金額に達するまでの金額を所得税等の額から控除し、かつ、当該控除をしてもなお控除しきれない金額があるときは当該控除しきれない金額に相当する金銭を給付する制度を創設するために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 (高等教育に係る寄附を促進するための措置)

第七条 政府は、平成二十七年度中に、個人及び法人の大学等への寄附並びに高等教育に係る学資の支給及び貸与に関する寄附を促進するよう、これらの寄附に係る個人所得課税における寄附金控除等及び法人課税における寄附金の損金算入の制度について、それぞれ寄附金控除等又は損金算入をすることができる金額を拡充するために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

   第四章 学資金の返還免除制度の拡充

第八条 政府は、平成二十七年度中に、独立行政法人日本学生支援機構が在学中に特に優れた業績を挙げたと認められる学生等(大学及び高等専門学校の学生並びに専修学校の専門課程の生徒をいう。以下この条において同じ。)に対しその貸与した学資金の全部又は一部の返還を免除することができる制度について、大学院の学生以外の学生等をその対象に加えるとともに、学資金の全部の返還を免除する学生等の人数がその貸与を受けた学生等の人数のおおむね二割となるよう、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

   第五章 調査研究等及び制度の周知

 (調査研究等)

第九条 前二章に定めるもののほか、政府は、高等教育に係る費用のための貯蓄等を優遇する税制上の措置をはじめ、高等教育に係る家計の負担の軽減に資する施策に関し、諸外国における状況を含め幅広く調査研究を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。

 (制度の周知)

第十条 政府は、高等教育に係る家計の負担の軽減に資する制度を利用することのできる者が確実に当該制度を利用することができるよう、当該制度の内容等について、関係機関と連携し、広報活動等を通じて周知を図るものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 高等教育に係る家計の負担能力の程度が高等教育を受ける機会の確保に影響を与えている状況に鑑み、教育基本法の精神にのっとり、家計の負担能力の程度にかかわらず、意欲及び能力のある者が高等教育を受ける機会を確保することができるようにするため、高等教育に係る家計の負担を軽減するための税制上の措置その他の必要な施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにするとともに、必要な事項を定めることにより、当該施策の推進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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