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第一八九回

参第一三号

   児童の通学安全の確保に関する施策の推進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、通学中の児童が巻き込まれる交通事故の発生を防止するとともに、犯罪行為、災害その他の交通事故以外の事由により通学中の児童に生ずる危険を軽減するため、交通安全をはじめとする児童の通学中における安全の確保(以下「児童の通学安全の確保」という。)に関し、基本指針、市町村児童通学安全計画、児童通学安全協議会、児童通学安全交付金等について定めることにより、児童通学交通安全区域における交通の規制、児童が通学のために通行する道路の整備その他の児童の通学安全の確保に関する施策(以下「児童通学安全確保対策」という。)を推進し、もって児童が安全に通学することができる社会の実現に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「児童通学交通安全区域」とは、小学校(特別支援学校の小学部を含む。以下同じ。)の周辺の区域のうち、児童の通学中における交通安全の確保のため、その全域にわたって第七条第二項第三号イに掲げる交通の規制を行い、かつ、その全部又は一部の道路について同号ロに掲げる交通の規制を行うことが特に必要な区域として市町村児童通学安全計画(同条第一項に規定する市町村児童通学安全計画をいう。第六条第二項第二号において同じ。)において定める区域をいう。

2 この法律において「児童」とは、小学校に在学する者をいう。

3 この法律において「道路」とは、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第一号に規定する道路(同法第七十五条の三に規定する高速自動車国道等及び道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道を除く。)をいう。

 (国及び地方公共団体の責務等)

第三条 国及び地方公共団体は、交通安全をはじめとする児童の通学中における安全があまねく全国において確保されるよう、それぞれの役割を踏まえ、児童通学安全確保対策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 国及び地方公共団体は、前項の責務を果たすため、必要な体制の整備を行うものとする。

 (国民の責務)

第四条 国民は、児童の通学安全の確保の重要性について理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施する児童通学安全確保対策に協力するよう努めなければならない。

 (基本指針)

第五条 内閣総理大臣、国家公安委員会、国土交通大臣及び文部科学大臣(以下「主務大臣」という。)は、児童通学安全確保対策に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。

2 基本指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項に規定する基本方針の指針となるべきものを定めるものとする。

 一 児童の通学安全の確保の意義及び目標に関する事項

 二 児童通学安全確保対策に関する基本的な事項

 三 前二号に掲げるもののほか、児童通学安全確保対策の推進に関する重要事項

3 基本指針は、おおむね五年の間に集中的に施策が講ぜられるよう定めるものとする。

4 主務大臣は、基本指針を定めようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 主務大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

6 主務大臣は、情勢の推移により必要が生じた場合には、基本指針を変更しなければならない。

7 第四項及び第五項の規定は、前項の規定による基本指針の変更について準用する。

 (基本方針)

第六条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本指針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該市町村における児童通学安全確保対策に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 児童通学安全確保対策に関する基本的な事項

 二 市町村児童通学安全計画の作成に関する事項

 三 第八条第一項の規定による情報の集約、整理及び周知に関する事項

 四 児童通学安全協議会(第九条第一項の児童通学安全協議会をいう。次号並びに次条第三項、第五項及び第七項において同じ。)が第九条第二項第一号、第二号及び第五号に掲げる事務を行うに当たって配慮すべき事項

 五 児童通学安全協議会の組織及び運営に関する基本的な事項

 六 第十条第一項に規定する児童通学安全交付金事業計画の作成に関する基本的な事項

 七 前各号に掲げるもののほか、児童通学安全確保対策の推進に関する重要事項

3 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ関係する道路管理者(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。次条第四項において同じ。)及び都道府県公安委員会の意見を聴かなければならない。

4 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 市町村は、情勢の推移により必要が生じた場合には、基本方針を変更しなければならない。

6 第三項及び第四項の規定は、前項の規定による基本方針の変更について準用する。

 (市町村児童通学安全計画)

第七条 市町村は、基本方針に基づいて、当該市町村における児童通学安全確保対策に関する計画(以下「市町村児童通学安全計画」という。)を作成しなければならない。

2 市町村児童通学安全計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 市町村児童通学安全計画の目標

 二 児童通学交通安全区域を定める場合の当該児童通学交通安全区域の位置及び区域

 三 児童通学交通安全区域において車両(道路交通法第二条第一項第八号に規定する車両をいう。第七号ハにおいて同じ。)について行うイ及びロに掲げる交通の規制の区分に応じ、それぞれ当該イ及びロに定める内容

  イ 三十キロメートル毎時以下とすることを基本とする最高速度の指定 最高速度(道路の区間ごとに最高速度を指定する場合の当該最高速度を含む。)その他の具体的内容

  ロ 児童の通学する時間帯における通行の禁止又は制限 対象となる道路の区間、適用される日又は時間その他の具体的内容

 四 前号に掲げるもののほか、児童が通学のために通行する道路における交通の規制を行う場合の当該規制の種別、対象となる道路の区間又は場所その他必要な事項

 五 警察官による取締り及び道路交通法第百十四条の四第一項に規定する交通巡視員その他これに準ずる者による指導に関する事項

 六 前号に掲げるもののほか、児童の通学する時間帯において危険を回避させる等のための誘導又は巡回を行う場合の当該誘導又は巡回に関する事項

 七 児童が通学のために通行する道路について、児童の通学中における交通安全の確保のために次に掲げる事業を行う場合の当該事業の対象となる道路の区間又は場所その他の具体的内容

  イ 歩道の新設又は改築に関する事業

  ロ 横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の設置に関する事業

  ハ 車両の減速又は通行の阻止のために必要な工作物、物件又は施設(以下この項において「工作物等」という。)の設置に関する事業

  ニ 信号機、道路標識又は道路標示の設置に関する事業

  ホ イからニまでに掲げるもののほか、児童の通学中における交通安全の確保を目的とした道路又は工作物等の新設、改築又は修繕に関する事業

 八 通行の障害となる物の除去その他の児童が通学のために通行する道路の維持に関する事業を行う場合の当該事業の具体的内容

 九 児童が通学のために通行する道路その他の場所について、児童の通学中における防犯、防災その他交通安全以外の安全の確保に資する道路又は工作物等の新設、改築又は修繕に関する事業を行う場合の当該事業の具体的内容

 十 緊急時における対処に関する事項

 十一 第三号から前号までに掲げるもののほか、児童の通学安全の確保に資する事業又は事務(以下「事業等」という。)を行う場合の当該事業等の具体的内容

3 市町村は、市町村児童通学安全計画のうち前項第二号から第十一号までに掲げる事項については、児童通学安全協議会が作成する案に基づいて定めるものとする。

4 市町村は、市町村児童通学安全計画を作成しようとするときは、道路を管理する者(道路法による道路については、道路管理者。第九条第三項第三号において「道路の管理者」という。)、都道府県公安委員会その他の市町村児童通学安全計画に定めようとする事業等を実施すると見込まれる者と協議をしなければならない。

5 市町村は、市町村児童通学安全計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣、都道府県及び児童通学安全協議会に、市町村児童通学安全計画を送付しなければならない。

6 市町村児童通学安全計画において第二項第三号から第十一号までに掲げる事業等の実施主体として定められた者は、当該市町村児童通学安全計画に即して当該事業等を実施しなければならない。

7 市町村は、市町村児童通学安全計画の実施状況について、毎年度、公表するよう努めるとともに、主務大臣及び児童通学安全協議会に報告しなければならない。

8 市町村は、第九条第二項第四号の規定による検証の結果を踏まえ、又は必要に応じて、市町村児童通学安全計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。

9 第三項から第五項までの規定は、前項の規定による市町村児童通学安全計画の変更について準用する。

 (危険に関する情報の集約、整理及び周知等)

第八条 市町村は、次条第二項第一号の安全点検により把握された児童の通学中における危険に関する情報の集約及び整理を行い、その結果を明らかにした図面の配布その他の方法によりこれを周知するものとする。

2 市町村は、次条第二項第一号の安全点検が実施された後に把握された児童の通学中における危険に関する情報について、小学校、警察署、児童の保護者、地域住民、地域の安全を確保するための活動を行う団体その他の関係者との間で共有するための体制の整備に努めるものとする。

 (児童通学安全協議会)

第九条 市町村は、当該市町村内に所在する小学校ごとに、児童通学安全協議会を組織するものとする。

2 児童通学安全協議会は、各小学校に係る児童通学安全確保対策に関し、次に掲げる事務を行うものとする。

 一 次項第二号の小学校に在学する児童の通学中における危険に関する情報を把握するための安全点検を行うこと。

 二 前号の安全点検の結果を踏まえて、市町村児童通学安全計画(当該児童通学安全確保対策に関する部分に限る。以下この項において同じ。)又はその変更の案を作成すること。

 三 市町村児童通学安全計画の実施に係る連絡調整を行うこと。

 四 毎年度、又は必要に応じて、市町村児童通学安全計画の実施状況を検証すること。

 五 緊急時における連絡体制を整備すること。

3 児童通学安全協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 市町村

 二 小学校

 三 道路の管理者、都道府県公安委員会その他の市町村児童通学安全計画に定めようとする事業等を実施すると見込まれる者

 四 第二号の小学校に在学する児童の保護者のうちから市町村において委嘱する者

 五 地域住民のうちから市町村において委嘱する者

 六 市町村児童通学安全計画に定めようとする事業等の対象となることが見込まれる道路をその事業のために通行する事業者、地域の安全を確保するための活動を行う団体の代表者、学識経験者その他の市町村が必要と認める者

4 児童通学安全協議会の構成員は、市町村に対し、児童通学安全協議会の開催を求めることができる。

5 児童通学安全協議会は、第二項第一号に掲げる事務を行うに当たっては、第三項第二号の小学校に在学する児童から必要な情報を収集し、その結果を踏まえてこれを行うものとする。

6 前二項に定めるもののほか、児童通学安全協議会の運営に関し必要な事項は、児童通学安全協議会が定める。

 (児童通学安全交付金)

第十条 市町村は、単独で又は当該市町村の存する都道府県と共同して、市町村児童通学安全計画に基づく事業等のうち交付金(第四項の交付金をいう。次項第一号において同じ。)を充てて実施をしようとする事業等に関する計画(以下この条において「児童通学安全交付金事業計画」という。)を作成し、内閣総理大臣に提出することができる。

2 児童通学安全交付金事業計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。

 一 第七条第二項第五号から第十一号までに掲げる事業等のうち交付金を充てて実施をしようとする事業等に関する事項

 二 計画期間

3 市町村(市町村が当該市町村の存する都道府県と共同して児童通学安全交付金事業計画を作成する場合にあっては、市町村及び都道府県。次項において同じ。)は、児童通学安全交付金事業計画を作成したときは、遅滞なくこれを公表するよう努めるものとする。

4 国は、市町村に対し、第一項の規定により提出された児童通学安全交付金事業計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、内閣府令で定めるところにより、予算の範囲内で交付金を交付することができる。

5 前項の規定による交付金(次項において「児童通学安全交付金」という。)を充てて行う事業等に要する費用については、他の法令の規定に基づく国の負担若しくは補助又は交付金の交付は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。

6 第一項及び前二項に定めるもののほか、児童通学安全交付金の交付に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

 (啓発活動)

第十一条 国及び地方公共団体は、自動車及び原動機付自転車の運転免許に係る道路交通法第百八条の二第一項及び第二項に規定する講習、交通安全又は防犯に関する行事その他あらゆる機会を通じて児童の通学安全の確保に関する啓発を行うよう努めるものとする。

 (研究開発の推進等)

第十二条 国及び地方公共団体は、情報通信技術を活用して児童通学交通安全区域において車両の速度を自動的に制御する等により交通事故を回避するシステム、児童の通学中における危険に関する情報の迅速かつ的確な収集、分析及び提供のためのシステムその他の児童の通学安全の確保に資するシステムの研究開発の推進及びその成果の普及のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況等を勘案して、児童通学安全確保対策の拡充、この法律に基づく施策により安全の確保が図られる者の範囲の拡大等について検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)

第三条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項第四十五号の次に次の一号を加える。

  四十五の二 児童の通学安全の確保に関する施策の推進に関する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)第五条第一項に規定する基本指針の策定に関すること、児童通学安全交付金事業計画(同法第十条第一項に規定する児童通学安全交付金事業計画をいう。以下この号において同じ。)に関すること、同法第十条第五項に規定する児童通学安全交付金の配分計画に関すること及び児童通学安全交付金事業計画に基づく事業又は事務に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。

 (学校教育法等の一部を改正する法律の一部改正)

第四条 学校教育法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第四十六号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の一条を加える。

  (児童の通学安全の確保に関する施策の推進に関する法律の一部改正)

 第二十一条 児童の通学安全の確保に関する施策の推進に関する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

   第二条第一項中「小学校(」の下に「義務教育学校の前期課程及び」を加える。


     理 由

 通学中の児童が巻き込まれる交通事故の発生を防止するとともに、犯罪行為、災害その他の交通事故以外の事由により通学中の児童に生ずる危険を軽減するため、児童の通学安全の確保に関し、基本指針、市町村児童通学安全計画、児童通学安全協議会、児童通学安全交付金等について定めることにより、児童通学交通安全区域における交通の規制、児童が通学のために通行する道路の整備その他の児童通学安全確保対策を推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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