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第一九八回

衆第二〇号

   青少年自然体験活動等の推進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、人々の生活が便利になる一方、人と自然や社会とのつながりを実感することが難しくなっている近年の状況において、青少年自然体験活動等が、農山漁村その他の豊かな自然環境を有する地域(以下「農山漁村等」という。)における様々な体験活動を通じ、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養い、人と人とのつながりの大切さを認識し、農林漁業の意義を理解すること等により、青少年が生きる力を育むことに資し、並びにその実施を受け入れる農山漁村等の活性化及び都市と農山漁村等相互の共感の醸成に寄与するものであることに鑑み、青少年自然体験活動等の推進に関し、基本理念を定め、及び国の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、青少年自然体験活動等を推進し、もって我が国の活力の向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「青少年自然体験活動等」とは、青少年が農山漁村等に滞在し、地域の住民と交流しつつ、自然体験活動、農林漁業の体験を行う活動、地域の伝統文化に触れる活動等を行うこと(学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。以下同じ。)の教育活動として行われるものを含む。)をいう。

 (基本理念)

第三条 青少年自然体験活動等は、青少年が生きる力を育むことを目指し、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の小学部及び中学部(第五条第二項において「小学校等」という。)における教育活動としておおむね一週間程度の期間にわたり行われるものをはじめとして、社会教育関係団体(社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第十条に規定する社会教育関係団体をいう。)の活動として行われるものに個人が参加する形態その他の多様な形態により行われることを通じて、あらゆる青少年に参加の機会が提供されるように、実施されるものとする。

2 青少年自然体験活動等は、農山漁村等の若者その他の住民の創意工夫を生かし、教育関係者、医療関係者、青少年自然体験活動等の実施を支援する者、青少年自然体験活動等を指導する者その他の関係する多様な者の参加と協力の下に、実施されるものとする。

3 青少年自然体験活動等は、青少年に対しできる限り多くの青少年自然体験活動等への参加の機会を与えることができるようにするため、青少年自然体験活動等を運営する者、青少年自然体験活動等の実施を支援する者等の人材の確保、青少年自然体験活動等を行うことができる場所の整備及び青少年自然体験活動等の内容の充実を図ることを旨として、推進されなければならない。

4 青少年自然体験活動等は、青少年自然体験活動等における保健管理及び安全の確保が図られるよう推進されなければならない。

5 青少年自然体験活動等は、青少年自然体験活動等に係る国際的な交流が図られるよう推進されなければならない。

 (国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(次条及び第七条において単に「基本理念」という。)にのっとり、青少年自然体験活動等の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

 (地方公共団体の責務)

第五条 都道府県は、基本理念にのっとり、当該都道府県の区域内に居住する青少年が参加して実施される青少年自然体験活動等及び当該都道府県の区域内の農山漁村等で受け入れて実施される青少年自然体験活動等の双方について、当該都道府県の区域内の市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び他の都道府県と連携協力しつつこれを支援するとともに、広域的な見地から当該都道府県の区域内における青少年自然体験活動等の実施を受け入れる体制を整備するよう努めるものとする。

2 市町村は、基本理念にのっとり、その設置する小学校等における青少年自然体験活動等の実施を推進するとともに、その区域内で青少年自然体験活動等の実施を受け入れる場合には、地域に密着した立場からこれを受け入れる体制を整備するよう努めるものとする。

3 前二項に定めるもののほか、地方公共団体は、基本理念にのっとり、青少年自然体験活動等の推進に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、自主的かつ主体的にその地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

 (保護者の責務)

第六条 保護者は、青少年自然体験活動等の重要性に関する理解と関心を深めるよう努めるものとする。

 (関係者相互の連携及び協働)

第七条 国、独立行政法人、地方公共団体、学校、青少年自然体験活動等を行う機会を提供する事業者その他の関係者(第十六条において単に「関係者」という。)は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協働するよう努めるものとする。

 (財政上の措置等)

第八条 国は、青少年自然体験活動等の推進に関する施策を実施するため必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 地方公共団体は、青少年自然体験活動等の推進に関する施策を実施するため必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (基本方針)

第九条 文部科学大臣、農林水産大臣、総務大臣及び環境大臣(以下この条において「主務大臣」という。)は、青少年自然体験活動等の推進に関する基本的な方針(以下この条並びに次条第一項及び第二項において「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 青少年自然体験活動等の推進の意義及び基本的な方向に関する事項

 二 青少年自然体験活動等の推進の内容に関する事項

 三 その他青少年自然体験活動等の推進に関する重要事項

3 主務大臣は、おおむね五年ごとに基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

4 主務大臣は、基本方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するほか、関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

5 主務大臣は、基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (都道府県計画及び市町村計画)

第十条 都道府県は、基本方針を踏まえ、当該都道府県における青少年自然体験活動等の推進に関する施策についての計画(以下この条及び第二十一条第二項第二号において「都道府県計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

2 市町村は、基本方針(都道府県計画が定められているときは、基本方針及び都道府県計画)を踏まえ、当該市町村における青少年自然体験活動等の推進に関する施策についての計画(以下この条及び第二十一条第四項第二号において「市町村計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

3 都道府県又は市町村は、都道府県計画又は市町村計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において、第二十一条第一項の都道府県協議会を組織している都道府県又は同条第三項の市町村協議会を組織している市町村にあっては、当該都道府県協議会又は市町村協議会の意見を聴かなければならない。

4 都道府県又は市町村は、都道府県計画又は市町村計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。

 (学校における青少年自然体験活動等の推進)

第十一条 国及び地方公共団体は、学校の教育活動において適切かつ体系的な青少年自然体験活動等の機会を確保するため、教育職員の研修の内容の充実、青少年自然体験活動等の実施を支援する者及び青少年自然体験活動等を指導する者の活用その他の必要な施策を推進しなければならない。

 (青少年自然体験活動等の実施を支援する者の育成及び確保等)

第十二条 国及び地方公共団体は、学校又は青少年自然体験活動等を行う機会を提供する事業者とこれを受け入れる者とを媒介し、青少年自然体験活動等の内容、安全の確保等についての情報の提供、企画、交渉等を行い、その実施に際し必要な支援を行う者その他の青少年自然体験活動等の実施を支援する者について、その育成及び確保を図るよう努めるとともに、その活動の充実に資するよう必要な援助に努めるものとする。

 (受入体制の整備)

第十三条 国及び地方公共団体は、農山漁村等において青少年自然体験活動等の実施を受け入れる体制を整備するため、青少年自然体験活動等を指導する人材の確保及び資質の向上、青少年の宿泊を受け入れる住民の確保、施設の整備又は民間の宿泊施設との連携による青少年の集団宿泊の場所の確保、既存の青少年教育に関する施設又はその所有する森林若しくは原野その他の土地であって青少年自然体験活動等を行うことができるものの保全その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (保健管理及び安全の確保に係る取組)

第十四条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等において保健管理及び安全の確保に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようにするため、青少年自然体験活動等における保健管理及び安全の確保に係る取組に関する指針の作成、青少年自然体験活動等の実施に携わる者に対する講習又は研修の機会の確保、青少年自然体験活動等を行う施設への青少年自然体験活動等における保健管理及び安全の確保に関する専門的知識を有する人材の配置、医療機関との連携の確保その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (青少年自然体験活動等を行う機会を提供する事業者等への支援)

第十五条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等を行う機会を提供する事業者が行う活動その他の国及び地方公共団体以外の者が行う青少年自然体験活動等の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うよう努めるものとする。

 (連携協力体制の整備)

第十六条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等の推進に関する施策の円滑かつ効果的な実施を図るため、関係者相互間の連携協力体制の中核となる者が担う機能の強化その他の関係者相互間の連携協力体制の整備に努めるものとする。

 (調査研究の推進等)

第十七条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等を効果的に推進するため、青少年自然体験活動等の成果、青少年自然体験活動等を運営する者の育成及び資質の向上等に関する調査研究の推進並びにその成果の普及に努めるものとする。

 (国民の理解と関心の増進)

第十八条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等に関する国民の理解と関心を深めるため、啓発活動の実施その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (国際的な交流に係る取組への支援)

第十九条 国及び地方公共団体は、青少年自然体験活動等に係る人物の派遣及び招へい、青少年自然体験活動等に相当する活動を行う国外の団体との情報交換その他の青少年自然体験活動等に関する国際的な交流に係る取組を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (青少年自然体験活動等推進会議)

第二十条 政府は、文部科学省、農林水産省、総務省及び環境省並びに関係行政機関相互の調整を行うことにより、青少年自然体験活動等の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、青少年自然体験活動等推進会議を設けるものとする。

2 文部科学省、農林水産省、総務省及び環境省並びに関係行政機関は、青少年自然体験活動等に関し専門的知識を有する者によって構成する青少年自然体験活動等推進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。

 (都道府県協議会及び市町村協議会)

第二十一条 都道府県は、当該都道府県における青少年自然体験活動等を推進するため、当該都道府県の関係機関のほか、その区域内の市町村、青少年自然体験活動等の実施を支援する者、学識経験者その他の当該都道府県が必要と認める者をもって構成する青少年自然体験活動等の推進に関する都道府県協議会(次項及び第五項において単に「都道府県協議会」という。)を組織するよう努めるものとする。

2 都道府県協議会は、次に掲げる事務を行うものとする。

 一 当該都道府県における青少年自然体験活動等の総合的、一体的かつ効果的な推進に関して都道府県協議会の構成員相互の情報の交換及び調整を行うこと。

 二 当該都道府県が都道府県計画を作成し、又は変更しようとする場合においては、当該都道府県計画の作成又は変更に関して意見を述べること。

3 市町村は、当該市町村における青少年自然体験活動等を推進するため、当該市町村の関係機関のほか、関係する住民、青少年自然体験活動等の実施を支援する者、関係事業者、学識経験者その他の当該市町村が必要と認める者をもって構成する青少年自然体験活動等の推進に関する市町村協議会(次項及び第五項において単に「市町村協議会」という。)を組織するよう努めるものとする。

4 市町村協議会は、次に掲げる事務を行うものとする。

 一 当該市町村における青少年自然体験活動等の総合的、一体的かつ効果的な推進に関して市町村協議会の構成員相互の情報の交換及び調整を行うこと。

 二 当該市町村が市町村計画を作成し、又は変更しようとする場合においては、当該市町村計画の作成又は変更に関して意見を述べること。

5 前各項に定めるもののほか、都道府県協議会又は市町村協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県協議会又は市町村協議会が定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 人々の生活が便利になる一方、人と自然や社会とのつながりを実感することが難しくなっている近年の状況において、青少年自然体験活動等が、農山漁村等における様々な体験活動を通じ、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養い、人と人とのつながりの大切さを認識し、農林漁業の意義を理解すること等により、青少年が生きる力を育むことに資し、並びにその実施を受け入れる農山漁村等の活性化及び都市と農山漁村等相互の共感の醸成に寄与するものであることに鑑み、青少年自然体験活動等を推進し、もって我が国の活力の向上に寄与するため、その推進に関し、基本理念を定め、及び国の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
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