第二一一回
衆第一五号
児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案
児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項中「が児童虐待」の下に「及び第三者による地位利用児童虐待(児童に対して経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力を有する者で当該児童の保護者以外のものが当該児童についてその地位を利用して行う第二条第一号又は第二号に掲げる行為をいう。第六条第二項並びに第八条第三項及び第五項において同じ。)(以下「児童虐待等」という。)」を加え、「児童虐待の」を「児童虐待等の」に改め、同条第四項中「児童虐待の」を「児童虐待等の」に、「児童虐待が」を「児童虐待等が」に改める。
第五条の見出しを「(児童虐待等の早期発見等)」に改め、同条第一項中「児童虐待」を「児童虐待等」に改め、同条第二項中「児童虐待の」を「児童虐待等の」に改め、同条第三項及び第五項中「児童虐待」を「児童虐待等」に改める。
第六条の前の見出しを「(児童虐待に係る通告等)」に改め、同条第三項中「通告」の下に「又は第二項の規定による通報」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 第三者による地位利用児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、犯罪の疑いがあると思われるときは、速やかに、これを警察署に通報しなければならない。
第七条に次の一項を加える。
2 前項の規定は、前条第二項の規定による通報を受けた警察署の警察署長、所属の警察官その他の職員について準用する。
第八条の見出しを「(通告若しくは送致又は通報を受けた場合の措置)」に改め、同条第三項中「前二項」を「第一項若しくは第二項」に、「又は」を「若しくは」に改め、「一時保護」の下に「又は第三項の第三者による地位利用児童虐待に係る被害の発生を防止するために必要な措置」を加え、同項を同条第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。
3 警察署が第六条第二項の規定による通報を受けた場合において、第三者による地位利用児童虐待が行われていると認められるときは、警察署長は、第三者による地位利用児童虐待に係る被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるものとする。
4 前項の措置を講ずるに当たっては、警察署長は、第五条第一項に規定する団体と緊密な連携を図るよう努めなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後速やかに、この法律による改正後の児童虐待の防止等に関する法律第四条第二項に規定する第三者による地位利用児童虐待(以下この条において単に「第三者による地位利用児童虐待」という。)を行った者と密接な関係を有する法人又は団体が第三者による地位利用児童虐待に係る被害の再発を防止するために講ずべき措置の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律による改正後の規定の実施状況等を勘案し、第三者による地位利用児童虐待に係る被害の防止の強化を図るために必要な施策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(児童福祉法等の一部改正)
第三条 次に掲げる法律の規定中「第二条に規定する児童虐待」を「第四条第二項に規定する児童虐待等」に改める。
一 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十四条の二十第一項第三号
二 総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第三十条第一項第五号
三 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号)第八条第五号及び第二十六条第三号
(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部改正)
第四条 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第十条第二項中「同条第二項及び第三項」を「同条第三項及び第四項」に、「第七条及び第八条」を「第七条第一項並びに第八条第一項、第二項及び第五項」に改める。
(児童福祉法等の一部を改正する法律の一部改正)
第五条 児童福祉法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
第二条中児童福祉法第三十四条の二十第一項第三号の改正規定を削る。
理 由
児童に対して経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力を有する者で当該児童の保護者以外のものが当該児童についてその地位を利用して行う虐待の防止等を図るため、第三者による地位利用児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者に対する通報義務その他第三者による地位利用児童虐待の防止のための措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。