衆議院

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第二一一回

衆第二八号

   国家公務員法の一部を改正する法律案

 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。

 第百六条の二第一項中「除く。)」の下に「その他の団体」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項第二号中「第四項」を「第五項」に改め、同条第四項中「第二項第二号」を「第三項第二号」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

  職員は、職員であつた者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 他の役職員をその離職後に、又は役職員であつた者を、営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを目的として、次に掲げる行為をすること。

  イ 当該役職員又は役職員であつた者に関する情報を提供すること。

  ロ 当該営利企業等に対し、当該役職員又は役職員であつた者に関する情報を提供するよう、依頼すること。

  ハ 当該地位に関する情報の提供を依頼すること。

  ニ 当該地位に関する情報を提供すること。

 二 営利企業等に対し、他の役職員をその離職後に、又は役職員であつた者を、当該営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを要求し又は依頼するよう、依頼すること。

 第百六条の二に次の二項を加える。

  職員であつた者は、第二項の規定に違反する職員の行為を受けて、営利企業等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 他の役職員をその離職後に、又は役職員であつた者を、当該営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを目的として、次に掲げる行為をすること。

  イ 当該役職員又は役職員であつた者に関する情報を提供すること。

  ロ 当該地位に関する情報の提供を依頼すること。

 二 他の役職員をその離職後に、又は役職員であつた者を、当該営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを要求し、又は依頼すること。

  職員であつた者であつて、他の役職員をその離職後に、又は役職員であつた者を、営利企業等又はその子法人の地位に就かせることに関し職員との間で情報の共有又は連絡調整を行うことが常態であるものは、営利企業等に対し、前項各号に掲げる行為をしてはならない。

 第百六条の三第二項第一号中「前条第四項」を「前条第五項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (管理職職員等の再就職の規制)

第百六条の三の二 管理又は監督の地位にある職員の官職として政令で定めるものに就いている職員(以下「管理職職員」という。)(退職手当通算予定職員を除く。)及び管理職職員であつた者(退職手当通算予定職員及び退職手当通算離職者(退職手当通算予定職員であつた者であつて引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者をいう。以下同じ。)を除く。)(以下「管理職職員等」という。)は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を得なければ、次に掲げる法人(当該管理職職員等が当該官職に就き、若しくは就いていた時に在職し、若しくは在職していた府省その他の政令で定める国の機関(以下この項において「国の在職機関」という。)が所管するもの又は国の在職機関が所管する事業を主たる事業として行うものに限る。以下「特定独立行政法人等」という。)の役員その他の地位であつて政令で定めるもの(以下この項において「役員等の地位」という。)に就くことを承諾し、又は就いてはならない。ただし、管理職職員等がその役員等の地位に就いた法人がその後に特定独立行政法人等に該当することとなつた場合(当該特定独立行政法人等の役員等の地位に就くことが本文の趣旨に照らし適当でない場合として政令で定める場合を除く。)は、この限りでない。

 一 行政執行法人以外の独立行政法人

 二 特殊法人(法律により直接に設立された法人及び特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(独立行政法人に該当するものを除く。)のうち政令で定めるものをいう。)

 三 認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち政令で定めるものをいう。)

 四 公益社団法人又は公益財団法人(国の在職機関と特に密接な関係があるものとして政令で定めるものに限る。)

  前項の規定によるもののほか、管理職職員等は、離職後十年間は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を得なければ、当該管理職職員等が同項に規定する官職に就き、若しくは就いていた時に在職し、若しくは在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人若しくは都道府県警察(以下この項において「在職機関」という。)の監督その他の関与を受けて主たる事業を行い、又は在職機関と特定の契約関係にある法人その他の団体であつて、在職機関と密接な関係があるもの(同項各号に掲げる法人を除く。)として、政令で定めるもの(以下「特定関係法人等」という。)の役員その他の地位であつて政令で定めるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。この場合においては、同項ただし書の規定を準用する。

  内閣総理大臣は、前二項の承認の申請があつたときは、次に掲げる事項を勘案して当該申請に係る管理職職員等が当該申請に係る前二項に規定する地位(以下「役員等の地位」という。)に就くことにより公務の公正性の確保に支障が生ずると認められる場合その他当該申請に係る管理職職員等が当該申請に係る役員等の地位に就くことが前二項の規定の趣旨に照らし適当でないと認められる場合を除き、その承認をするものとする。

 一 申請に係る管理職職員等がその離職前に就いていた第一項に規定する官職及びその職務の内容並びに申請に係る役員等の地位及びその職務の内容

 二 申請に係る管理職職員等の離職時から申請に係る役員等の地位に就くまでの期間

 三 公募(役員等の地位に係る職務の内容、勤務条件その他必要な事項を公示して行う候補者の募集をいう。)その他の申請に係る役員等の地位に就くべき者の選定の過程の透明性及び公正性を確保するための措置の有無及びその内容

  第一項及び第二項の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。

  前項の規定により再就職等監視委員会に委任された権限は、政令で定めるところにより、再就職等監察官に委任することができる。

  再就職等監視委員会が第四項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)についての審査請求は、再就職等監視委員会に対して行うことができる。

 第百六条の四第一項中「退職手当通算予定職員であつた者であつて引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者(以下「退職手当通算離職者」という。)」を「退職手当通算離職者」に改める。

 第百六条の五第二項第二号中「第百六条の三第三項」の下に「、第百六条の三の二第四項」を加える。

 第百六条の十四第二項第一号中「第百六条の三第四項」の下に「、第百六条の三の二第五項」を加える。

 第百六条の二十三第一項中「場合」の下に「(管理職職員等が第百六条の三の二第一項又は第二項の承認を得て特定独立行政法人等又は特定関係法人等の役員等の地位に就くことを承諾した場合を除く。)」を加え、同条第三項中「管理又は監督の地位にある職員の官職として政令で定めるものに就いている職員(以下「管理職職員」という。)」を「管理職職員」に改める。

 第百六条の二十四第二項中「あつた者」の下に「(退職手当通算離職者を除く。)」を加え、「前項第二号」を「第百六条の三の二第一項第二号」に改め、「場合は」の下に「、同項又は同条第二項の承認を得て特定独立行政法人等又は特定関係法人等の役員等の地位に就いた場合」を加え、「又は前項」を削り、同条第一項を削る。

 第百六条の二十七中「場合」の下に「又は第百六条の三の二第一項若しくは第二項の承認を得た管理職職員等が当該承認に係る特定独立行政法人等若しくは特定関係法人等の役員等の地位に就いた場合」を加え、「又は都道府県警察」を「若しくは都道府県警察又は当該管理職職員等に係る同条第一項に規定する国の在職機関若しくは同条第二項に規定する在職機関」に、「その者の離職後」を「当該管理職職員の離職後又は当該管理職職員等が当該特定独立行政法人等若しくは特定関係法人等の役員等の地位に就いた後」に改め、「当該営利企業等の地位」の下に「又は当該特定独立行政法人等若しくは特定関係法人等の役員等の地位」を加え、同条第二号及び第三号中「営利企業等」の下に「又は当該特定独立行政法人等若しくは特定関係法人等」を加える。

 第百九条第十三号中「ついた」を「就いた」に改め、同号の次に次の一号を加える。

 十三の二 第百六条の三の二第一項又は第二項の規定に違反して特定独立行政法人等又は特定関係法人等の役員等の地位に就いた者

 第百十一条の二の次に次の一条を加える。

第百十一条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第百六条の二第一項の規定に違反した職員

 二 第百六条の二第二項の規定に違反した職員(同項の規定に違反する行為の相手方である職員であつた者が同条第六項の規定に違反した場合に限る。)

 三 第百六条の二第六項の規定に違反した職員であつた者

 四 第百六条の二第七項の規定に違反した職員であつた者

 五 第百六条の三第一項の規定に違反した職員

 第百十二条第一号中「又は第百六条の三第一項」を「若しくは第二項、第百六条の三第一項又は第百六条の三の二第一項若しくは第二項」に改める。

 第百十三条第二号中「第百六条の二十四第一項又は第二項」を「第百六条の二十四」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第四条から第六条までの規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の国家公務員法(以下この条において「新法」という。)第百六条の三の二の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)前に離職した同条第一項に規定する管理職職員であった者で、この法律の施行の際現に同項に規定する特定独立行政法人等又は同条第二項に規定する特定関係法人等の同条第三項に規定する役員等の地位(以下この項において「役員等の地位」という。)に就いているもの(この法律による改正前の国家公務員法(以下この項において「旧法」という。)第百六条の二十三第一項又は第百六条の二十四第一項若しくは第二項の届出(これらの規定の適用がある場合のものに限る。)をして、当該役員等の地位に就いている場合に限る。)及び新法第百六条の三の二第一項に規定する管理職職員等のうち施行日前に役員等の地位に就くことを約束した者(旧法第百六条の二十三第一項又は第百六条の二十四第一項の規定の適用がある場合においては、これらの規定の届出をした者に限る。)で、施行日以後に当該役員等の地位に就くもの(当該約束に係る役員等の地位に就く場合に限る。)については、適用せず、これらの者が役員等の地位に就く場合については、なお従前の例による。この場合において、新法第百六条の二十五第一項中「第百六条の二十三第三項」とあるのは「国家公務員法の一部を改正する法律(令和五年法律第▼▼▼号)附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる第百六条の二十三第三項」と、「前条」とあるのは「同法附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる前条」とする。

2 前項に規定するもののほか、新法第百六条の三の二の規定は、施行日前に離職した同条第一項に規定する管理職職員であった者で離職後五年(同条第二項の規定にあっては、二年)を経過したものについては、適用しない。

第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (その他の経過措置の政令への委任)

第四条 前二条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置は、政令で定める。

 (関係法律の整備等)

第五条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の改正その他関係法律の整備その他必要な事項については、別に法律で定める。

 (退職管理に関する制度の在り方等の検討)

第六条 政府は、国家公務員の退職管理の一層の適正化を図る観点から、国家公務員の退職管理に関する制度の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 国家公務員である職員及び当該職員であった者による離職後の就職に関するあっせん行為等が公務に対する国民の信頼を著しく損ねている現状に鑑み、職員の退職管理の一層の適正化を緊急に図るため、職員であった者による国の機関等に属する役職員等の再就職に係る依頼等及び管理職職員等の再就職の規制について定める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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