第二一一回
衆第三三号
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策の推進に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症の罹(り)患後症状の実態がいまだ十分に解明されていないため、当該罹患後症状を呈している者が適切な医療及び支援を受けられていない現状に鑑み、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策に関し、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、当該罹患後症状に関する調査研究、医療提供体制の整備その他の新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策の基本となる事項を定めることにより、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策を総合的に推進し、もって国民の健康の保護に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策」とは、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。以下同じ。)の罹患後症状を呈している者が、適切な医療及び支援を受けられるようにするための施策をいう。
(国の責務)
第三条 国は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、国との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策を策定し、及び実施する責務を有する。
(財政上の措置等)
第五条 政府は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(調査研究等)
第六条 国及び地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に関する実態がいまだ十分に解明されていない現状を踏まえ、当該罹患後症状の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の当該罹患後症状に関する調査研究を積極的かつ速やかに行うとともに、その成果の普及のために必要な施策を講ずるものとする。
(医療提供体制の整備)
第七条 国及び地方公共団体は、前条の成果を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状を呈している者がその居住する地域にかかわらず等しくその状態に応じた適切な医療を受けることができるよう、当該罹患後症状に係る医療提供体制の整備を図るために必要な施策を講ずるものとする。
(相談体制の整備)
第八条 国及び地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状を呈している者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に対し、個々の症状に配慮しつつ総合的に応ずることができるよう、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に相談体制の整備を図るために必要な施策を講ずるものとする。
(国民の理解の増進)
第九条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に関する国民の理解を深めるために必要な施策を講ずるものとする。
(多様な主体の連携)
第十条 国は、国、地方公共団体、医療機関、研究機関その他の多様な主体が相互に連携して、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策に取り組むことができるよう、必要な施策を講ずるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
新型コロナウイルス感染症の罹(り)患後症状の実態がいまだ十分に解明されていないため、当該罹患後症状を呈している者が適切な医療及び支援を受けられていない現状に鑑み、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策に関し、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、当該罹患後症状に関する調査研究、医療提供体制の整備その他の新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策の基本となる事項を定めることにより、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る対策を総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。