衆議院

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第二一一回

衆第四九号

   新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法案

目次

 第一章 目的及び設置(第一条)

 第二章 組織等(第二条−第九条)

 第三章 調査等(第十条−第十七条)

 第四章 財政措置等(第十八条)

 附則

   第一章 目的及び設置

第一条 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。第十条第一号において同じ。)に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を適確に行うとともに、当該調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について提言を行い、もって国会による感染症に対する対策に関する立法及び行政の監視に関する機能の充実強化に資するため、国会に、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会を置く。

   第二章 組織等

 (組織)

第二条 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会(以下「委員会」という。)は、委員長及び委員九人をもって組織する。

2 委員長及び委員は、非常勤とする。

3 委員長は、委員会の事務を統理し、委員会を代表する。

4 委員長は、委員会の議決を経て、かつ、事前に、時宜によっては事後に、両議院の議長の承認を得て、委員会の業務の遂行上必要な諸規程を定めることができる。

5 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代行する。

 (委員長及び委員の任命)

第三条 委員長及び委員は、委員会の職務の遂行に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)附則第十二項に規定する新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会(第九条第三項及び第十五条において「両院合同協議会」という。)の推薦に基づき、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命する。

 (委員長及び委員の身分保障)

第四条 委員長及び委員は、心身の故障のため職務の遂行ができないこと又は職務の執行上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があったことについて両議院の議決があったときを除いては、罷免されることはない。

 (委員長及び委員の服務)

第五条 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならない。

3 委員長及び委員は、他の官職を兼ね、又は公選による公職の候補者となり、若しくは公選による公職と兼ねてはならない。

 (接触等の報告)

第六条 委員長及び委員は、利害関係者(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第二項に規定する一般職に属する国家公務員及び同条第三項に規定する特別職の職員のうち両議院の議長が協議して定める者その他両議院の議長が協議して定める者をいう。以下この項において同じ。)に関し、次に掲げる行為を行ったときは、各月ごとに、利害関係者の氏名、当該行為の概要、当該行為を行った年月日その他両議院の議長が協議して定める事項を記載した報告書を、当該月の翌月の初日から七日以内に、両議院の議長に提出しなければならない。ただし、私的な関係(委員長又は委員としての身分に関わらない関係をいう。以下この項において同じ。)がある者であって、利害関係者に該当するものとの間においては、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等に鑑み、公正な職務の執行に対する国民の疑惑又は不信を招くおそれがないと認められる場合は、この限りでない。

 一 利害関係者から、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は供応接待を受けること。

 二 利害関係者から、人的役務に対する報酬の支払を受けること。

 三 前二号に掲げるもののほか、その職務を遂行する場合以外の場合において、利害関係者と面会、文書の送付その他の方法により接触すること。

2 両議院の議長は、前項の報告書を受理したときは、これを公表する措置を講ずるものとする。

3 前項に定めるもののほか、第一項の報告書に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。

 (会議及び会議録)

第七条 委員会がこの法律の規定によってその所掌に属させられた事項を決定する場合においては、委員会の議決を経なければならない。

2 委員会の会議は、公開することを基本とする。

3 委員会は、会議録二部を作成し、委員長及び委員がこれに署名し、各議院に送付する。この場合において、各議院は、送付を受けた会議録を保存する。

4 委員会の会議録は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。附則第三条第三項において同じ。)の提供その他の適当な方法により各議院の議員に提供する。ただし、特に秘密を要するものと委員会で決議した部分については、この限りでない。

 (参与)

第八条 委員会に、委員長及び委員に対し、専門的な知識経験に基づく意見を述べさせるため、参与を置くことができる。

2 参与は、委員会の意見を聴いて、両議院の議長が任命する。

3 参与は、非常勤とする。

 (事務局)

第九条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長一人その他所要の職員を置く。

3 事務局長その他の職員は、両議院の議長が協議して定めるところにより、両院合同協議会の意見を聴いて、委員長が任命する。

4 事務局長その他の職員は、民間の有識者を積極的に登用するものとする。

5 前三項に定めるもののほか、事務局に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。

   第三章 調査等

 (調査等)

第十条 委員会は、次に掲げる事務を行うものとする。

 一 新型コロナウイルス感染症に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を行うこと。

 二 前号の調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について、提言を行うこと。

 三 前二号に掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。

 (参考人の出頭)

第十一条 委員会は、前条第一号の調査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

2 前項の規定により委員会に出頭した参考人には、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律(昭和二十二年法律第八十一号)の規定の例により旅費及び日当を支給する。

 (資料の提出の要求)

第十二条 委員会は、第十条第一号の調査のため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体の公署その他の者に対して、資料の提出を要求することができる。この場合においては、当該要求を受けた者は、この法律に別段の定めがある場合を除き、これに応じなければならない。

2 前項の要求を受けた国の行政機関及び地方公共団体の公署は、当該要求を受けた日から七日以内に、当該要求に係る資料を提出しなければならない。ただし、その期間内に当該資料を提出することができないことについて正当の理由がある場合において、その理由及び提出することができる合理的な期限を明示したときは、この限りでない。

3 前項ただし書に規定する場合においては、第一項の要求を受けた国の行政機関及び地方公共団体の公署は、当該明示した期限内に、当該要求に係る資料を提出しなければならない。

 (職務上の秘密に関する資料の提出)

第十三条 前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料について、職務上の秘密に関するものであることの申立てを行い、その提出を拒むときは、その理由を疎明しなければならない。この場合において、その理由を委員会において受諾し得るときは、当該国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料を提出する必要がない。

2 前項の理由を受諾することができない場合は、委員会は、両議院の議長に対して、前条第一項の要求に係る資料の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明又は同項の要求に係る資料の提出が公の利益を害する旨の当該地方公共団体の声明を要求するよう求めることができる。

3 前項の求めを受けた各議院の議長が同項の声明を要求し、これに対して同項の声明があった場合は、前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料を提出する必要がない。

4 前項の要求後十日以内に、内閣又は地方公共団体が第二項の声明を出さないときは、前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料を提出しなければならない。

 (特定の委員等による予備的又は補充的な調査)

第十四条 委員会は、委員会における参考人からの意見聴取等委員会の調査を効率的及び実効的に行うため、特定の委員又は事務局職員に、事前又は事後の予備的又は補充的な調査を行わせることができる。

2 前項の予備的又は補充的な調査は、特定の委員又は事務局職員を派遣して行うほか、第十一条及び第十二条第一項前段の規定の例に準じて行うものとする。

 (両院合同協議会に対する国政調査の要請)

第十五条 委員会は、特に必要があると認めるときは、両院合同協議会に対し、国会法附則第十三項の規定により国政に関する調査を行うよう、要請することができるものとする。

 (報告書の提出等)

第十六条 委員会は、委員長及び委員の任命の日から起算しておおむね六月後を目途として、第十条第一号の調査の結果及び同条第二号の提言を記載した報告書を両議院の議長に提出しなければならない。

2 両議院の議長は、前項の報告書を受理したときは、これを広く公表する措置を講ずるものとする。

3 第一項の報告書は、両議院の議長が協議して定めるところにより、内閣に送付する。

 (調査活動の終了)

第十七条 委員会は、前条第一項の報告書を提出したときに、その調査活動を終了する。

   第四章 財政措置等

第十八条 この法律の施行に必要となる人員については、国会職員の定員に上乗せして確保されることとするとともに、この法律の施行に必要となる経費が確保されるよう、格別の財政措置が講じられるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、国会法の一部を改正する法律(令和五年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

第二条 委員会の委員長及び委員の任命のために必要な行為その他委員会の設置のために必要な準備行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

 (この法律の失効)

第三条 この法律は、この法律の施行の日から起算して一年を経過した日に、その効力を失う。

2 委員会の委員長又は委員であった者のその職務上知ることのできた秘密については、第五条第一項の規定は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。

3 この法律の失効後における委員会保有文書(委員長若しくは委員、参与又は事務局職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録を含む。)であって、委員会が保有していたものをいう。)の管理及び開示については、別に法律で定める。

 (国会職員法の一部改正)

第四条 国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の二項を加える。

 9 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法(令和五年法律第▼▼▼号)がその効力を有する間における第一条、第四条の二第一項、第五条、第八条、第十五条の八、第十六条第一項、第二十四条の三第一項、第二十八条第一項及び第三十三条並びに附則第七項の規定の適用については、第一条中「次に掲げる者」とあるのは「次に掲げる者並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長及び委員その他の職員」と、第四条の二第一項、第五条、第八条、第十六条第一項及び第二十八条第一項並びに附則第七項中「並びに国立国会図書館」とあるのは「、国立国会図書館」と、「専門調査員」とあるのは「専門調査員並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長及び委員」と、第十五条の八中「定める」とあるのは「定め、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の職員については新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長が両議院の議院運営委員会の承認を経て定める」と、第二十四条の三第一項中「並びに国立国会図書館の館長」とあるのは「、国立国会図書館の館長並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長及び委員」と、第三十三条中「訴追委員会」という。)」とあるのは「訴追委員会」という。)並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会」とする。

 10 前項の規定により読み替えて適用する第三十三条の規定により新型コロナウイルス感染症対策検証委員会に設ける国会職員考査委員会の委員長は、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長、その委員には、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員、各議院事務局の事務総長及び事務次長並びに各議院法制局の法制局長及び法制次長が、これに当たる。

 (国会に置かれる機関の休日に関する法律の一部改正)

第五条 国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の一項を加える。

 3 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法(令和五年法律第▼▼▼号)がその効力を有する間における第一条第二項の規定の適用については、同項中「定めるもの」とあるのは、「定めるもの並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会」とする。

 (国会職員の育児休業等に関する法律の一部改正)

第六条 国会職員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の一項を加える。

 3 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法(令和五年法律第▼▼▼号)がその効力を有する間における第二条の規定の適用については、同条中「並びに国立国会図書館」とあるのは「、国立国会図書館」と、「専門調査員」とあるのは「専門調査員並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長及び委員」とする。

 (国会職員の配偶者同行休業に関する法律の一部改正)

第七条 国会職員の配偶者同行休業に関する法律(平成二十五年法律第八十号)の一部を次のように改正する。

  附則を附則第一項とし、附則に次の一項を加える。

 2 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法(令和五年法律第▼▼▼号)がその効力を有する間における第二条第一項の規定の適用については、同項中「並びに国立国会図書館」とあるのは「、国立国会図書館」と、「専門調査員」とあるのは「専門調査員並びに新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の委員長及び委員」とする。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を適確に行うとともに、当該調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について提言を行い、もって国会による感染症に対する対策に関する立法及び行政の監視に関する機能の充実強化に資するため、国会に、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会を置く必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、約十九億円の見込みである。

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