衆議院

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第二一二回

衆第一三号

   特定遊興飲食高額債務問題対策の推進に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第六条)

 第二章 基本的施策(第七条−第十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、特定遊興飲食高額債務がこれを負担した者の日常生活又は社会生活に支障を生じさせるものであり、犯罪、自殺等の重大な社会問題を生じさせていることに鑑み、特定遊興飲食高額債務問題対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び特定遊興飲食営業を営む者の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、特定遊興飲食高額債務問題対策を推進することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「特定遊興飲食営業」とは、設備を設けて、客に接する業務に従事する者が専ら異性の客に接して客に遊興又は飲食をさせる営業をいう。

2 この法律において「特定遊興飲食高額債務」とは、特定遊興飲食営業の客が負担すべき遊興、飲食等の料金に係る債務であって、その支払能力に照らし不相当に高額のものをいう。

3 この法律において「特定遊興飲食高額債務問題対策」とは、特定遊興飲食高額債務の負担により生ずる日常生活又は社会生活への支障(以下「特定遊興飲食高額債務の負担による支障」という。)の防止及び特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者の支援を図るための施策をいう。

 (基本理念)

第三条 特定遊興飲食高額債務問題対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 一 特定遊興飲食高額債務の負担による支障の防止を図るための施策を適切に講ずるとともに、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援を図ること。

 二 特定遊興飲食高額債務問題対策を講ずるに当たっては、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が、犯罪、自殺等の問題に密接に関連することに鑑み、特定遊興飲食高額債務の負担による支障に関連して生ずるこれらの問題の根本的な解決に資するため、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとすること。

 (国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、特定遊興飲食高額債務問題対策を効果的に推進する責務を有する。

 (地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国と協力しつつ、特定遊興飲食高額債務問題対策を効果的に推進するよう努めるものとする。

 (特定遊興飲食営業を営む者の責務)

第六条 特定遊興飲食営業を営む者は、国及び地方公共団体が実施する特定遊興飲食高額債務問題対策に協力するよう努めるものとする。

   第二章 基本的施策

 (実態調査)

第七条 政府は、特定遊興飲食高額債務関連問題(特定遊興飲食高額債務の負担による支障及びこれに関連して生ずる犯罪、自殺等の問題をいう。以下同じ。)の実態を明らかにし、特定遊興飲食高額債務の負担による支障を防止するため必要な調査を行い、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

 (教育の推進等)

第八条 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務の負担による支障を防止することの重要性に関する国民の理解と関心を深めるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育における特定遊興飲食高額債務の負担による支障の防止に関する教育の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (啓発活動)

第九条 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務関連問題の実態、特定遊興飲食高額債務の負担による支障を防止することの重要性、特定遊興飲食高額債務関連問題に係る相談制度又は救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

 (相談及び情報の提供等)

第十条 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者及びその家族等が直面している各般の問題について、相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、これらの者の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者及びその家族等からの相談等に職務上関係のある者において、特定遊興飲食高額債務関連問題に係る事案への適切な対処がされるよう、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者及びその家族等の心身の状況、その置かれている環境等に関する理解を深めるための研修及び啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第十一条 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者の心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

 (社会復帰の支援)

第十二条 国及び地方公共団体は、特定遊興飲食高額債務の負担による支障が生じている者の円滑な社会復帰に資するよう、就労の支援その他の支援を推進するために必要な施策を講ずるものとする。

 (連携協力体制の整備)

第十三条 国及び地方公共団体は、第八条から前条までの施策が効果的に実施されるよう、関係機関、民間団体等の間における連携協力体制の整備を図るために必要な施策を講ずるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 特定遊興飲食高額債務問題対策については、この法律の施行後一年を目途として、この法律の施行状況、特定遊興飲食高額債務関連問題の実態等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。


     理 由

 特定遊興飲食高額債務がこれを負担した者の日常生活又は社会生活に支障を生じさせるものであり、犯罪、自殺等の重大な社会問題を生じさせていることに鑑み、特定遊興飲食高額債務問題対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び特定遊興飲食営業を営む者の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、特定遊興飲食高額債務問題対策を推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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