第二一二回
衆第一五号
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条−第十九条)」を
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第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条−第十九条) |
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第五章 指定特定電気通信役務提供者による送信防止措置等に関する事項の公表(第二十条−第二十四条) |
」 |
に改める。
第一条中「裁判手続」の下に「及び指定特定電気通信役務提供者による侵害情報の送信を防止する措置等に関する事項の公表」を加える。
第二条第三号中「同条第三項」の下に「及び第五章」を加える。
第三条第二項第二号中「措置(以下この号」の下に「及び第五章」を加える。
本則に次の一章を加える。
第五章 指定特定電気通信役務提供者による送信防止措置等に関する事項の公表
(指定特定電気通信役務提供者の指定)
第二十条 総務大臣は、電気通信事業法第百六十四条第二項第五号に規定する電気通信設備を用いて提供する特定電気通信役務のうち、その内容、利用者の範囲及び利用状況を勘案して特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合における当該侵害を受けた者に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定める特定電気通信役務を提供する者を指定特定電気通信役務提供者として指定するものとする。
2 前項の規定による指定は、告示によって行う。
(送信防止措置の実施に関する基準等の公表)
第二十一条 指定特定電気通信役務提供者は、前条第一項の規定による指定に係る特定電気通信役務(次項及び次条において「指定特定電気通信役務」という。)について、送信防止措置の実施に関する基準を作成し、インターネットを利用する方法により公表しなければならない。
2 指定特定電気通信役務提供者は、指定特定電気通信役務について、次に掲げる事項をインターネットを利用する方法により公表しなければならない。
一 送信防止措置の申出を行う場合の申出先、申出方法その他の送信防止措置の申出を円滑に行うために必要な情報
二 第五条第一項の規定による開示の請求を行う場合の請求先、請求方法その他の当該開示の請求を円滑に行うために必要な情報
(送信防止措置の実施状況等の公表)
第二十二条 指定特定電気通信役務提供者は、毎年少なくとも一回、指定特定電気通信役務について、次に掲げる事項をインターネットを利用する方法により公表しなければならない。
一 指定特定電気通信役務の概要に関する事項
二 送信防止措置の実施に関する基準に関する事項
三 送信防止措置の申出を円滑に行うために必要な情報の公表その他の送信防止措置の申出の手続の円滑化に関する事項
四 送信防止措置の実施状況に関する事項
五 第五条第一項の規定による開示の請求を円滑に行うために必要な情報の公表その他の当該開示の請求の手続の円滑化に関する事項
六 発信者情報の開示の実施状況に関する事項
七 前各号(第一号を除く。)に掲げる事項について自ら行った評価に関する事項
(指針の策定)
第二十三条 総務大臣は、前条の規定による公表に関する指針を定めるものとする。
2 総務大臣は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(審議会等への諮問)
第二十四条 総務大臣は、次に掲げる事項については、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものに諮問しなければならない。
一 第二十条第一項の総務省令の制定又は改廃
二 第二十条第一項の規定による指定特定電気通信役務提供者の指定
三 前条第一項の指針の策定又は変更
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、本則に一章を加える改正規定(第二十四条第一号に係る部分に限る。)は、公布の日から施行する。
(民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部改正)
2 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律目次の改正規定中「第二十条」に」の下に「、「第二十条−第二十四条」を「第二十一条−第二十五条」に」を加える。
第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十九条を第二十条とする改正規定中「第十九条」を「第二十四条第一号及び第二号中「第二十条第一項」を「第二十一条第一項」に改め、同条を第二十五条とし、第二十条から第二十三条までを一条ずつ繰り下げ、第四章中第十九条」に改める。
理 由
インターネット上の誹(ひ) 謗(ぼう)中傷による被害が多数発生していることに鑑み、指定特定電気通信役務に係る送信防止措置及び発信者情報の開示の透明性の向上を図るため、指定特定電気通信役務提供者に対し、送信防止措置の実施に関する基準等の公表を義務付けるとともに、送信防止措置及び発信者情報の開示の実施状況等の公表を義務付ける等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。