衆議院

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第二一三回

衆第二号

   就労支援給付制度の導入に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、少子高齢化の進展、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、就労する者が生活の安定と向上を図りつつ、その意欲及び能力に応じて就労する機会が確保されることが重要となっていることに鑑み、当分の間の措置として就労支援給付制度を導入することに関し、必要な基本的事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「就労支援給付制度」とは、就労促進支援給付及び特定就労者支援給付に係る制度をいう。

 (就労支援給付制度の導入)

第三条 政府は、次条及び第五条に定めるところにより就労支援給付制度を導入するものとし、このために必要な法制上の措置その他の措置を速やかに講ずるものとする。

 (就労促進支援給付)

第四条 就労促進支援給付に係る制度の導入に当たっては、次に掲げる事項を基本方針とする。

 一 就労促進支援給付の対象者は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、健康保険法(大正十一年法律第七十号)その他の社会保険制度に関する法律として政令で定めるもの(以下この号において「社会保険制度関係法」という。)による被扶養者(以下この号及び次条第一項において単に「被扶養者」という。)であった者であって、その者の就労による収入の増加を理由に被扶養者でなくなり、社会保険制度関係法の規定により社会保険料を納付することとなったもの(厚生年金保険の被保険者を除く。)のうち、その収入の額が、対象限度額(その者が六十歳以上の者である場合又はおおむね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては、高齢者等対象限度額。同項第一号において同じ。)未満であるものとすること。

 二 就労促進支援給付の額は、前号の対象者の収入の額に応じてその社会保険料の負担により就労の意欲が阻害されることのないようにする観点から定める額とし、当該収入の額の逓増に応じて逓減するものとすること。

2 前項第一号の対象限度額及び高齢者等対象限度額とは、それぞれ社会保険料の負担により就労の意欲が阻害されることのないようにする観点から定める額をいうものとする。

 (特定就労者支援給付)

第五条 特定就労者支援給付に係る制度の導入に当たっては、次に掲げる事項を基本方針とする。

 一 特定就労者支援給付の対象者は、その収入の額が生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定による給付その他の生活に困窮する者に対する給付の額を勘案して定める額以上で対象限度額未満である者であって、次に掲げる要件に該当するもの(前条第一項第一号の対象者及び被扶養者を除く。)とすること。

  イ 就労時間の合計が一定時間以上であること。

  ロ 就労による収入以外の収入の額の合計が一定額未満であること。

  ハ イ及びロに掲げるもののほか、就労を促進する観点から必要と認められる条件に該当すること。

 二 特定就労者支援給付の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるところによるものとすること。

  イ 前号の対象者の収入の額が、被扶養者の認定に係る収入の額を基礎として定める額(ロにおいて「基準額」という。)未満の場合 当該対象者の収入の額に応じて当該対象者の就労を促進する観点から定める額とし、当該収入の額の逓増に応じて逓増するものとすること。

  ロ 前号の対象者の収入の額が基準額以上の場合 前条第一項第二号に掲げる基本方針に準ずるものとすること。

2 特定就労者支援給付に係る制度の導入に当たっては、生活保護その他の生活に困窮する者に対する支援に係る制度と相まって、就労する者に対し、その収入の状況その他の諸事情に応じた切れ目のない適切な支援が確実に行われるよう配慮されるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 政府は、第三条の法制上の措置その他の措置の実施状況等を踏まえ、就労する者が生活の安定と向上を図りつつ、その意欲及び能力に応じて就労する機会が確保されるようにするための諸施策を抜本的に見直す観点から、次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 一 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七条第一項第三号に規定する第三号被保険者に係る制度の見直し

 二 厚生年金保険及び健康保険の適用範囲の更なる拡大

 三 多様な就労形態に応じた処遇の改善、社会保障の充実等のための方策


     理 由

 少子高齢化の進展、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、就労する者が生活の安定と向上を図りつつ、その意欲及び能力に応じて就労する機会が確保されることが重要となっていることに鑑み、当分の間の措置として就労支援給付制度を導入することに関し、必要な基本的事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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