衆議院

メインへスキップ



第二一三回

参第六号

   育児・介護二重負担者の支援に関する施策の推進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、我が国における急速な高齢化の進展、就労、結婚、出産等をめぐる状況の変化等に伴い増加している育児・介護二重負担者について、日常生活及び社会生活に支障が生ずることのないようその負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、育児・介護二重負担者の支援に関する施策に関し、基本理念、国等の責務その他の必要な事項を定めることにより、これを総合的に推進することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「育児・介護二重負担者」とは、子の養育及び家族の介護を同時に担う者をいう。

 (基本理念)

第三条 育児・介護二重負担者の支援に関する施策は、育児・介護二重負担者の負担の軽減を図ることが社会全体として取り組むべき課題であるとの認識の下、育児・介護二重負担者に対して適切かつ十分な支援が行われることを旨として行われなければならない。

2 育児・介護二重負担者の支援に関する施策は、国及び地方公共団体の育児に関する業務を担当する部局及び介護に関する業務を担当する部局その他関連する業務を担当する部局の相互の緊密な連携の下に、総合的かつ一体的な取組として行われなければならない。

 (国等の責務)

第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、育児・介護二重負担者の支援に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、育児・介護二重負担者の支援に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3 事業主は、国及び地方公共団体が実施する育児・介護二重負担者の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (法制上の措置等)

第五条 政府は、育児・介護二重負担者の支援に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

 (実態調査等)

第六条 国は、育児・介護二重負担者の数及び属性、育児・介護二重負担者による保育サービス、介護サービス等の利用状況、事業主によるその雇用する育児・介護二重負担者の負担の軽減に資する取組の状況その他の育児・介護二重負担者の実態に関する調査を定期的に行い、その結果を公表するものとする。

2 国及び地方公共団体は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、次条から第十一条までの規定に基づく施策その他の育児・介護二重負担者の支援に関する施策について検討を加え、必要があると認めるときは、当該施策の見直しその他の必要な措置を講ずるものとする。

 (柔軟な働き方の促進)

第七条 国及び地方公共団体は、育児・介護二重負担者が、その希望及び事情に応じて、労働時間の短縮等の措置の利用、育児休業、介護休業等の取得、情報通信技術を利用した在宅勤務、離職した場合における再就職その他の柔軟な働き方をすることができるよう、これらの促進に必要な制度の導入その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (事業主による取組の実施の状況の公表の促進等)

第八条 国及び地方公共団体は、事業主によるその雇用する育児・介護二重負担者の負担の軽減に資する取組を促進するため、当該取組の実施の状況の公表の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (必要なサービスの適切かつ有効な利用のための情報の提供等)

第九条 国及び地方公共団体は、育児・介護二重負担者がその育児及び介護の負担の状況に応じて必要なサービスを適切かつ有効に利用することができるよう、情報の提供、相談の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (広報活動及び啓発活動の充実等)

第十条 国及び地方公共団体は、育児・介護二重負担者の保育所、介護施設等の円滑な利用に資するようこれらの利用に対する誤解、偏見等の解消を図るとともに、育児・介護二重負担者に対する国民の理解を深めるため、広報活動及び啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (学校教育における取組の推進)

第十一条 国及び地方公共団体は、児童、生徒等が、その発達段階に応じて、高齢社会において働き、暮らしていくことに関する知識、自らが育児・介護二重負担者となる可能性についての認識等を深めることができるよう、学校教育における取組の推進のために必要な施策を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 我が国における急速な高齢化の進展、就労、結婚、出産等をめぐる状況の変化等に伴い増加している育児・介護二重負担者について、日常生活及び社会生活に支障が生ずることのないようその負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、育児・介護二重負担者の支援に関する施策に関し、基本理念、国等の責務その他の必要な事項を定めることにより、これを総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.