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食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に対する修正案(共産)

   食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に対する修正案
 食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案の全部を次のように修正する。
   食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律
 食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
                             「第一節 施策の策定等に係る指針(第十
 目次中「第一節 食料・農業・農村基本計画(第十五条)」を
                             第一節の二 食料・農業・農村基本計画
四条の二)
       に改める。
(第十五条)」
 第二条の見出しを「(食料自給率の引上げ等による食料の安定供給の確保)」に改め、同条第一項中「かんがみ」を「鑑み」に、「良質な」を「安全かつ良質で十分な量の」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 国民が必要とする食料については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることに鑑み、適切な備蓄の確保に配慮しつつ、国内の農業生産の増大を通じて食料自給率を引き上げることにより、その安定的な供給が確保されなければならない。
 第二条第三項を削り、同条第四項を同条第三項とし、同条の次に次の一条を加える。
 (環境と調和のとれた食料システムの確立)
第二条の二 食料システム(食料の生産から消費に至る各段階の関係者が有機的に連携することにより、全体として機能を発揮する一連の活動の総体をいう。以下同じ。)については、食料の供給の各段階において環境に負荷を与える側面があることに鑑み、食料システムの各段階における自然環境への影響が適切に把握され、その負荷の低減が図られることにより、環境との調和が図られなければならない。
 第三条中「かん養」を「涵(かん)養」に、「かんがみ」を「鑑み」に改め、「わたって」の下に「、環境への負荷の低減が図られつつ」を加える。
 第四条を次のように改める。
 (家族農業経営を基本とする農業の持続的な発展)
第四条 農業については、家族農業経営を基本とし、その安定的な経営が確保されることを通じて食料その他の農産物の供給の機能及び多面的機能の確保が図られるとともに、農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。第二十四条の三第一項において同じ。)が維持増進されることにより、我が国の基幹的な産業としてその持続的な発展が図られなければならない。
 第五条中「かんがみ」を「鑑み、地域社会が維持され」に改める。
 第九条の見出し中「農業者等」を「農業者」に改め、同条中「及び農業に関する団体」を削る。
 第十条中「にのっとり、国民に対する食料の供給が図られる」を「の実現に主体的に取り組む」に改め、同条の次に次の一条を加える。
 (団体の努力)
第十条の二 食料、農業及び農村に関する団体は、その行う農業者、食品産業の事業者、地域住民又は消費者のための活動が、基本理念の実現に重要な役割を果たすものであることに鑑み、これらの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
 第十一条中「農業に関する団体並びに」を削り、「事業者」の下に「並びに食料、農業及び農村に関する団体」を加える。
 第十二条中「深め」を「深めるとともに、食料の消費に際し、環境への負荷の低減に資する物その他の食料の持続的な供給に資する物の選択に努めることによって、食料の持続的な供給に寄与しつつ」に改める。
 第十五条第二項第二号中「食料自給率」を「当面達成すべき食料自給率」に改め、同条第三項中「掲げる」の下に「当面達成すべき」を加え、「、その向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として」を削り、同条第八項を同条第十項とし、同条第七項中「政府は、」の下に「世界の食料需給の状況その他の」を加え、同項を同条第九項とし、同条第六項の次に次の二項を加える。
7 政府は、少なくとも毎年一回、第二項第二号の目標の達成状況を調査し、その結果について食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
8 政府は、前項の調査の結果について、同項の意見を付して、国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
 第二章中第一節を第一節の二とし、同節の前に次の一節を加える。
    第一節 施策の策定等に係る指針
第十四条の二 この章に定める食料、農業及び農村に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を指針として、総合的かつ計画的に行わなければならない。
 一 食料自給率(国民に供給された食料の総熱量のうちに国内で生産された食料の熱量が占める割合をいう。)をできる限り早期に五十パーセント以上に引き上げ、更に七十パーセント以上に引き上げること。
 二 我が国の農業の保護を図るため必要に応じ農産物の輸入の制限等の措置をとるとともに、国内の農業生産の増大を図るため必要な農地、農業用水その他の農業資源及び農業の担い手を確保すること。
 三 家族農業経営を農業に関する施策の中核として位置付けること。
 四 経営規模の大小又は専ら農業を営むか否かを問わず、適切な農業所得及び安定的な農業経営を確保すること。
 第十六条の見出し中「食料消費」を「食料の安全性及び食料消費」に改め、同条第一項中「ため、」の下に「食品の製造過程の管理の高度化その他の」を、「高度化、」の下に「食品の安全性に関する基準の強化、輸入食品の安全性に関する検査体制の強化、食料の安全性に関する試験研究の体制の整備及び情報の提供、食品の原産国及び遺伝子組換えに係る食品の表示の徹底その他の」を加え、同条第二項中「策定」の下に「、公共調達における地域の農産物の利用の促進」を加え、同条の次に次の一条を加える。
 (食料の円滑な入手の確保)
第十六条の二 国は、関係行政機関相互間の連携の強化を図るとともに、地方公共団体、食品産業の事業者その他の関係者と連携し、経済的な状況その他の要因にかかわらず食料の円滑な入手が可能となるよう必要な施策を講ずるものとする。
 第十七条の見出し中「食品産業の」の下に「維持及び」を加え、同条中「かんがみ、その」を「鑑み、その維持及び」に改め、「事業活動に伴う」を削り、「に配慮しつつ」を「その他の食料の持続的な供給に資する事業活動の促進」に改め、「強化」の下に「、円滑な事業承継の促進」を、「合理化」の下に「、先端的な技術を活用した食品産業及びその関連産業に関する新たな事業の創出の促進、海外における事業の展開の促進」を加える。
 第十八第一項中「、農産物につき、国内生産では需要を満たすことができないものの安定的な輸入を確保するため必要な施策を講ずるとともに」を削り、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 国は、我が国の農業の保護を図るため、農産物の貿易に関し我が国の農業にとって不利益な措置が国際的に取り決められないよう努めるものとする。
 第十八条に次の一項を加える。
4 国は、前項の施策を講ずるに当たっては、輸出の相手国の農産物と競合し、その生産を減少させることのないよう配慮するものとする。
 第十九条の見出し中「食料安全保障」を「措置」に改め、同条中「第二条第四項」を「第二条第三項」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
  国は、凶作、輸入の減少等の不測の要因により国内の食料の供給が不足し国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に支障が生ずる事態の発生をできる限り回避し、又はこれらの事態が国民生活及び国民経済に及ぼす支障が最小となるようにするため、これらの事態が発生するおそれがあると認めたときから、関係行政機関相互間の連携の強化を図るとともに、備蓄する食料の供給、食料の輸入の拡大その他必要な施策を講ずるものとする。
 第二十一条及び第二十二条を次のように改める。
 (家族農業経営の発展)
第二十一条 国は、創意工夫を生かした家族農業経営を展開できるようにすることが重要であることに鑑み、その経営管理の合理化その他の経営の発展及びその円滑な継承に資する条件を整備するために必要な施策を講ずるものとする。
第二十二条 削除
 第二十三条中「、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積」を削り、「、農地の」の下に「適正かつ」を加える。
 第二十四条の見出し中「整備」の下に「及び保全」を加え、同条中「より、」を「より」に改め、「促進する」の下に「とともに、気候の変動その他の要因による災害の防止又は軽減を図ることにより農業生産活動が継続的に行われるようにする」を、「整備」の下に「及び保全」を加え、同条の次に次の二条を加える。
 (農産物の付加価値の向上等)
第二十四条の二 国は、農産物の付加価値の向上及び創出を図るため、高い品質を有する品種の導入の促進及び農産物を活用した新たな事業の創出の促進、植物の新品種、家畜の遺伝資源、地理的表示(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号)第二条第三項に規定する地理的表示をいう。)、農業生産に関する有用な技術及び営業上の情報その他の知的財産の保護及び活用の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策を講ずるに当たっては、農作物の遺伝資源に係る農業者の利益の保護に特に留意するものとする。
 (環境への負荷の低減の促進)
第二十四条の三 国は、農業生産活動における環境への負荷の低減を図るため、農業の自然循環機能の維持増進に配慮しつつ、農薬及び肥料の適正な使用の確保、家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進、有機農業その他の環境への負荷の低減に資する技術を活用した生産方式の導入の促進、農産物の輸送における温室効果ガスの排出の抑制、輸出される農産物の食料システムの各段階における温室効果ガスの排出量に関する表示の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、環境への負荷の低減に資する農産物の流通及び消費が広く行われるよう、これらの農産物の円滑な流通の確保、消費者への適切な情報の提供の推進、環境への負荷の低減の状況の把握及び評価の手法の開発その他必要な施策を講ずるものとする。
 第二十五条第一項中「効率的かつ」を削り、「促進」の下に「並びに農業の研修又は農業経営の開始のための資金の交付、新規就農を促進するための研修を行う農業を営む法人への支援」を加える。
 第二十八条の次に次の一条を加える。
 (農業経営の支援を行う事業者の事業活動の促進)
第二十八条の二 国は、農業者の経営の発展及び農業の生産性の向上に資するため、農作業の受託、農業機械の貸渡し、農作業を行う人材の派遣、農業経営に係る情報の分析及び助言その他の農業経営の支援を行う事業者の事業活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
 第二十九条中「及び都道府県」を「、独立行政法人、都道府県及び地方独立行政法人」に改め、「強化、」の下に「環境に調和した農業生産技術並びに」を、「農業に関する技術」の下に「及び地域において蓄積された農業に関する技術」を、「の推進」の下に「、安価で実用性の高い農業用機械の開発及び普及」を加え、同条に次の一項を加える。
2 国は、食料システムにおいて情報通信技術を用いて情報が効果的に活用されるよう、食料システムの関係者による情報の円滑な共有のための環境整備を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
 第三十条の見出しを「(農産物の価格の安定等)」に改め、同条第一項を次のように改める。
  国は、農産物について、農業の生産条件、交易条件等に関する不利を補正し、農業者と他産業従事者との間の所得の格差を是正するため、生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を考慮して、その価格の安定が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。
 第三十一条の見出し中「補てん」を「補」に改め、同条中「ため」の下に「、災害の規模にかかわらず」を加え、「補てん」を「補」に改める。
 第三十二条を次のように改める。
 (伝染性疾病等の発生予防等)
第三十二条 国は、家畜の伝染性疾病及び植物に有害な動植物が国内で発生及びまん延をした場合には、農業に著しい損害を生ずるおそれがあることに鑑み、動植物に係る検疫体制の強化その他その発生の予防及びまん延の防止のために必要な施策を講ずるものとする。
 第三十三条の見出し中「合理化」を「確保と経営の安定」に改め、同条中「おける」の下に「農業機械の購入に要する費用その他の」を、「促進」の下に「、農業機械その他の農業資材の安価な供給の促進」を加え、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
  国は、農業資材の安定的な供給を確保するため、輸入に依存する農業資材及びその原料について、国内で生産できる良質な代替物への転換の推進、備蓄への支援その他必要な施策を講ずるものとする。
 第三十三条に次の二項を加える。
3 国は、農業資材の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるものとする。
4 国は、前三項に定めるもののほか、地方公共団体が主要な農産物の種子を生産し、供給する体制を整備するために必要な施策を講ずるものとする。
 第三十四条第二項中「整備と」を「整備及び保全並びに農村との関わりを持つ者の増加に資する産業の振興と防災、」に改め、同条の次に次の三条を加える。
 (農地の保全に資する共同活動の促進)
第三十四条の二 国は、農業者その他の農村との関わりを持つ者による農地の保全に資する共同活動が、地域の農業生産活動の継続及びこれによる多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることに鑑み、これらの共同活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
 (地域の資源を活用した事業活動の促進)
第三十四条の三 国は、農業と農業以外の産業の連携による地域の資源を活用した事業活動を通じて農村との関わりを持つ者の増加を図るため、これらの事業活動の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
 (障害者等の農業に関する活動の環境整備)
第三十四条の四 国は、障害者その他の社会生活上支援を必要とする者の就業機会の増大を通じ、地域の農業の振興を図るため、これらの者がその有する能力に応じて農業に関する活動を行うことができる環境整備に必要な施策を講ずるものとする。
 第三十五条第一項中「促進」の下に「、地域社会の維持に資する生活の利便性の確保」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 国は、中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われることが多面的機能を確保する上で重要な役割を果たしていることに鑑み、農業者の生活の安定を図るため、所得補償その他必要な施策を講ずるものとする。
 第三十五条の次に次の一条を加える。
 (鳥獣害の対策)
第三十五条の二 国は、鳥獣による農業及び農村の生活環境に係る被害の防止のため、鳥獣の農地への侵入の防止、捕獲した鳥獣の食品等としての利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
 第三十六条第一項中「ため、」の下に「余暇を利用した農村への滞在の機会を提供する事業活動の促進その他の」を、「促進」の下に「、都市と農村との双方に居所を有する生活をすることのできる環境整備」を加える。
 第三十八条の見出し中「団体の」の下に「相互連携及び」を加え、同条中「団体の」を「団体について、相互の連携を促進するとともに、」に改める。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
 (検討)
第二条 政府は、地域住民がその地域の食料及び農業の在り方について協議し、当該地域の政策の形成に資する制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な施策を講ずるものとする。
2 政府は、農作物の遺伝資源の利用の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
 (関係法律の整備)
第三条 この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。

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