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   精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱


第一 改正の趣旨
  最近の精神障害者の医療及び保護並びに保健及び福祉をめぐる状況にかんがみ、措置入院制度の適正な実施を確保するため、措置入院が必要であるかどうか等に関し判定を行うための判定委員会の設置、当該判定に資するための調査等を行う精神保健福祉調査員の設置並びに精神障害者に対する高度の医療及び保護を提供する精神科集中治療センターの指定について規定するとともに、精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるようその協力体制の整備について規定するものとすること。
第二 判定委員会の設置等
 一 判定委員会の設置
  1 第五の三の1、四の3及び六の2並びに第六の一の判定を行わせるため、都道府県に、判定委員会を置くものとすること。(第十一条の二関係)
  2 判定委員会の委員は、精神保健指定医のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。(第十一条の三関係)
 二 判定委員会における判定の案件の取扱い(第十一条の四関係)
  1 判定委員会は、委員二人をもって構成する合議体で、判定の案件を取り扱うものとすること。
  2 合議体を構成する委員は、判定委員会がこれを定めるものとすること。
  3 合議体による判定は、合議体を構成する委員の意見の一致したところによるものとすること。
第三 精神科集中治療センターの指定
 一 都道府県知事は、国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院であって厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部を、その設置者の同意を得て、精神障害者に対する高度の医療及び保護を提供する医療施設(以下「精神科集中治療センター」という。)として指定するものとすること。(第十九条の八の二関係)
 二 都道府県知事は、精神科集中治療センターが一の基準に適合しなくなったとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができるものとすること。(第十九条の九関係)
第四 精神保健福祉調査員の設置
 一 第五の一の1及び三の2の調査に従事させるため、都道府県に精神保健福祉調査員を置くものとすること。(第二十九条の五の二第一項関係)
 二 精神保健福祉調査員は、精神保健福祉士のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。ただし、特に必要があるときは、精神障害者の保健及び福祉に関し学識経験を有する精神保健福祉士以外の者を任命することができるものとすること。(第二十九条の五の二第二項関係)
第五 措置入院の決定の手続等の見直し
 一 申請等に基づき行われる判定の請求(第二十七条関係)
  1 都道府県知事は、第二十三条から第二十六条の二までの規定による申請、通報又は届出のあった者について精神保健福祉調査員による調査の上必要があると認めるときは、判定委員会に対し、判定を求めなければならないものとすること。
  2 都道府県知事は、自傷他害のおそれがあることが明らかである者については、1の申請等がない場合においても、判定委員会に対し、判定を求めることができるものとすること。
 二 判定委員会による診察(第二十八条関係)
   判定委員会が一により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。
 三 判定委員会の判定(第二十八条の二関係)
  1 判定委員会は、二により診察をしたときは、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該判定を求められた者が精神障害者であり、かつ、自傷他害のおそれがあるかどうか並びにそのおそれがあると認めた場合におけるその者の症状が重く高度の医療及び保護が必要であるかどうかの判定を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならないものとすること。
  2 判定委員会は、1の判定を行うに当たって必要があると認めるときは、判定を求められた者の過去の病歴、現在の病状、治療状況、過去の自傷他害行為の有無及び内容、現在の生活環境等判定のために必要な事項について、精神保健福祉調査員に調査を行わせることができるものとすること。
 四 都道府県知事による入院措置
  1 都道府県知事は、三の1の判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を行うものとすること。(第二十九条第一項関係)
  2 1による入院措置を採る場合において、都道府県知事が、三の1の判定委員会の判定の結果に基づき、当該精神障害者についてその症状が重く高度の医療及び保護が必要であると認めたときは、その者を入院させる施設は、精神科集中治療センターとするものとすること。(第二十九条第二項関係)
  3 都道府県知事は、1による入院措置を採ろうとする精神障害者の当該入院措置に係る病院への移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。(第二十九条の二の二第三項関係)
 五 緊急措置入院に係る病院(第二十九条の二関係)
   第二十九条の二の規定による緊急措置入院の決定を受けた者を入院させる施設は、精神科集中治療センターとするものとすること。
 六 精神科集中治療センターからの移送(第二十九条の三の二及び第二十九条の三の三関係)
  1 都道府県知事は、四の1及び2により精神科集中治療センターに入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至ったときは、直ちに、その者を精神科集中治療センター以外の国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院へ移送しなければならないものとすること。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科集中治療センターの管理者の意見を聴くものすること。
  2 1の場合において都道府県知事がその者を移送するには、その者が精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるかどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がその必要がないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がその必要がないと認めた場合でなければならないものとすること。
  3 判定委員会が2により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、4による診察がなされている場合を除き、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。
  4 精神科集中治療センターの管理者は、指定医による診察の結果、四の1及び2により入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至ったときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
第六 入院措置の解除の手続の見直し
 一 都道府県知事が措置入院者を退院させるには、その者が自傷他害のおそれがないと認められるかどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がそのおそれがないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がそのおそれがないと認めた場合でなければならないものとすること。(第二十九条の四第二項関係)
 二 判定委員会が一により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、第二十九条の五の規定による診察がなされている場合を除き、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。(第二十九条の四第三項関係)
第七 定期の報告の判定委員会への通知
  都道府県知事は、第三十八条の三第一項の規定により措置入院者に関し精神医療審査会に通知する事項を、判定委員会に通知しなければならないものとすること。(第三十八条の三の二関係)
第八 連携を図るための協力体制の整備
  都道府県等は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、医師、精神保健福祉士、保健師、看護師、作業療法士その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるよう、その協力体制の整備に努めなければならないものとすること。(第四十七条の二関係)
第九 施行期日等
 一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 二 所要の経過措置を設けるとともに、所要の規定の整備を行うものとすること。

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