衆議院

メインへスキップ



国家公務員の政治的中立に関する法制の整備について

第一 目的
この法律は、国家公務員の政治的中立に関し、基本原則を定め、及び国務大臣等の責務を明らかにするとともに、国家公務員の政治的行為及び公の発言等の制限について定めることにより、国家公務員の政治的中立を確立し、もって行政の公正な運営を確保することを目的とするものとすること。

第二 職員等の定義
一 この法律において「職員」とは、一般職に属する国家公務員をいうものとすること。
二 この法律において「国務大臣等」とは、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官をいうものとすること。

第三 基本原則

一 職員の本分
職員は、党派的勢力の影響を排し、政府のために忠実に職務を遂行することにより、国民全体に奉仕することを本分とするものとすること。

二 国務大臣の意思決定に従い誠実に職務を遂行する義務
 職員は、国務大臣を補佐する立場にあることを自覚し、国務大臣の意思決定に従い誠実に職務を遂行しなければならないものとすること。

三 国務大臣等に対して誠実かつ公平な助言を行う等の義務
職員は、国務大臣等に対して、専門的知識及び経験に基づき誠実かつ公平な助言を行うとともに、その職務の遂行に必要なすべての情報を提供しなければならないものとすること。

四 政党、国会議員等の不当な介入を招くような行為の禁止
職員は、行政の運営に対する政党、国会議員等の不当な介入を招くような行為をしてはならないものとすること。

第四 国務大臣等の責務
国務大臣等は、その影響力を行使して、職員に第三の基本原則に反する行為をさせてはならないものとすること。

第五 政治的行為の制限
一 職員は、選挙権の行使を除くほか、次に掲げる行為をしてはならないものとすること。
1 政治的目的(公選による公職の選挙における特定の候補者若しくは候補者となろうとする者を支持し、又はこれらに反対すること、特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対することその他の人事院規則で定める目的をいう。以下同じ。)のために職名、職権その他の公私の影響力を利用すること。
2 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し、又は提供せず、その他政治的目的をもつ何らかの行為をし、又はしないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関して何らかの利益を得、若しくは得ようと企て、若しくは得させようとし、又は不利益を与え、与えようと企て、若しくは与えようと脅かすこと。
3 政治的目的のために、賦課金、寄附金、会費その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。
4 政治的目的をもって、3の利益を国家公務員に与えること。
5 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し、若しくはこれらの行為を援助し、又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。
6 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。
7 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し、又はこれらの行為を援助すること。
8 政治的目的をもって、公選による公職の選挙、最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査の投票又は地方自治法に基づく地方公共団体の議会の解散若しくは法律に基づく公務員の解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。
9 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し、又は指導し、その他これに積極的に参与すること。
10 政治的目的をもって、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し、若しくは指導し、又はこれらの行為を援助すること。
11 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、放送設備その他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。
12 政治的目的を有する文書又は図画を国又は特定独立行政法人の庁舎(特定独立行政法人にあっては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他政治的目的のために国又は特定独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。
13 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、若しくは多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、又はこれらの用に供するために著作し、又は編集すること。
14 1から13までに掲げるもののほか、人事院規則で定める政治的行為
二 一は、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止し、又は制限するものではないものとすること。
三 職員は、公選による公職の候補者となることができないものとすること。

第六 公の発言等の制限
一 職員は、その政治的中立及びこれに対する国民の信頼を損なうことがないようにするため、政治的な意見が対立している問題については、職務を遂行するため当然行う必要がある場合及び当該問題に関する事実関係、法令等を説明する場合を除き、公に発言等をすることを慎まなければならないものとすること。
二 職員は、衆議院議員又は参議院議員の選挙の期日が近接している時期において職務に関連する事項について公に発言等をする場合においては、当該発言等の内容が特定の政党に有利又は不利となることがないようにしなければならないものとすること。

第七 罰則
 第五の一の政治的行為の制限に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。

第八 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 国家公務員法の改正等所要の規定の整備を行うものとすること。

第九 自衛隊員に関する特別法の制定
 自衛隊員の政治的中立を確立し、自衛隊の任務の公正な遂行を確保するため、自衛隊員の政治的中立に関し、一般職の国家公務員についての立法措置と同様の措置を定めるものとすること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.