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   入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案要綱


第一 趣旨                                     (第一条関係)
  この法律は、入札談合等関与行為を排除し、及び防止するため、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するために必要な改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査、関係行政機関の連携協力等について定めるものとすること。
第二 定義                                     (第二条関係)
 一 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいうものとすること。
 二 この法律において「特定法人」とは、国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人をいうものとすること。
 三 この法律において「各省各庁の長等」とは、各省各庁の長、地方公共団体の長及び特定法人の代表者をいうものとすること。
 四 この法律において「入札談合等」とは、国、地方公共団体又は特定法人(以下「国等」という。)が入札、競り売りその他競争により相手方を選定する方法により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、当該入札に参加しようとする事業者が他の事業者と共同して落札すべき者若しくは落札すべき価格を決定し、又は事業者団体が当該入札に参加しようとする事業者に当該行為を行わせること等により、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為をいうものとすること。
 五 この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等に関与する行為であって、次のいずれかに該当するものをいうものとすること。
 1 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。
 2 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。
 3 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。
第三 各省各庁の長等に対する改善措置の要求等                    (第三条関係)
 一 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置(以下単に「改善措置」という。)を講ずべきことを求めることができるものとすること。
 二 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為があったと認めるときは、当該入札談合等関与行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を講ずべきことを求めることができるものとすること。
 三 公正取引委員会は、一又は二による求めをする場合には、当該求めの内容及び理由を記載した書面を交付しなければならないものとすること。
 四 各省各庁の長等は、一又は二による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該入札談合等関与行為があり、又は当該入札談合等関与行為があったことが明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除し、又は当該入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必要と認める改善措置を講じなければならないものとすること。
 五 各省各庁の長等は、四の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。
 六 各省各庁の長等は、四の調査の結果及び四により講じた改善措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知しなければならないものとすること。
 七 公正取引委員会は、六の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができるものとすること。
第四 職員に対する損害賠償の請求等                         (第四条関係)
 一 各省各庁の長等は、第三の一又は二による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならないものとすること。
 二 各省各庁の長等は、一の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならないものとすること。
 三 各省各庁の長等は、一又は二の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。
 四 各省各庁の長等は、二の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は重大な過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならないものとすること。
 五 入札談合等関与行為を行った職員が予算執行職員等の責任に関する法律又は地方自治法の規定により弁償等の責めに任ずべき場合については、各省各庁の長等は、二から四までにかかわらず、速やかに、これらの法律に定めるところにより、必要な措置をとらなければならないものとすること。
第五 職員に係る懲戒事由の調査                           (第五条関係)
 一 各省各庁の長等は、第三の一又は二による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならないものとすること。ただし、当該求めを受けた各省各庁の長等が、当該職員の任命権を有しない場合は、当該職員の任命権を有する者(以下「任命権者」という。)に対し、第三の一又は二による求めがあった旨を通知すれば足りるものとすること。
 二 一ただし書による通知を受けた任命権者は、当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならないものとすること。
 三 各省各庁の長等又は任命権者は、一又は二の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。
第六 指定職員による調査                              (第六条関係)
 一 各省各庁の長等又は任命権者は、その指定する職員(以下「指定職員」という。)に、この法律による調査(以下「調査」という。)を実施させなければならないものとすること。この場合において、各省各庁の長等又は任命権者は、当該調査を適正に実施するに足りる能力、経験等を有する職員を指定する等当該調査の実効を確保するために必要な措置を講じなければならないものとすること。
 二 指定職員は、調査に当たっては、公正かつ中立に実施しなければならないものとすること。
 三 指定職員が調査を実施する場合においては、当該各省各庁、地方公共団体又は特定法人の職員は、当該調査に協力しなければならないものとすること。
第七 関係行政機関の連携協力                            (第七条関係)
  国の関係行政機関は、入札談合等関与行為の防止に関し、相互に連携を図りながら協力しなければならないものとすること。
第八 運用上の配慮                                 (第八条関係)
  この法律の運用に当たっては、入札及び契約に関する事務を適正に実施するための地方公共団体等の自主的な努力に十分配慮しなければならないものとすること。
第九 事務の委任                                  (第九条関係)
  この法律に規定する事務の委任について定めること。
第十 施行期日
  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

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