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   社会保険労務士法の一部を改正する法律案要綱


第一 社会保険労務士の業務の見直し
 一 あっせん代理業務の追加(第二条関係)
   個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会における同法第五条第一項のあっせんについて、紛争の当事者を代理することを社会保険労務士の業務に加えるものとすること。
 二 労働社会保険諸法令の追加(別表第一関係)
   労働社会保険諸法令に、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」及び「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」を加えるものとすること。
第二 社会保険労務士試験の受験資格の緩和
  一定の事務又は業務に一定期間従事したことにより認められる受験資格について、その従事期間を一律三年以上とするものとすること。(第八条関係)
第三 登録事項の整備等
 一 社会保険労務士法人の社員又は使用人の登録事項(第十四条の二関係)
   社会保険労務士法人の社員又は使用人の登録事項として、社会保険労務士法人の事務所を加えるものとすること。
 二 登録の取消事由の追加(第十四条の九関係)
   登録の取消事由に、次の事由を加えるものとすること。
  1 心身の故障により社会保険労務士の業務を行うことができない者に該当するに至ったとき。
  2 社会保険労務士の登録を受けた者が二年以上継続して所在が不明であるとき。
第四 社会保険労務士の権利及び義務に関する規定の整備
 一 業務を行い得ない事件(第二十二条関係)
   社会保険労務士は、1から6までのいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならないものとすること。ただし、3に該当する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでないものとすること。
  1 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
  2 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
  3 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
  4 国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱った事件
  5 社員又は使用人である社会保険労務士として社会保険労務士法人の業務に従事していた期間内に、その社会保険労務士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
  6 社員又は使用人である社会保険労務士として社会保険労務士法人の業務に従事していた期間内に、その社会保険労務士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度又は方法が信頼関係に基づくと認められるもの
 二 非社会保険労務士との提携の禁止(第二十三条の二関係)
   社会保険労務士は、社会保険労務士の名称の使用制限又は業務の制限に違反する者から事件のあっせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならないものとすること。
第五 監督
 一 懲戒事由の通知等(第二十五条の三の二関係)
  1 社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)は、社会保険労務士会の会員について、懲戒事由に該当する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該会員の氏名及び事務所又は事業所の所在地並びにその行為又は事実を通知しなければならないものとすること。
  2 何人も、社会保険労務士について、懲戒事由に該当する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができるものとすること。
 二 登録抹消の制限(第二十五条の四の二関係)
   連合会は、社会保険労務士が懲戒の手続に付された場合においては、その手続が結了するまでは、当該社会保険労務士の登録の抹消をすることができないものとすること。
 三 懲戒処分の通知(第二十五条の五関係)
   厚生労働大臣は、社会保険労務士の懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、その理由を付記した書面により当該社会保険労務士に通知しなければならないものとすること。
第六 社会保険労務士法人制度の創設
 一 設立(第二十五条の六関係)
   社会保険労務士は、社会保険労務士法人(社会保険労務士の業務を組織的に行うことを目的として、社会保険労務士が共同して設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができるものとすること。
 二 名称(第二十五条の七関係)
   社会保険労務士法人は、その名称中に社会保険労務士法人という文字を使用しなければならないものとすること。
 三 社員の資格(第二十五条の八関係)
  1 社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならないものとすること。
  2 次に掲げる者は、社員となることができないものとすること。
   イ 社会保険労務士の業務の停止の処分を受けた場合において、当該業務の停止の期間を経過しない者
   ロ 社会保険労務士法人が解散又は業務の停止を命ぜられた場合において、その処分の日以前三十日内にその社員であった者でその処分の日から三年(業務の停止を命ぜられた場合にあっては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの
 四 業務の範囲(第二十五条の九関係)
   社会保険労務士法人は、社会保険労務士の業務を行うほか、定款で定めるところにより、当該業務に準ずるものとして厚生労働省令で定める業務の全部又は一部を行うことができるものとすること。
 五 登記(第二十五条の十関係)
   社会保険労務士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならないものとし、登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとすること。
 六 設立の手続(第二十五条の十一関係)
   社会保険労務士法人を設立するには、その社員になろうとする社会保険労務士が、共同して定款を定めなければならないものとするとともに、定款の必要的記載事項について定めるものとすること。
 七 成立の時期(第二十五条の十二関係)
   社会保険労務士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立するものとすること。
 八 成立の届出等(第二十五条の十三関係)
   社会保険労務士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、その旨を、その主たる事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会(以下「主たる事務所の所在地の社会保険労務士会」という。)を経由して、連合会に届け出なければならないものとし、連合会は、社会保険労務士法人の名簿を作成し、これを厚生労働大臣に提出しなければならないものとすること。
 九 定款の変更(第二十五条の十四関係)
   社会保険労務士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、連合会に届け出なければならないものとすること。
 十 業務を執行する権限(第二十五条の十五関係)
   社会保険労務士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うものとすること。
 十一 社員の常駐(第二十五条の十六関係)
   社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならないものとすること。
 十二 特定の事件についての業務の制限(第二十五条の十七関係)
   第四の一に準じ、社会保険労務士法人の業務の制限に関する規定を設けるものとすること。
 十三 社員の競業の禁止(第二十五条の十八関係)
   社会保険労務士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の社会保険労務士法人の社員となってはならないものとすること。
 十四 業務の執行方法(第二十五条の十九関係)
   社会保険労務士法人は、社会保険労務士でない者に社会保険労務士でなければ業として行ってはならない事務を行わせてはならないものとすること。
 十五 社会保険労務士の義務等に関する規定の準用(第二十五条の二十関係)
   社会保険労務士に関する所要の規定を社会保険労務士法人に準用するものとすること。
 十六 法定脱退(第二十五条の二十一関係)
   社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士の登録の抹消、定款に定める理由の発生、総社員の同意又は除名によって、社会保険労務士法人を脱退するものとすること。
 十七 解散(第二十五条の二十二関係)
  1 定款に定める理由の発生、総社員の同意、他の社会保険労務士法人との合併、破産、解散を命じる裁判又は十九の1の解散の命令によって解散するものとすること。
  2 社会保険労務士法人は、1のほか、社員が一人になり、そのなった日から引き続き六月間社員が二人以上にならなかった場合においても、その六月を経過した時に解散するものとすること。
  3 社会保険労務士法人は、他の社会保険労務士法人との合併以外の事由により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、連合会に届け出なければならないものとすること。
 十八 合併(第二十五条の二十三関係)
  1 社会保険労務士法人は、総社員の同意があるときは、他の社会保険労務士法人と合併することができるものとすること。
  2 合併は、合併後存続する社会保険労務士法人又は合併によって設立した社会保険労務士法人が、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって、その効力を生ずるものとすること。
  3 社会保険労務士法人は、合併したときは、合併した日から二週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、連合会に届け出なければならないものとすること。
 十九 違法行為等についての処分(第二十五条の二十四関係)
  1 厚生労働大臣は、社会保険労務士法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるときは、その社会保険労務士法人に対し、戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができるものとすること。
  2 社会保険労務士法人の処分の手続は、社会保険労務士の懲戒の手続と同様のものとし、所要の規定を準用するものとすること。
  3 1による処分の手続に付された社会保険労務士法人は、清算が結了した後においても、当該処分に関しては、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなすものとすること。
  4 1により社会保険労務士法人を処分する場合において、当該社会保険労務士法人の社員又は使用人である社会保険労務士につき懲戒事由に該当する事実があるときは、その社会保険労務士に対し、懲戒処分を併せて行うことができるものとすること。
 二十 民法の準用等(第二十五条の二十五関係)
   社会保険労務士法人について、民法、非訟事件手続法、商法及び破産法の所要の規定の準用等を行うものとすること。
 二十一 社会保険労務士法人の社会保険労務士会への入会及び退会(第二十五条の二十九関係)
  1 社会保険労務士法人は、その成立の時に、当然、社会保険労務士法人の主たる事務所の所在地の社会保険労務士会の会員となるものとすること。
  2 社会保険労務士法人は、所属社会保険労務士会以外の社会保険労務士会が設立されている都道府県の区域に、事務所を設け、又は移転したときは、当該事務所の新所在地においてその旨を登記した時に、当然、当該事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員となるものとすること。
  3 社会保険労務士法人は、その事務所の移転又は廃止により、所属社会保険労務士会が設立されている都道府県の区域内に社会保険労務士法人の事務所を有しないこととなったときは、旧所在地においてその旨を登記した時に、当然、当該社会保険労務士会を退会するものとすること。
  4 社会保険労務士法人は、解散した時に、当然、所属社会保険労務士会を退会するものとすること。
 二十二 名称の使用制限(第二十六条関係)
   社会保険労務士法人でない者は、社会保険労務士法人又はこれに類似する名称を用いてはならないものとすること。
 二十三 業務の制限(第二十七条関係)
   社会保険労務士法人でない者は、社会保険労務士法人の業務を行ってはならないものとすること。
第七 社会保険労務士会及び全国社会保険労務士会連合会
 一 社会保険労務士会の会則の記載事項の整備(第二十五条の二十七関係)
  1 社会保険労務士会の会則の記載事項に支部等に関する規定を加えるものとすること。
  2 社会保険労務士会の会則の記載事項から、開業社会保険労務士の受ける報酬に関する規定を削除するものとすること。
 二 支部の設置(第二十五条の二十八関係)
   社会保険労務士会は、その目的を達成するために必要があるときは、支部を設けることができるものとすること。
 三 連合会の会則の記載事項の整備(第二十五条の三十五関係)
   連合会の会則の記載事項から、開業社会保険労務士の受ける報酬の基準に関する規定を削除するものとすること。
 四 連合会の貸借対照表等の公開(第二十五条の四十八関係)
   連合会は、毎事業年度、総会の決議を経た後、遅滞なく、貸借対照表及び収支計算書を官報に公告し、かつ、財産目録、貸借対照表、収支計算書及び附属明細書並びに会則で定める事業報告書及び監事の意見書を、事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならないものとすること。
第八 罰則の整備
  社会保険労務士法人制度の創設に伴い、罰則について、所要の規定の整備を行うものとすること。(第三十二条から第三十七条まで関係)
第九 附則関係
 一 施行期日(附則第一条関係)
   この法律は、平成十五年四月一日から施行するものとすること。ただし、第七の一の2及び三については、公布の日から施行するものとすること。
 二 経過措置(附則第二条及び第三条関係)
   連合会の貸借対照表等の公開に関する規定は、この法律の施行の日以後に開始する事業年度に係る書類について適用するものとし、その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めるものとすること。
 三 その他関係法律について所要の規定の整備を行うものとすること。(附則第四条から第六条まで関係)

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