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   北朝鮮に係る人権侵害の救済に関する法律案要綱


第一 目的(第一条関係)
  この法律は、拉致問題への対処に関する国の責務を明らかにするとともに、脱北者の保護及び支援、北朝鮮に対する支援に係る基本原則等について定めることにより、拉致問題の解決その他北朝鮮当局により侵害されている人権の救済及び北朝鮮における人権状況の改善に資することを目的とすること。
第二 拉致問題への対処
一 拉致問題への対処に関する国の責務(第二条関係)
1 国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致又は本邦からの拉致(以下「北朝鮮当局による拉致」という。)の問題を解決するため、最大限の努力をするものとすること。
2 国は、北朝鮮当局による拉致の被害について調査するとともに、北朝鮮当局によって拉致された日本国民及び本邦から拉致された者(以下「拉致被害者」という。)の帰国又は入国を実現するよう努めるものとすること。
3 政府は、北朝鮮当局による拉致の問題を解決するため、関係国等と連携するものとすること。
二 拉致問題担当大臣(附則第三条関係)
  内閣府の所掌事務に北朝鮮当局による拉致の問題への対処に係る事務を追加するとともに、拉致問題を担当する特命担当大臣を置くこと。
三 拉致被害調査対策本部(第三条及び第四条関係)
1 内閣府に、拉致被害調査対策本部(以下「本部」という。)を置くこと。
2 本部は、次の事務をつかさどること。
 ア 拉致被害者及びその疑いのある者についての調査を行うこと。
 イ 拉致被害者の帰国又は入国を実現するための施策の企画及び立案並びに総合調整に関すること。
3 本部は、2のアの調査を行うに当たっては、北朝鮮当局による拉致に関する情報の収集等を行う民間の団体と連携するよう努めるものとすること。
4 本部は、拉致被害調査対策本部長、拉致被害調査対策副本部長及び拉致被害調査対策本部員をもって組織すること。
5 拉致被害調査対策本部長は、内閣総理大臣をもって充てること。
6 拉致被害調査対策副本部長は、拉致問題担当大臣をもって充てること。
7 拉致被害調査対策本部員は、関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命すること。
四 拉致被害者に係る国会報告(第五条関係)
  政府は、三の2のアの調査により拉致被害者の安否その他拉致被害者に係る重要な事実が判明したときは、遅滞なく、これを国会に報告しなければならないこと。
第三 脱北者の保護及び支援
一 脱北者の保護及び支援に関する国の責務等(第六条及び第七条関係)
1 国は、脱北者(北朝鮮を脱出した後生活の本拠を有することなく我が国に保護を求める者(北朝鮮に戻った場合に迫害を受けるおそれがないと認められる者を除く。)をいう。以下同じ。)を保護し、及び支援する責務を有すること。
2 政府は、脱北者から在外公館に対して保護の要請があった場合には、その安全の確保に努めるものとすること。
3 政府は、脱北者がその希望に応じて本邦に帰国し、若しくは入国し、又は他国に出国することができるよう努めるものとすること。
4 政府は、脱北者の安全の確保等について、関係国の理解と協力を得るよう努めるものとすること。
5 政府は、脱北者の保護及び支援を行うに当たっては、脱北者及びその関係者の安全を確保するため、これらの者に関する情報の取扱い等について、十分に配慮するものとすること。
6 政府は、関係国及び国際連合人権委員会、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関との緊密な協力の下に、北朝鮮を脱出した者の保護及び支援に積極的な役割を果たすものとすること。
7 政府は、脱北者の保護及び支援に当たって民間の団体と協力するとともに、脱北者の保護及び支援を行う民間の団体の活動に係る安全の確保及びその活動の促進を図るため、情報の提供、財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
二 脱北者の認定、定住者の在留資格の取得等(第八条から第十三条まで関係)
1 法務大臣は、北朝鮮を脱出し本邦にある者から申請があったときは、その者が脱北者である旨の認定(以下「脱北者の認定」という。)を行うことができること。
2 法務大臣は、1の申請をした者が在留資格を取得していない外国人であるときは、当該外国人が一定の除外事由に該当する場合を除き、その者に定住者の在留資格の取得を許可するものとすること。
3 脱北者の認定を受けている外国人から永住許可の申請があった場合には、法務大臣は、その者が独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有しないときであっても、これを許可することができること。
4 3の申請をした者が、本邦に生活の本拠を有していたことがある外国人(過去に日本国籍を有していた者及びその子に限る。以下「元本邦在住者」という。)であるときは、法務大臣は、その者が本邦に生活の本拠を有していた期間、北朝鮮に行くこととなった経緯等を勘案し、適切な配慮をするものとすること。
三 脱北者の定住支援(第十四条関係)
1 国及び地方公共団体は、脱北者の認定を受けている者の定住を支援するため、居住の安定の確保、就業の支援、日本語教育等に関し必要な施策を講ずるものとすること。
2 国及び地方公共団体は、1の施策を講ずるに当たっては、脱北者の定住の支援を行う民間の団体と連携するよう努めるものとすること。
四 脱北者の保護及び支援に係る国会報告(第十五条関係)
  政府は、毎年、国会に対し、脱北者の保護及び支援の状況を報告しなければならないこと。
第四 北朝鮮に対する支援に係る基本原則
一 北朝鮮に対する支援に係る基本原則(第十六条関係)
1 北朝鮮に対する支援については、支援の目的、拉致問題への北朝鮮当局の対応、北朝鮮における人権侵害の状況等を勘案して、これを実施するかどうかを決定するものとすること。
2 北朝鮮に対する人道支援については、支援物資の分配等の状況を監視し、その分配等が人道支援の目的に照らし適切に行われていない場合には、これを中止するものとすること。
二 北朝鮮に対する支援に係る国会報告(第十七条関係)
  政府は、毎年、国会に対し、北朝鮮に対する支援の目的、内容及び実施状況を報告しなければならないこと。
第五 北朝鮮における人権状況の改善のための努力
一 北朝鮮における人権状況の把握(第十八条関係)
1 政府は、元本邦在住者及びその日本人配偶者の置かれている状況その他北朝鮮における人権状況の把握に努めるものとすること。
2 政府は、日本赤十字社に対し、元本邦在住者及びその日本人配偶者の置かれている状況の把握のために必要な協力を求めることができること。
二 北朝鮮における人権状況の改善に関する国際社会の取組への寄与(第十九条関係)
  国は、北朝鮮における人権状況の改善に関する国際社会の取組に関し、主体的かつ積極的に寄与するものとすること。
第六 罰則(第二十条及び第二十一条関係)
 偽りその他不正の手段により脱北者の認定を受けた者等に対する罰則を設けること。
第七 その他
1 この法律は、公布の日から施行すること。ただし、拉致被害調査対策本部に係る部分は平成十七年四月一日から、脱北者の認定、定住者の在留資格の取得等に係る部分は同年七月一日から施行すること。
2 その他所要の規定の整備を行うこと。

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