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   格差是正のための緊急措置等に関する法律案要綱


第一 趣旨(第一条関係)
この法律は、社会経済情勢の急激な変化に伴い国民の間に経済的格差の拡大等による不安及び不公平感が生じている中で、国民の不安及び不公平感を払拭するため現に生じている経済的格差その他の格差を是正することが喫緊の課題であることにかんがみ、全国最低賃金制度の創設、短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止、障害福祉サービス等に係る自己負担の額を軽減するための特例措置の創設その他格差を是正するため緊急に講ずべき措置等を定めるものとすること。
第二 最低賃金法の一部改正(第二条関係)
一 最低賃金の決定の基準(最低賃金法第三条関係)
全国最低賃金及び地域最低賃金は、労働者及びその家族の生計費を基本として定められなければならないものとすること。
二 全国最低賃金(最低賃金法第九条関係)
厚生労働大臣は、中央最低賃金審議会の調査審議を求め、その意見を聴いて、全国を通じすべての労働者に対し適用される最低賃金(以下「全国最低賃金」という。)を決定するものとすること。
三 地域最低賃金(最低賃金法第十条の四関係)
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域について、全国最低賃金を適用することが不適当であると認めるときは、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会の調査審議を求め、その意見を聴いて、全国最低賃金の額を超える額で、当該地域について適用される最低賃金を決定することができるものとすること。
第三 児童扶養手当法の一部改正(第三条関係)
  児童扶養手当の支給開始月の初日から五年又は支給要件に該当するに至った月の初日から七年を経過した場合における減額に関する規定を削除するものとすること。(児童扶養手当法第十三条の二関係)
第四 雇用対策法の一部改正(第四条関係)
一 事業主は、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないものとすること。
二 事業主は、次に掲げる場合は、一にかかわらず、それぞれ次に定める者を対象として募集及び採用を行うことができるものとすること。
1 芸術又は芸能の分野における表現の真実性の要請から、特定の年齢階層に属する者が求められている場合 当該年齢階層に属する者
2 労働基準法その他法令の規定により特定の年齢階層に属する者の就業が禁止され、又は制限されている場合 当該年齢階層に属さない者
3 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律その他法令の規定により特定の年齢階層に属する者の就業が予定されている場合 当該年齢階層に属する者
4 事業主がその雇用する労働者の定年の定めをしている場合 当該定年未満の年齢の者
                                 (雇用対策法第二十六条の二関係)
第五 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正(第五条関係)
一 題名
題名を、「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改めるものとすること。
二 差別的取扱いの禁止(短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律第五条の二関係)
  事業主は、賃金その他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならないものとすること。
 三 通常の労働者への応募の機会の付与等(短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律第七条の二関係)
   事業主は、通常の労働者を募集し、又は採用しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、応募の機会を優先的に与えるとともに、他の応募者の就業の機会の確保についても配意しつつ、できる限り当該短時間労働者を優先的に雇い入れる等の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第六 障害者自立支援法の一部改正(第六条関係)
一 障害者等が障害福祉サービスを受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の一割負担を凍結し、障害者等又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。(障害者自立支援法附則第九条の二等関係)
二 国及び地方公共団体は、当分の間、障害福祉サービスの円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。(障害者自立支援法附則第三条の二関係)
第七 児童福祉法の一部改正(第七条関係)
一 障害児が障害児施設支援を受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の一割負担を凍結し、障害児又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。(児童福祉法第七十四条関係)
二 国及び地方公共団体は、当分の間、障害児施設支援の円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定知的障害児施設等の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。(児童福祉法第七十三条関係)
第八 所得税法の一部改正(第八条関係)
一 老年者控除(所得税法第八十条関係)
   居住者が老年者(年齢六十五歳以上の者で、合計所得金額が三百万円以下であるものをいう。以下同じ。)である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から五十万円を控除するものとすること。
二 公的年金等控除(所得税法第三十五条第四項関係)
   年齢六十五歳以上の居住者の公的年金等控除額については、定額控除額を百万円、最低控除額を百四十万円とするものとすること。
第九 地方税法の一部改正(第九条関係)
  老年者である所得割の納税義務者については、その者の前年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から四十八万円を控除するものとすること。(地方税法第三十四条第一項、第三百十四条の二第一項関係)
第十 緊急行動計画(第十条関係)
一 政府は、この法律の施行の日から三月以内に、格差を是正するために緊急に講ずべき施策に関する計画(以下「緊急行動計画」という。)を定めなければならないものとすること。
二 緊急行動計画は、次に掲げる事項について定めるものとすること。
1 へき地等の特定の地域における医師の不足及び産科、小児科その他の特定の診療科の医師が不足している地域におけるこれらの医師の不足を解消するために必要な施策
2 リハビリテーションに係る診療報酬の算定の方法が変更されたことにより適切なリハビリテーションを受けることが困難になった者が増加している状況にかんがみ、これらの者が適切なリハビリテーションを受けることができるようにするために必要な施策
3 経済的理由により保険料を滞納したことにより国民健康保険の被保険者資格証明書の交付を受けている者等の医療を受ける際の経済的負担を軽減するために必要な施策
4 生活保護の母子加算の廃止の見直しに関する事項
5 生活保護の教育扶助及び市町村の就学援助の対象となっている児童の保護者に対する支援の拡充のために必要な施策
6 介護保険施設を利用する者が施設における居住に要する費用、食事の提供に要する費用等を負担することとされたこと、介護療養病床が削減されることとなったこと等による影響を受けるおそれのある者が引き続き適切な介護に係るサービスを受けることができるようにするために必要な施策
7 独立行政法人日本学生支援機構等が貸与する無利息の奨学金に係る財源の拡充に関する事項
8 中小企業に対する事業資金の融通条件の簡素化等中小企業の資金調達を円滑にする観点からの中小企業に対する支援のための制度の見直し及び中小企業の事業活動の阻害要因を除去する観点からの不公正な取引方法の規制の見直しに関する事項
9 その他格差を是正するために緊急に講ずべき施策
三 緊急行動計画に定める施策については、原則として、当該施策の実施時期を定めるものとすること。
第十一 その他
一 施行期日(附則第一条関係)
この法律は、平成十九年四月一日から施行するものとすること。ただし、第二は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、第四及び第五は平成二十年四月一日から施行するものとすること。
二 その他
その他所要の規定を整備するものとすること。

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