海洋構築物等に係る安全水域の設定等に関する法律案要綱
第一 趣旨
この法律は、海洋構築物等の安全及び当該海洋構築物等の周辺の海域における船舶の航行の安全を確保するため、海洋法に関する国際連合条約に定めるところにより、海洋構築物等に係る安全水域の設定等について必要な措置を定めるものとすること。 (第一条関係)
第二 定義
一 この法律において「海洋構築物等」とは、排他的経済水域又は大陸棚における排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第三条第一項第一号から第三号までに規定する行為(以下「特定行為」という。)に係る工作物及び大陸棚の掘削に従事する船舶(掘削をするために進行を停止しているものに限る。)をいうものとすること。 (第二条第一項関係)
二 この法律において「安全水域」とは、海洋法に関する国際連合条約第六十条4(同条約第八十条において準用する場合を含む。)に規定する安全水域であって、海洋構築物等の周辺に第三の一により設定されるものをいうものとすること。 (第二条第二項関係)
三 この法律において「特定行政機関の長」とは、海洋構築物等に係る特定行為を行う事業者の事業を所管する行政機関の長をいうものとすること。 (第二条第三項関係)
第三 安全水域の設定等
一 国土交通大臣は、海洋構築物等の安全及び当該海洋構築物等の周辺の海域における船舶の航行の安全を確保するため、海洋法に関する国際連合条約に定めるところにより、安全水域を設定することができるものとすること。 (第三条第一項関係)
二 一の安全水域の設定は、特定行政機関の長の要請に基づき行うものとすること。(第三条第二項関係)
三 国土交通大臣は、安全水域を設定し、又は廃止しようとするときは、外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、防衛大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならないものとすること。
(第三条第三項関係)
四 安全水域は、海洋構築物等の性質及び機能に応じ合理的に必要とされるものでなければならないものとすること。 (第三条第四項関係)
五 安全水域の幅は、海洋構築物等の外縁のいずれの点から測定した距離についても五百メートルを超えるものであってはならないものとすること。 (第三条第五項関係)
六 安全水域は、国際航行に不可欠と認められた航行帯の使用の妨げとなるような海域に設定してはならないものとすること。 (第三条第六項関係)
七 国土交通大臣は、安全水域を設定し、又は廃止したときは、遅滞なく、当該安全水域の位置及びその範囲を告示しなければならないものとすること。 (第四条第一項関係)
八 国土交通大臣は、安全水域を設定したときは、当該安全水域に係る二の要請を行った特定行政機関の長に対し、当該安全水域の付近を航行する船舶に当該安全水域の位置及びその範囲を周知させるために必要な措置を講ずべきことを要請することができるものとすること。 (第四条第二項関係)
第四 安全水域への入域の禁止等
一 何人も、次に掲げる場合を除き、国土交通大臣の許可を受けなければ、安全水域に入域してはならないものとすること。
イ 船舶の運転の自由を失った場合
ロ 人命又は急迫した危険のある船舶の救助に従事する場合
ハ 国又は都道府県の機関が海上の安全及び治安の確保のための業務を実施する場合
ニ 当該安全水域に係る海洋構築物等の業務に従事する場合 (第五条第一項関係)
二 国土交通大臣は、一の許可の申請があった場合において、海洋構築物等の安全の確保に支障がないと認められるとき、又は災害の復旧その他公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものと認められるときでなければ、一の許可をしてはならないものとすること。 (第五条第二項関係)
三 国土交通大臣は、一の許可をしようとするときは、あらかじめ、当該安全水域に係る第三の二の要請を行った特定行政機関の長に協議しなければならないものとすること。 (第五条第三項関係)
四 国土交通大臣は、一の許可に、必要な条件を付することができるものとすること。
(第五条第四項関係)
五 国の機関又は地方公共団体が安全水域に入域しようとする場合について所要の規定を設けるものとすること。 (第五条第五項及び同条第六項関係)
第五 国際約束の誠実な履行
この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならないものとすること。 (第六条関係)
第六 罰則
罰則に関する所要の規定を設けるものとすること。 (第七条関係)
第七 施行期日
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。 (附則関係)