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   歳入庁設置法案要綱

第一 総則
 一 目的
  この法律は、国の歳入に係る業務及び年金の支給に係る業務等の適正かつ効率的な運営を確保することにより、これらの業務に対する国民の信頼を確保するため、歳入庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を公正かつ能率的に遂行するため必要な組織に関する事項を定めることを目的とすること。(第一条関係)

第二 歳入庁の設置等
 一 歳入庁の設置
  1 内閣府に、外局として、歳入庁を設置すること。(第二条第一項関係)
  2 歳入庁の長は、歳入庁長官とすること。(第二条第二項関係)
 二 任務
   歳入庁は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現を図ること、酒類業の健全な発達を図ること、税理士業務の適正な運営の確保を図ること、労働保険事業のうち労働保険料及び労働者災害保険の特別保険料並びにこれらに係る徴収金の徴収に関する部分を適正かつ効率的に運営すること、全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち被保険者の資格の取得及び喪失の確認等に関する部分を適正かつ効率的に運営すること、政府が管掌する船員保険事業、厚生年金保険事業及び国民年金事業を適正かつ効率的に運営すること並びに児童手当事業のうち拠出金の徴収に関する部分を適正かつ効率的に運営することを任務とすること。(第三条関係)
 三 所掌事務等
  1 歳入庁は、公的年金制度が一元化されるまでの間、二の任務を達成するため、従来の国税庁の事務(内国税の賦課及び徴収に関すること、税理士制度の運営に関すること等)、従来の厚生労働省の事務のうち労働保険料等の徴収に関すること及び従来の社会保険庁の事務(児童手当法の規定による拠出金の徴収に関すること、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業の実施に関すること等)をつかさどること。(第四条関係)
  2 歳入庁長官は、1の事務に係る業務のうち政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業に係る保険料の収納、年金の支給及び相談並びにこれらに付随する業務その他国民の利便性の向上を図りつつ業務の効率化を進める観点から民間に委託することが適当な業務として第三の二1の基本計画で定める業務の全部又は一部を委託することができること。(第五条第一項関係)
  3 歳入庁長官は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないこと。(第六条関係)
  4 各議院の委員会又は参議院の調査会が歳入庁の業務に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行うため出頭又は出席を求めたときは、歳入庁長官は、これに応じなければならないこと。(第七条関係)
 四 歳入審議会、歳入不服審判所並びに歳入局及び歳入署
   歳入庁に、歳入審議会、歳入不服審判所並びに歳入局及び歳入署を置くこと。(第八条から第十一条まで関係)
 五 歳入庁監察官
   歳入庁の所属職員(歳入庁及び歳入局の審議会等及び施設等機関の職員を除く。)についてその職務上必要な監察等を行わせるため、歳入庁に歳入庁監察官二百人以内を置くこと。(第十二条第一項関係)

第三 附則
 一 施行期日
  1 この法律は、平成二十二年四月一日までの間において政令で定める日から施行すること。ただし、第三の二、三2、四1、五2及び六2は、公布の日から施行すること。(附則第一条関係)
 二 基本計画
  1 政府は、国税庁長官、厚生労働大臣及び社会保険庁長官から歳入庁長官への業務の円滑な引継ぎを確保し、国の歳入に係る業務及び年金の支給に係る業務等の適正かつ効率的な運営を図るため、歳入庁の当面の業務運営に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとすること。(附則第二条第一項関係)
  2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとすること。(附則第二条第二項関係)
   (1)国税庁長官、厚生労働大臣及び社会保険庁長官から歳入庁長官へ引き継がれる業務に係る事務であって重複するものの調整並びに歳入庁の事務の合理化を促進するための措置についての基本的な事項
   (2)第二の三2により基本計画で定めることとされた民間に委託することが適当な業務、委託先の選定に係る基準その他の業務の委託の推進についての基本的な事項
   (3)歳入庁の設置に際し、国税庁、厚生労働省及び社会保険庁から歳入庁へ異動する職員の数、異動する職員の選定の基準その他の歳入庁への職員の異動についての基本的な事項
  3 政府は、1により基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、国の歳入に係る業務若しくは年金の支給に係る業務等又は経営管理に関し優れた識見を有する者の意見を聴くものとすること。(附則第二条第三項関係)
  4 政府は、3の意見の聴取に当たっては、広く国民の意見が基本計画に反映されることとなるよう配慮するものとすること。(附則第二条第四項関係)
  5 政府は、1により基本計画を定めたときは、遅滞なく、基本計画を国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。(附則第二条第五項関係)
 三 職員の異動等
  1 この法律の施行の際現に従前の国税庁又は社会保険庁の職員である者は、歳入庁の官職に任命する旨の辞令を発せられた場合に限り、歳入庁の職員となるものとすること。(附則第三条関係)
  2 国税庁及び社会保険庁の廃止に伴い国家公務員法第七十八条第四号の規定により国税庁又は社会保険庁の職員を降任し、又は免職する処分は、勤務成績、勤務年数その他の事実に基づき、公正に行われるものとすること。(附則第四条関係)
 四 年金個人情報等の適切な管理
  1 国税庁長官、厚生労働大臣及び社会保険庁長官は、国税庁長官、厚生労働大臣及び社会保険庁長官から歳入庁長官への業務の引継ぎに際して保険料の納付に係る情報等の厚生年金保険法第二十八条に規定する原簿又は国民年金法第十四条に規定する国民年金原簿に記録する個人情報その他政府が管掌する厚生年金保険事業又は国民年金事業の運営に当たって取得する個人情報(以下「年金個人情報」という。)その他の国税庁、厚生労働省又は社会保険庁が保有する個人情報が滅失し、又はき損することを防止するため、年金個人情報その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないこと。(附則第五条第一項関係)
  2 歳入庁長官は、国税庁長官、厚生労働大臣及び社会保険庁長官から歳入庁長官への業務の引継ぎに際して年金個人情報その他の歳入庁が保有する個人情報が滅失し、又はき損することを防止するため、年金個人情報その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないこと。(附則第五条第二項関係)
 五 経過措置
  1 歳入庁は、第二の二の任務のほか、当分の間、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律に基づく事業を適正に運営することを任務とすること。この場合において、当分の間、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律に基づく事業の実施に関する事務をつかさどること。(附則第六条関係)
  2 1のほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、別に法律で定めること。(附則第八条関係)
 六 関係法律の整理
  1 内閣府設置法等の一部改正
    国家行政組織法、内閣府設置法、財務省設置法(国税庁の廃止)、厚生労働省設置法(社会保険庁の廃止)について所要の改正を行うこと。(附則第九条から附則第十二条まで関係)
  2 1のほか、この法律の施行に伴う関係法律の整理については、別に法律で定めること。(附則第十三条関係)

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