入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律及び刑法の一部を改正する法律案要綱
第一 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律の一部改正
一 題名の改正
法律の題名を、「入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律」に改めるものとすること。 (題名関係)
二 趣旨規定の改正
この法律の趣旨に、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等を防止するために必要な改善措置の要求等入札談合等を防止するための措置について定める旨を明記するものとすること。
(第一条関係)
三 入札談合等関与行為の範囲の拡大
入札談合等関与行為に該当する行為として、契約の締結に関し権限等を有する職員が入札談合等が行われる明白なおそれがあることを知りながら当該入札談合等を防止するための措置を講じないことを追加するものとすること。 (第二条第五項関係)
四 職員に対する損害賠償請求の要件緩和
入札談合等関与行為を行った職員で国等に損害を与えたものに対する損害賠償請求の要件を「故意又は重過失」から「故意又は過失」に改めるものとすること。 (第四条第五項関係)
五 損害額についての裁判所の公正取引委員会への求意見の追加
入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該職員の入札談合等関与行為によって生じた損害の額について、意見を求めなければならないものとすること。 (第五条関係)
六 各省各庁の長等に対する入札談合等防止措置の要求等
1 公正取引委員会は、第三条第一項及び第二項の規定によるもののほか、入札談合等の事件についての調査の結果、入札談合等を防止するために必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、入札談合等を防止するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置(以下「入札等改善措置」という。)を講ずべきことを求めることができるものとすること。 (第七条第一項関係)
2 各省各庁の長等は、1の求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該調査の結果に基づいて、入札談合等を防止するために必要と認める入札等改善措置(以下「入札談合等防止措置」という。)を講じなければならないものとすること。 (第七条第二項関係)
3 各省各庁の長等は、2の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。 (第七条第三項関係)
4 各省各庁の長等は、2の調査の結果及び講じた入札談合等防止措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知するものとすること。 (第七条第四項関係)
5 公正取引委員会は、4の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができるものとすること。 (第七条第四項関係)
七 元職員の関与に関する通知等
1 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該事件に係る入札談合等(入札談合等関与行為を含む。七及び十において同じ。)につき当該入札等を実施した国等の職員であった者(以下「元職員」という。)の関与(当該関与の当時職員であった者の関与を除く。2において同じ。)があり、又はあったと認める場合において、入札談合等を防止するために必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、その旨を通知するものとすること。 (第八条第一項関係)
2 各省各庁の長等は、1の通知を受けたときは、必要な調査を行い、当該調査の結果に基づいて、次に掲げる事項に係る改善措置その他の入札談合等に対する元職員の関与の再発の防止のために必要な措置を講じなければならないものとすること。 (第八条第二項関係)
(1)元職員との接触に関し職員が遵守すべき事項
(2)退職する職員の管理その他の職員の人事管理に関する事項
3 各省各庁の長等は、2の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。 (第八条第三項関係)
4 各省各庁の長等は、2の調査の結果及び講じた措置の内容を公表するとともに、公正取引委員会に通知するものとすること。 (第八条第四項関係)
八 調査委員会による調査
1 各省各庁の長等又は任命権者は、事件ごとに、その指定する職員及びその任命する学識経験者等の第三者からなる調査委員会を設けて、この法律に基づく調査を実施させなければならないものとすること。 (第九条第一項関係)
2 各省各庁の長等又は任命権者は、調査を適正に実施するに足りる能力、経験等を有する職員及び第三者を指定し、及び任命する等調査委員会による調査の実効を確保するために必要な措置を講じなければならないものとすること。 (第九条第二項関係)
3 調査委員会は、調査に当たっては、公正かつ中立に実施しなければならないものとすること。
(第九条第三項関係)
4 調査委員会が調査を実施する場合においては、当該各省各庁、地方公共団体又は特定法人の職員(当該調査に協力を求められた元職員を含む。)は、当該調査に協力しなければならないものとすること。
(第九条第四項関係)
九 国会等への報告
1 各省各庁の長は、この法律に基づく調査の結果及び改善措置等の内容(以下「調査結果等」という。)について、国会に報告しなければならないものとすること。 (第十条第一項関係)
2 地方公共団体の長は、調査結果等について、当該地方公共団体の議会に報告しなければならないものとすること。 (第十条第二項関係)
3 特定法人のうち国からの出資を受けているもの(第二条第二項第二号に規定する株式会社のうち、国による株式の保有が義務付けられているものを含む。)の代表者は、政令で定めるところにより、調査結果等に関する報告書を作成し、当該特定法人を所管する大臣に提出しなければならないものとし、当該報告書の提出を受けた大臣は、これを国会に報告しなければならないものとすること。
(第十条第三項関係)
4 特定法人のうち地方公共団体からの出資を受けているもの(第二条第二項第二号に規定する株式会社のうち、地方公共団体による株式の保有が義務付けられているものを含む。)の代表者は、政令で定めるところにより、調査結果等に関する報告書を作成し、当該地方公共団体の長に提出しなければならないものとし、当該報告書の提出を受けた地方公共団体の長は、これを当該地方公共団体の議会に報告しなければならないものとすること。 (第十条第四項関係)
十 公正取引委員会と会計検査院との連携
1 公正取引委員会は、入札談合等があり、又はあったと認めるときは、その旨を会計検査院に通知しなければならないものとすること。 (第十一条第一項関係)
2 会計検査院は、検査の結果、国等の契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があると認めるときは、その事実を公正取引委員会に通知しなければならないものとすること。 (第十一条第二項関係)
第二 刑法の一部改正
談合罪の構成要件から「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的」を削除し、公の競売又は入札で契約を締結するためのものに関し談合した者を処罰対象とするものとすること。
(第九十六条の三第二項関係)
第三 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第二は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとすること。
(附則第一条関係)
二 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律の施行の状況、社会経済状況の変化等を勘案し、同法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。 (附則第六条関係)
三 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。 (附則第二条から第五条まで関係)