衆議院

メインへスキップ



   郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案要綱


第一 郵政民営化法の一部改正(第一条)
 一 目的の改正
   郵政民営化を、株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための改革とすること。
                                   (郵政民営化法第一条関係)
 二 承継会社の再編成
   日本郵政公社(以下「公社」という。)の機能を引き継いだ株式会社のうち、郵便局株式会社と郵便事業株式会社を次により再編成するものとし、このほか必要な認可又は届出に係る準備行為の特例、税制上の措置等を講ずること。
  1 郵便局株式会社は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)に、その商号を日本郵便株式会社に変更する。
  2 施行日に、日本郵便株式会社を吸収合併存続会社とし、郵便事業株式会社を吸収合併消滅会社とする合併を行うものとし、日本郵便株式会社は、郵便事業株式会社の業務その他の機能並びに権利及び義務を承継する。      (郵政民営化法第六条の二、第七章第三節及び第十一章第三節関係)
 三 株式の処分
   日本郵政株式会社は、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式について、その全部を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、四の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとすること。
                      (郵政民営化法第七条第二項及び第六十二条第一項関係)
 四 郵政事業に係る基本的な役務の確保
   日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持するものとし、その活用その他の郵政事業の実施に当たっては、その公益性及び地域性が十分に発揮されるようにするものとすること。     (郵政民営化法第七条の二関係)
 五 政府は、四の責務の履行の確保が図られるよう、必要な措置を講ずるものとすること。
                                 (郵政民営化法第七条の三関係)
 六 郵便局における旧郵便貯金及び旧簡易生命保険の取扱い
   独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)が公社から承継した郵便貯金及び簡易生命保険は、確実に郵便局において取り扱われるものとすること。
                                 (郵政民営化法第七条の四関係)
 七 同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保
   日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の業務については、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加えるとともに、郵便貯金銀行について銀行法等の特例を適用しないこととする日又は郵便保険会社について保険業法等の特例を適用しないこととする日のいずれか遅い日以後の最初の三月三十一日までの期間(以下「移行期間」という。)中に、郵政民営化に関する状況に応じ、これを緩和すること。     (郵政民営化法第八条関係)
 八 情報の公表
   日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵政事業についての国民の理解を得るため、その経営の状況に関する情報を公表するものとすること。          (郵政民営化法第八条の二関係)
 九 郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会
   郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会は、移行期間の末日まで置かれるものとするほか、郵政民営化委員会の所掌事務を郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行うこと等とすること。
                        (郵政民営化法第十九条第一項及び第二十六条関係)
 十 郵便貯金銀行についての銀行法等の特例及び郵便保険会社についての保険業法等の特例
   郵便貯金銀行及び郵便保険会社については、日本郵政株式会社がそれぞれの会社の株式の二分の一以上を処分した日以後は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を必要とする業務の制限に関する規定を適用せず、内閣総理大臣及び総務大臣への届出により業務を行うことができるようにすること。
                      (郵政民営化法第百十条の二及び第百三十八条の二関係)
 十一 その他
   所要の規定の整備を行うこと。
第二 日本郵政株式会社法の一部改正(第二条)
 一 会社の目的
   日本郵政株式会社は、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有し、日本郵便株式会社の経営管理を行うこと及び日本郵便株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とすること。
                                (日本郵政株式会社法第一条関係)
 二 業務の範囲
   日本郵政株式会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うこと。
   (1) 日本郵便株式会社が発行する株式の引受け及び保有
   (2) 日本郵便株式会社の経営の基本方針の策定及びその実施の確保
   (3) 日本郵便株式会社の株主としての権利の行使等      (日本郵政株式会社法第四条関係)
 三 責務
   日本郵政株式会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有すること。
                                (日本郵政株式会社法第五条関係)
 四 日本郵便株式会社の株式の保有
   日本郵政株式会社は、常時、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならないこと。                            (日本郵政株式会社法第六条関係)
 五 情報の公表
   日本郵政株式会社は、その経営の状況に関する情報等を公表しなければならないこと。
                               (日本郵政株式会社法第十六条関係)
 六 業務の特例
   日本郵政株式会社は、当分の間、二の業務のほか、公社から承継した旧郵便貯金法第四条第一項の施設及び旧簡易生命保険法第百一条第一項の施設の運営又は管理の業務を行うことができること。
                              (日本郵政株式会社法附則第二条関係)
 七 政府保有の株式の処分
   政府は、その保有する日本郵政株式会社の株式(政府が常時保有していなければならない日本郵政株式会社の発行済株式の総数の三分の一を超える株式を除く。)については、できる限り早期に処分するものとすること。                    (日本郵政株式会社法附則第三条関係)
 八 その他
   社会・地域貢献基金に係る制度を廃止するほか、所要の規定の整備を行うこと。
第三 郵便局株式会社法の一部改正(第三条)
 一 題名の改正
   題名を「日本郵便株式会社法」に改めること。                  (題名関係)
 二 会社の目的
   日本郵便株式会社は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とすること。
                                (日本郵便株式会社法第一条関係)
 三 定義
   次の定義規定を設けること。
   (1) 「郵便窓口業務」とは、簡易郵便局法第二条に規定する郵便窓口業務(郵便物の引受け、郵便物の交付及び郵便切手類の販売等)をいう。
   (2) 「銀行窓口業務」とは、日本郵便株式会社と「銀行窓口業務契約」を締結する銀行(関連銀行)を所属銀行とする銀行代理業(預金等の受入れ及び為替取引に係るものであって、総務省令で定めるものに限る。)をいう。
   (3) 「保険窓口業務」とは、日本郵便株式会社と「保険窓口業務契約」を締結する生命保険会社(関連保険会社)を所属保険会社等とする保険募集及び当該関連保険会社の事務の代行(生命保険に係るものであって、総務省令で定めるものに限る。)をいう。
   (4) 「郵便局」とは、日本郵便株式会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものをいう。                (日本郵便株式会社法第二条関係)
 四 業務の範囲
  1 日本郵便株式会社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとすること。
   (1) 郵便法の規定により行う郵便の業務
   (2) 銀行窓口業務
   (3) (2)の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
   (4) 保険窓口業務
   (5) (4)の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
   (6) 国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
   (7) (1)から(6)までの業務に附帯する業務
  2 日本郵便株式会社は、1のほか、会社の目的を達成するため、次の業務を営むことができること。
   (1) お年玉付郵便葉書等及び寄附金付郵便葉書等の発行
   (2) 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に規定する郵便局取扱事務に係る業務
   (3) (2)のほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
   (4) (1)から(3)までの業務に附帯する業務
  3 日本郵便株式会社は、1及び2の業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、これらの業務以外の業務を営むことができること。
  4 日本郵便株式会社は、2(3)及び3の業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならないこと。        (日本郵便株式会社法第四条関係)
 五 責務
   日本郵便株式会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有すること。
                                (日本郵便株式会社法第五条関係)
 六 郵便局の設置の届出
   日本郵便株式会社は、業務開始の際、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならないこと。
   (1) 郵便局の名称及び所在地
   (2) 日本郵便株式会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うもののうち、銀行窓口業務又は保険窓口業務を行わないものの名称及び所在地       (日本郵便株式会社法第六条第二項関係)
 七 銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約の内容の届出
   日本郵便株式会社は、銀行窓口業務契約又は保険窓口業務契約を締結する前に、その内容を総務大臣に届け出なければならないこと。               (日本郵便株式会社法第七条関係)
 八 収支の状況及び情報の公表
  1 日本郵便株式会社は、毎事業年度の業務の区分ごとの収支の状況を記載した書類を総務大臣に提出しなければならないこと。                (日本郵便株式会社法第十四条関係)
  2 日本郵便株式会社は、経営の状況に関する情報等を公表しなければならないこと。
                               (日本郵便株式会社法第十八条関係)
 九 旧契約に係る役務の確保
   日本郵便株式会社は、当分の間、四の業務のほか、機構から委託又は再委託を受けた郵便貯金管理業務及び簡易生命保険管理業務を営むものとすること。    (日本郵便株式会社法附則第二条関係)
 十 その他
   所要の規定の整備を行うこと。
第四 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部改正(第四条)
   郵便貯金及び簡易生命保険の民営化前の旧契約の管理業務は、常に日本郵便株式会社に委託又は再委託されなければならないこと。
             (独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法第十五条及び第十八条関係)
第五 関係法律の廃止(第五条)
   次に掲げる法律は、廃止すること。
   (1) 郵便事業株式会社法(平成十七年法律第九十九号)
   (2) 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律(平成二十一年法律第百号)
第六 附則
 一 施行期日
   この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第一の一から八まで、第二の六及び七並びに第五(2)等は、公布の日から施行すること。
                                       (附則第一条関係)
 二 関係法律の改正等
   「郵便窓口業務の委託等に関する法律」の題名を「簡易郵便局法」に改正する等、二十九の法律を改正するほか、所要の経過措置を設けること。        (附則第二条から第四十七条まで関係)

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.