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   死因究明等の推進に関する法律案要綱


第一 総則
 一 目的                                    (第一条関係)
   この法律は、我が国において死因究明(死体について、検案、検視、解剖その他の方法によりその死亡の原因、推定年月日時及び場所等を明らかにすることをいう。以下同じ。)及び身元確認(死体の身元を明らかにすることをいう。以下同じ。)(以下「死因究明等」という。)の実施に係る体制の充実強化が喫緊の課題となっていることに鑑み、死因究明等の推進に関する施策についてその在り方を横断的かつ包括的に検討し及びその実施を推進するため、死因究明等の推進について、基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めるとともに、必要な体制を整備することにより、死因究明等を総合的かつ計画的に推進することを目的とするものとすること。
 二 死因究明等の推進に関する基本理念                      (第二条関係)
  1 死因究明の推進は、死因究明が死者の生存していた最後の時点における状況を明らかにするものであることに鑑み、死者及びその遺族等の権利利益を踏まえてこれを適切に行うことが生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであるとの基本的認識の下で行われるものとすること。
  2 死因究明の推進は、高齢化の進展等の社会情勢の変化を踏まえつつ、人の死亡が犯罪行為に起因するものであるか否かの判別の適正の確保、公衆衛生の向上その他の死因究明に関連する制度の目的の適切な実現に資するよう、行われるものとすること。
  3 身元確認の推進は、身元確認が、遺族等に死亡の事実を知らせること等を通じて生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであるとともに、国民生活の安定及び公共の秩序の維持に資するものであるとの基本的認識の下で行われるものとすること。
 三 国及び地方公共団体の責務                     (第三条及び第四条関係)
  1 国は、二の基本理念にのっとり、死因究明等の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するものとすること。
  2 地方公共団体は、二の基本理念にのっとり、死因究明等の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。
 四 連携協力                                  (第五条関係)
   国、地方公共団体、大学、医療機関、関係団体、医師、歯科医師その他の死因究明等に関係する者は、死因究明等の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならないものとすること。
第二 死因究明等の推進に関する基本方針                      (第六条関係)
 一 死因究明等の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとするものとすること。
  @ 法医学に関する知見を活用して死因究明を行う専門的な機関の全国的な整備
  A 法医学に係る教育及び研究の拠点の整備
  B 死因究明等に係る業務に従事する警察等の職員、医師、歯科医師等の人材の育成及び資質の向上
  C 警察等における死因究明等の実施体制の充実
  D 死体の検案及び解剖の実施体制の充実
  E 薬物及び毒物に係る検査、死亡時画像診断その他死因究明のための科学的な調査の活用
  F 遺伝子構造の検査、歯牙の調査その他身元確認のための科学的な調査の充実及び身元確認に係るデータベースの整備
  G 死因究明により得られた情報の活用及び遺族等に対する説明の促進
 二 死因究明等の推進に関する施策は、死因究明等に係る人材の育成、施設等の整備及び制度の整備のそれぞれについて、一の施策の総合性を確保しつつ、段階的かつ速やかに講ぜられるものとすること。
第三 死因究明等推進計画                             (第七条関係)
 一 政府は、死因究明等の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、第二の基本方針に即し、講ずべき必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を定めた死因究明等推進計画を定めなければならないものとすること。
 二 内閣総理大臣は、死因究明等推進計画につき閣議の決定を求めなければならないものとすること。
 三 政府は、死因究明等推進計画を作成したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならないものとすること。
第四 死因究明等推進会議
 一 設置及び所掌事務                              (第八条関係)
  1 内閣府に、特別の機関として、死因究明等推進会議を置くものとすること。
  2 死因究明等推進会議は、次に掲げる事務をつかさどるものとすること。
   @ 死因究明等推進計画の案を作成すること。
   A @のほか、死因究明等の推進に関する施策に関する重要事項について審議するとともに、死因究明等の推進に関する施策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視すること。
 二 組織等                            (第九条から第十五条まで関係)
  1 死因究明等推進会議は、会長及び委員二十人以内をもって組織するものとすること。
  2 会長は、内閣官房長官をもって充てるものとすること。
  3 委員は、次に掲げる者をもって充てるものとすること。
   @ 内閣官房長官以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者
   A 死因究明等に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者
  4 死因究明等推進会議の運営については、3のAの委員の有する知見が積極的に活用され、委員の間で充実した意見交換が集中的に行われることとなるよう、配慮されなければならないものとすること。
  5 その他死因究明等推進会議の組織及び運営について所要の規定の整備を行うこと。
第五 医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度についての検討    (第十六条関係)
  医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度については、その特殊性に鑑み、政府において別途検討するものとすること。
第六 施行期日等
 一 施行期日                                (附則第一条関係)
   この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
 二 この法律の失効                             (附則第二条関係)
   この法律は、施行の日から起算して二年を経過した日に、その効力を失うものとすること。
 三 その他所要の規定の整備を行うこと。

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