国の責任ある財政運営の確保等に関する法律案要綱
第一 総則
一 目的
この法律は、内外の経済社会情勢の変化に応じ、中長期的に持続可能な財政運営を確保することが極めて重要であることに鑑み、国の財政運営に関し、基本原則を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、財政運営中長期戦略の策定等、公会計基準の設定、財政検証委員会の設置その他の国の財政会計制度改革(国の予算及び決算その他国の財政及び会計の基本に関する制度の改革をいう。)を実施することにより、国の責任ある財政運営の確保等を図り、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与するとともに、世代間における負担の公平の確保に資することを目的とすること。 (第1条関係)
二 定義
1 この法律において「公会計基準」とは、予算財務諸表及び決算財務諸表並びに独立行政法人等(法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人及び特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人(政令で定めるものを除く。)をいう。以下同じ。)の財務の状況の見積り及び財務の状況を記載する書類の作成の基準、独立行政法人等であって国の事務及び事業と密接な関連を有するものとして第二の六2A及び七2Aにより国の一般会計及び特別会計につき連結して記載されるべきもの(以下「連結対象独立行政法人等」という。)の範囲その他国及び独立行政法人等における会計に係る処理、表示及び開示の基準をいうこと。 (第2条第1項関係)
2 この法律において「国の基礎的財政収支額」とは、(1)に掲げる額から(2)に掲げる額を控除して得た額をいうこと。
(1) 一般会計及び特別会計に係る歳入で一般会計及び特別会計の相互間の重複額を控除した純計によるものから公債の発行収入金及び借入金の額を控除して得た額
(2) 一般会計及び特別会計に係る歳出で一般会計及び特別会計の相互間の重複額を控除した純計によるものから公債及び借入金の償還金及び利子、公債の発行及び償還に関する諸費等の額を控除して得た額
(第2条第2項関係)
三 国の財政運営の基本原則
国の財政運営は、次の事項を基本原則として行われなければならないこと。
@ 国の歳入及び歳出の不断の見直しを通じて、一会計年度における国の基礎的財政収支額の黒字化が図られるようにすること。
A 国の資産の保有の必要性を厳格に判断しつつこれを適正に管理し、及び有効に活用するとともに、国の債務の残高を低減させるようにすること。
B 将来の世代に配慮し、国の純資産の額について、一定の水準が維持されること。
C 経済社会情勢の著しい変動等による国の歳入の減少又は歳出の増加が国の財政に与える影響の軽減が図られるようにすること。
D 税負担に係る水準ができる限り安定的に維持され、かつ、その変更が国民にとって予見可能であるようにすること。 (第3条関係)
四 国の責務
国は、三に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのっとり、国の責任ある財政運営を確保する責務を有すること。 (第4条関係)
第二 財政運営中長期戦略の策定等
一 財政運営中長期戦略
1 政府は、基本原則にのっとり、及び世代間負担評価報告書(第四の十六1の報告書をいう。)の内容を勘案し、10年ごとに、10年を一期とする国の責任ある財政運営の確保に関する計画(以下「財政運営中長期戦略」という。)を定めなければならないこと。
(第5条第1項関係)
2 財政運営中長期戦略には、次の事項を定めるものとすること。
@ 国の歳入歳出総額、基礎的財政収支額、資産の総額及び債務の残高並びに純資産の額に関する目標
A @の目標を達成するため政府が講ずべき施策に関する基本的な方針
B @及びAのほか、当該財政運営中長期戦略に係る1の期間における国の責任ある財政運営の確保を図るため必要な事項 (第5条第2項関係)
3 内閣総理大臣は、財政運営中長期戦略の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。 (第5条第3項関係)
4 内閣総理大臣は、財政運営中長期戦略の案を作成しようとするときは、二1により財政検証委員会が作成する報告書の内容を踏まえるとともに、あらかじめ、当該財政運営中長期戦略の案と基本原則及び当該報告書の内容との整合性に関する財政検証委員会の意見を聴かなければならないこと。 (第5条第4項関係)
5 政府は、3による閣議の決定があったときは、速やかに、二1の報告書を添付して財政運営中長期戦略を国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。
(第5条第5項関係)
6 政府は、5により財政運営中長期戦略を国会に報告するときは、国会に対し、当該財政運営中長期戦略と基本原則及び二1の報告書の内容との整合性について説明しなければならないこと。 (第5条第6項関係)
7 政府は、経済社会情勢の変化を勘案し、及び財政運営短期戦略(三1の計画をいう。)の実施状況を踏まえ、少なくとも2年ごとに、財政運営中長期戦略の見直しを行い、必要な変更を加えるものとすること。 (第5条第7項関係)
二 財政運営中長期戦略に係る経済の現況及び見通しに関する報告書
1 財政検証委員会は、一1による財政運営中長期戦略の策定に先立って、次の事項について、その現況及び当該財政運営中長期戦略に係る一1の期間における見通しに関する報告書を作成しなければならないこと。
@ 国内総生産(国際連合の定める基準に準拠して財政検証委員会が作成する国民経済計算の体系における国内総生産をいう。)
A 全国消費者物価指数(総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数をいう。)
B 市場金利
C 完全失業率(総務省において作成する労働力統計における完全失業率をいう。)
D 国際収支
E その他政令で定める事項 (第6条第1項関係)
2 財政検証委員会は、1の報告書を作成したときは、速やかに、これを内閣総理大臣に送付するとともに、公表しなければならないこと。 (第6条第2項関係)
3 財政検証委員会は、経済社会情勢の変化その他の事情により必要があると認めるときは、1の報告書の内容の見直しを行い、必要な変更を加えるものとすること。
(第6条第3項関係)
三 財政運営短期戦略
1 政府は、毎年度、財政法第17条各項の送付に先立って、財政運営中長期戦略にのっとり、当該年度の翌年度(以下「対象年度」という。)における国の責任ある財政運営の確保に関する計画(以下「財政運営短期戦略」という。)を作成しなければならないこと。
(第7条第1項関係)
2 財政運営短期戦略には、次の事項を定めるものとすること。
@ 一2@の目標の達成状況及び一2Aの基本的な方針の実施状況(当該目標の達成の見通し及び当該目標を達成するため実施しようとする施策の方針を含む。)
A 対象年度における予算の基本方針(国の歳入歳出総額の見込額及び歳入歳出の概要、税制の改革の概要(Cに係るものを除く。)並びに重点的に実施しようとする施策を含む。)
B 対象年度を超えて支出することが見込まれる施策
C 対象年度において講じようとする租税特別措置の概要
D @からCまでのほか、対象年度における国の責任ある財政運営の確保を図るため必要な事項 (第7条第2項関係)
3 内閣総理大臣は、財政運営短期戦略の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。 (第7条第3項関係)
4 内閣総理大臣は、財政運営短期戦略の案を作成しようとするときは、四1により財政検証委員会が作成する報告書の内容を踏まえるとともに、あらかじめ、当該財政運営短期戦略の案と財政運営中長期戦略及び当該報告書の内容との整合性に関する財政検証委員会の意見を聴かなければならないこと。 (第7条第4項関係)
5 政府は、3による閣議の決定があったときは、遅滞なく、四1の報告書を添付して財政運営短期戦略を国会に提出し、その審議を受け、議決を経なければならないこと。
(第7条第5項関係)
6 財政運営短期戦略は、先に衆議院に提出しなければならないこと。 (第7条第6項関係)
7 政府は、5により財政運営短期戦略を国会に提出したときは、当該財政運営短期戦略と財政運営中長期戦略及び四1の報告書の内容との整合性について説明しなければならないこと。
(第7条第7項関係)
8 財政運営短期戦略の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例によること。
(第7条第8項関係)
9 政府は、5の議決を経たときは、速やかに、財政運営短期戦略を公表しなければならないこと。 (第7条第9項関係)
10 政府は、5の議決があった日から起算しておおむね6月後に、及び国の補正予算を作成しようとするときは当該国の補正予算の作成に先立って、財政運営短期戦略の見直しを行い、必要な変更を加えるものとすること。 (第7条第10項関係)
11 政府は、必要があると認めるときは、財政運営短期戦略の見直しを行い、必要な変更を加えることができること。 (第7条第11項関係)
四 財政運営短期戦略に係る経済及び財政の現況及び見通しに関する報告書
1 財政検証委員会は、三1による財政運営短期戦略の作成に先立って、次の事項について、その現況及び当該財政運営短期戦略に係る対象年度の前年度以後4年度間における見通しに関する報告書を作成しなければならないこと。
@ 二1@からEまでの事項
A 国の歳入歳出総額
B 国の基礎的財政収支額
C 国の資産の総額及び債務の残高
D 国の純資産の額
E その他政令で定める事項 (第8条第1項関係)
2 財政検証委員会は1の報告書を作成したときは、速やかに、これを内閣総理大臣に送付するとともに、公表しなければならないこと。 (第8条第2項関係)
3 財政検証委員会は、経済社会情勢の変化その他の事情により必要があると認めるときは、1の報告書の内容の見直しを行い、必要な変更を加えるものとすること。
(第8条第3項関係)
五 財政運営短期戦略に従った国の予算の作成等
1 内閣は、財政運営短期戦略に従い、国の予算を作成するものとすること。
(第9条第1項関係)
2 財務大臣は、財政法第18条第1項の規定により国の歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の概算を作製しようとするときは、あらかじめ、これらと財政運営短期戦略との整合性に関する財政検証委員会の意見を聴かなければならないこと。
(第9条第2項関係)
六 予算財務諸表
1 内閣は、国の予算を作成するときは、政令で定めるところにより、公会計基準に基づいて予算財務諸表を作成しなければならないこと。 (第10条第1項関係)
2 予算財務諸表には、次の事項を記載するものとすること。
@ 国の一般会計及び特別会計における資産及び負債の状況、事務及び事業の実施に伴い発生する費用及び収益、純資産の変動の状況、現金の収納及び支払の状況その他の財務の状況の見積り並びに当該見積りを補完し、及び説明するために必要となる事項(公債及び借入金の内容並びにこれらに係る費用に関する事項を含む。)
A 国の一般会計及び特別会計並びに連結対象独立行政法人等を連結した財務の状況の見積り (第10条第2項関係)
3 財務大臣は、予算財務諸表の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。
(第10条第3項関係)
4 財務大臣は、予算財務諸表の案を作成しようとするときは、あらかじめ、当該予算財務諸表の案と財政運営短期戦略との整合性に関する財政検証委員会の意見を聴かなければならないこと。 (第10条第4項関係)
5 内閣は、3による閣議の決定があったときは、政令で定めるところにより、予算財務諸表を国の予算とともに国会に提出し、その審議を受け、議決を経なければならないこと。
(第10条第5項関係)
6 三8は、予算財務諸表について準用すること。 (第10条第6項関係)
7 政府は、5の議決を経たときは、速やかに、予算財務諸表その他国の財務の状況の見積りを適切に示す情報として政令で定めるものを公表しなければならないこと。
(第10条第7項関係)
七 決算財務諸表
1 内閣は、毎会計年度、国の歳入歳出決算の作成に併せて、政令で定めるところにより、公会計基準に基づいて決算財務諸表を作成しなければならないこと。 (第11条第1項関係)
2 決算財務諸表には、次の事項を記載するものとすること。
@ 国の一般会計及び特別会計における資産及び負債の状況、事務及び事業の実施に伴い発生した費用及び収益、純資産の変動の状況、現金の収納及び支払の状況その他の財務の状況並びにこれらを補完し、及び説明するために必要となる事項(公債及び借入金の内容並びにこれらに係る費用に関する事項を含む。)
A 国の一般会計及び特別会計並びに連結対象独立行政法人等を連結した財務の状況
(第11条第2項関係)
3 財務大臣は、決算財務諸表の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。
(第11条第3項関係)
4 内閣は、3による閣議の決定があったときは、決算財務諸表を、国の歳入歳出決算とともに会計検査院に送付し、その検査を受けなければならないこと。 (第11条第4項関係)
5 内閣は、政令で定めるところにより、4の検査を経た決算財務諸表を、国の歳入歳出決算とともに国会に提出し、その審議を受け、議決を経なければならないこと。
(第11条第5項関係)
6 決算財務諸表の国会の議決に関しては、国の歳入歳出決算の議決の例によること。
(第11条第6項関係)
7 政府は、4の検査を経たときは、速やかに、決算財務諸表その他国の財務の状況を適切に示す情報として政令で定めるものを公表しなければならないこと。 (第11条第7項関係)
第三 公会計基準の設定
1 財政検証委員会は、企業会計の慣行を参考として、公会計基準を定めなければならないこと。
(第12条第1項関係)
2 財政検証委員会は、公会計基準を定めようとするときは、あらかじめ、公会計基準審議会の意見を聴かなければならないこと。これを変更しようとするときも、同様とすること。
(第12条第2項関係)
3 財政検証委員会は、公会計基準を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならないこと。これを変更したときも、同様とすること。 (第12条第3項関係)
第四 財政検証委員会
一 設置
1 内閣府設置法第49条第3項の規定に基づいて、財政検証委員会(以下「委員会」という。)を置くこと。 (第13条第1項関係)
2 委員会は、内閣総理大臣の所轄に属すること。 (第13条第2項関係)
二 任務
委員会は、内外の経済及び財政の動向を踏まえ、財政運営中長期戦略及び財政運営短期戦略の確実な実施の確保を図るとともに、国等の会計に係る処理、表示及び開示の適正化及び透明化を図ることを任務とすること。 (第14条関係)
三 所掌事務
委員会は、二の任務を達成するため、次の事務をつかさどること。
@ 第二の一4、三4及び六4並びに第五の一3による事務
A 第二の二1及び四1の報告書の作成及び公表に関すること。
B 公会計基準の設定に関すること。
C 内外の経済動向の分析に関すること。
D 経済活動及び社会活動についての経済理論その他これに類する理論を用いた研究(大学及び大学共同利用機関におけるものを除く。)に関すること。
E 国民経済計算に関すること。
F 所掌事務に係る国際協力に関すること。
G @からFまでのほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に属させられた事務 (第15条関係)
四 職権行使の独立性
委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うこと。 (第16条関係)
五 組織等
1 委員会は、委員長及び委員4人をもって組織すること。 (第17条第1項関係)
2 委員長及び委員は、人格が高潔であって、経済、財政又は会計に関して高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命すること。(第17条第2項関係)
六 任期等
1 委員長及び委員の任期は、5年とすること。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とすること。 (第18条第1項関係)
2 委員長及び委員は、再任されることができること。 (第18条第2項関係)
3 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとすること。 (第18条第3項関係)
4 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、五2にかかわらず、五2に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができること。 (第18条第4項関係)
5 4の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならないこと。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならないこと。 (第18条第5項関係)
七 身分保障
委員長及び委員は、@からCまでのいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがないこと。
@ 破産手続開始の決定を受けたとき。
A この法律の規定に違反して刑に処せられたとき。
B 禁錮以上の刑に処せられたとき。
C 委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。
(第19条関係)
八 罷免
内閣総理大臣は、委員長又は委員が七@からCまでのいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならないこと。 (第20条関係)
九 委員長
1 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表すること。 (第21条第1項関係)
2 委員会は、あらかじめ委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならないこと。 (第21条第2項関係)
十 会議
1 委員会の会議は、委員長が招集すること。 (第22条第1項関係)
2 委員会は、委員長及び2人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができないこと。 (第22条第2項関係)
3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによること。 (第22条第3項関係)
4 七Cによる認定をするには、3にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならないこと。 (第22条第4項関係)
5 委員長に事故がある場合の3の適用については、九2の委員長を代理する者は、委員長とみなすこと。 (第22条第5項関係)
十一 事務局
1 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くこと。 (第23条第1項関係)
2 事務局に、事務局長その他の職員を置くこと。 (第23条第2項関係)
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理すること。 (第23条第3項関係)
4 事務局の内部組織は、政令で定めること。 (第23条第4項関係)
十二 政治運動等の禁止
1 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないこと。 (第24条第1項関係)
2 委員長及び委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないこと。 (第24条第2項関係)
十三 秘密保持義務
委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないこと。その職務を退いた後も、同様とすること。 (第25条関係)
十四 給与
委員長及び委員の給与は、別に法律で定めること。 (第26条関係)
十五 公会計基準審議会
1 委員会に、公会計基準の設定に関する事項を調査審議させるため、公会計基準審議会を置くこと。 (第27条第1項関係)
2 公会計基準審議会は、委員10人以内で組織すること。 (第27条第2項関係)
3 委員は、会計に関する実務に精通する者及び学識経験のある者のうちから、委員会が任命すること。 (第27条第3項関係)
4 委員の任期は、3年とすること。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とすること。 (第27条第4項関係)
5 委員は、再任されることができること。 (第27条第5項関係)
6 委員は、非常勤とすること。 (第27条第6項関係)
7 1から6までのほか、公会計基準審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めること。 (第27条第7項関係)
十六 世代間負担評価報告書の作成及び公表
1 委員会は、3年ごとに、人口構造の変化等我が国の経済社会情勢の変化、国際情勢の変化等が国の財政運営に及ぼす影響を踏まえ、次の事項について、その現況及び世代負担評価期間における見通しに関する報告書(以下「世代間負担評価報告書」という。)を作成しなければならないこと。
@ 人口構造
A 第二の四1@からEまでの事項
B 社会保障制度に係る負担
C 労働に関する事情
D その他政令で定める事項 (第28条第1項関係)
2 1の世代間負担評価期間は、世代間負担評価報告書が作成される年以降おおむね50年間とすること。 (第28条第2項関係)
3 委員会は、1により世代間負担評価報告書を作成したときは、速やかに、これを内閣総理大臣を経由して国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。
(第28条第3項関係)
十七 選挙時における経済及び財政の現況及び見通しに関する報告書の作成及び公表
委員会は、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙が実施されるときは、その期日の公示の日までに、第二の四1@からEまでの事項について、その現況及び当該日の属する年度以後4年度間(当該日が1月から3月に属する場合には、当該日の属する年度以後5年間)の見通しに関する報告書を作成するとともに、公表しなければならないこと。 (第29条関係)
十八 勧告等
委員会は、財政運営中長期戦略及び財政運営短期戦略の確実な実施の確保を図るため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、財政運営中長期戦略及び財政運営短期戦略の実施に関する重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができること。 (第30条関係)
十九 内閣総理大臣に対する意見の申出
委員会は、内閣総理大臣に対し、国の責任ある財政運営の確保を図るための施策についての意見を述べることができること。 (第31条関係)
二十 資料の提出要求等
委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は独立行政法人等の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができること。 (第32条関係)
二十一 国会に対する報告
委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないこと。 (第33条関係)
二十二 規則の制定
委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、財政検証委員会規則を制定することができること。
(第34条関係)
第五 補則
一 選挙時における政策費用計算
1 政治団体(政治資金規正法第3条第1項に規定する政治団体をいう。)のうち政党(同条第2項に規定する政党をいう。)その他政令で定めるものは、総務大臣に対し、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙について公表した国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等の内容に基づき国の予算を作成するとした場合におけるその国の予算に係る予算財務諸表の作成その他必要な協力を求めることができること。
(第35条第1項関係)
2 総務大臣は、1による求めがあったときは、財務大臣に対し、当該求めに係る予算財務諸表の作成その他参考となるべき資料又は情報の提供を求めるものとすること。
(第35条第2項関係)
3 財務大臣は、2による求めに応じて予算財務諸表を作成するときは、委員会の意見を聴いて、予算財務諸表の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。
(第35条第3項関係)
二 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の適用除外
この法律又はこの法律に基づく命令の規定による手続については、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第3条及び第4条の規定は、適用しないこと。(第36条関係)
三 電磁的記録による作成
この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている書類等(書類、調書その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、当該書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。以下同じ。)の作成をもって、当該書類等の作成に代えることができること。この場合において、当該電磁的記録は、当該書類等とみなすこと。 (第37条関係)
四 電磁的方法による提出
1 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による書類等の提出については、当該書類等が電磁的記録で作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって財務大臣が定めるものをいう。以下同じ。)をもって行うことができること。 (第38条第1項関係)
2 1により書類等の提出が電磁的方法によって行われたときは、当該書類等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなすこと。 (第38条第2項関係)
五 政令への委任
この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めること。
(第39条関係)
六 地方公共団体の措置
地方公共団体は、この法律の規定の趣旨にのっとり、地方公共団体の責任ある財政運営の確保を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。 (第40条関係)
第六 罰則
第四の十三に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すること。 (第41条関係)
第七 その他
一 施行期日
この法律は、一部を除き、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。 (附則第1条関係)
二 適用区分
第二の五及び六は平成26年度の国の予算から、第二の七は平成26年度の国の歳入歳出決算から適用すること。 (附則第2条関係)
三 平成26年度の国の予算に係る財政運営短期戦略の作成に係る経過措置
平成26年度の国の予算に係る財政運営短期戦略の作成についての第二の三1の適用については、「毎年度、財政法(昭和22年法律第34号)第17条各項の送付に先立って」とあるのは、「平成26年度においては、財政法(昭和22年法律第34号)第18条第1項の閣議の決定に先立って」とすること。 (附則第3条関係)
四 最初の委員長及び委員の任命
この法律の施行後最初に任命される委員会の委員長及び委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第四の六4及び六5を準用すること。 (附則第4条関係)
五 その他
その他所要の規定を整備すること。 (附則第5条から第13条まで関係)